リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.12.05

珠玉のラブソングを詰め込んだsajiの3rdミニアルバム『ユーフォルビア』、その収録楽曲に込められた想いを紐解くヨシダタクミインタビュー

珠玉のラブソングを詰め込んだsajiの3rdミニアルバム『ユーフォルビア』、その収録楽曲に込められた想いを紐解くヨシダタクミインタビュー

アルバムで異彩を放つ、中原中也にインスパイアされた楽曲

――3曲目の「冬日狂想」は趣が変わり、自暴自棄な曲になっています。

ヨシダ この曲だけは今回のアルバムの中でも異質ですね。コンセプトには準じながらも、裏テーマのような曲になっています。大好きな中原中也の作品で「春日狂想」という詩がありまして、タイトルはそこからインスパイアされたものです。中原中也の作品は好きだった女性への恨みつらみ罵詈雑言を書いた詩があったりして、その根底にある感情はなんなのか気になって一度、中原中也の人生を調べたんです。ざっくり説明すると、地方から都会に出てきて、好きな女性が出来たと思ったら友達に寝取られてしまうんです。

――ひどい話。

ヨシダ 好きだった女性に対する愛と憎しみの入り交じった感情が、おそらく中原中也にとって今まで経験したことがないようなもので、人格的に破綻していくんです。そういう状況で、センシティブな部分を切々と書き続けたのが「汚れつちまつた悲しみに……」という作品。これは予想ですけど、罵詈雑言を吐きながらも、中原中也という人間の根底にあるのは、誰かを愛したいという気持ちなんだと思います。そういうところが僕はすごく人間臭くていいなと思って。

――なるほど。

ヨシダ “狂想”は、本人の中で愛憎入り交じる感情という意味。「好きだけど、失ってしまうぐらいならいっそ殺したい」といった感情をそのまま曲にしました。なので、歌詞もほかの曲よりソリッドなんです。実は僕、今回のアルバムの中でこの曲がいちばん好きで。歌っていても演奏していても楽しいですね。

――歌詞の“死ねば良いのに 死ぬことすら出来ずに”などはすごくショッキングな表現だと思いました。

ヨシダ 死にたいのに死ぬ勇気がなくて、「誰かが引き金を引いて終わらせてくれたらいいのに」と思いながら、毎日生きているという状態です。白い雪に、感情という名の墨汁がポタポタと落ちていっているイメージですね。ボーカルもわざと歪ませて、汚い感じにしてみたりしました。

――出だしのエフェクトをかけたアレンジとかもダーティな雰囲気ですし、間奏も超暴れているなと思いました。次の「morning glory」は希望に満ちた広大な楽曲になっていますが、どんなイメージで作られたんでしょうか?

ヨシダ 1日の始まり、冒険の始まりみたいな曲を書きたいと思ったんです。そのうえで、「頑張っていこうぜ」というテンションではなく、じんわりと温まっていくような感覚の曲を書きたいなと。「人生いいことばかりじゃないし、叶わないこともあるかもしれないけど、歩いてみないと正解ってわからないよね。だからとりあえず歩いてみようか」ということを歌っています。

――この曲もアルバムのコンセプトである“ラブソング”という感じなのでしょうか?

ヨシダ この曲は全然ラブソングではなく、どちらかと言えば自己愛に近いですね。自分自身を愛して、初めて自分の人生が始まるんじゃないのかな、みたいな。

――当て字で歌詞の“冀望”が“きみ”になっていますが、これはどんなイメージで?

ヨシダ 人間って目標であったり夢であったり、指針がないと歩きづらい。そう考えた時に、僕らの人生の旗印って、やっぱり大切な人だと思うんですよ。だから夢や希望を、人そのものに例えたらわかりやすいかなと。自分の人生における最愛の物って、夢や希望じゃないですか。何のために生きてるんですかと問いかけられたとすれば、答えは「大切な物を探すため」。じゃあ、大切な物ってなんですかと聞かれたら、答えは「夢や希望」になる。それを恋愛に置き換えた時に、「妻です、彼女です」というのと同じだと思うんです。

次のページ:稚拙な過去の自分の曲をそのまま届ける理由

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP