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2024.06.19

澤野弘之の軌跡がここに――。尊敬するASKAも登場した“澤野弘之 LIVE [nZk]008”を振り返る。

澤野弘之の軌跡がここに――。尊敬するASKAも登場した“澤野弘之 LIVE [nZk]008”を振り返る。

澤野弘之に多大な影響を与えたASKAとの、運命の共演

続いて、澤野のピアノ演奏をバックに登場したのはSennaRin。ピアノの演奏のみで「IVORY TOWER」を披露する。ピアノのみというサウンドのなかで息遣いまで伝わる繊細な歌唱を聴かせたあとは、一気に現代的なビートを獲得した「NOD」へ。まさにSennaRinの真骨頂といったばかりに、躍動感溢れるボーカルを披露。そのまま、先日リリースされたばかりの1stフルアルバム『ADRENA』から「mЁЯR0r」が披露されると、その躍動的かつエモーショナルなボーカルに拍車がかかる。まさに自身の多彩な表現力が乗り切った、現在の充実ぶりを示すようなパフォーマンスだ。メンバー紹介を含むMCを挟んだあとは、再び『ADRENA』から「Reaper」へ。ドラマチックなサウンドと張り詰めた緊張感を保つようなスリリングな歌声が実にマッチしていた。そして「Reaper」を披露し、再度澤野のピアノ演奏と共に「Call of Silence」を1コーラス披露する。彼女の多彩さ、そして充実ぶりがよくわかる、澤野プロデュースによる彼女の今後のソロキャリアにも期待をしたくなるステージとなった。

SennaRinがステージを去り、澤野はそのままピアノ演奏を続行。やがて聴こえてきたのは、彼が劇伴を手がけたNHKの連続テレビ小説「まれ」のメインテーマだ。この日の会場がNHKと隣接するNHKホールだからか、あるいはドラマの舞台となった能登への想いを馳せているのか――。そこから『機動戦士ガンダムUC』より「ON YOUR MARK」を含むエモーショナルなピアノ演奏が続き、終盤にあの印象的なピアノイントロが流れる。澤野の楽曲ではない、しかし誰もが知るそのイントロに歓声と拍手が響く。1991年にリリースされたCHAGE & ASKAの「SAY YES」だ。そしてその音に乗せて、下手からゆっくりとステージに歩いてくる人物。“LIVE [nZk]008”、この日最後のボーカリストであるASKAだ。ASKAがステージ中央に、少し奥の澤野と影を重ねるように立つ。澤野がこれまで幾度となく語ってきた、最も影響を受けたアーティストであるASKAと、しかも自身のステージで共演を果たすという歴史的瞬間がついに訪れたのだ。そのなかで披露する楽曲はもちろん、澤野とASKAが初めてコラボを果たした楽曲「地球という名の都」だ。雄大なサウンドのなか、それと同じくあるいはそれ以上のスケールでもって響き渡るASKAの歌声。いや、声以上の、何かオーラのようなものも含む存在感がステージを支配する。そのなかでASKAはステージを動き回りながら観客に語りかけるように歌う。繰り返しになるが、紛れもなく歴史的な瞬間だ。そして最後のサビの前、暗転する会場の中でASKAと澤野にだけピンスポットが当たった光景は、世界でたった2人だけが音楽を奏でているかのような、まるで夢かのような美しさがあった。

そのまま続いたのは、驚きの「EVERCHiLD」。歌唱も躍動感をかね備えたASKAのバージョンもまたいい。日本のポップスシーンを彩ってきたボーカリストの系譜を見つつ、その間に澤野がいるというのも感慨深いものがある。そして注目のMC……というところだったのだが、ASKAは突然「EVERCHiLD」の終盤のフレーズが上手くいかなくて悔しかったのでやり直したいと澤野に申し出る。そこで急遽終盤のパートだけを演奏し直すというハプニング(?)も。ASKA自身も「自分のライブではよくやる」と語っていたが、澤野のファンには実に新鮮であり、かつリビングレジェンドの気さくな一面に触れた瞬間でもあった。「小学校の頃にASKAさんの音楽と出会って、音楽を目指すようになった」というとおり、澤野もステージ上でASKAとそんなやりとりができて実に嬉しそう。そして最後の曲は自身の楽曲ではなく、ASKAの曲をカバーすると告げる。これまでの音楽人生の中で多大な影響を受け、かつ自身の活動の指針にもなった、SawanoHiroyuki[nZk]の2ndアルバム『VV-ALK』のタイトルのモチーフとなった、CHAGE & ASKAの1989年リリースの大ヒット曲「WALK」である。この曲をあえて澤野のライブの最後に披露すること。また往年の名曲を澤野のアレンジで披露すること。ASKAもその実力を認めるSennaRinがコーラスで参加すること。そして何よりそれをASKA本人が歌うこと……と、様々なエモーションが重なったカバーとなったこの曲。オリジナルの印象的なフレーズを大事にしながら澤野らしく躍動感と愛に満ちたアレンジで、ASKAもお馴染みのマイクスタンドを前に体を動かしながら歌う姿は、聴き馴染みがある歌であるのに何かとてつもないものを観ている感もあった。“澤野弘之 LIVE [nZk]008”は、そんな温かくて優しい、それでいて圧倒的なスケールで迫る感動的なフィナーレとなった。

澤野弘之のディスコグラフィという点を人で繋いで、それが様々な時間軸の中で結んでいくとてつもなく広いパノラマ。“LIVE [nZk]008”はそんなスケールの大きさを感じさせるものだった。彼の音楽を彩る多くのミュージシャンたちのなかでも、お馴染みの顔から久々にステージを共にする人、自身が手がける未来ある才能、そして自分自身を形成した偉大な人。観客を含む多くの人々が、澤野弘之を中心に広大なパノラマを描いている。改めて、彼が作り上げる音楽にはこれだけ多くの人々が引き寄せられて生まれているのだと実感した。そして“LIVE [nZk]008”というパノラマはまた1つの大きな点となり、この先の彼の作品やライブへと繋がっていくのだ。

<セットリスト>
[Introduction] Battle Scars/Vo. Laco
01. Trollz/Vo. Laco
02. Never Stop/Vo. Laco
03. FAKEit/Vo. Laco
04. TRACER ~ BITE DOWN/Vo. Benjamin&mpi
05. RUSH/Vo. Benjamin&mpi
06. Inferno/Vo. Benjamin&mpi
07. DOA/Vo. Aimee Blackschleger
08. Light your heart up/Vo. Aimee Blackschleger
09. Release My Soul/Vo. Aimee Blackschleger
10. DARK ARIA /Vo. XAI
11. LEMONADE/Vo. XAI
12. Cage/Vo. XAI
13. Avid/Vo. mizuki
14. EGO/Vo. mizuki
15. Keep on keeping on/Vo. mizuki
16. IVORY TOWER ~ NOD Vo. SennaRin
17. mЁЯR0r/Vo. SennaRin
18. Reaper ~ Call of Silence/Vo. SennaRin
19. 地球という名の都/Vo. ASKA
20. EVERCHiLD/Vo. ASKA
21. WALK/Vo. ASKA


●リリース情報
SawanoHiroyuki[nZk] 12th Single
「LEveL」
発売中

購入リンクはこちら
https://nzk.lnk.to/LEveL_

【通常盤(CD)】
品番:VVCL-2409
価格:¥1,430(税込)

<CD>
01.LEveL by SawanoHiroyuki[nZk]:TOMORROW X TOGETHER
02.DARK ARIA  by SawanoHiroyuki[nZk]:XAI
03.LEveL (TV size)
04.LEveL -English ver.- (TV size)
05.LEveL (instrumental)

【期間生産限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:VVCL-2410~2411
価格:¥1,870(税込)
※TVアニメ『俺だけレベルアップな件』描きおろしイラストデジパック仕様

<CD>
01.LEveL by SawanoHiroyuki[nZk]:TOMORROW X TOGETHER
02.DARK ARIA  by SawanoHiroyuki[nZk]:XAI
03.LEveL (TV size)
04.LEveL -English ver.- (TV size)
05.LEveL (instrumental)

<Blu-ray>
TVアニメ『俺だけレベルアップな件』ノンクレジットオープニングムービー

関連リンク

澤野弘之オフィシャルサイト
http://www.sawanohiroyuki.com/

SawanoHiroyuki[nZk] オフィシャルサイト
http://www.sh-nzk.net/

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