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2023.05.26

結束バンド初ワンマン“結束バンドLIVE-恒星-”で新曲を含む全曲完全披露!TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブ名シーンも再現

結束バンド初ワンマン“結束バンドLIVE-恒星-”で新曲を含む全曲完全披露!TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブ名シーンも再現

ぼっち・ざ・ろっく!』ならびにバンド音楽の素晴らしさを改めて実感させてくれる、最高のライブだった。5月21日、Zepp Haneda (TOKYO)で開催されたライブイベント“結束バンドLIVE-恒星-”。結束バンドのキャストである青山吉能(後藤ひとり役)、鈴代紗弓(伊地知虹夏役)、水野 朔(山田リョウ役)、長谷川育美(喜多郁代役)の歌と生バンドによる演奏、そしてオーディエンスの熱狂が織り成す、この日だけの特別な輝き、恒星のように揺るぎない光が、そこには確かに存在していた。新曲を含む結束バンドの全レパートリーが披露された、本公演のレポートをお届けする。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
PHOTOGRAPHY BY 田村 与、内田 藍

キャストとバンドの熱演が生む“結束バンド”のリアルライブ

2022年10月クールに放送されて人気を博したTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』にとって初めての、全編ライブのみで構成されたイベントとなった本公演。4月23日に行われたアニメのスペシャルイベント“ぼっち・ざ・ろっく!です。”でも、ミニライブコーナーでキャストたちの歌唱パフォーマンスは披露されたが、この日の会場は数々のバンドが熱いステージを繰り広げてきた場所であるZepp Haneda (TOKYO)。しかも客席の1Fフロアはオールスタンディング、さらにアニメ系のライブイベントとしては珍しいことにペンライトを使った応援は控えるようにアナウンスされ、完全なるバンドライブ仕様に。パンパンに詰めかけたオーディエンスも、結束バンドのグッズ(Tシャツやタオル、そしてリストバンドならぬ“結束バンドの結束バンド”など)を身に着けて臨戦態勢はバッチリだ。

やがて照明が暗転し、ブルージーなSEと共にこの日の演奏を受け持つバンドメンバー、生本直毅(Gt/バンドマスター)、五十嵐勝人(Gt)、山崎英明(Ba)、石井悠也(Dr)が登場。三井律郎ら結束バンドの楽曲レコーディングに参加したメンバーとは異なるが、その“オリジナルメンバー”と縁の深いミュージシャンが揃っており(特に山崎はかつて比田井 修とSchool Food Punishmentで活動を共にし、現在はヒグチアイのライブサポートを務めている)、まずは肩慣らしとばかりに各々がワイルドな演奏を聴かせて観客の期待を高める。

そして結束バンドのメインボーカル担当・喜多郁代役の長谷川育美が登壇してステージ中央にスタンバイすると、「ひとりぼっち東京」からライブをスタート。出だしから堂々とした佇まいで、スタンドマイクを握りしめ、バンドの熱い演奏に身を揺らせてノリながら、彼女特有のクリアかつ芯のある歌声を会場中に響き渡らせる。

歌唱後、喜多ちゃんの声音で「こんばんは、結束バンドです」と名乗り、そのまま休む間もなく「ギターと孤独と蒼い惑星」に突入。TVアニメの第5話、ライブハウス・STARRYのオーディションのシーンで披露された、最初のライブ曲ということもあり、観客もあのギターリフが流れた瞬間に大歓声で反応する。火花の演出が熱気をさらに上昇させるなか、長谷川もスタンドからハンドマイクに切り替えて、さらに力強く、激しくその身を動かしながら、焦燥と衝動に彩られた楽曲を表現する。特に2サビ終わりの“心臓”、ラスサビの“聴けよ”というフレーズでの、力みさえもエモーションに転換させるような歌唱には心を動かされた。

そこからクラップや“嫌だ 嫌だ 嫌だ”の大合唱で会場中が一体になった「ラブソングが歌えない」に繋げ、冒頭から3曲連続でロッキンなステージングを見せると、MCで「ここからはガラッと雰囲気を変えて、明るく元気に歌っていきたいなと思います」(長谷川)と予告して、谷口 鮪(KANA-BOON)が楽曲提供したアニメ第1~3話のEDテーマ「Distortion!!」へ。スクリーンにエンディングアニメが流れるなか、ステージ前に出てきたギタリストと向き合いながら楽しそうに歌う長谷川の姿に、観ているこちら側も思わず笑顔になってしまう。続く「ひみつ基地」ではステージを左右に動き回りながら明るく伸びやかに歌唱。2番の歌詞“だめゼッタイ”のところで両手をクロスしてバッテンマークを作ったり、間奏で客席に「い・く・よ!」と呼びかけてにこやかに腕を振ったりと、そのキラキラとしたパフォーマンスからは結束バンド随一の陽キャ・喜多ちゃんらしさが溢れ出ていたように思う。

その曲の最後で、長谷川が手を振りながらステージ袖に捌けると、入れ替わるように山田リョウ役の水野 朔が登場。客席が沸くなか、変拍子のインパクトあるイントロが奏でられる。もちろん彼女が歌ったのは、リョウがボーカルを担当する第4~7話のEDテーマ「カラカラ」。tricotの中嶋イッキュウが楽曲提供した、トリッキーかつ不思議な浮遊感がクセになるナンバーだ。正直歌いこなすのは難しい楽曲だと思うが、水野は儚さも感じさせるふんわりした高音を織り交ぜつつ、サビではレコーディング音源以上に熱のこもった歌唱を聴かせて、ライブならではの本楽曲の魅力を引き出していた。ちなみにMCでの水野は、他のキャスト陣が「こんな朔は今まで見たことない!」と口を揃えて語るほどハイテンションで、観客にウェーブをしてもらってバンドライブ感を味わうなどして大変喜んでいたのが印象的だった。

そんな水野に代わって長谷川が再びステージに立ち、バンドのやや緊張感を感じさせるインスト演奏に続き、生本がステージ前に出てくると、アニメ第8話のライブシーンでぼっちこと後藤ひとりがバンドを立て直すために弾いた、あの鮮烈なギターソロを再現!その熱狂的なプレイから「あのバンド」に雪崩れ込み、緊迫感と疾走感に溢れるバンドの演奏に乗せて、長谷川も激しくアクションしながら焦燥感あるボーカルを叩きつける。あの日、STARRYにいた僅かの観客だけが体験できた、結束バンドの覚醒の瞬間を、実際に目の当たりにしているような感覚に陥ったのは、きっと自分だけではなかったはずだ。

その後、穏やかなマーチング風からストレートなバンドサウンドへと移り変わっていく「小さな海」でドラマチックな心情と景色の変化を表現すると、長谷川は再び降壇して、今度は伊地知虹夏役の鈴代紗弓がステージに。the peggiesの北澤ゆうほが楽曲提供した第8~11話のEDテーマ「なにが悪い」を歌い、虹夏らしい明るく元気な歌声で会場を一気に華やかな空間に塗り替える。サビでマイクを持っていないほうの手を上げて左右に振ったり、歌詞の“(今!ほら!)”のところで耳元に手を当てたり、さらにはステージを左右に大きく動きながら手を叩いたりと、賑やかな動きも込みで会場を盛り上げて、最後は「せーの!」でジャンプして締め括り。その後のMCでも、恒例の「BTR」コールを含めたコール&レスポンスなどでファンとの交流を楽しんでいた。

新曲初披露、名シーン再現、ギターヒーロー青山爆誕!

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