REPORT
2022.12.13
デビュー8周年の“8”から“ハチ”=“Bee”(=“Be”)を連想し、“CHiCO with HoneyWorksのライブをあなたと一緒にみんなで楽しみましょう!”という想いを込めたタイトルを掲げたホールツアー“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer hall tour 2022「Bee with U」”。2022年7月の福岡・福岡国際会議場公演からスタートした今年のツアーは、東京、愛知を巡り、10月29日の大阪・オリックス劇場公演でファイナルを迎えた。
■2022.10.29(土)大阪府 オリックス劇場
LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer hall tour 2022「Bee with U」
■2022.11.05(土)東京 日比谷野外大音楽堂
LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer hall tour 2022「Bee with U ~11月のミツバチ~」
TEXT BY 阿部美香
CHiCO with HoneyWorks(以下、チコハニ)がライブ活動を始めたのはデビューから2年後の2016年。HoneyWorksのサポートのもとフレッシュな新人アーティストとしてステージに上がっていたCHiCOも、毎年ライブを重ねるたびに歌もステージパフォーマンスも堂々としたアーティストらしさが滲み出るようになり、今年はついに8周年。CHiCO個人がシンガーとしてのスキルアップを果たしていると同時に、彼女を支えるチコハニバンドの“バンドらしさ”も毎年向上。毎回のライブが、それまでのチコハニの集大成とも言える内容を重ねてきたが、今年の“「Bee with U」”ツアーは、それに輪をかけた充実感に満ちていた。
ワンマンライブとしては、昨年夏~秋にかけて開催されたホールツアー“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer hall tour 2021 「SEVEN PiECES」”と東京・日比谷野外大音楽堂でその後行われた“「LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer hall tour 2021 SEVEN PiECES 秋の陣~我武者羅~」”以来、1年ぶり。7月18日の初日の福岡・福岡国際会議場公演から、しっかりとノリの良い気合いをぶつけていたのも、彼らのバンドとしての結束力の高まりを感じさせてくれた。翌週の“チコハニの聖地”東京・中野サンプラザホールでの2days公演では、両日ともオープニングアクトとして可憐なアイボリーが出演。その後、10月にリリースされた4thアルバム『iは自由で、縛れない。』で意外な選曲として、可憐なアイボリーの「ハンコウ予告」がカバーされていたのも、このときの共演を思い返すと、CHiCOが頼りがいのある先輩アーティストへと成長したようで、感慨深いものがあった。そこから約1ヵ月後の愛知・愛知県芸術劇場公演ではモチベーションをさらに高め、音楽を共有する楽しさを、何より彼ら自身が満喫していることが、リラックスしたMCからも感じられた。
MCでいうと、ツアー日程が進んでいくたびに、バンドメンバーの中西(g)のトークの迷走っぷりに手を焼くHiroki169(b)やCHiCOがキツめのツッコミを入れ、AtsuyuK!(ds)がそれらを取りなしているところを、宇都圭輝(key)やOji(g)が笑いながら見守る……というファンにはお馴染みとなりつつある光景も、このツアーではすっかり定着していた。フレンドリーなトークで笑わせる一方で、演奏になるとガラリと雰囲気を変える、メリハリの効いた“チコハニバンドらしさ”が、“「Bee with U」ツアー”ではより表れていた気がする。
前半から中盤はポップ&キュートな楽曲を中心に、後半はハードめで盛り上がる楽曲を中心としたキャッチーなセットリストも、飾り立てることなくシンプルに歌と演奏を届けることに注力。そこもこのツアーらしさだったと思う。そのテイストの違う楽曲のちょうど折り返し地点に、今までのライブではお目にかかれなかった“セクシーで大人っぽいCHiCO”を思いきり見せつけた「平成バブル」がフィーチャーされていたことで、CHiCOが積み重ねてきたアーティストとしての成長が、新鮮な驚きとともに胸に残されもした。
そんな変化を届けつつ、“「Bee with U」ツアー”単独でのファイナルを迎えた10月29日、大阪・オリックス劇場。CHiCO with HoneyWorksの大阪ライブ会場としては、すでにファンにはお馴染みの場所だ。開演が近づく頃には、劇場前の公園にはたくさんのファンが集い、ツアーグッズのタオルを掲げたり、自分が持っているチケットを掲げて入口をバックに自撮りしている人の姿も見える。本来なら9月末に開催されるはずだったこの公演だったが、台風接近による天候不良により約1ヵ月延期。だからこそ「ようやくチコハニに会える!」という嬉しさとワクワク感が、どのファンの顔にも浮かんでいる。同じ想いは、CHiCOとバンドメンバーたちも感じていたに違いない。
開演の17時半。ステージのバックには、ツアータイトルの“Bee”を連想させる蜂の巣を模した六角形の模様が、CHiCO with HoneyWorksのロゴを囲むように配置されている。よく見ると、ステージの上のドラムやキーボードが置かれている台の床も、六角形にデザインされている。カラフルなライトに合わせて、ダンサブルなBGMが会場にこだまして、手を振りながらバンドが入ってくる。ポジションについたAtsuyuK!が大きな身振りで観客を煽ると、すぐさま大きな手拍子が客席を包む。宇都圭輝がオルガンの音を奏で、クラップが最高潮に達した瞬間、ステージ中央の段差の上にCHiCOが登場。両手を挙げてクルクルと回り、左右にステップを踏みながら「冒険のVLOG」を軽やかに歌い、このツアーこそ全国各地を巡る楽しい冒険の旅だと、オープニングから宣言していた。2番に出てくる世界の地名は行く先々に合わせてコール。この日はもちろん「ヤッホー大阪!」だ。CHiCOの歌声に応えるように客席のペンライトがさらに大きく揺れる。このツアー中、すべての会場でCHiCOとファンが味わってきた最初の感動が、お待ちかねの大阪でパッと花開いた。
大阪に限らず、今回のツアーのセットリストは、同じポップなナンバーでもブロックごとに違ったテイスト、コンセプトを持ちながら、新旧の人気曲がまんべんなく披露されていたのも印象的だ。この日も2曲目に固定され、明るく元気なボーカルを響かせながら「さぁ、やってきた大阪ファイナル!」「みんな最高!」とCHiCOが満面の笑顔でシャウトした「LOVE FIGHT」は、今年2月にデジタルリリースされたばかりの新曲。大阪では5曲目に披露された「乙女どもよ。」は、会場によって「ぐる恋」や「ツインズ」といったハードポップな楽曲たちとチェンジして歌われるなど、随所にツアーならではのお楽しみが提供された。
そしてCHiCOが今だからこそ歌いたかったナンバーが連なるコーナーが、コンセプチュアルに盛りこまれていたのも“「Bee with U」ツアー”ならではの趣向だ。それを最も感じたのは、MCから届けられた“結婚”、そして愛に溢れた“家族”をテーマにした「ミスター・ダーリン」「幸せ。」の2曲が、彼女のプラベートエピソートと共に歌われたことだ。
「私には、毎回ゲーム配信やらおしゃべり配信をすると絶対観に来てくれる友達がいるんですけど、その友達が今年の春に結婚式をあげて。ありがたいことにチコハニの楽曲を流してくれました。私の大好きな友達のそんな結婚式の幸せを、このツアー中、皆さんにお裾分けしてきました。大阪でも、今年こんな幸せなことがあったんだと伝えたくて、この楽曲をお届けします」
この日も後半で歌われた、10代の青春の恋を歌ったデビュー曲「世界は恋に落ちている」からスタートしたチコハニ楽曲の歴史。そこから8年が経ち、徐々に“大人”なナンバーが増えていったことで、等身大のCHiCOが今思うこと、伝えたいメッセージが、より楽曲とシンクロするようにもなった。そんな彼女の成長をライブという場所で直接共有できるのが、素直に楽しいと思える瞬間だった。
先にも書いたように、今年の“「Bee with U」ツアー”で最もファンを驚かせた楽曲は、間違いなく「平成バブル」だった。リスアニ!WEBのインタビューで、アルバム『iは自由で、縛れない。』についてCHiCOは、「大人になった今だから歌える、挑戦的で自由な曲が詰まった1枚」と語っていたが、“「Bee with U」ツアー”におけるスタイリッシュなパフォーマンスとアレンジで届けられた「平成バブル」は、まさにCHiCOの新しい、大人な一面を垣間見させてくれた。
セットリストの中盤、チコハニナンバーをインストゥルメンタルなアレンジで届けたバンドセッションが終わると、ステージは暗転。スポットライトを浴びた宇都圭輝が、しっとりとローズピアノのサウンドを奏で出す。ステージ中央の一段高いところ、オープニングで元気にCHiCOが飛び出してきたその場所に、横向きで背もたれのあるチェアに腰かけたCHiCOの姿が映し出される。ジャジーでファンキーなバンドに乗せて、CHiCOが美しいファルセットを響かせると、ゴージャスでアダルトな夜のムードが漂い出す。太いストライプの前開きのワンピースの裾からCHiCOのセクシーな素足が覗く。さっきまで元気にステージを駆け回っていたのとは対照的に、静かにチェアに足を掛け、艶やかに熱唱する姿はとても新鮮だ。どんなテイストの楽曲も自分色に染めあげていくCHiCOのボーカリストとしての力量を、改めて感じた。
その力量の高さは、後半戦でも遺憾なく発揮された。加えて大阪公演が延期されたからこそ、直前にリリースされたアルバム『iは自由で、縛れない。』収録の最新曲「ハートの誓い」を、ライブ初披露したのもこの日のトピックだ。曲タイトルをCHiCOがコールした瞬間、「おお!」という声にならない声が起こり、大きな拍手に包まれた。「ハートの誓い」は女友達同士の心の通い合いを描いた曲。思春期の女の子の心情を、リアルなニュアンスを込めて歌うCHiCOの姿は、さっきまでセクシーな夜の歌を歌っていた人と同一人物とは思えない。幅広い表現力を大仰にひけらかすことなく、楽曲ごとに自然に寄り添わせていけるのも、実力あってのことだと再確認させてくれる。
新曲サプライズが与えた熱を逃すことなく、ファンが体を使って参加できる賑やかな楽曲が続いて用意されていたのも嬉しい。CHiCOが直接振付をレクチャーした「それいけ!サラリーマン」も、Ojiが高らかにホイッスルを吹き鳴らす「ラブホイッスル」も、会場の全員に大きな力をくれる。
延期になって来られなくなった人、今日だから来てくれた人、すべてのファンに感謝を述べて「大阪はほんとにあったかい」と感慨深い顔になるCHiCO。「この2年間、みんなの声は聞けてないけど、マスク越しでも伝わるみんなの“ライブを楽しむぞ!”という気持ちが、すごく伝わります、ありがとう」と改めて感謝を告げて、ツアータイトル「Bee with U」に込めた想いを語って「ファイナルを、9月予定していたオリックス劇場で迎えられて嬉しく思います」と振り返る。「私たちは、いつでもステージで待っています、これからも遊びに来てくれたら嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。また来年遊びましょう」と語って、本編ラストに届けた「我武者羅」に、会場全員の拳が振り上げられた。
そしてアンコールのラストでは、コロナ禍に入ってからのライブでは歌われることがなかったライブアンセム「ホーリーフラッグ」を笑顔で熱唱。以前、リスアニ!WEBの取材時にこっそりCHiCOが、「本当ならみんなと一緒に合唱したい曲だから、ずっと歌うのをためらっていた〈ホーリーフラッグ〉を、今年のツアーはやることに決めました」と誇らしげに語っていたこの曲。 “あなたと一緒に”の意味を託した“「Bee with U」ツアー”で解禁されたことにも、バンドにとっては大きな意味があったはずだ。多彩な楽曲を、チコハニならではのハートウォームなエンターテインメントに昇華していた“「Bee with U」ツアー”。大阪ファイナルのファンからの温かな拍手に、みんなの気持ちがしっかりと込められていた。
<セットリスト>
2022.10.29(土) 大阪府 オリックス劇場
M01.冒険のVLOG
M02. LOVE FIGHT
M03. ヒカリ証明論
M04. サイダー
M05. 乙女どもよ。
M06. ミスター・ダーリン
M07. 幸せ。
M08. 平成バブル
M09. Love Letter
M10. ヒミツ恋ゴコロ
M11. 世界は恋に落ちている
M12. ハートの誓い
M13. それいけ!サラリーマン
M14. ラブホイッスル
M15. ビビっとラブ
M16. 我武者羅
<ENCORE>
EN01. 私を殺さないで
EN02. 決戦スピリット
EN03. ホーリーフラッグ
“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer hall tour 2022「Bee with U ~11月のミツバチ~」”レポートはこちら
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