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REPORT

2022.11.12

未来へ向かう道筋の中の、輝ける10周年の到達点。“i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~”レポート

11月7日、声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが、“i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~”を東京国際フォーラム ホールAにて開催。CDデビューからちょうど10年当日という記念&節目過ぎる日に開催されたこのライブは、メドレーを含む全27曲・3時間強にもおよぶ大ボリュームのものに。しかも、この10年間培ってきた様々な魅力を出し惜しみすることなく全部乗せした、高い密度も兼ね備えたライブを届けてくれた。

TEXT BY 須永兼次

大事な一夜の序盤で炸裂した、意外過ぎるサプライズ!

開演時間を迎えた場内にハードなEDMが流れ始め、5色のスポットライトがステージを照らしたのちに客席のほうへとぐわっと迫ってきたところで、リーダー・山北早紀からひとりずつ登場し、挨拶代わりにソロダンス。いずれも抜群の切れ味をもって披露されたのはもちろんのこと、振付には各メンバーの個性もにじませ、まずは言葉ではなくパフォーマンスを通じて10年間の成長をみせる。最後には5人揃ってのダンスとなり、ステージも5人のメンバーカラーのグラデーションで染まったところで、デビュー曲「Color」から特別な一夜が始まる。

ライブ冒頭の3曲は、ライブやi☆Risを語るうえでは欠かせない楽曲で構成。まず「Color」では頭サビからハモも交えて魅せ聴かせていき、山北が「今日は世界で一番アツい夜にしようねー!」とシャウトしファンのボルテージを上げる。そのシャウトが盛り込まれた2サビ明けの間奏、メンバーカラーがコールされる部分はデビュー当時の6色のままであったのも、なんだか嬉しい。続く「幻想曲WONDERLAND」は、ライブのキラーチューンであるのと同時に、後の様々な楽曲で活きるコーラスワークが磨かれた曲のひとつ。この日もサビ終盤のハーモニーは、重厚かつ美しい。そうして彩られた2サビ後半の「嫌いで好きな みんながいれば怖くない」のフレーズに対して、10周年当日に歌われたことでまた違った印象を覚えたファンも少なくなかったのではないだろうか。そして恒例・久保田未夢による楽曲ラストの日替わりセリフが、「今日は、i☆Risからのありがとうの気持ちを、精一杯受け取って帰っていってねー!」とのメッセージとして楽曲を締めくくると、メンバーの自己紹介曲「5STAR☆(仮)」へ。この曲のイントロ時点で、物理的に熱気を感じるほどだった会場のボルテージを、さらに上げにかかる。Bメロで各メンバーがフィーチャーされる部分では、音源以上に振り切ったパフォーマンスで観客を楽しませると、2-Bメロ終盤の歌詞を「配信のみんなにも」とアレンジして配信用カメラにもアピール。配信視聴のファンも、i☆Risは置いていかない。最後には5人で円陣を作ってピースサインを掲げて指で星のマークを作ると、彼女たちの後ろにある2階ステージへの階段にも、5色からなる☆マークが浮かび上がった。

まずこの日最初のMCでは、平日夜にもかかわらず客席を埋め尽くすファンの多さに驚く5人。そんな光景に向けて「今までi☆Risを少しでも応援してくれた人全員に届くよう、めちゃくちゃアツいライブにしたいと思います!」と山北が宣言すると、続く披露曲「Queens Bluff」がEDに起用された『賭ケグルイ双』にちなむ「全力で、お祝イクルイましょう!」との彼女のセリフをきっかけに、ライブ再開。ここから2曲では近年色濃くなった、スタイリッシュなダンスボーカルグループとしての側面をみせる。
その1曲目「Queens Bluff」は、フォーメーションの入れ替わりも含めて非常に複雑な振付を切れ味鋭くみせていきつつ、サビの後半部分では女性ならではのしなやかさも生かしたパフォーマンスに。加えて1-Bメロでの久保田や2-Bメロでの芹澤優がみせた、ダンス面でのかっこよさと小悪魔感のにじむ歌唱の絶妙なバランスもまた、素晴らしいものだった。その雰囲気を引き継いだ「Spending」では、2番冒頭で茜屋日海夏が笑みを浮かべながら軽快にラップを乗りこなし、スタイリッシュさとかわいさを見事に併存させる。また若井友希はサビ後半のダンスで深めに沈み込むことでより色気が際立っていたし、後奏でもキレまくりのダンスが、無意識的に視線を奪う。

こうして、傍から見たらパーフェクトに、今ならではの楽曲を披露しきったi☆Ris。が、曲明けのMCで、「Queens Bluff」の曲フリ直後にイヤモニをつけ忘れていたことを告白。そのハプニングが逆に、彼女とi☆Risの凄さを痛感させる。

そんな話題も飛び出したMCの後の1曲目は、「イチズ」。いつものように茜屋のソロパートから始まった……かと思ったら、頭サビが終わったところで2階ステージ側面の壁がスライドし、奥にはなんと生演奏を行なうバンドメンバーが! 思い返せば6年前の武道館ワンマンで、スタンドと同じ目線になる高さまでリフトアップしたステージで歌唱するというサプライズを盛り込んだのも「イチズ」。そう、「節目の『イチズ』では、何かある」のだ。生演奏による高ぶりや、この演出に対する意気込みが生んだのだろうか、落ちサビ冒頭の茜屋のソロでは、普段とは違ったエモーショナルなフェイクも飛び出す。
続いては、生のベースが音源以上のグルーヴ感をもたらした「鏡のLabyrinth」。疾走感あるロックナンバーへと変貌したこの曲にも、ハモを交えながら美しく、それでいて力強い歌声を響かせていくと、生バンドが映えるダークなロック「Re:Call」ではその力強さがさらに前面に。特に、歌詞に重なる自身の感情をも乗せたかのような強く熱いボーカルが響いたのが、落ちサビの芹澤のソロ。かわいげだけではなく確固たる芯の強さをもつ歌声だからこそ、こういうパートでも映えてくるのだろう。

歌唱後にメンバーは一旦降壇し、「Changeing point」のインストの生演奏がこのムードを引き継ぐ。さらに続けて「12月のSnowry」「Summer Dude」「徒太陽」と演奏して徐々に明るい雰囲気へと移行すると、「FANTASTIC ILLUSION」のインストを経て、衣装チェンジした5人が再登場。ここからは、ポップなカラーの衣装がよく似合うキュートさ全振りの楽曲を、新旧織り交ぜて3曲続けて披露していく。
その幕開けを飾ったのが、久々の披露となった初期の楽曲「i☆Doloid」。各メンバーの“かわいい”がこれでもかというくらいに散りばめられたこの曲では、どのタイミングで見てもキュートなうえに滑らかな動きを通じた綺麗さもある、山北のパフォーマンスが特に心を掴む。一方、続く「Special Kiss」で要注目だったのは、久保田のダンス。サビのステップや脚の振り上げなど、様々な部分にあったダイナミックさが、自然と視線を引き付けた。また落ちサビではセンターを取った芹澤の両脇に山北と若井が立ち、山北は歌いながら芹澤をきゅっとハグし、若井は芹澤のほっぺをつんつんつつくと、逆に「ハートビート急上昇」では2サビ直前のソロで芹澤が照れながら「I love you, i☆Ris」と歌詞をアレンジして歌唱。この2曲を通じて、ステージ上ならではの“i☆Ris愛”の交換がなされていたように感じた。それ以外にも、この曲もパフォーマンスの要注目ポイントが数多く存在。サビの「君は気付いているかな」のフレーズでの若井は、歌声の甘さに加えて首のかしげ方や視線の飛ばし方までかわいさパーフェクトだったし、Dメロ前間奏での茜屋のダンスは、切れ味をもたせつつキュートに見える絶妙過ぎるバランス。配信で観返すたびに、拍手をおくりたくなるシーンが増える曲のひとつだろう。

次ページ:爆上がり確定曲でもバラードでも、どんな曲でもそのときの鮮やかな“色”を放つ

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