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REPORT

2022.11.12

未来へ向かう道筋の中の、輝ける10周年の到達点。“i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~”レポート

爆上がり確定曲でもバラードでも、どんな曲でもそのときの鮮やかな“色”を放つ

キュート曲ゾーンと生バンドパートはここまで。既に11曲が披露されており、昼夜2公演行なわれるツアーに慣れているファンであればそろそろラストスパートを予感するところかもしれないが、なんとここで山北が「ここからが長い」と宣言。さらに茜屋も「ここからは止まれません!」と煽ると、i☆Risの歴史を振り返るうえで欠かすことのできない、『プリパラ』主題歌メドレーに突入する。

リリース順どおりに披露されていった今回のメドレー。まずはi☆Risの存在を一気に知らしめることとなった最強ナンバーのひとつ「Make it!」や、サビ明けのコール部分で会場を一体にできる「ミラクル☆パラダイス」で、後半に向けて観客のボルテージを一段とぶち上げる。さらに“ラスボス曲”のひとつ「Realize!」では山北の歌声にある凛々しさの魅力を、「ドリームパレード」ではサビで振付を利用したコミュニケーションを試みる芹澤のファン愛の強さを再認識させられる。続く「ブライトファンタジー」でもエネルギッシュなパフォーマンスが会場の温度を高め、一転暖かなナンバー「Goin’on」では尻上がりに感情が乗ってきたのか、久保田の振付やファンへのレスの大きさがひときわ目立ってきたのが印象的だった。そして「Ready Smile!!」は、フォーメーションなどから来る視覚的なわちゃわちゃ感はそのままに、全力投球のハツラツ感から、少々大人びてお姉さん感もほのかににじむものに変化した茜屋の歌声から、改めてグループの変化と成長を感じる曲となった。

そしてメドレー8曲目「Shining Star」は、ここまで7曲とは異なり1コーラスだけではなく、1サビ後に2サビ明け間奏を接続する形での披露に。それはきっとその間奏部分に、メンバーが担当する『プリパラ』の各キャラを連想する決めポーズが盛り込まれているからだろう。そうして作品への感謝と思い入れを表して、メドレーのラストナンバー「Memorial」へ。時系列順の披露ではあるのだが、“ありがとう”と“いつまでも”が込められた曲がメドレーの最後を飾り、10周年当日に聴けるということへの素敵さを感じたのは、筆者だけではなかったはずだ。最後にはステージの真ん中に5人が集まり、それを色付きのスポットライトが照らす。その色は今のステージ上の人数と同じ5色ではなく、そこに『プリパラ』をともに走り続けるイエローも加わった、大切な6色だった。

パワフル過ぎるメドレーの次は、しっとりとした楽曲2曲を通じて真逆ベクトルの魅力を提示。その1曲目は、もうひとつの10年前に生まれた大事なナンバー「らむねサンセット」だ。ステージ下手側をオレンジの明かりが包み、楽曲になぞらえたムードが醸成されてから始まったこの曲で、ファンの心をちょっぴりキュンとさせると、より麗しさがフィーチャーされたバラード「Endless Notes」へ。1-Aメロでのタッチしてソロパートをリレーするという魅せ方や間奏でのスピンなど、一体感をもって美しさで惹き込んでいくというこの曲ならではの魅力が、この日も存分に発揮。どこか幻想的な空気感が、会場中を包んでいった。

こうして多彩さをみせてきたライブも、さすがにそろそろラストスパートへ。そんなMCを受けて客席にはペンライトで作られた大量の「×」が掲げられるが、「今日終わらないと、うちらの11年目がスタートできないから」と山北がそれを諌め、拍手を用いたコール・アンド・レスポンスからの、彼女の「ありえんほど盛り上がれるかー!?」のシャウトをきっかけに、本編ラストを飾るライブド鉄板ナンバー3曲がスタートする。

まずは、ベストアルバム『i☆Ris 10th Anniversary Live ~a Live~』リリースにあたって、収録曲決定ファン投票で1位を獲得した「ありえんほどフィーバー」から。1サビで前傾になってファンへの想いをあふれさせた芹澤や、終盤にグルーヴィーなフェイクを織り込み観客をさらに高ぶらせた若井など、ファン同様にメンバー全員もステージ上で楽しさをあふれさせる。だが、最後まで誰ひとりとして息切れを感じさせることはない。“楽しさ”と“プロフェッショナル”の両立、そんなi☆Risのライブの凄さが詰まった1曲にもなっていた。
そうして高まったファンをさらに熱くするのが、芹澤の「10年間ありがとー!」のシャウトとともに始まった「§Rainbow」だ。残念ながらこの記念すべき日に、ライブでの声出し解禁は間に合わなかった。だがそれでも芹澤はファンの心の声を、「せーりーざーわー、ゆーちゃん!」のコールを受け止めるために、いつもどおりBメロでステージ中央に立ち、イヤモニを外す。また、サビではターンの勢いを利用してその先のファンへと手を振ったり、大サビでは配信カメラに向かってハートを描いて吹いてプレゼントするなど、自身がフィーチャーされる曲を存分に生かしていった。

そして本編ラストは、すっかり定番となったライブ爆アゲナンバー「アルティメット☆MAGIC」。それもただはしゃげるだけではなく、「とびきりの笑顔が見たい」「究極の未体験みせてあげるずっと」など今の彼女たちからのメッセージも込められているかのようだからこそ、よりファンの胸を熱くするのだろう。i☆Ris自身も、サビでの脚を内股気味にする部分でぐっと沈み込むことでかわいげを際立たせた若井を筆頭に、楽曲のテイストを最大限生かしたパフォーマンスを最後までみせて本編を締めくくった。

一礼して5人がステージを降りると、すかさず会場中からアンコールを求めるクラップが、入場時に貸与されたシンクロライトリストバンドの色が変わるリズムに合わせて鳴り響く。やがてベストアルバム収録の、ファンへの感謝を込めた新曲「Anniversary」のイントロが流れ始めると、メンバーがソロパートを歌いながらステージに登場。ここでは、いつしかセットとしてステージに現れたこれまでのデビュー記念ライブのロゴとともに、ライブという切り口から10年間の感謝を伝えていく。ソロパートではMVになぞらえて、メインスクリーンの映像には額縁状のフレームも登場。このライブを“記念の瞬間”として切り取るような形でみせながら、ファンへの大切な想いを温かさにあふれた歌声で届けてくれた。

歌い終わったところで、i☆Risから嬉しい発表が! 2023年、4月から6月にかけての全国ツアー開催が告げられた。“あまりにも節目過ぎる平日の周年ライブ”ということで心配していたファンもいたかもしれないが、この告知と「続くよ! i☆Ris!(芹澤)」との力強い宣言が、彼ら・彼女らに安堵と喜びをくれたことだろう。

次ページ:未知の新世界を切り開いていく、いつまでも追い続けたい存在、それがi☆Ris

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