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INTERVIEW

2022.07.27

【インタビュー】誰もが胸の中に持つ“懐かしい夏”が、ここにある――青山吉能「あやめ色の夏に」リリースインタビュー

【インタビュー】誰もが胸の中に持つ“懐かしい夏”が、ここにある――青山吉能「あやめ色の夏に」リリースインタビュー

声優・青山吉能が、7月27日に2作目となるデジタルシングル「あやめ色の夏に」をリリース。夏の夕暮れ時の情景を思い起こさせるサウンドが醸し出す切なさを青山の澄んだ歌声がさらに増幅させる、胸をきゅっと締め付けるようなミドルナンバーだ。リリースを目前に控えての本インタビューでは、彼女のインスピレーションに基づいた選曲プロセスも含め、楽曲制作の裏側をじっくり語ってもらった。

青山自身もこの曲から呼び起こされた、懐かしい記憶

――前作「Page」リリースの際には「牛歩でもいいから進んでいけたら」とおっしゃっていたので、約4ヶ月半後に2作目のリリースというのには驚きました。その際話されていた、ストック曲があったからこそのペースなのでしょうか。

青山吉能 いや、ストックはめちゃくちゃあるんですけど、今回はそこから選んだ曲ではないんですよ。というのも、ソロデビュー曲ということもあって「Page」は一生歌い続けるであろう特別な曲になったので、その次を考えたときに「季節感がわかるものがいいよね」となりまして。それで「夏の曲を歌いたい!」という方向性に決まった……という経緯があるんです。

――スタートからコンセプトが明確だったからこそ、新規でデモを募った。

青山 そうなんです。“夏”という言葉からパッと浮かぶものって、結構限定できるじゃないですか?今回はそれを具現化するような曲を目指したんですよ。ただ、限定できるとはいえ“夏”というテーマだと、いろんなデモ曲が集まりまして。それこそアッパーな「夏の輝き!」とか「みずみずしさ!」みたいなものをバーッ!と出した曲から、逆に超バラードまであったんです。その中でこの「あやめ色の夏に」は、割と異質だったんですよね。ミディアムテンポの「訥々と、ある」という曲が独特だったのもあって、ビビっときました。

――実際制作が始まったのは、いつ頃だったんですか?

青山 もう全然最近で……バースデーライブよりもあとです。

――あと!?

青山 そうなんですよ。たぶん他の方って、もっと早い時期から曲って作ってますよね?私もキャラソンのときは半年以上前とか、モノによっては1年前に収録することもありましたし。でも青山吉能のプロジェクトは1ヶ月前とかから本格稼働するから常にギリギリで、みんなの口癖も「時間がない」なんです。

――バースデーライブ自体も、リリースの約2ヶ月前でしたからね。

青山 そうなんです。でも、本当はギリギリなのは結構嫌で。今回はギリギリのなかでも120点満点の出せる曲を作れたとは思っているんですけど、もしかしたら時間がないせいで、諦めないといけないものも出てしまうことがあるかもしれないじゃないですか?だから次の目標は、「余裕のあるスケジュール」を最初に持つことですね……もう、2曲目が出る前なのに、すぐ次の話しちゃう(笑)。

――ストックされている曲を聴きたいという方もいるでしょうけど、「直近でビビッときたものをいち早く出したい」というのは、非常にアーティスティックな活動のように思います。

青山 そうですね。だって今の感情って、正直言ったら今しかない。ずっと好きでい続けられるものなんてないじゃないですか?だから、この新鮮な熟れた果実を今出しておかないと腐っちゃうかな……って。もうかなりホヤッホヤなので、ダイレクトに今の感情を知れるはずです。MVだって、このインタビューの4日前 に撮ってますから……自分でも「えげつない!」と思うくらいです(笑)。

――そんな「あやめ色の夏に」のデモを聴いたとき、青山さんの中には最初にどんな光景が浮かびましたか?

青山 まず、イントロが最強だなと感じまして。同時に、懐かしくて、かつ淡々と・訥々としているサウンドから雨が浮かんだんですよ。夏って梅雨もあるから、雨もよく降りますからね。アコギの音色もすごく郷愁を誘うので、聴いてくれるみんなもきっと、何か思い出しちゃうものがあるだろうな……と思ったんです。

――青山さん自身にも、そういうものはあるんですか?

青山 はい。私、地元にいるときにはあまり花火大会に行ったことなかったんですけど、一度だけ高校1年生のときに友達と行った、熊本の玉名というところの花火大会を思い出しました。花火自体も綺麗で素敵でしたけど、行くまでの時間も楽しくて!徐々に浴衣の人が増えていったり、屋台がバーって並んでたり……それに学生って、普段制服じゃないですか?でも中学生時代の、全然連絡先も知らなかった友達が短パン姿でいるのを見つけて「えっ、久しぶり!」ってなったりもして……そういった、夏にしか味わえないような感情や経験が頭に浮かんだんですよ。きっとみんなにもそういう経験や……“存在しない、存在しているはずの夏”があるはずですし(笑)。

――“存在しない記憶”ですか(笑)。

青山 そう。そういう“懐かしい夏”というものを、この曲を通じて出せたらと思ったんです。でも実は、元々は2曲目はこの曲じゃなくて、他の曲に9割方決まっていたんですよ。それもめっちゃいい曲で、プリプロも終わっていたような段階だったんですけど……。

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