【ライブレポート】迷子でも進め――「BanG Dream!」から生まれた“現実”と“仮想”が同期するバンド「MyGO!!!!!」1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」レポート

BanG Dream!(バンドリ!)」から生まれた“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド「MyGO!!!!!」(マイゴ)の1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」が、7月3日に東京・duo MUSIC EXCHANGEで開催された。今年4月に始動を発表して以来、SNSなどを通じて自分たちの存在を発信してきた彼女たちだが、ファンの前に登場するのは今回が初めて。いまだ謎多き彼女たちのバンドとしての実像に、ライブレポートで迫る。

Poppin’Partyからボカロ曲まで、名曲カバーを連発!

改めてMyGO!!!!!について説明すると、彼女たちは「迷子でもいい、前へ進め。」をキャッチコピーに掲げる5人組ガールズバンド。メンバーは、ボーカルの燈(ともり)、サイドギターの愛音(あのん)、リードギターの楽奈(らーな)、ベースのそよ、ドラムの立希(たき)。これまでの「バンドリ!」発のバンドとは違って、今のところキャストの情報は一切公表されておらず、キャラクターとしての活動に焦点が置かれているのが特徴だ。公式YouTubeチャンネルやTikTokに上がっている自己紹介や「歌ってみた」動画も、あくまでもキャラ視点で制作されており、それが「“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期する」というコンセプトをより強調している。

そんなMyGO!!!!!の1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」が行われたduo MUSIC EXCHANGEといえば、かつてRoseliaが1st LIVE「Rosenlied」を開催した、「バンドリ!」とも所縁のあるライブハウス(現メンバーが揃う前のPoppin’Partyも同会場でライブを行ったことがある)。この日はオールスタンディングでの観覧となっており、会場にライブハウスらしい熱気が立ち込めるなか、まずは演奏メンバーがステージに登場。事前に告知されていた通り、立希は諸般の事情により出演キャンセルとなったため、Morfonicaの二葉つくし役として知られるドラマーのmikaがサポートを務める。

そしてmikaの力強いドラムを合図にライブがスタート。激しく掻き鳴らされるギターが、やがてPoppin’Party「ティアドロップス」のリフを弾き始めると、オーディエンスの熱気は急上昇。ボーカルの燈がステージ中央にスッと歩み出ると、左手を高く突き上げ、透き通るような声質の中に焦燥感を湛えた、鮮烈な歌声を叩きつける。「ティアドロップス」は彼女たちのYouTube公式チャンネルにも「歌ってみた」動画が上がっているので、この日のライブでも披露されることはあらかじめ予想できたが、演奏陣のプレイを含め想像以上にワイルドなカバーだ。ラスサビ前の決め台詞“「この手を離さない」”の言い方も、緊迫感や必死さが伝わるものになっていて、MyGO!!!!!なりの「ティアドロップス」が表現されていた。

「MyGO!!!!!」燈

続いての「二息歩行 (Reloaded)」も、「歌ってみた」動画で取り上げられていたDECO*27の人気曲。緩急の効いたバンドアレンジに仕上がっており、なかでもステージ上手に位置する楽奈のギタープレイが光っていたように思う(顔を伏せてギターを弾く姿はシューゲイズの語源そのものだった)。ちなみにダボッとしたジャケットとタイトなパンツという出で立ちも楽奈そのもので、その他のメンバーもキャラクターのビジュアルイラストそのままの恰好をしていた。

 

MCパートに入ると、燈はやや緊張気味な面持ちで「こんばんは、MyGO!!!!!です」と挨拶。一言一言を確かめるような話し方は、自己紹介動画での彼女の印象と変わらない。それはほかのメンバーも同様で、明るく「よろしくお願いしまーす!」と挨拶する愛音、淡白であまり感情が見えない楽奈、柔らかな語り口のそよ、いずれもキャラクターとしての表情を一切崩すことなく、MCを進行していく。今ステージに立っているのは、MyGO!!!!!そのものなのだ。

「MyGO!!!!!」楽奈

楽奈

MCで愛音が「歌ってみた」動画の話題に触れ、現時点の最新の「歌ってみた」が04 Limited Sazabys「swim」のカバーであることを紹介すると、その流れで「swim」を披露することに。メロコア直系のストレートなロックサウンドが、彼女たちの若さと勢い溢れる演奏にマッチしており、観客もクラップで盛大に盛り上がる。愛音とそよが演奏しながら肩を寄せ合ったり、楽奈の見せ場である間奏パートで燈と背中合わせになったりと、彼女たちの絆も確かめることができた。

その「swim」から間髪入れずPoppin’Party「イニシャル」のカバーに繋げると、フロアはさらに熱狂。やはり「バンドリ!」ファンが多く参戦しているようで、そよの煽りに合わせてオーディエンスも息ピッタリでクラップを叩く。Dメロでは、原曲でPoppin’Partyメンバーが歌い繋いでいくのと同様、愛音、楽奈、そよの3人もボーカルを聴かせる。そこからさらに会場のボルテージを引き上げたのが、Poppin’Party屈指のライブ曲「Time Lapse」のカバー。燈の儚さとひた向きさを併せ持った歌声、重厚かつエモーショナルな演奏、4人で声を合わせるパートを含め、見どころ満載の1曲だった。

「MyGO!!!!!」愛音

愛音

メンバー5人で披露した初オリジナル曲「迷星叫(まよいうた)」

激しいナンバーを3曲立て続けたあとは、MCを挿んで、4つ打ちのリズムでノリよく楽しめる一二三「猛独が襲う」のカバーへ。MCでは言葉少なで無感情な楽奈だが、演奏中は様々な表情を見せるようで、この曲でもサビではステップを踏みながら楽しそうに演奏する。燈の随所でファルセットを効かせたボーカルもとりわけ豊かだ。続くPoppin’Party「Happy Happy Party!」のカバーでは、それまでになくかわいらしい雰囲気で会場にハッピーを届ける。なかでも愛音がギターを左右に揺らしながら満面の笑顔で演奏しているのが印象的で、間奏では愛音から楽奈へギターソロを繋げる場面も見られた。

「MyGO!!!!!」そよ

そよ

その後のMCでは、愛音がライブをさらに盛り上げるべく、観客への質問コーナーを提案。「東京から来た人」「逆に東京以外から来た人」「大阪より西から来た人」といった質問でファンとのやり取りを楽しむ。質問するよう振られた燈は「えっと……愛知(から来た人)!」と、なぜか愛知を執拗にプッシュ。なんでも愛知県の形がカンガルーみたいでかわいい、というのが理由らしい。愛音の「私たちもいつかライブで色んな地方を回れたらいいな」という言葉に燈が「愛知!」と即レスする微笑ましい一幕もあった。

愛音の「次はAfterglowさんがカバーされているあの曲です」という紹介に続いて披露されたのは、千綿ヒデノリ「カサブタ」のカバー。TVアニメ『金色のガッシュベル!!』のOPテーマとしてもお馴染みの少年感のあるロックチューンだ。MyGO!!!!!の演奏もタフで、どこか泥臭さも感じさせるが、燈のよく通る歌声が楽曲の真っ直ぐさを良い意味で強調する。それにも負けない純粋さ、夢に向かって頑張る気持ちをストレートに表現したのが、「バンドリ!」というコンテンツ全体の始まりの楽曲でもあるPoppin’Partyのデビュー曲「Yes! BanG_Dream!」。バンドで自分たちの夢(ドリーム)を掴む、そのキラキラした気持ちがMyGO!!!!!の根本にもあることを、この日のカバーは伝えていたように思う。燈も歌唱後、「MyGO!!!!!にとって初めてのステージで、この始まりの曲を歌わせていただけて、とっても嬉しいですし、大切に披露させていただきました」と語っていた。

そしてここでサポートドラマーのmikaは退場。ドラムがいなくなってこのあとの演奏はどうなるのか?と思いきや、燈は「最後の曲は、私たちMyGO!!!!!にとって、とても、とても大切な曲です。私たちMyGO!!!!!は、5人でMyGO!!!!!です。だから、この曲は、5人で披露させていただきたいと思います」と語り、なんとドラムの立希が登場する。颯爽とドラムの前に座り、何度か叩いて感触をたしかめる立希。燈の「準備いい?」という言葉に「うん、いけるよ」と返す。その僅かなやり取りだけで、彼女たちはお互いを信頼し合っていることが伝わってくる。

「MyGO!!!!!」立希

立希

そして燈は次に歌う楽曲について語り始める。「この曲は、周りに馴染めない気持ちが、どこかにあって……でも、それは特別なものではなくて。そんな思いを抱えている人が、ここにもいるよって、1人じゃないよって、気付いてもらえたら、嬉しいなって思って、書きました」。そして決意するような口調で「聴いてください」と、曲名を告げる。そのタイトルは「迷星叫(まよいうた)」。MyGO!!!!!にとって最初のオリジナル楽曲だ。

立希のドラムが加わって、本当の意味でのMyGO!!!!!というバンドが、その姿を現す。情熱をはらんだギター、タイトかつ確かな足取りを刻むドラム、それらを支えつつグルーヴを生むベース。そしてどこか遠くの誰かに届けるように、叫ぶように、懸命に歌うボーカル。吹き抜ける風のように爽やかな曲調でありながら、一歩一歩を踏みしめるような力強さをもったこの楽曲こそが、彼女たちが届けたい想いを凝縮したものなのだろう。それは心が迷子になってしまった人の支えになる、色んな人々の孤独や寂しさに同じ目線で寄り添える音楽だ。サビの“こんな僕でも ここにいる 叫ぶよ”というメッセージは、このライブのタイトル「僕たちはここで叫ぶ」とも共鳴しながら、迷える気持ちを抱いたすべての人の心に響いたのではないだろうか。

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