【特別企画】ピクチャードラマ「VOISCAPE」についてエグゼクティブプロデューサー・水島精二に話を聞く――! 第2回:「VOISCAPE」まだ、世界の果てじゃない #1・#2

新感覚ピクチャーボイスドラマ「VOISCAPE」を、エグゼクティブプロデューサーとして物語や音楽まで作品全体をプロデュースする水島精二監督とともに徹底的追いかける短期連載シリーズ。第2回は本編第1~2話のストーリーと音楽について話を聞いた。部室やファミレスを舞台に、ボイスドラマ本来のロジックを破壊する女子3人のコント的会話劇はどのようにして生まれていったのか?

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バンドもの?いいえ、コントです。

――さて、ここからは「VOISCAPE」の各話について水島監督にお話を伺います。まず第1話「叩きつけるだけじゃない」ですが、冒頭から(中沢)栞(CV:鈴代紗弓)が寝ているところからスタートします。

水島精二 脚本の高垣(雄海)くんに「コントを書いてほしい」って伝えていたんだけど、最初の掴みのシチュエーションの台本を見たときに「コントってたしかにこういう唐突な始まり方ってあるよな」って思ったし、やっぱりキャラクターが変なことやってるっていうのすごく大事で。栞が「あと17秒待って~」って言ったあと本当に17秒後に目覚めるんですよ、そういうところもこだわってます(笑)。誰もそこ気づいてくれないよなとか思いつつ。そういう努力を色々しています。

――気づかれなくてもしっかりこだわるという。

水島 コントをやると決まったときに、今回自分のセオリーにないものをやるぞっていう気持ちがあったので、高垣くんにも本当にコントでいくから好きに書いてってお願いして。なので、1話で希が柔道部だという話という話も、元々の設定にはないんですよ。毎話毎話、なんの部長だっていう設定が変わっていても全然構わないっていう話をしていて(笑)。

――そうしたテイストは1話の序盤からずっと続いていますよね。終始ボケまくってツッコミまくるという流れがあって。

水島 そう。そしたら2話も同じだった(笑)。

――そうですね(笑)。

水島 とにかく「なんだこりゃ」と思うけど面白くて、とりあえず気になるから次も聴いてみようと思ったら、違うネタで同じことやってるみたいな。

――導入として、アニメの1話でいう自己紹介感は希薄ですよね。

水島 あくまでもコントなんですよ。それぞれのキャラクターの関係性に少しずつ情報が入っているから、「この子はこういう子なのかな」というのが徐々に輪郭として見えてくる。キャラクターを最初に説明することで理解がしやすくなるのは王道の作り方の1つとしてあると思うんだけど、コントってそうじゃないじゃないですか。

――たしかに。舞台でいえば明転していきなり始まりますからね。

水島 そういう意味ではやっぱりコント作家が書くコントって実際に面白いんですよね。そして本作は声優さんを起用したガチガチのコントという。キャストたちはそこまで理解できていなかったけど、演出としてディレクターがコントロールすればここまでいくよっていうのをやっている。

――それこそキャスト陣は芸人のようにネタ合わせもしていないわけですが、水島さんの頭の中では出来上がっているんですよね。

水島 そう。シナリオである程度組み上がっているから、あとはそれをどれだけ引き出せるかで、多少違ったとしても、それを頭の中で修正して「これならいけそうだな」っていうテイクを録っておいて、そこから整理してさらに間を作り直しています。

――収録したあとに、そこからさらにコントに仕立て上げていくという感じですよね。

水島 うん。だからそういう意味では、要するにコントをやりたいっていうのが第一にあったっていうのが大きかったかな。面白くするために自分の普段使ってるロジックじゃないところから異質なものを持ってきて、それをどんな形にするかを見てもらう。とにかく最初はそういう気負いっていうか、面白い・新しいものを提示するっていうのは考えてましたね。とはいえ理解されないとまずいから、ちゃんとサウンドドラマっていう器の中に入るようにはしてる……という。

――なるほど。

水島 あと、動画内でのイラストに関しても、そもそもたくさんの絵を使える企画ではなくて。何枚かの絵を動画を作ってくれている人にチョイスしてもらい……みたいな感じで、最初はその部分も割と見切り発車的な部分もあったんですよね。クリエイティブプロデューサーとして一二三の荒木(悟)が入ってくれてからは、動画作成を行ううえでのイラスト関係の仕切りは彼がやってくれています。

――動画としてはいくつかの1枚絵を主体に、カメラワークなどでテンポよく見せている印象ですね。

水島 キャラクター原案・キャラクターデザインのいぬもとさんも、最初の頃は不安だったみたいで「こういう絵を3枚くらい用意してこういうふうにしたらいいんじゃない?」っていう感じで僕が絵コンテ的なものを切っていたんですよ。でも後半になっていくにつれて絵に関してはノータッチになっていって。逆に僕らが作ったサウンドドラマにどういう絵をつけてくれるか楽しみになっていますね。

――そして、1話のお話としては3人でバンドを結成するというということで、様々な音楽パロディが出てきますね。

水島 そうですね。これに限らず物語に合わせて音楽も作っていて。でも曲数をそんなに多くは作れないから、半分以上は汎用で全話につけられるように、バラして使えるようなデータで納品してもらってます。だからリズムトラックだけ抜き出して繰り返し使ってる曲とかもあります。逆に1話だとよさこいとか演歌とかはそれ専用。あと「スーパーで客引きでかかってるような曲」もそう。高垣くんが台本にそう書いてきたので、迷った挙げ句“呼び込み君”だっけ?あのタタータタタタ、タタータタタタ♪っていうメロディをリファレンスにしたりして。

――「初鰹」ですね(笑)。それらを含めてボケ数の多さとキャラクターの魅力がよく伝わる1話になりましたね。

水島 「どこいっちゃうの?」って思われたかもしれないけど(笑)。

――「『VOISCAPE』ってバンドものなのか?」と思ったら2話からまた全然違いますからね(笑)。

水島 そうそう(笑)。

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