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INTERVIEW

2022.01.13

【インタビュー】10周年を前に、自然と培ってきた力で壮大な世界を表現! Machico「ENISHI」リリースインタビュー

【インタビュー】10周年を前に、自然と培ってきた力で壮大な世界を表現! Machico「ENISHI」リリースインタビュー

声優アーティスト・Machicoが、ニューシングル「ENISHI」をリリース。表題曲はTVアニメ『幻想三國誌 天元霊心記』のOPテーマに起用された壮大なバラードだ。本稿では同作の話題に加え、八面六臂の大活躍をみせた昨年も振り返っていく。そんなインタビューは、ちょうどこの日手元に届いたCDの現物についての話題から始まり……?

考えすぎずに、繊細な表現を形にした「ENISHI」というバラード

――上がってきたばかりのCDの現物、ご覧になっていかがですか?

Machico 「赤いなぁ」って思います(笑)。あと、今回はジャケットもアーティスト写真も今までよりアンニュイさやアーティスティックな感じが出るように撮っていただいたので、自分でも大人っぽい表情がすごく印象的ですね。それにカメラマンの方が女性なのもあってか、不意な瞬間を撮ってくださることが多くて。写真選びの段階から今までとの違いをすごく感じて楽しかったです。

――ジャケット写真で赤が使われるのも、最近では珍しいですよね?

Machico そうなんです。ただ、元々Machicoのパーソナルカラーは赤だったんですよ。今回はそういう意味も込めつつ、『幻想三國誌』のもつオリエンタルさを意識して、ポイントで赤を使ったほうがいいんじゃないか……となりました。衣装自体は結構シンプルなんですけど、赤いオーガンジー越しのジャケ写なので、今まで多かった、顔をはっきり見せるものと違ったミステリアスさもあるんですよ。

――そのシングル「ENISHI」についてのお話の前に、やはり2021年を振り返ってのお話もお聞きしたいです。Machicoさんにとっては、かなり激動の1年だったのでは?

Machico はい!去年は自分でもびっくりするくらい色んなお仕事をやらせていただいて。テレビのバラエティ番組や歌番組にもたくさん出させていただきましたし……お仕事が増えたので、ファンの方々は「体は大丈夫?」ってすごく心配してくれているんですけど。

――たしかに、本当に大忙しの1年でしたし。

Machico でもデビューしてから今まで、ずっと忙しくなりたかったんです。忙しくなれるのは、自分のことを知ってくれる方や色んな現場で名前を挙げていただくことが増えたからですから。ただ、ちゃんと息抜きもしながらお仕事をやらせていただいているので、ファンの方には「心配しないで」って伝えたいですね(笑)。

――無理してるわけじゃないよ、と。

Machico そう。素直に心配してくれている優しさはすごくありがたいし、しっかり受け取らせていただきますけど、「前向きだよ!」って。実際、全部楽しかったですし……!

――年末、『FNS歌謡祭』で大井競馬場でも歌われたのも印象深い出来事でした。

Machico そうですよ!あんなに素敵な演出で、地上波で『ウマ娘』を扱っていただけること自体本当に光栄だったのに、お馬さんが実際に後ろを走ってくださったり……そういう特別な演出をつけてもらえることなんて、めったにないことじゃないですか!?だから普段とは違う緊張感もあって。そういうなかで、ほんのちょっとメンタルも鍛えられたような感じはしています。

――メンタル以外にも、鍛えられたり新たに得られた感覚などはありましたか?

Machico キャラクターやその声優として出演させていただくことが多かったので、ソロで歌うときとは声の出し方は全然違うんですけど……でも引き出しとして色んな表現の仕方をもたらしてくれるので、今はそういうたくさんの感覚が種まきされたような状態なんです。なので今は、それが花開くのを待っているような感じですね。

――ということは逆に、それ以前の経験の中で「ENISHI」に活きたものも?

Machico それはすごく感じています。「ENISHI」は壮大な世界観をもったバラードなので、歌い方としても難しいところはたくさんあるんですけど、そのなかで苦手意識のあったフェイクができるようになっていて。それは、自分でも驚きました。

――どんなところに苦手意識が?

Machico 私、すごくピッチ主義なところがあるので、自由に表現することに苦手意識があったんです。でも「ENISHI」のレコーディングでは、フェイクの部分でピッチや細かいことを考えずに「自分がこうやって叫びたい」という感覚そのままに歌えて。前回Machico名義でのCDを出させていただいてからの約2年の間に、それがいつの間にか身についていたんですよ。だから、無駄なことなんて1つもないって改めて思いましたし、「まだ成長できてるんだ!」という安心感もすごく感じました。

――そんな「ENISHI」という曲、最初に聴いたときはまずどんな世界が浮かびましたか?

Machico 歌詞を見ながら聴いていくなかで、「大切な人を守りたい」という気持ちや、何かを成し遂げるまでの不安などの繊細な心の動きがまず浮かんできました。なので私的には「ENISHI」、男性・女性で言ったら女性側の気持ちで歌うといいますか。

――待つ側の気持ちというか。

Machico そうです。運命のしがらみに果敢に立ち向かう大切な人を、助けたいけどその力がなくて、待つことしかできない……というもどかしさを詰め込んで、歌わせていただきました。あとこの曲、単純にすごく私の好みで(笑)。作詞がミズノゲンキさんで作編曲が睦月周平さんというソロでお世話になり続けているお二人だからこそ、私の好みも取り入れつつ今までの楽曲と比べて落ち着いた音域の多い、感情が表現しやすい曲を作っていただけたと思うんです。だから、そのお二人の気持ちをさらに大きく膨らませて、「Machicoに歌わせてよかった!」と思ってもらえるよう頑張りました。

――たしかに音が高すぎないと、それぞれのフレーズに感情を込めやすくなりますよね。

Machico そうなんです。しかも「自分が歌を引っ張っていく感じにしてほしい」というディレクションもいただいていたので、ボーカルとしてちゃんと芯の通った歌をうたうことも強く意識していきました。

――イントロから非常に壮大さがありますし、しかもジャケ写のように幻想的な雰囲気もある曲なので、そのほかにも意識しなければならないことは多いのでは?

Machico それが、「ENISHI」では最近ライブで歌わせていただくなかで、わざわざ表情を作らなくても自然に曲に合ったものにできるようになってきたんですよ。歌いながら、この曲に導かれているような感じがするといいますか……それって、今まで「かっこよくキメなきゃ!」みたいなことを思いながらバラードを歌うことが多かったのとは逆のことで。それぐらい、自分の中で情景を浮かばせやすい感じがしているんです。だからこそ、フェイクも細かいことを考えずに歌えるようになったのかもしれないですね。

――ただ、先ほど「難しいところはたくさんあった」とおっしゃっていたので、レコーディングのときはまた感覚が違ったのでは?

Machico そうですね。本番は結構スムーズだったんですけど、その前のプリプロでは難しさを感じるところがたくさんありました。ボーカルとして引っ張っていくという感覚を掴むまで悩んだり、あとA・Bメロのリズムを取るときにどうしても走っちゃったり……。

――カチッカチッとはっきりリズムを取りすぎても、また違う曲ですもんね。

Machico そうなんですよ!民族音楽みたいな雰囲気のある曲なので、曲を引っ張る感覚といいバランスで両立させるのは、本当に難しかったんです。プリプロの時点ではそのパワーバランスが、頭ではだいたい理解できても自分の中に落とし込めてはいなかったので、何回も曲を聴き直してレコーディングまでに固めていきました。

――また「ENISHI」では、MVとしてリリックビデオも制作されました。

Machico MVを完全にリリックビデオにするという試みは今回が初めてだったんですけど、私自身自分が出ていないMVをやってみたかったのもありましたし、今回はあえて私が出ずにフルCGで作ってもらったほうが曲に合うように思ったのでこの形になりました。

――MVを通じて、レコーディングのときと違うイメージは何か湧きましたか?

Machico 待つ側の気持ちで歌っていたレコーディングのときとは逆に、冒険者として1人で戦いに行く側の心細さみたいなものが垣間見えました。なので、そういう気持ちも歌うときには表現として出していけたらいいな……と思いましたね。

――その心細さや孤独感は、『幻想三國誌』の登場人物の背景にも通ずるところがありますね。

Machico そうですよね。作品の情報が色々出てきて、改めてMVや歌詞と照らし合わせていくなかで、また新しい共通点を発見できることもすごく楽しいですし……ストーリーが進むにつれて曲と物語がどんどんリンクしていくと、きっと今の私とはまた違う目線で「ENISHI」を見られると思うので、それもまた歌に還元していきたいです。

次ページ:5月開催の10周年ライブは、本当の意味で“10年間を感じられる”ものにしたい

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