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INTERVIEW

2021.10.30

【インタビュー】『ジャヒー様はくじけない!』第2クールオープニング主題歌でヒャダイン楽曲に挑戦!シングル「生活こんきゅーダメディネロ」の制作について上坂すみれに聞く

【インタビュー】『ジャヒー様はくじけない!』第2クールオープニング主題歌でヒャダイン楽曲に挑戦!シングル「生活こんきゅーダメディネロ」の制作について上坂すみれに聞く

上坂すみれの新曲「生活こんきゅーダメディネロ」は、“アニメ『ジャヒー様はくじけない!』第2クールOP主題歌”“電波ソング”というオーダーを前山田健一(ヒャダイン)が見事に自身のカラーで染め上げた1曲。また、同曲が収録された12thシングルには、共に上坂すみれが作詞を担当した「ものどもの宴」「ドロップス」も。アーティスト活動10周年を前にした20代最後のシングルで、上坂すみれはそれぞれにひと癖もふた癖もある楽曲をどう料理していったのだろうか。

――前山田さんとは一応面識がありますが、楽曲提供を受けるのは今回が初めてとなります。どのようなクリエイターという印象を持っていましたか?

上坂すみれ 学生時代、ニコニコ動画で見ていたオタク文化や電波ソング文化の第一人者的なスター、という認識でした。お会いしてみても、“電波ソング”や“萌え”をロジカルかつ、すごく科学的にお話ししているところにクリエイターというところを感じました。私はその曲のコードとかそういうことに関してはさっぱりなので、よくヒャダインさんが番組で曲を解説しているのを拝見していても「すごいな」と思っていました。

――前山田さんの作る楽曲に関しては?

上坂 一番好きなのは『日常』のOP曲(「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」)で。あれはヒャダインさんがPVにも出られていますし、声も(男性・女性パートの)二役を歌っていますし、すごく衝撃を受けました。ヒャダインさんのテイストを出すことも隠すことも変幻自在で、クレジットを見て初めて(前山田健一が手がけたと)気づく曲もありますけれども、私的には電波ソングであることを前面に押し出された、言葉数が多い曲が好きですね。

――では今回は、まさに、という曲ですね。

上坂 そうですね。蘇りしニコニコ動画というか。新しくも懐かしく、「これは本当に新譜かな?」というレトロスペクティブなところがあるんですけど、でもちゃんと最新のアニメの絵が浮かんでくるような、怒涛の一曲だと思いました。ずっとご一緒したいとは思っていたんですけど、意外と近いようなすれ違うような距離感だったので、受けていただけてとても嬉しかったです。

――楽曲制作に入る前に、実際に会っての打ち合わせがあったということですが?

上坂 はい。『ジャヒー様はくじけない!』のどういうところを切り取っていくか、というところで意見交換させていただきました。原作でジャヒー様は、暮らしに窮しているけれどもすごくキャッチーに描かれているので、電波ソングをベースにしながらも歌詞は生活感あるところを散りばめていきましょうというお話し合いがありましたね。

――上坂さんから見て、『ジャヒー様はくじけない!』はどのような作品だと感じていますか?

上坂 単行本の表紙を見てもほのぼのしているように思えるんですけど、意外と貧しさの描写が容赦なくて。魔石がなくて本当に死にかけそうになるところも、絵柄が違っていたらもっと大変な話になるというか、萌えとハードボイルドが同居する不思議な作品だと思っていました。でも、根っから悪い人が出てこない、優しいルールがあるとは感じていました。(上坂演じる)魔法少女も魔界を滅ぼしましたけどジャヒー様に恨みがあるわけではないので。基本的には優しい世界におけるお話なんだな、って印象ですね。

――楽曲も耳に残りやすいメロディですね。

上坂 そうですね。複雑なようで口ずさみやすいメロディになっていると思うので、たたみかけるような歌詞ではあるんですけれども、みんなで盛り上がれると思います。ライブで初めて聴いたとしても、Aメロ、Bメロと聴くうちになんとなくサビから参加できるような、すごい仕組みになっているんじゃないかと思います。

――懐かしさを感じる電波ソングということですが、上坂さんが思い浮かべる電波ソングというのは?

上坂 電波ソングって人によって定義が違うとは思うんですけど、2ちゃんねるをやっていた頃は、KOTOKOさんの「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」をみんな聴いていて。フラッシュにもよく使われていましたし。だから、私が聴いていたのはギャルゲーソングと桃井はるこさんとMOSAIC.WAVさんが主だったと思います。

――レコーディングではどういったイメージで歌われましたか?

上坂 レコーディングにはヒャダインさんが来てくださったんですけど、ためらいとか疲労とかが少しでもあると失速してしまう曲なので何度も録るのではなくて勢いを大事に、というディレクションをいただきました。あとは電波ソングの特徴として、歌詞が不思議だけど聞き取りやすい、というところがあると思うので、速くても歌詞をはっきり発するというところは心がけました。

――勢いのある歌も電波ソングも上坂さんにとってはお手のものではあるので、レコーディングもスムーズだったかと思いますが?

上坂 得意というか、慣れ親しんだジャンルではあるのでこれならできるんじゃないか、とは思いました。もっと体力を持っていかれると思ったんですけど意外と大丈夫で。歌いきると満足感のある曲でもあるので、ぜひみんなにも歌ってほしいと思いました。

――ぜひ歌ってみてほしい、という箇所はありますか?

上坂 最後の最後でキーがすごく高くなるんですけど、そこはヒャダインさん曰く「アップアップしている困窮感を表している」とのことなので、搾り出すように歌ってみてほしいと思います。

――“困窮感”は上坂さんとあまり結びつかないワードかと思いますが、そこで意識した点はありましたか?

上坂 歌詞のワードに困窮感があるので、あくまで楽曲はフィクションとして、あえて「深刻にはしないように」というところは意識しました。

――ジャケットのコンセプトについても教えていただけますか?

上坂 身の回りにあるさまざまな廃棄物でゴージャスな衣装を作る、というコンセプトでした。一よく見ると電球とかプルタブとか梱包材とか、そういうものででき上がっている、アートな感じに仕上がっています。

――撮影はいかがでしたか?

上坂 「なんか部屋の隅にゴミがあるな」って思ったらそれが衣装だったので、それはビックリしました(笑)。でも、ジャケットやMVの衣装などはいつもお任せで、自分では思いつかないようなものを毎回作ってくださるので、私はどうにか着こなすというところですね。

――MVも製作されました。そちらについての解説もお願いできますか?

上坂 バイトをたくさんかけ持ちしながらお金を貯めて魔法少女になり、得た魔法の力で怪獣などを倒して世界の治安を守る……、というお話になっています。『ジャヒー様』とも近いような近くないような、でもこの曲にピッタリの映像になりました。

――MV撮影にはどんな思い出があるか教えていただけますか?

上坂 魔法少女のシーンでは、“怪獣同盟”という伝統ある(早稲田大学公認)サークルさんから怪獣さんと怪人さんが来てくれました。MVって一人で撮っているともの寂しいので、ゲストさんが来てくれるとすごく嬉しいです。怪獣らしい怪獣が好きなので戦いのシーンもとても楽しかったですね。

――では、怪獣同盟の方とは現場で何か交流が?

上坂 一緒に写真を撮りました。サークル室にサインも飾ってくれるそうです。

――上坂さんは怪獣はお好きですか?

上坂 怪獣はですね、ジャミラくらいしかわからないんですよね。

――ジャミラだけなんですね。

上坂 はい。「故郷は地球」であるというところが悲しいですよね。

――やはりそういったバックボーンがあると惹かれますよね。

上坂 『ゴジラ』もシリーズ第1作は何回も見ているんですけど、そこから進まないんですよね。『メカゴジラ』とかもまだ見ていないんです。

――MVは、怪獣以外にも衣装や小物が多く、にぎやかで楽しい感じが伝わってきます。

上坂 そうですね。ステッキを実際に作ってもらいましたし、とにかくお着替えがいっぱいあったのは、コスプレも好きなのでとても楽しくできました。私はアルバイトをしたことがないのですけど、ラーメン屋さんや交通整理といったいろいろな職業の雰囲気を楽しむこともできました。

次ページ:オケに合わせて詞を作っていく作業が好き

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