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INTERVIEW

2021.10.30

【インタビュー】『ジャヒー様はくじけない!』第2クールオープニング主題歌でヒャダイン楽曲に挑戦!シングル「生活こんきゅーダメディネロ」の制作について上坂すみれに聞く

【インタビュー】『ジャヒー様はくじけない!』第2クールオープニング主題歌でヒャダイン楽曲に挑戦!シングル「生活こんきゅーダメディネロ」の制作について上坂すみれに聞く

オケに合わせて詞を作っていく作業が好き

――カップリング曲の「ものどもの宴」 はどのような楽曲ですか?こちらも2000年代のゲーム主題歌を思わせるハードコアテクノになっていますが。

上坂 この曲は、私がやっているYouTubeチャンネル番組『上坂すみれのおまえがねるまで』のテーマソングなんですけど、最初にイントロだけがジングルとして存在していたのが曲になりました。作詞もやってみようということになり、寝るまでの舞踏会というテーマをいただき、書き始めました。でも、『おまえがねるまで』はゆるく自由にトークする番組なので、あまり高貴な舞踏会というよりは普通の暮らしをしている平たい民が時々大宴会する、という詞にしました。

――もう1曲のカップリング曲「ドロップス」でも作詞されていますが、作詞に対する意欲が強くなってきているのですか?

上坂 作詞は元々好きで。というのも、自分の歌いやすいような言葉で構成することができるんですよね。「この歌、ムズい」みたいな曲もムズくなくできる、という権限を手に入れられるので。あとは、自分で歌詞を考えると盛り上げたいところを自分で明確にできるので、ライブで歌うときもイメージが湧きやすく、すごく歌いやすいというのもあります。ボキャブラリーも増えそうですし、印税も入りますし、いいことばかりじゃないか、と思います。

――アーティスト的に普段から詞を書きためるということしていますか?

上坂 それはあまりないですね。オケに合わせて詞を作っていく、という作業がすごく好きで。ゲーム音楽やインスト曲は、シーンが頭に浮かんで物語を想像できるので好きなんですけど、同じようなノリで自分の曲にお話をつけるというところは、少しアーティスト的な感覚ではありますね。

――こちらはどのような気持ちで歌いましたか?

上坂 この歌はオケも歌詞もとても濃いめになっているので、歌い方はわりとあっさりしているかもしれません。歌詞ははっきりと歌うのですけれども、どこかボカロみたいな気持ちで平たく歌う方が、ちょっと前のゲームソングみたいな雰囲気が出るんじゃないかな、と思って歌いました。

――一転して、「ドロップス」は非常に穏やかな1曲になりました。

上坂 先の2曲(「生活こんきゅーダメディネロ」「ものどもの宴」)がもう出来ていたので、これ以上速い曲を入れるのは不可能でしたし、聴いている人も救いが欲しいだろうということで、「救いの曲」というテーマで作りました。

――曲紹介の資料にはチルソングとありますが、上坂さんとしても好きなジャンルなのでしょうか?

上坂 チルというかヴェイパーウェイヴのような、BPMをちょっと落とした電子音楽みたいなのはなじみが深いですね。

――こちらの作詞についても教えていただけますか?

上坂 これはすごく難航しました。「ものどもの宴」は世界観をガッツリ作って、という感じだったんですけど、「ドロップス」は登場人物やストーリーが特になく、場面場面がポツポツとあるような雰囲気だったので。だから、(歌詞に)あまり情報が多いと休まらないと思って悩んでいました。そこで逆に、自分のことを書くことにしたんですね。で、締切まであと1週間くらいになったときに「自分だったらどういう休日がいいかな」というテーマをふと考え、私が好きな江の島の道路沿いの店にいるような雰囲気を思い浮かべ、「いつも海が見えていいな」「白い壁が素敵だよな」という心休まる情景を積み上げながら書きました。

――恋心を歌っているようにも思えますが、休らぎがテーマということですね。

上坂 どちらかというと、自分を労いつつみんなを労う、って感じですね。「いろいろあるけれども頑張っている君=私、すごいよね」というところで。「自分に宛てた歌」みたいなところがあります。

――歌詞を聴いていて、80年代を感じさせると思いましたが、自身で意識されましたか?

上坂 本当ですか? 私は一応、令和の雰囲気で書いたんですけど……。令和ではなかったですか。私のフィルターが50年違っていましたね(笑)。

――あ、いえ、すみません。あくまで私の感覚なので。「好きなことは 好きと言って~好きだよ」で「好き」という単語が何度も登場するあたりも古風な感じがして。

上坂 そうですか。ナウな表現かと思ったんですけど……(笑)。

――いえ……、たびたび失礼しました。

上坂 でも、そうですね。私は音楽を聴きながら帰ることが多いんですけど、大体、オメガトライブとかT-SQUAREとか菊池桃子さんとかを聴いていて。

――どれも80年代ですね。

上坂 「このシティの人間」「輝ける都市に私は生きている」って思いながら帰っているので、その影響があるんだとは思います。

――たしかにその表現が80年代を思わせますね。

上坂 私のボキャブラリーがそうなっているんですかね。いつまでも古い世界を大切に生きていきたいです。

――ご自身のスマホカバーも今は「1986オメガトライブ」の文字が入っているとか。

上坂 そうなんです。自分で文字を決められるサイトで色とフォントを選んで。文字制限があるんですけれども、入ったのでよかったです。

――最後に。今作は20代ラストのシングルにもなるかと思います。来年にはアーティストデビュー10周年を控えていますし、期するところはありましたか?

上坂 そうですね、なんとなく節目は感じますけれど、女性声優って生き物は歳をとるとだんだん若くなっていく、不思議な不思議な存在なので、特に「今のうちにやっとかなきゃ」的なことも考えていなかったんですけれども。でも、ヒャダインさんに初めて曲をいただいたり、「ドロップス」みたいなゆっくりした曲で作詞したり、まだまだやっていないことがいっぱいあるというのは感じているので、これからの展望を感じるような1枚になったとは思います。

――未体験なことでやってみたいことというのはありますか?

上坂 やろうとしていた矢先にライブツアー(『上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2020』)が中止になってしまったので、10/30、31にようやくライブ(『上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2021』)を再開できますけれど、やっぱりいろいろな土地を回るツアーというのは憧れがありますね。あとは、今まであまり経験がなかったのですが、今年になって音楽番組(NHKワールドJAPAN・NHK総合テレビ『SONGS OF TOKYO』、フジテレビ『超次元音楽祭』等)に出たら意外にもすごくたくさんの人が見てくれるという発見があって。なので、これからもできる限りチャレンジしていきたいなと思います。

――女性声優は歳を重ねるごとに若くもなっていく、というのは周囲を見ての感想ですか? それともご自身の実感から?

上坂 周りの人や先輩方を見てもそう思いますし、自分自身でもそう思いますね。大人っぽくはなっていくんですけど、やっぱりアフレコで可愛いキャラクターを演じることで可愛い女子の魂が根づくのでしょうか。女性声優さんはみなさん年齢不詳ですね。

――そのあたりがいつまでもエッジの効いたアーティスト活動にも反映されているかと思いましたが、アーティスト活動を8年続けてきた上で、声優活動とアーティスト活動の両立という点ではどのような意識がありますか?

上坂 そこは……。なんて言えばいいんですかね。あんかけチャーハンみたいな感じで。

――?

上坂 あんのかかったチャーハンの部分もあるし、チャーハンだけの部分もあるし、あんかけだけの部分もあるし。複雑な問題だと思いました。

――ああ、なるほど。

上坂 でも、声優活動はやっぱりキャラクターを生かすものですけれども、アーティスト活動は自分で決めることが多いですよね。歌詞を書くにしても、歌い方やライブの盛り上げ方を自分で意識するところがあって。なので、意外とやれてきたんだな、と。

――振り返るとここまでの自分を褒めてもいいような。

上坂 そういう思いはありますね。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
上坂すみれ12thシングル
「生活こんきゅーダメディネロ」
10月27日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:KICM-92105
価格:¥1,980(税込)

【期間限定アニメ盤(CD Only)】

品番:KICM-92106
価格:¥1,430(税込)
※キャラクターデザイン・仲敷沙織描き下ろしジャケット仕様

【通常盤(CD Only)】

品番:KICM-2105
価格:¥1,430(税込)

<CD>
01.「生活こんきゅーダメディネロ」
作詞/作曲:前山田健一 編曲:藤原燈太
(TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』第2クールオープニング主題歌)
02.「ものどもの宴」
作詞:上坂すみれ 作曲:BOUNCEBACK 編曲:日比野裕史×渡辺徹
(YouTube番組「上坂すみれのおまえがねるまで」テーマソング)
03.「ドロップス」
作詞:上坂すみれ 作曲/編曲:山下洋介
04-06.各off vocal ver.収録

<Blu-ray>
「生活こんきゅーダメディネロ」Music Video
超絶ながながメイキング〜汝、私のがんばりを見よ〜
上坂すみれのおまえがねるまで 天才!!極貧すごろく編

●作品情報
TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット (『ANiMAZiNG!!!』枠)にて放送中!

【スタッフ】
原作:昆布わかめ(掲載 月刊「ガンガンJOKER」スクウェア・エニックス刊)
監督:湊 未來
助監督:伊部勇志
シリーズ構成:横手美智子
キャラクターデザイン/総作画監督:仲敷沙織
美術監督:中原英統
美術設定:藤瀬智康(チップチューン)
色彩設計:水野多恵子(スタジオ・ロード)
撮影監督:佐藤 敦(スタジオシャムロック)
3D監督:遠藤 誠(トライスラッシュ)
編集:近藤勇二(REAL-T)
音響監督:鐘江 徹
音楽:藤本コウジ (Sus4 Inc.) / ササキオサム
アニメーション制作:SILVER LINK.

【キャスト】
ジャヒー様:大空直美
店長:茅野愛衣
大家:日笠陽子
ドゥルジ:花澤香菜
サルワ:小松未可子
魔法少女:上坂すみれ
こころ:小倉 唯

関連リンク

上坂すみれオフィシャルサイト
http://king-cr.jp/artist/uesakasumire

TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』公式サイト
https://jahysama-anime.com

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