REPORT
2021.05.31
「Eternal Harmony」は種田梨沙、藤井ゆきよ、末柄里恵、阿部里果、中村温姫が披露。オリジナルメンバーが初日に多くいた楽曲なので意外な選曲だが、唯一のオリメン末柄がセンターに立ってめいっぱい“はしゃいで”みせた。メンバーが変われば歌唱も変わるもので、エモーショナルな落ちサビを末柄から阿部に繋ぐのはとても新鮮だ。「スマイル見たい!」のフレーズを弾けるように歌った中村が満開の笑顔を見せたのは最高の瞬間だった。今回のライブでは新鮮な組み合わせが目立つが、どのアイドルがどの楽曲を歌ってもいい、「シアターデイズ」時代ならではの構成で初期楽曲を再解釈しているのかもしれない。
そして待ちに待った披露となったのが、Machico、上田麗奈、伊藤美来による「インヴィンシブル・ジャスティス」だ。同曲は「ミリオンライブ!」屈指の人気劇中劇「アイドルヒーローズ」から生まれた楽曲。原曲ではマイティセーラーズとしてMachicoと上田麗奈が歌っているが、ストーリー上のマイティセーラーズは翼、海美、そして百合子の3人。今回のライブでは初のマイティセーラーズ揃い踏みの歌唱が実現した。
屋外、そして夕暮れ時という地形効果をもっとも受けていたように感じたのがこの曲で、輪郭に光の輪っかを背負って歌う上田や、夕日を真っ向から受けて歌うMachicoなど、立ち位置によって見え方が変わる天然の照明効果だ。光のエッジを輝かせながら歌う伊藤の姿は作り込まれたMVのように美しい。センターステージのキャンプファイアを囲むように歌っていることもあり、立ち位置をチェンジするとまた見え方が変わる。クライマックスでは輪唱のような掛け合いから歌声が溶け合って、「ツヨクヒカレ!」のフレーズで爆発するようなテンションに。転調部の伊藤の歌い上げ、そしてMachicoと上田のキャラクターボイスを完璧に維持した見事な掛けあい。まさに最強の3人だった。
キャンプといえばカレーがなければ始まらない。ならばこれしかないという楽曲が星座ユニット・カプリコーンの「NO CURRY NO LIFE」だ。歌うのはもちろん、オリジナルメンバーの夏川椎菜、山口立花子、木戸衣吹の3人だ。キャンプ=カレーというシンプルな着想でありながら、強い楽曲の流れに投じてもハマるだけの地力があるのがこの曲だ。夕暮れの日差しの中、どこか切なくもクールな歌声が響く。この歌が「NO 彼 NO LIFE」の切なくも激しい恋の歌でもあると看破したのは山口だったか。三者三様の「ダメ」にも個性が見えて、見どころの多いパフォーマンスだった。
「ドリームトラベラー」はMachico、髙橋ミナミ、浜崎奈々、中村温姫が披露。歌い出しのロングソロは、ユニット・ミックスナッツのオリジナルメンバーである髙橋が担当。髙橋の歌声には、旅立ちの予感とワクワクを自然にイメージさせる伸びやかさと広がりがある。意図してのものかはわからないが、ピンク色のポンチョをまとった髙橋以外は全員黄色のカラーなのが少し面白く、キュートさと活動的なイメージを合わせもったチームだ。声の成分としてMachicoの歌声が抜群に効いていて、特に「イケてるでしょ?翼のトリコロール」を彼女が担当したのは当て書きかと思うほどハマっていた。
「オレンジの空の下」は末柄里恵、稲川英里、桐谷蝶々、木戸衣吹が披露。元は末柄(風花)のソロ曲だが、しっとりとしたユニット曲のようにこの4人にぴったりとハマっていた。何より、今まさに日が没しようとする大自然の中で、オレンジの余韻の中での歌唱というのが最高だ。バラード寄りの楽曲ということで、稲川演じる環のエモーショナルな歌い上げがとても新鮮かつ絶品だ。そのあとを木戸の優しくあたたかい表現が包み込んだりと、別のアイドルの歌だからこそ見られる表情があった。ラストの「笑っていようね」のフレーズでの、末柄の慈愛に満ちたおだやかな微笑みがとても印象的だった。
「カワラナイモノ」は最初のCDシリーズ「LIVE THE@TER PERFORMANCE」世代の楽曲で、披露の機会が非常に限られてきた楽曲だ。今回は詞の世界で描かれる時を重ねても変わらない友情、支え合う姿になぞらえて、親友同士ユニットのトライスタービジョン(角元明日香、種田梨沙、藤井ゆきよ)がカバー的に歌うという意欲的な組合わせだ。イントロのダンスで、種田が一番躍動しているように感じたのがなんだか新鮮だ。時折トライアングルの立ち位置を入れ替えながら、ソロパートを担当するメンバーのいる場所がセンターポジションになるような不思議なバランスだ。ラスト、藤井と角元のエモーショナルなソロを受けての種田の“いくつも時をかさねて”のフレーズが本当に伸びやかで、想いのこもった美しさだった。“出会えた奇跡にありがとう”のフレーズで、種田を見つめる藤井の最高の笑顔が記憶に残った。
MCパートでは、「カワラナイモノ」の余韻にひたっていた角元があわててステージに走っていったのが微笑ましかった。挨拶では「(プロデューサーたちに)すっごく会いたかった」「会えて嬉しい!」の声が飛びかっていた。そしてここからは“熱い夜”にライブテーマが移るようだ。
今日の顔ぶれ、そして今回のライブの“炎”のモチーフを見れば、この曲を誰もが予想したはず。それでも声が漏れるのを抑えるのに苦労したのが、灼熱少女(稲川英里、上田麗奈、種田梨沙、藤井ゆきよ、桐谷蝶々)の「ジレるハートに火をつけて」だった。メインステージの中央、両翼、センターステージの各所に5人が登場。メインステージ上段では上田が妖しくも愉しげな表情で炎を背負って歌う。種田はきりっと真剣で力強い表情でそれぞれにニュアンスが違う。個々のアイドルの個性から見れば新しい魅力を示した楽曲だが、そこに「灼熱少女」というユニットとしての歴史と経験を重ねてきた分厚さがある。4thライブ→5thライブと変化してきた間奏の口上は、今回は「灯し続けた希望の光」「みんなの炎がひとつになって」「不安だって燃やしちゃうんだ!」「アタシたちなら、きっと大丈夫だよ!」「どんな時も、絶やさずに行こう!」「「灼熱少女、ブレイズアップ!!」」と、共に歩み続けてきたことを感じさせるものになっていた。叫び終えた5人はセンターステージに集まって1つの炎になった。
夜のパートにふさわしい存在として選ばれたのは、ユニット・Chrono-Lexicaより伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜、中村温姫が歌う「dans l’obscurité」だった。本気で魅せる中二病というバランス感が大切な楽曲だが、炎が照らし、夜が迫る屋外という外套をまとうとよりクールでスタイリッシュな面が際立つ。夏川がポンチョ衣装のカラーが紫だと中二っぽいとMCで笑っていたが、この時ばかりはその色合いが最高に映えた。印象的なのは間奏の操り人形を演じるようなダンスパート。間奏明けの「いいの世界が壊れても~」のフレーズの歌割りが今回は阿部に振られており、深く燃える情念のこもった歌声はまた違った魅力だった。「-ジュテイム-」のキメフレーズをはじめとした見せ場では演者の表情がスクリーンにきっちり抜かれていて、この楽曲は凛とした表情を見せるんだという意図が見えた。
続いての大人の楽曲はユニット・Sherry ‘n Cherry(髙橋ミナミ、山口立花子)の「Cherry Colored Love」。シアターの大人コンビとして人気のこのみと莉緒がデュオユニットとしてステージに立った。大人のおしゃれな雰囲気のイントロで、ダンスでも魅せる2人。山口の憂いを帯びた大人の空気感。高橋の自在に音階を駆け上がっていく歌声が気持ちいい。山口の“自分だけの恋綴り どうしたいのよ?”のフレーズの無重力感も見事で、この難曲をよくもライブでここまでと感嘆した。夜の時間にふさわしい、大人のショウタイムだった。
ここで今回のライブならではの幕間、ランタンパフォーマンスの時間だ。雄大な音楽に乗せて、フードをかぶったアイドルたちがランタンを片手にゆったりと花道を行く。センターからサイドに広がると、舞うように手を差し伸べ、掲げたランタンを足元へ。淡い光の道を作り出し、ここからはさらに深い夜の時間であることを告げた。
「瞳の中のシリウス」は山崎はるか、末柄里恵、髙橋ミナミ、阿部里果が披露。髙橋はランタンパフォーマンスを挟んで連投だが、歌声に抑揚と表情のニュアンスをつけることに特化したようなチームには彼女が必要だったのだろう。夜の空間に、おだやかで美しい歌声の四重奏が広がる。夜の空と木々を背景に歌う末柄の姿がスクリーンの絵としてとても印象的だ。サビのファルセットもそれぞれのニュアンスを込めて色合い豊かに。空気が浄化されるような時間だった。
「Marionetteは眠らない」はMachico、角元明日香、夏川椎菜、山口立花子が披露。この曲といえば美希、そして美希に憧れる翼というイメージがある。今回の組み合わせでは夏川や角元…というか、杏奈やエレナのクールでかっこいい表情を存分に見ることができた。特に印象的だったのはオフボーカル時の夏川が踊る姿とたたずまいの鮮烈なかっこよさで、普段の歌唱時は杏奈スイッチの安定感から見えにくい一面かもしれない。落ちサビの“さっきまでの価値観~”のキメフレーズはライブではMachicoが歌うイメージが強かったが、今回は山口と角元のリレーへとアレンジ。オリジナルメンバーがいても新しい表現を追求する姿勢が徹底していた。
星座ユニット・サジタリアスの「Raise the FLAG」はオリジナルメンバーの藤井ゆきよと阿部里果に、山崎はるか、上田麗奈、末柄里恵、浜崎奈々という壮観な顔ぶれ。戸田という替えが効かないオリジナルな個性の不在を、6人編成の分厚さでカバーしていく。ロックテイストの楽曲に込めるヘビーなエモーションの部分では、上田の存在が抜群に効いている。灼熱のシャウトは浜崎たち参加メンバーの新しいカラーを引き出していて、「新しい時代……掲げろ!」を高らかに叫ぶ山崎の振り絞るような全力の表情が記憶に残った。
本編ラストナンバーは「Starry Melody」。“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!”DAY3のために制作された公演テーマ曲だ。新しい組み合わせの「Starry Melody」を聴いて、今回このシリーズを歌ったのは、4thの武道館に出演できなかった種田と一緒にこの曲を歌うためだったのではないか、とふと思った。それも彼女の存在に必要以上にフォーカスすることなく、当たり前の日常として共にあるためには「7th Reburn」というタイミングがぴったりだったのだろう。今回の公演は一年前の再演という特異な位置づけだったこともあり、最初期のなかなか光があたってこなかった楽曲を歌ったり、忘れ物を見つける側面があったような気がする。すでに日没の時間はとうにすぎたが、会場は意外に明るい。会場いっぱいに響くラララの歌声に合わせて、うねるように揺れるサイリウムは光の海と呼ぶのにふさわしかった。
アンコール中には様々な発表が行なわれたが、中でも反応が熱く感じられたのはプラチナスターシアターへの「リフレインキス」の琴葉も含めたフルメンバー実装だった。イベントビジュアルの志保、海美、琴葉、亜利沙の、この楽曲ならではの表情にも期待が高まった。また、2021年6月7日に、「ミリシタ 4周年まで待てない!生配信」が配信されることが告知された。今回のライブで一年の時間を取り戻し、これから6月末の4周年記念日に向けて新たな動きが加速していくことになりそうだ。
アンコールは「THE IDOLM@STER」シリーズ15周年記念曲「なんどでも笑おう」から。歌い出しは山崎からMachicoのソロリレーで、ダブルセンターのイメージだ。色とりどりのキャンプ衣装に身を包んだアイドルたちがステージいっぱいに広がる。やはり一年の我慢の時間を経て、再び最高のライブに辿り着いた彼女たちが高らかに歌う「なんどでも笑おう」の言葉には強い説得力がある。天上には月が光り、本当の夜闇の中で光る虹色のサイリウムはこんなに美しいんだと改めて感じた。
やっと辿り着いた一年越しの「Glow Map」の、落ちサビで広がったオレンジの海は忘れることのない光景になった。そして、万感の思いを込めた「行ってきます!!」の言葉は、上田麗奈が担った。この曲がリリースされた「シアターデイズ」3周年のセンターにいたのは、彼女が演じる高坂海美だったのだ。“3周年”の間に、どうにかこの言葉が間に合った。花道を駆け出したアイドルたちの前途には、無限に広がる「ミリオンライブ!」の新しい世界が広がっている気がした。
最後の挨拶で、種田が「(「リフレインキス」の実装を受けて)プロデューサー、琴葉、お待たせしました!」と感謝の言葉を伝えると、会場は温かい拍手に包まれた。夏川の「応援ください!」に代表されるコールアンドレスポンスの際には、観客が拍手のリズムでコールを表現する新しいコミュニケーションが成立していたのも印象的だった。
ラストナンバーははじまりの曲、「Thank You!!」。山崎とMachicoが元気いっぱいに花道を駆け出す姿や、仲間たちの言葉にもらい泣きしていた木戸が涙を拭いながらもまっすぐに歩む姿が印象的だった。キャンプの締めくくりに大輪の花火の華が咲く下で、アイドルたちの無数のありがとうの声が、いつまでもこだましていた。
Text by 中里キリ
「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn」DAY2
2021.05.23.山梨県・富士急ハイランド コニファーフォレスト セットリスト
M01:Flyers!!!(ミリオンスターズ)
M02:サンリズム・オーケストラ♪(ミリオンスターズ)
M03:ジャングル☆パーティー(稲川英里、髙橋ミナミ、木戸衣吹、中村温姫)
M04:Growing Storm!(山崎はるか、Machico、伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜)
M05:マイペース☆マイウェイ(浜崎奈々、桐谷蝶々)
M06:未来飛行(山崎はるか、種田梨沙、木戸衣吹)
M07:成長Chu→LOVER!!(伊藤美来、夏川椎菜)
M08:絶対的Performer(上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々)
M09:ホップ♪ステップ♪レインボウ♪(稲川英里、種田梨沙、藤井ゆきよ、木戸衣吹)
M10:ファンタジスタ・カーニバル(角元明日香、桐谷蝶々)
M11:ビッグバンズバリボー!!!!!(山崎はるか、中村温姫)
M12:ココロ☆エクササイズ(上田麗奈、角元明日香、浜崎奈々)
M13:Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~(Machico、伊藤美来、桐谷蝶々、山口立花子(+ミリオンスターズ))
M14:Eternal Harmony(種田梨沙、藤井ゆきよ、末柄里恵、阿部里果、中村温姫)
M15:インヴィンシブル・ジャスティス(Machico、上田麗奈、伊藤美来)
M16:NO CURRY NO LIFE(夏川椎菜、山口立花子、木戸衣吹)
M17:ドリームトラベラー(Machico、髙橋ミナミ、浜崎奈々、中村温姫)
M18:オレンジの空の下(稲川英里、末柄里恵、桐谷蝶々、木戸衣吹)
M19:カワラナイモノ(角元明日香、種田梨沙、藤井ゆきよ)
M20:ジレるハートに火をつけて(稲川英里、上田麗奈、種田梨沙、藤井ゆきよ、桐谷蝶々)
M21:dans l’obscurité(伊藤美来、阿部里果、夏川椎菜、中村温姫)
M22:Cherry Colored Love(髙橋ミナミ、山口立花子)
M23:瞳の中のシリウス(山崎はるか、末柄里恵、髙橋ミナミ、阿部里果)
M24:Marionetteは眠らない(Machico、角元明日香、夏川椎菜、山口立花子)
M25:Raise the FLAG(山崎はるか、上田麗奈、藤井ゆきよ、末柄里恵、浜崎奈々、阿部里果)
M26:Starry Melody(ミリオンスターズ)
-encore-
EN1:なんどでも笑おう(ミリオンスターズ)
EN2:Glow Map(ミリオンスターズ)
EN3:Thank You!(ミリオンスターズ)
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
「アイドルアスター ミリオンライブ!」ランティスサイト
https://www.lantis.jp/imas/
SHARE