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REPORT

2021.05.04

七草にちかよ“私であれ”。新ユニット・SHHisサプライズ登場の“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / TOKYO” DAY1レポート

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のライブイベント“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / TOKYO”DAY1が、2021年4月24日、東京ガーデンシアター+オンライン配信で開催された。

DAY1にはイルミネーションスターズより櫻木真乃役の関根 瞳、八宮めぐる役の峯田茉優、アンティーカより月岡恋鐘役の礒部花凜、田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、三峰結華役の成海瑠奈、幽谷霧子役の結名美月、放課後クライマックスガールズより小宮果穂役の河野ひより、西城樹里役の永井真里子、杜野凛世役の丸岡和佳奈、有栖川夏葉役の涼本あきほ、アルストロメリアより大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、ストレイライトより芹沢あさひ役の田中有紀、黛 冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、ノクチルより浅倉 透役の和久井 優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保が出演。アンコールにはサプライズで新ユニット・SHHisより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根 綺が登場した。

「シャイニーカラーズ」初のツアーライブも名古屋に続く2会場3公演目。この公演をもって全6公演のツアーの折り返しとなる。ステージは会場奥のメインステージのみのスタンダードな構成で、サイドを横に広く取ったメインステージは上下二層に分かれていて、階段と一人乗りのキューブ型リフター(エレベーター。枠が光る、背面に映像が映る)が上下をつないでいる。

このキューブ型リフターが演出の肝のひとつで、オープニングナンバーの「リフレクトサイン」ではTeam.Lunaの7人が、青く光るキューブの中に浮かび上がるように登場。名古屋ではTeam.Stellaからのスタートだったが、順番を入れ替えた。キューブからの印象的な登場はオープニングチームの特権だ。ステージ構成は名古屋と共通だが、キューブ型リフターでかなり高い場所まで登った演者が、上階スタンド席の高さや近さに驚く場面があった。観客席が横に広く縦に高く、どの席からもステージが近く感じられる東京ガーデンシアターならではの感覚で、メインセットは同じでもそこからの光景は箱によってずいぶん変わるようだ。

ステージ背後には六面の縦長短冊スクリーンが設置され、六面のスクリーンとキューブ背後の小型スクリーン群をまるで一枚の巨大スクリーンのように見せることもできる。開演演出ではレーザーが描きだす流星が一筋、ステージに向けて疾走り、スクリーンには大海原を征くカメラに光が満ちる映像が描き出された。ARの光の粒子が紡ぐ天球のプラネタリウムが会場の上空を満たすと、光の羽根が一枚、ほどけるように消える演出とともにライブはスタートした。

セットリストを網羅するレポートは名古屋で行なったため、今回は東京公演DAY1ならではの要素を中心にレポートしていく。

名古屋公演では何人かの演者が新鮮な髪型で登場したが、東京公演でも名古屋とは違う姿の演者たちがいた。今回菅沼はふわりと広がりのあるハーフツインで登場、これは“フィドル・ファドル”田中摩美々のイラストを意識したものだろう。成海は髪を下ろしてストレートにしてがらっとイメージを変えてきた。河野は“エクストリーム・ブレイク!”小宮果穂のイラストを思わせるサイドポニーの上にちょこんと小さな帽子が乗っていて、活動的なイメージだ。八巻は小さめのテールをサイドに作っていて、ぐっとキュートな印象が増した。八巻がTeam.Solで最初に登場した時の笑顔に満ちた雰囲気と、アンティーカでの攻撃的でアダルトな装いとの落差が楽しい。

名古屋からのライブ参加メンバーの変化という意味では、イルミネーションスターズとTeam.Lunaに所属する風野灯織役・近藤玲奈が今回は不参加。名古屋の「リフレクトサイン」ではアップで映し出される彼女の表情が印象的だったが、今回“リフレクトサイン”“マニフェストサイン”のキメポーズは成海、丸岡、菅沼にカメラがフォーカス。人が変わると楽曲の表情も変わるのが面白い。

イルミネーションスターズは名古屋のフルメンバーから関根 瞳、峯田茉優のデュオバージョンに。どちらも283プロ指折りに表情豊かなふたりで、並び立つと一瞬も目を離せなくなるような引力がある。「Happy Funny Lucky」はデュオでは初披露。1対2の掛け合いが多い楽曲を1対1に振り直した。パート分けもかなり変わっており、同じ楽曲での変化に対応するのも隠れた努力があったはずだ。普段近藤が歌う“仲間達と同じ時を 生きるって奇跡だよ”のフレーズをふたりで合唱すると意味合いがまた違って感じられて新鮮だ。間奏のダンスは関根の背後から峯田が顔を出し、互い違いに動くデュオ仕様の振り付けが入っており、動きのタイミングを合わせるのに苦労したそうだ。

ライブ全体の温度という意味では、名古屋DAY2は名古屋のラストということで、まるでツアー千秋楽のように高まっていた。そのテンションを東京DAY1で一度フラットに戻して、パフォーマンスの基点を確認するような雰囲気を感じた。アンティーカは劇場的な感情表現の激しさを少し控えて、その分余裕を感じさせる微笑みなど繊細な表情を見せていた。アルストロメリアは涙の気配が強かった名古屋に対し、もっとも3人でのパフォーマンスの完成度を高めてきたのが東京DAY1だった。

ハイテンションが基調の放課後クライマックスは、丸岡が変化の基点だった。「五ツ座流星群」の“フレー フレー ヒーロー!”や“ラブリー パイレーツ!”に込められた凛世の感情が名古屋よりも高揚していて、別の表現が込められて響く。歌にこめるアイドルの感情の温度を変えるのは、演じながら歌う声優ならではの表現だろう。永井は智代子のパートの“フレー フレー みんな!”を歌うときにはテンションのギアをぐーっと上げているように感じられる。彼女たちのテンション感は自然に涼本や河野にも波及してユニット全体のパフォーマンスにも影響しているようで、ライブならでは、ライブ感のある面白さだ。

ストレイライトは声優離れしたダンスパフォーマンスで驚かせる段階はとうに過ぎて、そこにどう表情や空気といった表現を上乗せするか、というフェーズに入っているように思える。「Hide & Attack」で和面をつけて登場する3人の並び姿はまさに千両役者。表情で勝負するなら無双するのが幸村。つややかで自信に満ちた挑戦的な表情の中で、投げるウィンクが驚くほど絵になる。北原の感情表現はダンスと一体になっていて、動きがノればノるほど瞳が爛々と輝くようだ。田中が仮面を外し、フード付きキャップを脱ぎ捨てる二段変化も見どころで、装飾を取り払うほどギラギラと輝くような絶対的な華があった。

ツアーを通してライブの変化や成長を見つめるという意味で、現有持ち歌が「いつだって僕らは」と「あの花のように」の2曲だけであるノクチル以上に定点観測に適したユニットはないだろう。もっとも、“成長”にフォーカスするには、あまりにもキャリアに比したボーカルとパフォーマンスのクオリティが高すぎるとも言えるのだが。幼なじみたちの関係性がダイレクトに見えたのが「いつだって僕らは」で2対2に分かれて対峙するパートで、向かい合って対応するのは和久井と土屋、田嶌と岡咲。

見入ってしまったのは和久井をまっすぐに見つめる土屋の表情を、和久井の背中越しに映したサイドカメラ。土屋が歌う“結んだキズナ信じて”に対して和久井が小さく小首をかしげるような仕草を見せると、土屋もそれに小さく応えるステージ上のコミュニケーション。土屋の信頼に満ちた表情を見ていると、向かい合う和久井もいい顔してるんだろうな、と想像できた。

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