七草にちかよ“私であれ”。新ユニット・SHHisサプライズ登場の“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / TOKYO” DAY1レポート

公演ごとに顔ぶれが変わるソロ楽曲ブロックは、幸村恵理の「SOS」からスタート。まっすぐに切ない恋心を歌う正調アイドルナンバーだ。黛 冬優子は外面の「ふゆ」と素の「冬優子」の二面性があるアイドルだが、この曲は「ふゆ」のパブリックイメージに寄り添いながらも、見え隠れするつやっぽさやあざとさに“わかってる”感が覗く。動きの繊細なニュアンスや腰の使い方のなめらかさなど、ストレイライトで積み重ねた努力がソロのパフォーマンスの下地を強靭に支えている印象を受ける。ストレイライトの黛冬優子の新しい一面としてのソロソング。テロップの歌い手の名義は「黛 冬優子」であり、まとうのはストレイライトの原点のユニット衣装。この曲が単なるキャラクターソングではないことを感じた。

丸岡和佳奈は「常咲の庭」を披露。雅楽めいた音とともに紡がれる玄妙な和の調べが印象的だ。これは「SOS」にもどこか通じる要素だが、その“アイドル”がパブリックに歌う楽曲としてしっかりと成立しながらも、プロデューサーとの関係性を知るものが見れば凛世の私的な内面を鮮やかに切り取った歌でもあることがわかるバランスが絶妙だ。篳篥などの和楽器を中心とした壮大な和のオーケストレーションに包まれながらも、丸岡が吐息のように奏でる歌声があくまで「主」であることに歌声の芯の強さを感じる。美しくはかなくも力強い、そんなどこか矛盾した表現の海にたゆたうような不思議な時間だった。

黒木ほの香は「Sweet Memories」を披露。(アルストロメリアの)ガーリィな衣装を身にまとってまっすぐに恋の歌を歌う姿は、クラシカルなまでに正統派のアイドルだ。マイクを持つ左手の小指をピンと立てる仕草はかつてのももちこと嗣永桃子を彷彿とさせる。ここでまた登場するのが「シャイニーカラーズ」特有の繊細な二面性で、“今の”甘奈が宝物のような毎日を共有する大切な“あなた”といえば、一人しかいないのは自明だろう。少し特殊なのは甘奈に関しては作品世界のファンもそのことは重々わかっているはずで、つまり我々は「シャイニーカラーズ」世界の大崎姉妹ファンと同じ視座でこのステージを見ているのかもしれない。ラストは、別々の道をゆく時が来たその先を強く、優しく歌う。「Anniversary」を経た今の黒木、今の甘奈だから歌える歌なのかもしれない。アウトロで舞うようなダンスを見せた黒木は、強い感情を飲みこみながら、微笑みを浮かべようと努力しているように見えた。

ソロラストは土屋李央の「夢見鳥」。ソロコーナーは落ち着いた、強い想いのこもった楽曲が並ぶ日となった。聴く側がしっとりした楽曲を聴くモードに入ったところで、“今日がまた”の突き抜けるような強く美しいフレーズ一発で、ステージ上に立つアイドルの存在の明度がぱっと上がる。徐々に歌声の力強さを増したところでふたたびの“今日がまた”。とにかくシンプルに、おそろしく歌がうまい。そのうまさを誇るでなく、楽曲の世界の表現に全てを捧げる潔さに樋口円香らしさを感じた。円香の内面と幼なじみたちとの関係性をドキッとするぐらいビビットに描き出しながらも、普遍的に響く楽曲としても成立しているあたりはアイドルというよりシンガーソングライター的かもしれない。客席に背を向けて、いや、街並みに沈むあたたかい夕暮れの陽に向き直った土屋は、片翼の小さな羽ばたきで初めてのソロステージを締めくくった。

そして東京DAY1最大のサプライズは、アンコールにあった。「Resonance+」を歌うフルメンバーの中に、新ユニット・SHHisより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根 綺の姿があったのだ。元々SHHisは5月の福岡公演への出演が発表されていたが、この4月ににちかと美琴がゲーム内にプロデュース実装され、「シャイニーカラーズ」の3周年アニバーサリーである“4月24日”というタイミングほど彼女たちの初ステージにふさわしい日はないだろう。

にしても、である。センターキューブに紫月と山根が並んで登場し、配信映像に「七草にちか 紫月杏朱彩」「緋田美琴 山根綺」のテロップが重ねられたときは「やられた!」という感じがした。衣装は他ユニットとおそろいのユナイトバースプラネタリだ。

自己紹介で紫月は「こんなに大きなステージに立たせて頂いて本当にありがとうございます。プロデューサーの皆さんに会えることを楽しみにしてきました!」と元気に挨拶し、この日一緒にステージを楽しめる時間の短さを惜しんだ。山根は「プロデューサーさん、会いたかったです! 夢にまで見たステージに立たせていただけて、ほんとにほんとに嬉しいです。美琴としてSHHisとして、これからせいいっぱい頑張っていきますのでよろしくお願いします」と力強く宣言していた。

全員からの想いのこもった最後の挨拶を経て、「Color Days」へ。各ユニットセンターを順番に映していくカメラの先頭はにちか役の紫月だった。“どうせいつものコーデのままじゃしょうがないし”のフレーズは原曲でも美琴(山根)のパートだが、あのコントロールされた調子っぱずれとでも言いたくなる自由な旋律を生で完璧以上に歌いこなす様には戦慄した。続く紫月のパートのにちか感があふれるハッピーさも素晴らしい。たったワンフレーズで、福岡でのSHHisのパフォーマンスが楽しみになってしまった。

そしてラストナンバーは「Dye the sky.」。ちょうど1年前の「シャイニーカラーズ」2周年に合わせてリリースされた楽曲だが、今回この曲の“私になれ”のフレーズをにちか(紫月)に歌わせた(そしてカメラがアップで抜いて映し出した)ことにガツンと殴られた気がした。

ゲームにおいて七草にちかは、自分の個性に自信がなく、八雲なみという過去の伝説のアイドルを模倣する呪いに取り憑かれている。そんな彼女に、現在を生き、自分というアイデンティティを高らかに歌い上げる「Dye the sky.」で“私であれ”を歌わせたのである。ゲームでにちかをプロデュースした人間をがつんとやるのは、まだ初プロデュースの傷跡が疼くこのタイミングしかない。あるいはそのためにこの日を「Dye the sky.」で締めくくったのかもしれない。

彼女たちは、これからこの空にどんな色を加え、染め上げていくのだろうか。それが楽しみでドキドキするDAY1のラストだった。

TEXT BY 中里キリ

THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / TOKYO DAY1
2021.4.24 東京ガーデンホール
<セットリスト>
M01:リフレクトサイン(Team.Luna/菅沼千紗、成海瑠奈、結名美月、丸岡和佳奈、前川涼子、北原沙弥香、田嶌紗蘭)
M02:プラニスフィア ~planisphere~(Team.Stella/関根 瞳、礒部花凜、河野ひより、黒木ほの香、田中有紀、土屋李央)
M03:SOLAR WAY(Team.Sol/峯田茉優、八巻アンナ、永井真里子、涼本あきほ、芝崎典子、幸村恵理、和久井 優、岡咲美保)
M04:Spread the Wings!!(シャイニーカラーズ)
M05:Twinkle way(イルミネーションスターズ/関根 瞳、峯田茉優)
M06:ダブル・イフェクト(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M07:五ツ座流星群(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M08:Black Reverie(アンティ―カ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、成海瑠奈、結名美月)
M09:Hide & Attack(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M10:いつだって僕らは(ノクチル/和久井 優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M11:純白トロイメライ(アンティ―カ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、成海瑠奈、結名美月)
M12:Anniversary(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M13:あの花のように(ノクチル/和久井 優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M14:SOS(黛 冬優子(CV.幸村恵理))※以下、ソロ曲は公式表記による
M15:常咲の庭(杜野凛世(CV.丸岡和佳奈))
M16:Sweet Memories(大崎甘奈(CV.黒木ほの香))
M17:夢見鳥(樋口円香(CV.土屋李央))
M18:Destined Rival(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M19:学祭革命夜明け前(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M20:Happy Funny Lucky(イルミネーションスターズ/関根 瞳、峯田茉優)
M21:Multicolored Sky(シャイニーカラーズ)
-ENCORE-
EN1:Resonance+(シャイニーカラーズ)
EN2:Color Days(シャイニーカラーズ)
EN3:Dye the sky.(シャイニーカラーズ)

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/

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