“誰かの〇は誰かの×で”、伊藤美来がピースフルな新境地「No.6」とTVアニメ『戦闘員、派遣します!』について語る! ニューシングルリリースインタビュー

みっくが軽やかに歌い上げる、ピースフルな新境地「No.6」

――そんな横浜公演で初披露されたのが、今回のニューシングルの表題曲「No.6」。作詞・作曲は園田健太郎さん、編曲はLowland Jazzの千葉岳洋さんで、ビッグバンド系のブラスをフィーチャーしたナンバーです。この曲を最初に受け取ったときの印象はいかがでしたか?

伊藤 園田さんに楽曲を書いていただいたのは「Shocking Blue」以来だったので、「わ~!園田さんの楽曲だ!」という高まりがあったのと同時に、成長したところを見せたくて気合いが入りました。イントロからブラスがとてもかっこよくて。受け取った時点で『戦闘員、派遣します!』のOPテーマになることも決まっていたので、秘密結社感というかスパイ映画の音楽のようなかっこよさを感じましたし、でもサビは爽やかで、とてもポジティブな印象を受けました。

――『戦闘員、派遣します!』自体にはどのような印象をお持ちですか?

伊藤 出てくるキャラクターたちが主人公やヒロインも含めて、それぞれヤバいところを持っていて、正統派がいないんですよね(笑)。みんなやり方が卑怯なところが秘密結社らしいし、(原作を)読み進めていっても、主人公はやっぱりゲスいところに辿り着くので、そういうところが本当に笑えて面白いですし、読んでいてスカッとするところがあって。日常で自分ができない卑怯なことだからこそ、それをやってくれるとちょっと気持ちいいというか、そのゲスさが清々しいなあと思います(笑)。むしろ敵側の魔王軍のほうがかわいそうになる瞬間もあるぐらいで、どのキャラもゲスいところはあるけど、憎めないなあって思います。

――実際、この作品は敵側も味方側も憎めない部分がありますよね。本作の主人公は秘密結社の戦闘員で、本来はヒーローの敵役として描かれる立場ですが、その侵略者の側にも親近感が沸くっていう。

伊藤 私もヒーローが好きですけど、この作品を読んで「No.6」を歌ってみて、敵側は敵側なりの事情があるということを理解しました。この曲の歌詞にある通り、“誰かの〇は誰かの×で”なんだなって。悪の組織側からしたら、地球を侵略することが正義なわけだから、それを「お前は悪だ!」って決めつけるのは、いかがなものかっていう。すごく心が広くなれました。

――その意味では、今回の「No.6」の歌詞は、『戦闘員、派遣します!』の世界観としっかりリンクしているように感じます。

伊藤 私もそう思います。タイトルの「No.6」も(主人公の)戦闘員六号にかかっていますし、秘密結社の側も魔王軍の側も、みんなそれぞれに正義がある、それぞれがぞれぞれの道を信じて走っていけばいいんだよ!っていう。どっちのことも肯定してくれる、心が優しくなれる歌詞だと思います。

――言葉遣いも優しいと言いますか、聴き手に委ねてくれるような心の広さがありますよね。例えば“踏み出す前に一瞬考えてみてもいい”というフレーズは、考えてみてもいいし、逆に考えてみなくてもいいっていうことですし。

伊藤 そうですね。「これが正解!」って決めつけるのではなく、「あれも正解かな?」って考える余裕があると、色んな考えを持てるし、人の意見にも寄り添えるので、大人として大事なことが書かれているなあと思いました。

――伊藤さん自身も、そういった色んな価値観があることを受け入れる考え方に共感しますか?

伊藤 私自身も色んな意見があったほうが助かるタイプだし、「自分の意見は正しいのかな?」とか「あんまりまとまってないけど、言ってもいいのかな?」と思うことがよくあるんですけど、とりあえずパターンを出してみることが大事だと思っていて。でも、それを出すのは勇気がいることなので、そういうときにこの曲みたいな考えの方が周りにいてくれると、とてもいいですよね。世の大人が全員「そうだよね、それもあるね」っていう考え方になると、世界は平和になると思いました。この曲を聴けば、戦争がなくなります(笑)。

――そう、実はめちゃくちゃピースフルな楽曲ですよね。そんな楽曲を歌うにあたって、今回はどんなイメージでレコーディングに臨みましたか?

伊藤 かっこいい曲調だし、楽器の音もインパクトがあって、歌詞も1つ1つの単語にしっかりと意味があるので、歌声的にはその言葉が耳にスッと入っていくように、風のような軽やかさを意識してレコーディングしました。今までの経験から、自分の得意なキーや歌い方、どこをファルセットにすれば軽やかさが出るかも考えられるようになっていたので、そこは自分でも成長を感じつつ、でも軽やかさを出すために何回も録り直したりして。ブレスの箇所から細かい歌い方まで、1つずつ固めながら、より一層いいものにするために、時間をかけて録りました。

――園田さんはディレクションにいらっしゃったのですか?

伊藤 はい、ディレクターさんと一緒に細かく見てくださって。レコーディングが終わったあとには「すごく良くなりましたね」というお言葉をいただいて、私もすごく安心しました。

――今回は作詞も園田さんですが、歌詞について何かお話はされましたか?

伊藤 私は直接お話ししていないんですけど、ディレクターさんによると、今回、園田さんが最初に書いてくださった歌詞は、基本的な軸は今と変わらないんですけど、言葉の選び方がもっと前向きで明るめだったらしいんです。そこに伊藤美来らしさを入れるために、ディレクターさんとすごく話し合ってくださったみたいで。

――「伊藤美来らしさ」というのは?

伊藤 ディレクターさんが「伊藤美来というのはこういう人間で……」みたいな説明をしてくださったみたいなんですけど、それが「前にガンガン進もう!」ではなくて「ちょっとだけでも前に進めたら嬉しい」っていう。細かいニュアンスなんですけど、伊藤美来とはそっち側です、みたいな(笑)。園田さんもそれで理解してくださって、私の考え方にすり合わせてくださった、というお話は聞きました。もちろんアニメにも寄り添った歌詞ですけど、私自身にもすごく寄り添って考えてくださった歌詞だなあって、読んだときにも感じました。

――伊藤さん自身も、自分はそういうタイプという認識があるのですか?

伊藤 そうですね。「ガンガン前に行くぜ!」みたいなことは性格的に考えられないので(笑)。色んな選択肢があって、なんとなくいいなと思ったものを選ぶというか、ちょっとした曖昧さというか。前に行ってもいいけど、横に行ってもいいことあるかもよ?みたいな(笑)。

――たしかにそういう曖昧さは大切かもしれないですよね。目標を見定めて行動するのは、気持ち的にしんどくなる面もあるわけじゃないですか。

伊藤 それができるのはとてもかっこいいことだなあと個人的には思うんですけど、私には似合わないかな?と思ってしまいますね(笑)。

――そのお話を聞くと、この曲の歌詞の言葉遣いが優しい理由がわかった気がします。

伊藤 「巡り合えるはず!」とか「満ちていくよ!」ではなくて、“巡り合えますように”とか“希望で満ちますように”ってお祈りみたいになってますものね(笑)。私のことをすごく理解して書いてくださったことが歌詞からも伝わったので、大事に歌っていきたいなと思いました。

――「No.6」のMVについてもお聞かせください。今回はダンスをフィーチャーした映像になっています。

伊藤 今までのMVも、自分探しの旅に出かけたり、カラフルな世界観を作り上げたり、色々なものがありましたけど、今回もまた違った新鮮さを観てくれる方々に与えたかったので、ダンスがメインのMVになりました。前回の「BEAM YOU」のMVはカラフルだったので、今回は白と黒のモノクロでシンプルかつスタイリッシュに作っていただいて。楽曲的にも2つのことが混ざり合うのは素敵だよねっていう内容なので、ピッタリの内容になったと思います。

――“誰かの〇は誰かの×で”という歌詞に合わせて、〇サイドと×サイド、2パターンの伊藤さんが登場しますが、片方はパンツルック、片方はスカートで、対照的な衣装を着ていますね。

伊藤 今回はビッグバンドっぽいアレンジだったので、そのイメージでアーティスト写真はカチッとしたパンツルックにすることが決まって、MVでは〇と×の2パターンが必要ということで、全体的なイメージは変えずに、髪型とスカートで違いを出すようにしました。「かっこいい」と「かわいい」で分けるのではなくて、どっちも「かっこいい」だけど着てる服が違うっていう。で、最終的にはどっちも私で、〇も×も一緒になったらいいよね、ということを表現したMVになりました。

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