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REPORT

2020.12.29

小倉 唯、キャリア初となる配信ライブ“小倉 唯 ONLINE クリスマス ライブ 2020 ~Winter Twinkle Magic~”レポート

小倉 唯、キャリア初となる配信ライブ“小倉 唯 ONLINE クリスマス ライブ 2020 ~Winter Twinkle Magic~”レポート

2020年12月24日、例年に比べるとやや控えめながらも、街のいたるところでイルミネーションが煌めき、祝祭ムードに包まれたクリスマスイブの夜。とびきりキュートなサンタクロースから、彼女との再会を心待ちにしていたファンに向けて、魔法のようなプレゼントが届けられた。それが小倉 唯のキャリア初となる配信ライブ“小倉 唯 ONLINE クリスマス ライブ 2020 ~Winter Twinkle Magic~”。配信だからこそ可能な演出をたっぷりと盛り込んだ、聖なる夜の奇跡を、ここにレポートする。

どこからともなく鈴の音が聞こえてくると、それがライブ開始の合図。雪の降る映像が、やがてステンドグラスに彩られたステージへと切り替わり、小気味良い足音と共に、華麗な衣装を纏った女性がステージ中央に歩み出てくる。カメラが切り替わり、その女性=小倉 唯がアップで映し出されると、マイクを両手で大切そうに握りしめて歌い始めたのは、彼女が2016年に発表した冬ソング「winter tale」。冒頭のフレーズは完全アカペラで歌唱。“今日はトクベツな出来事が 起こりそう そんな気がしちゃうよ”という一節が、これから始まるライブへの期待を一層高める。

そして“winter tale”と明るく歌い上げたのと同時にポップなイントロが流れ始め、小倉は白をベースにカラフルなスカートやハットを合わせたマジシャン風の新衣装で、元気いっぱいにパフォーマンス。途中でダンサーも合流し、振り付けにもこだわっている彼女らしい、色々な動きを取り入れたダンスも含め、目と耳で楽しませてくれる。歌詞の“きこえてる?”“好きだよ”の箇所は、歌というよりもセリフ調だったり、モニターの向こう側に語りかけるように言葉を届けてくれるのもポイントだ。

続いて、彼女は「初めての配信ライブ、皆さん盛り上がっていきましょ~!」と呼びかけて、代表曲の1つ「Baby Sweet Berry Love」を披露。カメラにマイクを向けて「ハイ!ハイ!」と煽ったり、スイート&ラブリーに盛り上げる。その後のMCで、「メリークリスマス!」と挨拶した小倉は、今回のライブタイトル“Winter Twinkle Magic”について、配信ならではの演出を駆使した魔法のような世界観のライブをイメージして付けたと説明(ちなみに“Twinkle”は「かわいいかなと思ってつけただけ(笑)」とのこと)。「今は皆さんなかなか思うように過ごせない状況が続いていますけど、きっとこれを乗り越えた先に、すごくハピネスな未来が待ってるんじゃないかなと思いますので、今日のライブを楽しんでいきましょう!」と語り、今年6月に発表したシングル表題曲「ハピネス*センセーション」をライブ初披露する。

シャボン玉の演出や、間奏で4人のダンサーと中央に集まって「ゆいゆいおー!」と号令したり、5人全員でピースサインを合わせて星形を作ったりと、見どころ満載だった「ハピネス*センセーション」に続いては、ちょっとしたイリュージョンタイムがスタート。ダンサーの一人に星型のステッキを手渡された小倉が、それを振りかざすと突然リンゴが出てきたり、魔法のような出来事が起こる。そして小倉が幕の中に入り、ダンサーがそのステッキを振ると、あっという間に衣装チェンジ。「Honey♥Come!!」のMVで着用している、ミツバチをイメージした黄色い衣装の彼女が登場する。そこから披露したのは、もちろん「Honey♥Come!!」。歌い終わった彼女はカメラに近寄ると、画面を手で塞いで真っ暗に。そして画面が戻ると、小倉は先ほどまでのハットを被った衣装に元通り。なんとも嬉しいイリュージョンタイムだった。

続く「瞳の国のアリス -Dance Music Edition-」もライブでは初パフォーマンスのナンバー。しかも歌いながら、紐をハンカチに変えてみせたり、黄色い布を卵に変えたかと思ったら、ダンサーたちと一斉にどこからともなくステッキを出したりと、次々と手品を披露していく。まさに今回のライブのテーマ“Magic”に相応しいステージングだ。

そして歌い終わった小倉が振り返ってウインクをすると、そこから光の粒子が放たれて、CGと現実世界が合わさったXR(クロスリアリティ)のステージへ。ここで彼女が歌ったのは、人気のボカロ楽曲として知られるEasy Pop「ハッピーシンセサイザ」のカバー。小倉が花里みのり役で出演しているスマートフォンゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」でキャラクターとして歌っている楽曲で、先日、小倉のYouTubeチャンネルに踊ってみた動画が上がって話題になったばかりだ。この日、彼女が着用していたのは、2017年のワンマンライブ“Smiley Cherry”のときに着ていた黄色の衣装。楽曲のポップな世界観にもぴったり馴染んでいる。

「ハッピーシンセサイザ」を歌い終えた小倉が光の粒子になり、ライブは再び現実のステージへ。袖などにファーをあしらった、ピンクのコート風の衣装に着替えた小倉が、次に歌ったのは、片想い中の女の子のいじらしい気持ちを描いた「赤いリボン」。もこもこの素材でできた帽子や白いマフラーが冬のシチュエーションを連想させ、服のあらゆるところにあしらった赤いリボンがチャームポイントに。しかも右手の中指にも、大きな赤いリボンを巻いており、歌詞の“君が 去年 くれた赤いリボン こっそり 指に巻いてみたりして”というフレーズが一層沁みて聴こえる。終盤の“本当にすき?”と語りかける箇所では、カメラが小倉のそばまで近寄り、観てる側はまるで彼女と本当に対面しているような感覚に。最後は彼女が自分のマフラーを外して、カメラ(視聴者)に巻くような仕草をし、小倉と観ている人が赤いリボンで繋がるという演出。この距離感の近さは、リアルライブでは決して味わうことができない体験だろう。

これまたライブ初披露の「Look@Me♡」では、背後のスクリーンに小倉 唯ファンの応援メッセージが流れるなか、溌溂としたパフォーマンスで観る者を“Cheer up”する。後のMCで本人が語っていたが、歌詞の“(Y・U・I・Charm)”の箇所で指を「Y」「U」「I」「C」の形にしていたり、細かな振りが付いているとのこと。無観客のため、セルフで「回って」コールを促し、その場でくるりと回ってお気に入りの新衣装をしっかりアピールした彼女は、いよいよライブ後半戦へ。

照明が暗転し、黒い衣装で統一したダンサーたちが現れると、それに続いてひらひらした布地の紫陽花をイメージした薄いブルーとパープルの衣装に着替えた小倉が登場。3rdアルバム『ホップ・ステップ・アップル』収録のダンスチューン「雨の森はウソつき」を披露。歌謡曲らしさも感じさせるマイナー調のメロディ、アンニュイさも感じさせる大人っぽい歌声、どこか艶めいた仕草など、これまでの流れとは違ったシックな世界観で視聴者を魅了していく。

そこから上松範康(Elements Garden)が作曲したハードなアップチューン「Destiny」に繋ぎ、彼女はスカートを翻しながら情熱的にパフォーマンス。Dメロのコール&レスポンスパートでは自らカメラ前まで迫ってコールを求め、“だからもう この手を離さないで”の箇所では実際にカメラを掴むアクションも。最後はステージ後方の台に上がりポージングしてバシッと決めると、背後のスクリーンに扉の開く映像が映し出され、また新たな世界が広がり、小倉のソロデビュー曲でもある「Raise」へ。「これでラスト、まだまだ盛り上がっていくよ!」と呼びかけた彼女は、8年以上歌い続けている楽曲がゆえの、成熟と余裕を感じさせる凛々しいステージングで、ライブ本編を締め括った。

「皆さん素敵なクリスマスを過ごしてくださいね、またね~!」と挨拶して終了……と思いきや、またもどこからともなく鈴の音が聴こえてきて、場面が移り変わると、ステージにはクリスマスツリーとプレゼントの山が。それを見つけて色めき立つダンサーズが、なかでも注目したのが、ひと際大きなプレゼントボックス。それに今回のライブのロゴを貼り付けると、聞き覚えのあるイントロが流れ始め、ダンサーが箱のふたを開けると、なんとサンタ衣装を着た小倉が登場! 自身が作詞した楽曲「I・LOVE・YOU!!」を、ヘッドセットマイクで存分に踊りながら歌い始める。

「I・LOVE・YOU!!」は、そもそもバレンタインシーズンに合わせた「小倉 唯から、ファンへのプレゼント」がコンセプトの楽曲なだけに、テーマ的にクリスマスにもばっちりハマるし、歌詞の“きみに会いたくて 気持ちつのってく”といったフレーズは、久々のライブとなったこの日の状況にも驚くほどマッチする。また、この楽曲の最大の見せ場である“大好き~!!”というセリフでは、大きな声で元気いっぱいに届けるのではなく、カメラの向こう側の“あなた”にささやきかけるように、親密かつとびきりの笑顔で“大好き”とつぶやいたところも大きなポイント。彼女が本来ライブを行っているホールやアリーナ規模の会場であれば、全力で声を上げないことにはお客さん全員に“大好き~!!”の気持ちを伝えることは難しいかもしれないが、配信ライブであればより近い距離感で、一対一の感覚でその気持ちを伝えることができる。そのメリットを最大限に発揮した、最高の威力の“大好き”だったことは、断言しておきたい。

MCで、自身も飾り付けを手伝ったというクリスマスツリーを紹介したり(小倉の公式キャラクター「カワウソくん。」のグッズも飾られていた)、クリスマス感に溢れたライブが出来たことの喜びを伝えた唯サンタは、この日のライブには欠かせない自身初のクリスマスソング「Very Merry Happy Christmas」を最後に披露。要所で雪が降ったり、歌詞の“願い込めながら トップスターを飾ったの”の箇所で実際にツリーのトップスターを飾るなど、楽しい演出も盛りだくさんだったが、何より良かったのが、ラスサビ前の台詞“「これからもずっとよろしくね」”を言った後、彼女が同曲のMV未公開シーンをバックに踊るところ。“小倉 唯との日常”をイメージしてスマホで撮影した映像を観ていると、唯サンタと一緒に彼女との思い出を辿っているようで、不思議な距離感の近さを感じてしまう。歌唱後、とっておきのプレゼントとして、2021年春ごろに13枚目のシングルをリリースすることを告知した唯サンタは、魔法のステッキを取り出すと、「ウィンタートウィンクルマジック!」と唱えて光になり、たくさんの奇跡が詰まったマジカルなライブは幕を閉じた。

「Very Merry Happy Christmas」のリリースインタビューで本人が語ったところによると、そもそも「Very Merry Happy Christmas」は“身近な距離感”を意識して作ったものだという。それを踏まえて今回のライブを振り返ると、彼女の間近まで近寄るカメラワークや、画面の向こうの視聴者と実際に交流しているかのような演出が多く、配信ライブだからこそ可能な“身近な距離感”を追求していたように思う。だからこそ小倉と画面越しでクリスマスパーティーを楽しんでいるような感覚が生まれていたし、ファンが思い思いの場所で小倉 唯と時間を共有できたこと、それ自体が“Magic=魔法”のような出来事だったと言えるのではないだろうか。

PHOTOGRAPHY BY 上飯坂一
TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

<セットリスト>
01. winter tale
02. Baby Sweet Berry Love
03. ハピネス*センセーション
04. Honey❤Come!!
05. 瞳の国のアリス -Dance Music Edition-
06. ハッピーシンセサイザ(カバー)
07. 赤いリボン
08. Look@me♡
09. 雨の森は嘘つき
10. Destiny
11. Raise
12. I・LOVE・YOU!!
13. Very Merry Happy Christmas

「小倉 唯 ONLINE クリスマス ライブ 2020 ~Winter Twinkle Magic~」アーカイブ配信中!
アーカイブ期間:2021年1月6日(水)23:59まで
詳しくはこちら


●デジタルリリース情報
「Very Merry Happy Christmas」

作詞:日南田あおば 作曲・編曲:本田正樹
配信中

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