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REPORT

2020.10.19

5周年でもう一度みせた、“0から1へ”の姿。“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours ONLINE LoveLive! ~LOST WORLD~”Day1レポート

5周年でもう一度みせた、“0から1へ”の姿。“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours ONLINE LoveLive! ~LOST WORLD~”Day1レポート

10月10日・11日、オンラインライブ“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours ONLINE LoveLive! ~LOST WORLD~”が開催。Aqours(高海千歌(CV.伊波杏樹)、桜内梨子(CV.逢田梨香子)、松浦果南(CV.諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)、津島善子(CV.小林愛香)、国木田花丸(CV.高槻かなこ)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)、黒澤ルビィ(CV.降幡 愛))が全員揃っての久方ぶりのライブでは、5周年を迎えた今だからこそみせられる表現も交え、彼女たちの可能性の無限大さを改めて感じさせてくれた。本稿ではそのうち、Day1の模様をお届けする。

一度は“LOST”されてしまった機会を、オンラインで取り戻す!

開催された2日間は、中止になってしまった“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! DOME TOUR 2020”の東京公演の開催日にあたる日。そんななか開催されるライブのタイトルが“LOST WORLD”であり、しかもライブロゴさえもノイズで消えかかっているという意匠。初のオンラインライブという点も含めて、開演前からコンセプトが気になっていた。

そんななか、まずはロゴのイメージともリンクする、ノイズで若干歪ませた「New Romantic Sailors」のリミックスに乗せて、Guilty Kissの衣装を身にまとったメンバー3人・桜内梨子、津島善子、小原鞠莉のイラストを用いた紹介VTRが上映。続いてステージ上にも、事前録音の歓声を浴びつつ逆光のなか逢田・小林・鈴木が登場し、その「New Romantic Sailors」からライブをスタートさせる。

普段であれば超満員の観客に埋め尽くされているであろうステージの先には、3人のイメージカラーのペンライトが曲に合わせて振られる映像が合成される。もちろん実際にはその景色は見えなかっただろうし、歓声も聴こえていたかはわからない。しかし今できる限りの力を尽くして、普段どおりのAqoursのライブを届けようとしてくれているすべての人々に、その瞬間感謝の念が湧き起こった。

だが、そんなメタ的かつ副次的な想いを脇においても、3人のパフォーマンスは楽曲のリズムにしっかりと合った精度の高いもの。そのうえで、1曲目から小林は表情含めて非常に楽曲に没入しており、鈴木も鞠莉らしくウィンクをふんだんに盛り込みつつ伸びやかな歌声を披露。さらに間奏での「梨子ちゃんレーザービーム!」では、視聴者へとぐわーっと迫ってくるような配信ならではの効果も用いられる。同様に“ヨハネアイ”“嫉妬ファイヤー”も映像効果を用いて、臨場感を与えてくれた。

続いては「Braveheart Coaster」のリミックスにのせてCYaRon!の3人がそれぞれイラストで映し出され、ステージ上にも笑顔全開で登場。

その「Braveheart Coaster」では、間奏での掛け合いになる部分では息ピッタリに合わせつつ、元気いっぱいかつキュートさのあるダンスをみせていく。披露中に3人の中でも“楽しさ”が膨らんでいったのだろうか。2-Aメロではコール部を活かして斉藤が遊び、続くBメロのソロでは伊波からも楽しさが止まらない様子が見て取れる一方で、キュートさを存分に発揮して魅せていく降幡の姿も印象的。終盤では伊波と斉藤が形作ったハートが降幡の前で重なってピンクに変わり、3人のイメージカラーのグラデーションによるハートが画面を縁取るという、こちらも配信ならではの美しさを発揮。最後は3人手作りの横断幕を掲げて、笑顔でフィニッシュを決めた。

そしてもう1ユニットのAZALEAも同様の形で登場。まずはリミックスをinterludeとしても用いたEDM「AMAZING TRAVEL DNA」を、リズムに乗せつつしっかり揃えたダンスとともに披露。2サビ中、3人のイメージカラーのペンライトが客席中を埋め尽くしていた光景は実に圧巻であり、非常にファンの胸を熱くする、心得た演出だったと思う。

そしてAZALEAは、さらに続けてこの曲のカップリング2曲も披露。よりかわいげの増したミドルテンポのダンスポップ「空中恋愛論」では、随所にトライアングルのフォーメーションも交えて魅せていき、特に諏訪が楽曲のテイストに合わせてキュートさ全開。そしてさらにもう1曲、ハイテンポなフューチャーベース「メイズセカイ」を披露。1サビ明けのソロダンスも全員ビシッと決めていく。その後もダンスを交えつつも息切れもなくソロパートを歌い上げる高槻の歌声には改めて惹き込まれたし、3曲続けて終始微笑みをたたえたまま立ち続ける小宮の姿にも、とてつもなく黒澤ダイヤを感じた。こうして、この冬ユニットライブが中止になってしまっていたAZALEAは満を持しての最新シングル曲の初披露を果たしたのだった。

ユニット曲ゾーンが終わり、さぁいよいよAqoursの出番……かと思ったら、画面に映し出されたのは『20XX年、世界は混沌に疲れ切っていた…!』の文字。そして千葉繁によるナレーション……とくれば、今年のエイプリルフール企画で登場した“シャゼリア☆キッス”が登場。「シャゼリア☆キッス☆ダダンダーン」を披露していく。

楽曲中、決め所では全員揃ってのカメラ目線や間奏での決めポーズも完璧な仕上がり。最後には花火の特効までキメて、鮮烈なライブデビューを果たして去っていったのだった。

久々の9人でのワンマンライブ! Aqoursがみせた“新しさ”と“原点”

シャゼキスの余韻冷めやらぬなか、映像はこれまでのAqoursのライブを順になぞっていくものに。そして『ラブライブ!サンシャイン!!』の劇伴を手掛ける作曲家・加藤達也によって作られた6thツアーのOPが、4thライブでのオーケストラ生演奏の映像に乗せて届けられると、そのまま改めてAqoursメンバー9人のイラストが紹介。続いて、今春以降中止・延期になってしまったライブが、9人のメンバーマークが次に向かう地として“LOST”してしまうさまが描かれたあと、この“LOST WORLD”へと飛び込んでいき、映像は再びメインステージへ。6thツアーのテーマソングとして誕生した「Fantastic Departure!」が、この日のAqoursとしての1曲目を飾る。

その6thツアーをともにめぐるはずだったクジラ“ポエポエ”を模したステージに乗って登場した9人は、クールなEDMでAqoursの新たな一面を発揮。そのサウンド感に沿ったクールな視線と切れ味鋭いダンスで序盤から魅了してくれた諏訪をはじめ、楽曲のテイストに合わせた細かくも硬質なステップでスタイリッシュに魅せていく。加えて大サビ直前には、ひとりポエポエの上に立つ伊波のソロパートに合わせてポエポエがみかん色に染まるという演出でも、視覚的に惹きつけてくれた。

曲明けには、この日初となる9人全員でのMCタイム。ステージからコメントが見えている旨を伝えてファンとのつながりを感じさせつつ、ユニット曲中心だった前半を振り返ったり、9人がまとった「Fantastic Departure!」の衣装についてそれぞれがお気に入りのポイントを挙げていったりと話題を繋げていく。そしていつものライブ同様の各メンバーの自己紹介を通じてファンとコメントで繋がると、最後に小林が善子……いやヨハネとして“堕天モード”で「まだまだヨハネたちの歌、聴かせてあげる♪」と不敵な笑みとともに後半戦のスタートを告げる。

一瞬の暗転に続いて、まず披露されたのは「Deep Resonance」。その小林が、センターらしく楽曲冒頭のソロを凛々しく歌い上げて空気を作れば、シンフォニック・ロックにも近いサウンド感のこの曲を強くカッコよく披露。2サビ明けにはダンスタイムでそれぞれがフィーチャーされていくと、その最後には魔法陣を描くかのような小林の手のフリに合わせて、映像上でも魔法陣が出現。ラストのフェイクも力強く歌いきり、センターの面目躍如な1曲とした。曲明けにはざわめきが会場を包むなか、お次はV字型のフォーメーションから始まる「Aqours Pirates Desire」。歌い出しには9人が横一列に展開すると、イントロや間奏では全員がフラッグを用いたパフォーマンスを交えてより力強さを色濃くしたステージングに。

その一方で、スタイリッシュを超えてセクシーささえ漂う表情とともに序盤のソロを歌いきる斉藤に、逢田の挑発的な視線――これが5周年を迎えた今だからこそ形にできる、Aqoursとしてのステージなのだろう。大サビではポエポエの上に登った斉藤が、自らの身長以上はあろうかという大きな大きなフラッグを操り力強く先導。雄々しささえ感じさせると、各メンバーが手持ちのフラッグを携えたままステージ脇のレッドカーペットを闊歩し、カメラ前で一人ひとりソロプレイで魅せていく。最後に斉藤が大フラッグでのプレイをやりきったところで、そのフラッグをカメラにかけてそのまま暗転。
明転すると、世界は一変。『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』のライブ映像をバックに「Wake up, Challenger!!」がスタートする。少々ロッキンなA・Bメロに続いて、明るくポップに展開するサビでは9人揃って笑顔をみせ、9色のペンライト輝く映像が重ねられた客席の方向へと全力のパフォーマンスを発信していく。

そしてメンバーカラーのグラデーションで彩られゆくライブロゴがしばし映し出されたのち、映像はなんと、9人に囲まれた状態のものに! “全員最前”を超える、オンラインライブにしかできない嬉しい演出だ。それを活用して、9人全員が“すぐそば”にいる全てのファンへと感謝の思いを届けると、全員のタイトルコールとともに「君のこころは輝いてるかい?」がスタート。冒頭のフレーズに合わせて円形のフォーメーションの内側でぐるりと一周して全員を映したかと思えば、その直後にはステージへと跳ね出していく9人の頼もしい後ろ姿も観られたのも、非常に貴重だったように思う。本編ラストナンバーにあたるこのはじまりの曲で改めて元気をいっぱいに届けていくと、ラストのフレーズではステージ上で、メンバーが一人ひとりインサートしてくるアニメPV終盤を完全再現して締めくくる。歌い終わった後、笑顔のメンバーのなか、ひとり感極まっていたように見えた逢田の姿が印象的だった。

波打ち際、砂浜に描かれた「Aqours」の文字。そしてそこに流れるファンからのコメントが徐々に過去のコールの声と重なり、やがてアンコールを求める「Aqours!Aqours!」のコメントで埋まっていく。


その声を受けて、映像は再び9人の立つステージへと切り替わると、「JIMO-AI Dash!」でアンコールスタート。ユーロビート調のナンバーだからだろうか、あえての無表情のパフォーマンスでロボットのような印象を観る側へと与える。この曲では黒澤姉妹――小宮と降幡のコンビネーションが特に素晴らしく、まるで表裏一体となったかのよう。後奏中にはメンバー9人のSDキャラが沼津の映像の上でダッシュし、同時に歓声が起きるという演出も敢行。5周年を記念した“地元愛!Take Me Higher Project”としての沼津への想いも、大事なポイントで織り込んでみせた。

曲明け、PS4用リズムアクションゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~ わいわい!Home Meeting!!』の制作決定や、作品の地元・沼津での展示会開催が発表されると、メンバーが口々にこの日の感想を語るなかで、小宮の「9人でライブができるのが嬉しすぎる」との言葉にメンバー全員が完全同意。伊波が画面の向こうにいるファン一人ひとりへ感謝の言葉を述べてMCをまとめると、「今日1日を締めくくる幸せを満ちあふれさせたいと思います!」と口にして、ラストナンバー「青空Jumping Heart」へ。“10番目のメンバー”であるファンの歓声とともに幕を開けたこの曲は、どのメンバーもいつも以上に視覚的に明確に伝わるパフォーマンスで、その言葉通り観るもの全てに幸せをあふれさせる。また歌声にも、2-Bメロでは高槻が、Dメロでの鈴木が高らかかつ気持ちよさそうに響かせたソロパートに象徴されるように、嬉しさと楽しさをあふれさせて画面の向こうへと届けていく。そんな想いも乗せられた、未来へと向かうわくわくを歌ったこの曲でライブを締めくくってくれたことに嬉しさを感じたファンは、日本中、いや世界中にあふれていたことだろう。
最後に「9人のAqoursから、たくさんの感謝の気持を伝えさせてください!」との伊波の言葉に続いて、全員エアで手をつないで一礼。Aqours初の試みは、こうして大団円を迎えたのだった。


感染予防の観点もあってか曲数こそ普段よりも限られていたり、一部振付に変更がみられた部分こそあったものの、ユニットとしての最新曲や直近のEDM中心のスタイリッシュな新たな表情をしっかり押さえ、彼女たちの原点にあたる曲で本編を締めくくる――という構成、非常に密度の濃いものだったように思う。しかも特に、原点の曲に込められていたメッセージは、偶然ながらも今受け取って元気をもらえるもの。その大事なメッセージを、画面越しという形でも落とさずに届けてくれた9人と9人に、心から感謝の言葉を送りたい。

Day2では、オンラインライブ第2弾“Aqours ONLINE LoveLive! ~WHITE ISLAND~”が今冬開催されることや、AZALEAのユニットライブも2021年2月27日・28日に開催されることも発表になった。6thツアーの中止から、オンラインライブでの9人のステージの実現へ――再び“0から1へ”を形にしたAqoursが、5周年を迎えてどんなことをおこしてくれるのか、本当に楽しみだ。

TEXT BY 須永兼次

ラブライブ!サンシャイン!! Aqours ONLINE LoveLive! ~LOST WORLD~ Day1

2020.10.10
【出演】
Aqours
高海千歌(CV.伊波杏樹)、桜内梨子(CV.逢田梨香子)、松浦果南(CV.諏訪ななか)、
黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、渡辺 曜(CV.斉藤朱夏)、津島善子(CV.小林愛香)、
国木田花丸(CV.高槻かなこ)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)、黒澤ルビィ(CV.降幡 愛)

【SET LIST】
M01. New Romantic Sailors / Guilty Kiss
M02. Braveheart Coaster / CYaRon!
M03. Amazing Travel DNA / AZALEA
M04. 空中恋愛論 / AZALEA
M05. メイズセカイ / AZALEA
M06. シャゼリア☆キッス☆ダダンダーン / シャゼリア☆キッス
M07. Fantastic Departure! / Aqours
M08. Deep Resonance / Aqours
M09. Aqours Pirates Desire / Aqours
M10. Wake up, Challenger!! / Aqours
M11. 君のこころは輝いてるかい? / Aqours

-ENCORE-
EN1. JIMO-AI Dash! / Aqours
EN2. 青空Jumping Heart / Aqours

©プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

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