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INTERVIEW

2019.09.25

「作品を背負って歌う」ことの覚悟を語る angelaの新たな挑戦!「angela Asia Tour 2019 “aNI-SONG”」ライブBDリリース記念インタビュー&ライブレポート

令和最初のangelaライブレポート 新シリーズ“aNI-SONG”をスタート

元号が令和に改まって2日目となる5月2日、舞浜アンフィシアターにてangelaのライブ“aNI-SONG”が開催された。これはアジアツアーファイナルであり、これから展開していく新コンセプトのライブシリーズの日本でのお披露目公演でもある。アニソンアーティストであるangelaが作品を背負うことをより強く打ち出すようすをライブで表現する“aNI-SONG”。新たなコンセプトでの演出や、この日のホールを活かしたアレンジや音響など、密度の濃いライブエンターテイメントにオーディエンスは酔いしれた。

アンフィシアターというシアトリカルな舞台でのこの日の公演。客電が落ちメンバーがEDMに乗せてステージに登場した後、ステージ中央からスモークに包まれて現れたのはもちろん、angelaのふたりだ。大きな拍手に沸き立つ会場の熱量を一段と上げるこの日のオープニングは「SURVIVE!」だ。硬質のリフが流れ「angelaアジアツアーファイナル!」と発したatsukoの一声からさらにヒートアップ。ステージバックの巨大スクリーンには同曲がオープニングを飾った劇場アニメ『K SEVEN STORIES』の映像が映し出される。今回のツアーは「aNI-SONG」と題された、angelaが新たなシリーズコンセプトを打ち立てるもので、これまで多くの“アニソン”主題歌を歌ってきたangelaと作品との結びつきを強く訴えることがテーマとなっている。従来のライブでも客席はそれぞれの楽曲や作品のテーマとなっているカラーのサイリュームを掲げてきたが、作品映像とともに照らされる空間は一層の雰囲気を醸し出す。広い円形のステージには4人のダンサーも登場してキメの細やかな踊りを披露し、ライブ冒頭から情報量の多い展開だ。間奏ではatsukoが客席にコールを要求し、バキバキのベースに乗せてオーディエンスの声が何度もホールに響き渡る。それに乗せてKATSUのギターがメロディアスに暴れ回り、エフェクターをかけたatsukoの声がロックに揺さぶり、ラストまで一気に駆け抜けてこのライブの幕開けを飾った。間髪入れずにスクリーンには『K RETURN OF KINGS』の映像が流れ、黄色い歓声が湧く。astukoは「アニメとの絆、ぢぇらっ子との絆、歌っていきます!」と煽り、バストドラが力強くリズムを刻む中、物語性のある「KIZUNA」を集中力高く歌い上げていった。

明けたMCでは一転、明るいムードで「私達をチヤホヤしてね」と笑わせる安心の内容。今回のアジアツアーの海外公演の様子を語りつつ、「日本のみんなも負けてほしくない」と話すと、オーディエンスは力強くリアクションを示す。そしてatsukoが「今日は令和になって初のライブ」という話題を展開すると、KATSUは「令和の最初にangelaを選んでくれてありがとうございます!」と感謝を述べ、“aNI-SONG”のコンセプトを確認して挙げた『アスラクライン2』というタイトルに会場は感心の声が湧く。もちろんここでもバックには同作のハイライトシーンが次々と映し出されていく。これら1本1本が単なるTVフォーマットの映像ではない非常に凝った作りになっていることに気づいたが、それは後ほどのMCで理由は明らかになる。EDテーマの「彼方のdelight」を、儚げな高音部を美しく情感たっぷりに聴かせ、続けて同作の最終話用EDテーマという物語性の高い楽曲の「キラフワ」をドロップ。ポップなスカサウンドの雰囲気に合わせダンサーがポンポンを持って登場し、atsukoも持ってステージを周回する。SEを含め祝祭的な雰囲気に包まれつつ、ラストサビを一緒に歌って締めくくった。そして次の曲のイントロが流れるとあっという間にサイリュームは緑色に変わる。キングレコードでのデビューとなった「明日へのbrilliant road」。背景にはもちろん『宇宙のステルヴィア』の映像だ。ダンサーは4人に増え、KATSUもステージ最前部まで現れギターを掻き鳴らす。2番に入るとオーディエンスのクラップが入り、落ちサビではatsukoがマイクを向けてオーディエンスのみによるシンガロングが繰り広げられ、小さく「ありがと」と一言。返すサビでは「あたしが居いて、ぢぇらっ子が居る」と歌詞を変えるところに関係性の深さが伺える。アウトロの高い熱気までパッケージして楽曲を締めくくった。

会場の雰囲気は一転し、静謐でディープな音が空間を支配する。劇場アニメ『BLAME!』の主題歌「Calling you」だ。デビュー作から近年の作品まで、こうしてセットリストの中で時間を跳躍させることでangelaがいかに長く多彩な作品の主題歌を手がけていたことがわかる。ステージ上のターンテーブルに乗って回り全方位に向け硬質な楽曲を届ける。続いてスクリーン上には『COPPELION』の最終回のドラマティックな展開が映し出され「バイバイオーライ」のロックなサウンドが鳴り響く。緩急をつけたセットリストだ。「KIZUNA」も同様だったが、最終回用の特別な楽曲をいくつも書き下ろしているところに、アニソンアーティストとしてのangelaの特長がここでも示された。もちろん楽曲単体としても、ぢぇらっ子に愛された楽曲でライブでは久々の披露となった今回、反応は非常に大きくサビでの一体感あるコールでは強く熱量が感じられるものだった。間奏で思い切り暴れるドラムとギターソロに続き、落ちサビでもう一度合唱して燃焼した。つづいて劇場版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』の映像が映し出されると、歓声が上がりその後すぐにじっとスクリーンを凝視する空気に。厳選されたシークエンスのあと、atsukoは「蒼穹」の頭サビを歌い上げ煽りに続いてファストなツーバスの連打で熱量を一気に高め、大きくのけぞりハイトーンで高らかに歌う。間奏ではKATSUとベースのBuonoがステージ前方に出て互いの技で魅せる一幕もあり、激走した一曲となった。

続いて『蒼穹のファフナーRIGHT OF LEFT』が映し出され、これまで以上にじっくりとストーリーを追うなか、ステージ上では蓮沼健介のピアノの調べに乗せてストリングスのカルテットとangelaのふたりがドレッシーな衣装で登場。KATSUのアコースティックギター、小島億洋のパーカッションに乗せatsukoは深い声で「果て無きモノローグ」を静謐に歌い上げた。暖かな拍手に迎えられ、「いつも歌っている曲がワンランク上がった感じ」とatsukoは語り、「Different colors」へ。ストリングスサウンドに合わせて優しく歌う姿にぢぇらっ子はクラップで応える。このアレンジでの主旋律はボーカルと張り合うほどの主張があり、パーカッションと合わせて独特なグルーヴを生み出していた。バイオリン・真部裕のソロもあり聴き応えのある時間となった。次の曲は「Beginning」。atsuko曰く「10年ぶり」のライブ披露となった曲で、会場ではじっくりと聞き耳を立てる姿が目立った。メロディが立った感動的なこの曲を優雅に歌い、最後には深くお辞儀をして締めくくった。そこから次の曲のイントロが流れてくると会場がざわめき立つ。それはangela屈指のコミカルな楽曲「全力☆Summer!」だった。当初は遠慮がちだった会場側もだんだんと黄色のサイリュームが灯りだし、「ウー/ハー」コールのやり取りに応える。楽器をストリングスに変えるだけでここまで印象が変わることに驚きつつ、一方で原曲自体のメロディの良さが立つアレンジでもあった。atsukoもニュアンスをたっぷり効かせた歌い方を楽しみ、間奏では「令和/元年」コールというこの日ならではの演出を取り入れ、最後はオペラティックに歌い上げた。

MCで新曲の披露がアナウンスされると会場は大きく沸き立つ。それはもちろん、5月から劇場先行上映公開となった『蒼穹のファフナー THE BEYOND』の主題歌である「THE BEYOND」だ。”島”を意識した旋律と楽器から力強いドラミングに乗せて熱のこもったボーカルワークが渦巻き、キャッチーなサビに会場は素早く反応し、コールをかけていく。キレのあるシャウトに加え間奏のコーラスが圧巻の1曲。そのまま同シリーズのイメージソングとして作られた「私はそこにいますか」へとなだれ込む。KATSUのスパニッシュギターをバスドラが支え、それにバイオリンの美しい調べが主旋律を奏で、atsukoはハイトーンで歌い上げる。ダンサーはフラメンコを踊るという贅沢な演出。間奏ではEDMでアッパーに盛り上げ、スネアの連打からバキバキのベースが加わる豊かな楽曲だ。落ちサビではatsukoとKATSUだけでなくバイオリンの真部もステージ前方に出て魅せるパフォーマンス。温かい拍手は、この日また新たに「ファフナーソング」のレパートリーがファンに刻まれた証でもあった。

初披露後の大きな反響を受けてひと安心のangelaは久々の日本語でのMCとあって、アジアツアーの土産話をたっぷりと話す。ライブも後半戦に入り、「僕は僕であって」ではテクニカルな技を次々と繰り出しつつ熱量高く盛り上げていくangelaの真骨頂が見られ、そのままのボルテージで「BURN」へとなだれ込み、さらにハードさを高めたリフをハイスピードに刻んでいく。会場はもちろん『K』の赤のクランのテーマに合わせサイリュームを赤く染める。フラッグを持ったダンサーが登場し周回して煽り、客席はコーラスを繰り返す中でどんどん高揚していく。それをリードするかのようにatsukoがロングトーンをキメたタイミングはこの日のハイライトのうちのひとつだろう。最後にもう一発ロングトーンを発してから、次の「Shangri-La」のイントロで、atsukoが「今日はみんなで一緒に最初から最後まで歌ってください」と話すと会場からはどよめきが湧く。アーティスト側からこうした提案をすることは間違いなく異例のことだ。ぢぇらっ子なら誰もが知る定番中の定番だが、スクリーンに映し出された歌詞をatsukoとともに歌い、落ちサビのコーラスまで合唱した一体感は得難い経験になったことだろう。勇ましいドラミングが聴こえてきて本編ラストは「シドニア」。ホール音響を目一杯使った爆音が腹に響く。展開の多い楽曲だけにダンスの動きも多彩で見どころが多く、またも情報量が多い展開だ。間奏ではatsukoがリードして各パートがソロ回しを行ってからKATSUがお決まりの「ジークジオン」コール。最後のパートではコールアンドレスポンスを重ねて締めくくった。

アンコールに応えて出てきたatsukoが「時間が経つの早くない?もっと喋りたいんだけど(笑)」と話すと、KATSUは「違うんです。“aNI-SONG”はかっこいいんです!」とツッコミを入れる。それでも軽快なトークを続けるatsukoにファンは温かい声援を送る。atsukoは「秋にオールタイム・ベストを出して(日比谷)野音を開催しましたが、どうしてもオープニングテーマが多くなってしまって、アニソンというくくりの中では最終回エンディングや第2シーズンのエンディング、挿入歌を補完できていなかった」ことが心残りだったという。「今日それを全部補完できたわけではなかったので、またこの“aNI-SONG”というシリーズで歌えたら」と話すと大きな歓声が湧く。そこから展開したアンコールの1曲目は、2年前の武道館公演で“封印”から解かれて以来、ベスト盤にも収録された「memories」。イントロで歓声が湧くほど多くのぢぇらっ子たちの耳に届いているようすだ。メロウなメロディに乗せて歌うatsukoを見るKATSUの表情はどこかリラックスしたようにも映る。そして再度、スクリーンには『蒼穹のファフナーEXODUS』の映像が映し出され、緊迫感のあるシーンからオーディエンスをドラマティックに世界に誘う「その時、蒼穹へ」を展開。ここでもatsukoはコールを身に受け、メロディアスに歌を返していく。KATSUは体を折って熱くギターをプレイ。ステージ上の熱演にシンクロするようにコーラスをする監修もリフレインを返し、熱量を高めていった。ラストは「Follow me Follow you」のコーラスを絶叫する客席の熱を受けatsukoは「イグジスト」を熱唱。リズム隊も力強く、ダンサー4人も鋭く動きをつけクライマックスを演出。間奏では「昭和/平成生まれ」に分かれて「Follow me Follow you」のコーラス交換し、最後の最後まで全力の熱唱を繰り返し歌い終えた。

終演時のMCでatsukoが「令和もまだまだ楽しんでいくよ!」と叫んでからメンバーを紹介した後、KATSUは“aNI-SONG”というライブシリーズを行なうにあたり、多数のアニメを背負ってライブを行なうことの困難さを説明した後、各社が喜んで映像を提供してくれたことに感謝を述べると会場からは自然と拍手が発生し歓声が湧いた。つづけてKATSUは、映像を編集したDJシーザーをはじめとしたVJチームを紹介し、「カット割りのセンス、タイミング、アニメに愛がある人じゃないとできない」と信頼感抜群の謝意を述べた。そして最後には「平成でやり残したことがあるヤツ、令和で叶えようぜ!」と会場全体に向けて発破をかけて締めくくった。atsukoは「angelaは明日から令和産の曲作りをします。令和も素晴らしくて面白くて、みんなで歌えて泣ける心に残る名曲を作りたいと思います!」と宣言して、令和最初であり新コンセプトのライブシリーズ“aNI-SONG”の第一歩を踏み出したのだった。

Interview & Text By 日詰明嘉

「angela Asia Tour 2019 “aNI-SONG”」
2019年5月2日 舞浜アンフィシアター
セットリスト
1 SURVIVE!
2 KIZUNA
3 彼方のdelight
4 キラフワ
5 明日へのbrilliant road
6 Calling you
7 バイバイオーライ
8 蒼穹
9 果て無きモノローグ
10 Different colors
11 Beginning
12 全力☆Summer!
13 THE BEYOND
14 私はそこにいますか
15 僕は僕であって
16 BURN
17 Shangri-La
18 シドニア
19 memories
20 その時、蒼穹へ
21 イグジスト


●リリース情報
「angela Asia Tour 2019 “aNI-SONG” LIVE Blu-ray」
9月25日発売
品番:KIXM-397
価格:¥7,000+税
※“もっとaNI-SONG”アングル機能付

パッケージ仕様:【初回製造分のみ】スペシャルBOX仕様
封入特典:ブックレット
音声特典:angelaによるオーディオコメンタリー
映像特典:舞浜アンフィシアター公演メイキング映像

<収録内容>
「angela Asia Tour 2019 “aNI-SONG”」舞浜アンフィシアター公演(2019年5月2日開催)
※“もっとaNI-SONG”アングル機能付き

1.SURVIVE!(劇場アニメーション『K SEVEN STORIES』OP主題歌)
2.KIZUNA(TVアニメ『K RETURN OF KINGS』最終話EDテーマ)
3.彼⽅のdelight(TVアニメ『アスラクライン2』EDテーマ)
4.キラフワ(TVアニメ『アスラクライン2』最終話EDテーマ)
5.明⽇へのbrilliant road(TVアニメ『宇宙のステルヴィア』OPテーマ)
6.Calling you(劇場アニメ『BLAME!』主題歌)
7.バイバイオーライ(TVアニメ『COPPELION』最終話EDテーマ)
8.蒼穹(劇場アニメ『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』主題歌)
9.果て無きモノローグ(TVアニメ『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』挿入歌)
10.Different colors(劇場アニメ『劇場版 K MISSING KINGS』主題歌)
11.Beginning(TVアニメ『屍姫 赫』『屍姫 玄』 第13話-14話・第23話-24話 EDテーマ)
12.全⼒☆Summer!(TVアニメ『アホガール』OPテーマ)
13.THE BEYOND(『蒼穹のファフナー THE BEYOND』OPテーマ)
14.私はそこにいますか(『蒼穹のファフナー』シリーズ イメージソング)
15.僕は僕であって(TVシリーズ『亜人』第2クール前期OPテーマ)
16.BURN(劇場アニメーション『K SEVEN STORIES』Episode5『メモリー・オブ・レッド ~BURN~』ED主題歌)
17.Shangri-La(TVアニメ『蒼穹のファフナー』OPテーマ)
18.シドニア(TVアニメ『シドニアの騎士』OPテーマ)

[ENCORE]
E1.memories(TVアニメ『神八剣伝』OPテーマ)
E2.その時、蒼穹へ(TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』挿入歌)
E3.イグジスト(TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』OPテーマ)

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