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INTERVIEW

2019.09.25

「作品を背負って歌う」ことの覚悟を語る angelaの新たな挑戦!「angela Asia Tour 2019 “aNI-SONG”」ライブBDリリース記念インタビュー&ライブレポート

atuskoが「恨み節」を演出に替えた演出とは?

――atuskoさんは今後についてどんな考えをお持ちですか?

atsuko これはライブのMCでも言ったんですけど、去年のオールタイムベストライブは、どちらかというとオープニング主題歌寄りでシングルコレクションのような選曲になっていたので、しばらく歌っていなかった曲や最終回エンディングのようなセットを組みたいなと思っていました。今回で言えば「彼方の delight」(『アスラクライン2』EDテーマ) や「バイバイオーライ」(『COPPELION』最終回EDテーマ)、「Beginning」(TVアニメ『屍姫 赫』『屍姫 玄』 第13話-14話・第23話-24話 EDテーマ)がそう。今後も、そういった曲に脚光を浴びせられるようなライブをしていきたいですね。2010年代はとにかくフェスが増えたのでお客さんとのコール&レスポンスを意識した曲が多いのですが、’00年代にはそこまで考えて作っていない曲が多いんです。そういう私一人が歌うタイプの曲で、まだあまり披露していない曲が他にもあるのでそのあたりを掘り下げていきたいですね。ちょっとずつでも変えていかないと飽きられるので(笑)。

KATSU 今回のひとつチャレンジだったのは、「KINGS」を演っていないこと。発売以来必ずセットに入れてきたんですが、最後まで悩んだ挙げ句、敢えて外したんです。VJの人たちもすごくガッカリしていたみたいなんですけど、自分たちの代表曲のひとつを外すことも飽きさせないっていう意味でまたチャレンジかなと思って。

atsuko それは良かったと思うよ。ないのがよかったっていうのは変だけど。それに関して、私はお客さんに対して根に持ってる事があって(笑)。

――どういうことですか?

atsuko 私達はいつも初めて来てくれる人にも入りやすいライブをしたいなと思っていて、振り付けがある曲を演るときには歌う前に練習をするタイミングを作るんです。

――たしかにいつもされていますね。

atsuko そう、それなんです。で、去年のオールタイムベストライブのときに「KINGS」で、「最初に右手をグーにして」とやったら、お客さんからの反応が「ああ~」だったんですね。つまり、「右手を~」という段階でもう「KINGS」を演るんだと分かる。それでその反応が出たわけ。そういう感じになると、初めて来たお客さんがせっかく皆と合わせる曲になったときに「お約束を知らない自分」を意識してしまって、逆にひとりぼっち感を味わわせてしまうことになるなと思って、今回は敢えて全曲振付の練習なしで進めたんです。難しいラインではあるんですけど、それはひとつのチャレンジでした。ただangelaの振り付けって繰り返しが多いので1番を聴けばなんとなくわかるし、そこはお客さんの自主性が生まれることに期待した部分でもありました。16年もやってるアーティストのワンマンライブに初めて来てくれるって、すごく固い意志の方だと思うし、不安もあったと思います。そうした方に安心して観てもらうことと、いつも来てくれるお客さんにも新鮮な気持ちで見てもらうという演出の両立は改めて難しいなと感じました。

KATSU 僕から聞いてみたいのは、取材する側から観ていかがでしたか? “aNI-SONG”という新しいテーマでやるということは事前に示してあって、いつもと違った感じで観られました?

――自分としては、最初におっしゃっていたように、「ステージのどこを見ればいいのかわからない」状態でした。VJも観たいし、パワフルな演奏陣も観たいし、ダンサーさんも追いかけたいしというところで、良い意味で見どころが多くてレポート記事を書くのが大変でした。映像ソフトではスイッチングして何度も観たいところですね。

atsuko ライブが終ってからファンレターが届いたんですけど、そこにも「あんなに見るところが多いのは困ります。1曲について3回から4回は行ってもらわないと」って書かれていました(笑)。3回も4回も演ったら、それこそ「ああ~」ってなる(笑)。

――なるほど。最後に今回の公演を振り返ってどのように感じて、そして今後“aNI-SONG”というライブ形態をどのように育てていきたいと考えていますか?

KATSU 作品イベントでは当たり前かもしれないけど、やっぱりアニメを背負って演る緊張感とか、普段自分たちの音楽はどれだけアニメに助けられてるのかみたいなのとか改めて実感しましたね。本番中は後ろだから見えないんですけど、リハのときは常にプロジェクターで映して合わせて演奏していると、自分でもグッと来る瞬間が何度もありました。他のアニソンアーティストも絶対やったほうがいい。そして“aNI-SONG”というシリーズをパッケージングしてVJ チームも一緒に海外で公演を行ないたいなと考えています。今回のアジアツアーで何曲かやってみて新しい発見だったのが、LEDのスクリーンがメチャクチャ大きくて、そこでアニメの映像を流すとホントにアニメの中に入った感じでスゴい迫力なんです。しかも、後ろから発光しているから投影型と違って影にならない。そんな風に発見もあったし、“aNI-SONG”シリーズとして、できたことできなかったことが見えた最初の公演になったと思います。『KINGS』もやらなかったことで絶対的な王者感を改めて感じることができました。第2回目に向けて構想が膨らんでいるので、次につなげるライブにしていきたいですね。先ほどは絶滅危惧種とか言いましたが、競ったり戦ったりするのではなく同じ業界の人達にも「なんかangelaがこんな事やってるぞ」みたいに意識してもらって、アニソン専門アーティストを絶滅させないための新しい見せ方を一緒に模索していければうれしいなと思います。

atsuko 私はただただ楽しかったので、単純にまたやりたいという思いがあります。自分だけでは分からなかった良いシーンとかも本物のオタクの人に映像を作っていただけてお客さんの反応を見られたことで実感も得ましたし、まだ歌えていないアニソンも60曲くらいあるので、この熱量をまた次へ繋げていきたいなと思います。

Interview & Text By 日詰明嘉

※次ページに本ライブのレポートを掲載!

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