2012年3月にシングル「愛言葉」でメジャーデビューを果たした佐香智久。以降、TVアニメ『ポケットモンスター XY』や『抱かれたい男1位に脅されています。』など、幅広い作品とのタイアップを経て、初となるベストアルバムをリリース。デビューからの軌跡がたっぷりと詰まった『さこともベスト』について、佐香自身による全曲レビューと併せてじっくり語ってもらった。
――初のベストアルバムということで、収録曲にはデビュー当時の楽曲が入っています。デビューは2012年、7年前ですね。
佐香智久 これまでリリースしたシングルを順番に収録しています。デビュー当時の7年前はとにかく毎日必死に走っていたので、右も左もわからない状態でした。今、改めて振り返ると、あまり周囲を見渡す余裕もなかったなと思います。でも、1曲1曲、一生懸命思いを込めて、恥ずかしくない曲を出したいと頑張っていました。
最初はただ純粋に「曲」のことだけを考えてやってきたんですけど、シングルを重ねていくうちに、誰かのために歌っている自分でありたい、と思って歌い始めたんです。今は、そう思う自分のためにも歌っていきたいなと。 この7年、心境の変化があり、それとともに自分の音楽も変わってきたかなと思います。
――今回のアルバムを見ると、デビュー当時と現在では楽曲の雰囲気が楽曲が変わりましたね。
佐香 そうですね。7年というのは人を変えるには十分すぎる時間です。当時生まれた子が、もうランドセルを背負っていますから(笑)。
――デビューが決まったとき、今の未来、つまり「ベストアルバムを出す」自分は想像できていましたか?
佐香 こればっかりはもうわかんないですよ。改めて(アルバムの)ラインアップを見たとき、これだけやってきたんだと自分でも驚きます。1枚のシングルを出すだけでも大変な世界ですから。
改めてアルバムをつくったことで、いろんな人たちの顔が浮かんできました。お客さんも、スタッフさんも。その時々でライブもやりましたし、リリースイベントも含め、シングルごとにいろいろなことがあったなと。舞台や声優などにもチャレンジできましたし、本当に感慨深いですね。
――まさに歴史が詰まった1枚だと?
佐香 本当にそうです。実は当初は「ベストは出さなくてもいいじゃん」という思いがあったんです。曲はシングルとして発売しているし、ファンの方々からすればすべて知っている曲なわけで、新鮮ではないですよね。それってどうなんだろうって(笑)。でも、いざ、こうやって曲を並べてみると、なんか美しいですね。
――美しい?
佐香 はい、美しい(笑)。佐香智久として、自分として、ひと区切りできた。この1枚はすごく意味を持ったものになった気がします。アーティストの先輩方がベストアルバムを出す理由が少しわかりました(笑)。
―――『さこともベスト』というタイトルは自分でつけたんですか?
佐香 そうですね、シンプルですけど、もうこのタイトルしかないなと。孫の孫まで伝わるように、遺産として残せるように(笑)。
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