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INTERVIEW

2019.05.15

音楽活動10周年で、意外にも初となるアニメ主題歌を担当!TVアニメ『真夜中のオカルト公務員』OPテーマ「dis-communicate」福山 潤インタビュー

4月から放送開始となったアニメ『真夜中のオカルト公務員』。たもつ葉子による人気コミックスが原作で、新宿区の職員として区内に生息する人間ならざる存在のアナザーが起こす事件と対峙していく宮古 新と、新宿区役所夜間地域交流課の個性的な同僚たちや、これまた鮮やかな個性を放つアナザーたちとの騒動や事件、日常を描く物語だ。そのアニメーションのオープニング主題歌「dis-communicate」を歌うのは、主人公・宮古 新を演じる福山 潤。意外にも初のタイアップ曲となった今回のシングルについて、彼に話を聞いた。実は今年、音楽活動10周年を迎えるということで、改めて彼の音楽観について、作詞について、さらに作品との向き合い方についても直撃した。

――アルバム『浪漫的世界31』で「気になるアイツはポンチョ~ヌ」を歌われてから、今年で10年になる、実はアニバーサリーなタイミングの年なんですよね。

福山 潤 そうなんですよ。あのアルバムを制作させてもらったときには、まだ音楽のことを何もわかっていなかったんです。それは今もあまり変わっていないかもしれないんですけれども、「どういうふうに今後提示していこうか」ということに関しては、10年前よりももっともっと自分の意志や主張が入っているかなと思いますし、作っていく過程をより楽しめてはいるかなと思います。というのも、作詞をさせていただくことも含めて、コミュニケートを取ったうえで今後どうしよう、と楽しんでやっているような感覚があるんです。以前は「僕を使って遊んでください」と投げて、そこに対して届いたものを僕がやる、という形だったのものが、だんだん変わってきましたね。できることをどんどん増やしていって、弱かった部分も強化していって、ひとつの作品としてより面白いものにしていきたいという思いで活動しているのが、2017年の「KEEP GOING ON!」から始まった今の形になっているんですね。あそこからラップに挑戦したり。やったことのないことをたくさんやりながらではあるんですが、そうした活動をしてきたなかで、今回はアニメのタイアップ曲というあらたな挑戦になりました。

――お話にも出ましたが、今回のニューシングル「dis-communicate」はアニメ『真夜中のオカルト公務員』の主人公・宮古 新としてではなく、アーティスト・福山 潤として歌われるということで、楽曲に向き合うときの気持ちもこれまでとはだいぶ変わりそうですね。

福山 作品のことを考えてオープニングを作って、しかも主演もやらせてもらうということで、作品についていちばん理解していなきゃいけないんだろうなとも思うので、そこの説得力を自分の中にしっかり持っておかないといけないなと。せっかくこういった作品なのにぼんやりとしてしまったらもったいないし、観ている人たちにも申し訳ない。ただ以前ならそういったことをプレッシャーに感じていたと思うんですが、今は面白くて仕方がないです。

――新しいことに挑戦する、ということに対して柔軟なんですね。

福山 やったことのないことをやるのが楽しいなって思うんです。いちばん嫌なのは、ひよって中途半端にしてしまうこと。例えばそうしてしまっていい結果が出なかったなら、中途半端にしたからだ、と思うだけでしょうけど、ちゃんと向き合って悪い結果が出たなら、何がダメだったのか、何が足りなかったのかということが具体的にわかる。精一杯やったうえでいい結果が出たなら「これをやったからだ」ともわかる。「結果が出る」ということが何よりも大事だなと思いますし、やったことがないことはそういった経験を積み重ねるうえでの第一歩になるわけですから。それは今、どんな仕事のジャンルであっても、やったことがないことを今やるということに魅力を感じています。

――では『真夜中のオカルト公務員』のオープニングを作ることになったときに、どんなことをいちばん表現したいと思われたのでしょうか。

福山 タイアップが決まる前に漠然と作詞の松井洋平さんと「次の作品はどんなものにしましょうか」という話をしていたんです。その時点ではサビは疾走感のある曲に、なんて話をしていて。前作の「Tightrope」に関してはタイトルを決めてから曲を作る、という形での制作だったんですね。僕はタイトルが決まったほうが歌詞を書きやすいんです。テーマが決まるから。でも今回は、「作品」のテーマと、でも僕のプロジェクトであるということ、そして入れてほしいワードをいただくという実質的なテーマもあったので、タイトルは後付けでいいかなと思いました。その結果、この作品は、人間とアナザーとの相容れなかったり難しさのあるコミュニケートの中で、それが実際の人間同士の関係性やコミュニケートにも繋がっていくということが魅力だと感じているんですが、作品に寄せつつも、物語の舞台である「新宿」を自分たちがどう見ているか、というところをテーマにしようと思ったんです。それで松井さんと「新宿をどう見ています?」っていうインタビューをお互いにしながら、いろいろと話をしていって。今度は作品をどのように落とし込んでいくか、と会話をしながら、大まかな骨格を松井さんに作ってもらって、肉付けを僕がする、というやり方で徐々に作詞を進めていきました。

――作詞は松井さんとのタッグで作業をされていらっしゃいますが「松井洋平さんの歌詞」に対してはどのような想いがありますか?

福山 まったくもって僕と言葉の作り方が違うんですね。松井さんは僕の歌詞の作り方がわかっているので、「福山 潤っぽく」書けるんです。でも松井さんの言葉のはめ方は、僕には「これでできるのかな」と思ってしまうようなスタイルなんです。でも歌うと、めちゃくちゃはまる。これが不思議で。文字と譜面だけで見ていると、「これは難しくないか?」と思うワードが多いけど、やってみると親和性がある。やはり作詞のプロだなぁ、ということをまざまざと見せてもらえる。その中に、僕の硬い言葉が入る。松井さんに言わせると、詞に使わないような言葉ばかりを出してくるらしいんですよね。それは僕の色だからやっていった方がいい、ともおっしゃってくれて。お互いのパズルがはまることで面白くなる。僕にない感性を出してくれる松井さんの歌詞に、僕の言葉を入れることがとにかく面白いです。

――福山さんの歌詞の「こだわりの部分」というと?

福山 声優なので、普段、セリフを言っているというのもありますから、「文章として言葉に繋がりを持つ」というのは重要かなと感じます。自分の中でも繋がりのない言葉の羅列が苦手なので、なるべく書きながらメロにもはまるようにはするんですが、文章として繋がるものにしたい、と思っています。

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