INTERVIEW
2017.04.28
佐藤 それはやっぱり、阿澄佳奈という才能ですね。
ミト 地上波じゃないウェブラジオをあそこまで強烈なコンテンツの一環に含ませたのは、やっぱり「阿澄佳奈プロジェクト」的な演出力があったんだと思います。
───いわゆるソロアーティスト活動でないにしろ、一連の『ひだまり』楽曲は阿澄さんをどうプロデュースしていくかという側面があったのかもしれませんね。
佐藤 そうですね。『ひだまりスケッチ』は作品自体には音楽的な要素ってほぼないんですよ。だからこそ音楽は好き勝手やれたというのもあると思います。
ミト 作品自体には音楽が絡まないというリージョンフリーがあったんですね。
佐藤 「恋いろSHOOTING」となると、もう阿澄さんのゆのボイスありきですよね。
恋いろSHOOTING ( 「ひだまりラジオ×ハニカム」 OPテーマ)
歌:ゆの( CV.阿澄佳奈)
作詞:ZAQ 作曲・編曲:Adoriano Spines
それじゃ、ひだまり荘へ ( 「ひだまりラジオ×ハニカム」 EDテーマ)
歌:ゆの( CV.阿澄佳奈)
作詞:micco 作曲・編曲:梅原 新
※どちらもシングル「恋いろSHOOTING」に収録
ミト この頃になってくるとラジオに対する耐性も付いてきているので、何が来ても大丈夫という状態でした(笑)。
佐藤 この辺りからは『ひだまりスケッチ』ではなく、『ひだまりラジオ』のイメージで作り始めていますね。「ハチャメチャなラジオがあって、その番組のテーマ・ソング」という考え方で、キャラクターのアイデンティティーとしてはゆのと阿澄さんが入れ替わってきていると思います。
ミト これを歌っている頃には、阿澄さんはもう声優アワードで歌唱賞を貰っていましたよね。自信のつき方が違うというか、何が来ても大丈夫という安定感がありました。悪ノリとナンセンスの精度が素晴らしかったですよ。
佐藤 頭の回転がとてつもなく速いんですよね。
ミト またギリギリのところで寸止めするじゃないですか。なかなかできないですよ、あんなことは。そして「それじゃ、ひだまり荘で。」なんですが、この曲くらいから私の中では「なぜTKをオマージュしているのか」という疑問が生まれてくるんです。
佐藤 あんまり意識はしていなかったんですけど、大団円感はそういうところから影響があったのかもしれませんね。
ミト アコギでオーガニックな感じなんですけど、キャラクターとして太め。あとはメロディーラインからそう感じますね。「それじゃ、ひだまり荘で。」と「ひだまりランド・ゴーランド」は私の中ではTKオマージュが絶対あると思ってました。
ひだまりランド・ゴーランド ( 「超ひだまつりZ」 テーマソング)
歌:ゆの( CV.阿澄佳奈), 宮子( CV.水橋かおり), ヒロ( CV.後藤邑子), 沙英( CV.新谷良子) 、
吉野屋先生( CV.松来未祐) 、校長先生(CV.チョー)、うめ先生( CV.蒼樹うめ)
作詞:畑 亜貴 作曲:Tatsh 編曲:原田勝通
佐藤 今聴くとたしかに感じますね。「なんでもあり」という制限が、実は逆にプレッシャーになっていた時期もあるんですよ。「何を作っても喜んではもらえるけど、すごくびっくりさせるためにはどうしようか」とか、次の驚きを簡単に思いつけずにいたんです。その結果自然と、好きなものからの影響が出ているのかもしれません。
ミト 私は「ひだまりランド・ゴーランド」を武道館で聴いて、大団円を見終わった1時間後には秋葉原のMOGRAでDJをしてたんですよ。そのときに私が武道館用にエディットした「組曲「ひだまりスケッチ」~超ひだまつりin日本武道館~」をハイレゾで爆音で流したんです(笑)。
───『ひだまりスケッチ』公式DJですね(笑)。
佐藤 実質そうですね(笑)。
ミト 「リミックスを作ってください」と、全部マスター音源を渡されているわけですからね。
佐藤 その頃には「クラムボンのミト」というよりかは「2 ANIMEny DJsのミト」、もしくは「アニメが好きな人」というイメージが完成していました(笑)。
ミト 「超ひだまつり」の司会はよっぴー(ニッポン放送・吉田尚記アナウンサー)だったんですけど、彼も1時間半後には同じくMOGRAにいましたからね。そこで武道館で披露された『ひだまり』メドレーを掛けるわけなんですけど、そうしたらさっきまで武道館にいた人が50人くらいその場で盛り上がっていたんです。「お前らどういう瞬間移動アビリティを持っているんだ」と(笑)。
佐藤 九段下から秋葉原って決して近くはないですよ(笑)。
ミト そしてここで、最初に話した「曲間が素晴らしい」という話に繋がるんですよ。「ひだまりランド・ゴーランド」が終わったあとに、あの武道館の感動をへし折るかのごとくゼロ秒で校長先生が歌う「おとこのこパズル」が始まるんです(笑)。
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