TVアニメ『ひだまりスケッチ』シリーズ主題歌集『ひだまり荘で、待ってます。』ハイレゾ版 クラムボン・ミト×Lantis音楽プロデューサー・佐藤純之介 スペシャル対談【後編】

ミト そういう形で制作陣の音楽愛が強いなということが伝わってきていて、その印象を抱いたまま佐藤さんと出会うわけです。

佐藤 作品が続いてキャラが出来上がっていけばいくほど、キャラクターの歌い方も出来上がっていくんですよね。リズムやピッチの細かい部分を言うことはありますけど、ベーシックな部分のニュアンスの出し方はこちらからはほぼ何も言っていませんでした。ツーカーでわかっている感じですね。

ミト 『ひだまりラジオ×☆☆☆』になると、「笑うかどにはパンパンパン!」と「誰かがまってる」が本当にアンセムなんですよ。これはもう全部シングルでいいんじゃないかってレベルなんです。

笑うかどにはパンパンパン! ( 「ひだまりラジオ×☆☆☆」 OPテーマ)
   歌:ゆの( CV.阿澄佳奈)
   作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:山口朗彦

誰かがまってる ( 「ひだまりラジオ×☆☆☆」 EDテーマ)
   歌:ゆの( CV.阿澄佳奈)
   作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:虹音

※どちらもシングル「笑うかどにはパンパンパン!」に収録

「笑うかどにはパンパンパン!」は今までのOPと全部繋げられますし、DJ目線で言うと3期までOPを流して「まだ行ける!」と思ったら「笑かど」を当てるみたいな(笑)。あとは『×SP』の「気まぐれ、じゃんけんポンっ!」も当てていって……。もう2009〜2010年くらいはアニソンDJとして、『ひだまり』曲だけでも大丈夫だった時代なんですよ。当時はそれくらいのイニシアティブがありました。そうしてどんどん「ひだまつり」の抽選倍率が強烈に高くなっていき……(笑)。

───普通にチケットを取って行ってたんですか!?

ミト 武道館は仕事で関わったので招待してもらいましたけど、パシフィコ横浜は自分でチケット取って行きましたよ(笑)。

佐藤 ありがとうございます(笑)。やっぱりハイレゾ版は、前よりグルーヴが出るようになりましたね。「笑かど」は顕著にそれがわかりやすいと思います。

ミト そう、ロー感が出ましたね。それにキャラクターであるゆのの声の太さがあるので、ニュアンスが完璧に掴みやすくなりました。

佐藤 当時はCDを最終着地点に作っていたんですよ。でもあらたなマスターを起こしてマスタリングをするとなったときに、今のモダンな音像に対して足りない部分を足して聴きやすくしていくなかで、当時から歌を太く録っていたことが良い結果に繋がりました。マスタリングという名の加工はしているんですけど、結果としてモダンな音になったので「当時の考え方は間違えてなかったんだ」と思いましたね。

ミト だと思いますよ。CDにするということは突っ込まなければならないということで、まさに2007年頃のキャラソンの突っ込み方は最盛期に近いですからね。ベタ貼りが格好良かった時代なんです。なのでハイレゾ版を聴くと、「ここはピークで歪んでたんだ」という部分がなくなったのがわかるんですよ。

佐藤 『涼宮ハルヒの憂鬱』のブレイクから続く、音圧でヒートアップさせてかっこよくかわいく聴かせるというのが当時のやり方だったんですよ。それが今になって評価が左右される部分にもなってしまっているんですが、対してハイレゾ版は今の時代のマスターに作り直したということがいちばんの肝かも知れませんね。

ミト とにかくファットですよ。ものすごく容量と密度が詰まっていて、太く聴こえる。余裕があって聴こえますよね。キャラソン界隈って勢いで押されていると思いがちじゃないですか。でも意外とそうではなくて、楽曲としての押し引きが結構重要になるんですよ。「誰かが待ってる」も、歌い出しのこのニュアンス感。これってやっぱり、ダイナミクスがないと気持ちがエンディングに向かわないですからね。

佐藤 それぞれ全員歌がうまかったですね。ニュアンスをつけて歌うのが上手でした。

───TV版の主題歌は短時間でお客さんを引き込む必要がありますが、ラジオの主題歌にはお客さんが歩み寄ってくれるイメージがあります。

佐藤 そうですね。ラジオの主題歌は、強く押し出す作り方はしていないです。TVの主題歌はどれだけほかの作品よりインパクトを与えようかと考える部分がありますが、ラジオの方は優しく作っていますね。『ひだまりラジオ』はWEBラジオではありますけど、ラジオって深夜に聴くもののイメージがあるじゃないですか。だから優しい気持ちになれた方が絶対いいなというのがあって、マスタリングもミックスもそういう方向に寄せていた記憶がありますね。

TVアニメ『ひだまりスケッチ』ラジオCD/挿入歌
ひだまりラジオ特別編~いぇすっ!アスミス!!~

ミト 深夜なのでふわっとしているようでいて、要所要所は笑いをこらえていないと事故が起こるような番組でしたよね(笑)。

佐藤 すごいラジオでしたよね。

ミト やっぱり「ひだまり荘の住人」とか、事故が起こっていて当然感がすごかったですよ。一時期本当に事故になりかけてましたもん(笑)。

佐藤 なりました、なりました。面白すぎて問題になるという(笑)。

ミト やっぱりね、表裏があるんですよ。『ひだまり』本編のちゃんとしている感じと、あのラジオという二重奏。その構造を作ったのがこのコンテンツにとって大きいですよね。

WEBラジオ『ひだまりラジオ×☆☆☆』
ひだまりらじお×☆☆☆特別編 ~いぇすっ!あすひとつ!~

この記事を書いた人