Void_Chords feat.MARU「The Other Side of the Wall」レビュー

アグレッシヴなサウンドとパワフルなヴォーカルにノックアウト! TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』のOPテーマ!!

19世紀末、東西に分裂されたロンドンにて展開される、少女たちのスパイ・アクション・ストーリー。TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』が2017年7月より放送されている。

今作のOPテーマを担当しているのが、“Void_Chords feat.MARU”。Void_Chords(ボイド コーズ)とは、数々の劇伴を手がけ、また『ACCA13区監察課』ではORESAMAのぽん、ラッパーのFoggy-Dとのユニット、ONE III NOTESにてOPテーマ「Shadow and Truth」を担当した高橋 諒が立ち上げた新プロジェクトのこと。その第1弾の楽曲が『プリンセス・プリンシパル』のOPテーマ「The Other Side of the Wall」となる。今回は『RENT』などのミュージカルでも活躍中のシンガー、“MARU”がヴォーカルを担当。圧倒的にパワフルなサウンドに痺れること間違いなしのナンバーだ。

※プロジェクト始動の経緯からコンセプト、さまざまな仕掛けが施されたシングルの制作話まで、今作に関する高橋 諒のインタビューはこちら

「The Other Side of the Wall」

ソウルフルな歌声を聴かせる女性シンガーと、アシッドジャズやブラックミュージックのサウンドを得意とする劇伴作家の組み合わせ。また、そのOPテーマが使用されるのは、大英帝国にも似たアルビオン王国の首都ロンドンを舞台としたスパイ・アクション・アニメ……となるとイギリスが誇るスパイ・アクション映画「007」シリーズの主題歌(特にシャーリー・バッシーが歌唱した「Goldfinger」など)のような曲をイメージせずにいられないのだが、そういった予想を遥かに上回るサウンドが繰り広げられている。

さまざまな音が火花を散らしながらせめぎ合い、そして堰を切って一気に流れ込んでくるイントロ部分から、混然一体となった音の暴れ具合が衝撃的。ビッグ・ビートといったロックとクラブミュージックとの折衷的な手法をアイデアの骨格に用い、外殻をジャズでコーティングしたそのサウンドは、相反する要素が互いに一歩も譲らず、衝突を繰り返しながら、やがて音の奔流として集約する、大胆極まりない展開をみせる。ロックのダイナミズムやビートのインパクトがアクションたる物語のイメージを活写。テンションの高いジャズの演奏がロンドンに立ち込める不穏な空気から、蒸気機関が発する熱量の激しさまでをも描き出している。

そして、これら荒ぶるサウンドと拮抗するMARUのパワフルなヴォーカル。レコーディングに立ち会った関係者が口を揃えて「スピーカーから風が吹いた」と語る豊かな声量と、とめどなく溢れるその力強さにまず圧倒される。それは重力を制御するエネルギー=ケイバーライトが無尽蔵に解放されるさまをそのまま示したかのよう。一筆で書き切るようなダイナミックな表現力と、激変を続けるスリリングなサウンドに絶妙な反応をみせる巧みなテクニックもやはり超一流である。

音の渦が飲み込まんばかりの勢いで押し寄せてくるような、その迫力がますます増してくるのがハイレゾ。詰め込まれたそれぞれの音要素を眺めるというよりも、むしろ音を浴びながら感じ取るようなイメージだ。また常に動き回っている音の活力や瞬間的な爆発力といったものも伝わってくる。猛々しさを全開にしたプリミティヴなドラム、旋律を搔きむしるような激情的なサックス、相手を薙ぎはらうがごときのストリングス、ひたすら我が道を突き進むベースライン。あれか、君らは暴れ馬なのか?音の軋み、歪み、唸りまでを容赦なく描き出す、まさに痛快な音の仕上がりだ。

いい意味で音の自己主張が強い楽曲だが、ハイレゾではそれぞれの個性がくっきりと浮き彫りになる解像感を感じる。またヴォーカルからはスピードを上げて爆走するサウンドの手綱を操るような揺るぎない存在感が伝わってくる。空間を突き抜けるような声の途方もない威力は圧巻。暴力的でスタイリッシュなサウンドをぜひフルサイズで体感してほしい。

「Drive My Fate」

流麗なストリングスと70年代風のキーボードの音色がブレイクビーツに絡む、インコグニートを思い出すようなアシッド・ジャズ。ロンドンの曇り空のような陰りを帯びたメロウな空間を回旋する、ビートとグルーヴのまろやかな質感が心地好い。こちらもONE Ⅲ NOTESの「Our Place」と同じくインスト・ヴァージョンでもじっくりと楽しめる充実の出来栄えだ。そして、「The Other Side of the Wall」とは一転、穏やかにでもしなやかに力強く、MARUのヴォーカルが響き渡る。ブラン・ニュー・ヘヴィーズのツアーにも参加していた彼女のこと、サウンドととの調和は完璧。J-WAVEやInterFMなどでかかっていてもなんら違和感のない、洗練された楽曲に仕上がっている。

高橋 諒は、劇中のヒロイン5人が歌唱するEDテーマ「A Page of My Story」も手がけているのだが、インタビューではメロディーが「Drive My Fate」と一緒であることが明かされている。またMARUが作詞をした歌詞も、スパイの女の子が「もし普通の女の子だったら」と空想する様子を描くもので、それぞれ作品世界とつながる仕掛けが施してある。リズムがコロコロと転がるチャーミングなブリティッシュ・ロックの「A Page of My Story」と、UKソウル的な「Drive My Fate」では、随分と雰囲気が異なるのだが、それだけに「編曲」という作業の重要性を改めて気づかせてくれるものでもある。

Void_Chords feat.MARU
The Other Side of the Wall

Lantis
2017.07.26

FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit

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©Princess Principal Project

 収録曲

 1.The Other Side of the Wall
   作詞:Konnie Aoki 作曲・編曲:高橋 諒

 2.Drive My Fate
   作詞:MARU 作曲・編曲:高橋 諒

 3.The Other Side of the Wall (Instrumental)

 4.Drive My Fate (Instrumental)

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