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2017.02.22

ONE Ⅲ NOTES「Shadow and Truth」レビュー

ONE Ⅲ NOTES「Shadow and Truth」レビュー

オノ・ナツメ原作によるTVアニメ『ACCA13区監察課』のOPテーマは、新ユニット“ONE Ⅲ NOTES”が担当。洒落たセンスを詰め込んだ聴き応えたっぷりなナンバー。

2017年1月より放送されている、オノ・ナツメ原作によるTVアニメ『ACCA13区監察課』。魅力的なキャラクターたちが交錯する、ちょっと不思議な群像劇をスタイリッシュな映像で描くこのアニメの音楽を担当する高橋 諒は、今作の主人公ジーン・オータスを演じる下野 紘やスフィア、楠田亜衣奈、堀江由衣への楽曲提供を行ない、またTVアニメ『レガリア The Three Sacred Stars』の劇伴なども担当している作曲家。

今作のEDテーマ、結城アイラ「ペールムーンがゆれてる」も手がけている高橋 諒だが、OPテーマ制作のためスペシャル・ユニットを結成。それが高橋 諒、2017年4月より放送されるTVアニメ『アリスと蔵六』のOPテーマを担当するORESAMAのヴォーカリスト・PON、経歴等が謎に包まれているラッパー・Foggy-Dの3人からなるユニット、“ONE Ⅲ NOTES(ワンサードノーツ)”。彼らのデビューシングル『Shadow and Truth』はアニメと同様、洒落たセンスがたっぷり詰まった、非常にカッコイイ音楽に仕上がっている。

「Shadow and Truth」

パーカッションの乾いた音色に続いてキレのいいサックスのフレーズが飛び出す、インパクトのあるイントロ。もう早速耳が引き寄せられてしまうが、最近のアニソンとは一風変わった雰囲気を感じるのは、曲のテイストだけでなく、その作り方にもありそう。90年代のHIPHOPやR&B、アシッドジャズを通過したサウンドを、00年代前半のJ-POP的手法で組み立て、さらにサビでは80年代的な煌めきをまとった歌謡アーバン・ファンクを展開というハイブリッドな構成。時代に則したメインストリームのサウンドとして機能するように、過去ブラック・ミュージックは日本人のフィルターを通して、「ニューミュージック」や「J-POP」へと加工されてきたが、ここではさらに時代を跨いでそれら音楽の再構築を試みている。それが借り物のパッチワークではなく、10年代のセンスによって行なわれているからこそ、懐かしさや親しみを感じつつも、今の音楽として新鮮に響くのだろう。

ジャズ・ファンクの上から矢継ぎ早にたたみかけ、リスナーからもイニシアティヴを奪うようなFoggy-Dの勢いのあるライミングに圧倒されつつ、続くPONの歌声は大人の雰囲気を漂わせるしっとりとした艶やかさ。ORESAMAとは違ったヴォーカル表現やテクニックも感じられる。このようにスタイルが異なる二人の男女のヴォーカルが入り混じるのもONE Ⅲ NOTESの大きな特徴だ。

インスト・ヴァージョン(“-off vocal-”)では、Aメロのブレイクビーツとサックスの組み合わせが何だかThe 45 kingに聴こえてきたり、最後のサビへと向かう落ちサビの箇所で流れるシンセのフレーズに、サトシ・トミイエが90年代半ばに使用したMFSBの“K-Jee”(オリジナルはThe Nite-Liters)を思い出したりと、クラブ・ミュージックをルーツに持つ高橋 諒のDJ的センスも垣間見えて興味深い。

「Our Place」

厚めのストリングス・シンセにベースやアナログ・シンセの音色が絡むように浮かぶイントロからムード抜群。ファンキーなギターのカッティングや鮮やかな旋律を奏でるピアノを交え、ちょっぴりラテン・フレイヴァーを加えた心地好いメロウグルーヴ。アジムスなどを思い浮かべさせるクロスオーバーなフュージョンのサウンドは、夜の高速道路を走りながら聴きたくなってしまう。

さてここまでは「Our Place」の“off vocal”ヴァージョンを聴いた感想。「ここからはサビだな」などとヴォーカルが入っていたことを意識せずに聴かせてしまう、ある意味ヴォーカル無しでも成立しているトラックは聴き応え充分。そして、このサウンドにヴォーカルが乗っかると、インコグニートのようなアシッドジャズの雰囲気が一気に立ち込めてしまうのも面白い。サウンドと一体化するようなFoggy-Dのリズミカルなラップと、軽やかに舞うように巧みな抑揚を聴かせるPONのセクシーな歌声。ふたりのユニゾンが聴こえるサビもいい。といったところでモンド・グロッソやMonday満ちるが好きな方にもオススメしたい。

「Shadow and Truth」に比べるとぐっと洋楽志向のサウンドで、またこれに似合ったヴォーカルのイントネーションや英語が多く入った歌詞もあって、途中から何の楽曲を聴いているのかちょっと忘れてしまいそう。逆に言えば「Shadow and Truth」や「Our Place」のような曲を使用できるぐらいアニソンは自由なフォーマットであることを思い出させてくれる。そして楽曲からは、感度の高いリスナーに対してここまでのクオリティを提供できるといった自信や挑戦的な姿勢も窺えるようだ。

ONE_Ⅲ_NOTES_shadow_and_truthONE Ⅲ NOTES
Shadow and Truth

Lantis
2017.02.22

FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit

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©オノ・ナツメ/SQUARE ENIX・ACCA製作委員会

 収録曲

 1.Shadow and Truth
   作詞:Konnie Aoki 作曲・編曲:高橋 諒

 2.Our Place
   作詞:Konnie Aoki 作曲・編曲:高橋 諒

 3.Shadow and Truth -off vocal-

 4.Our Place -off vocal-

©オノ・ナツメ/SQUARE ENIX・ACCA製作委員会

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