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2017.10.11

緒方恵美『アニメグ。25th High Edition』レビュー

緒方恵美『アニメグ。25th High Edition』レビュー

1999年にリリースされたL’Arc~en~Cielの「Driver’s High」は、TVアニメ『GTO』OP主題歌に起用されたシングル曲。アレンジは緒方恵美や内田 彩、また今回のクラウドファンディングを支えたbambooのバンド・milktubの楽曲を手がけ、多くのアーティストのライブにてバンマスを務める宮崎京一が担当している。「ストレートにやりたい」という緒方のオーダーのとおり原曲に敬意を払いつつも、元Lastierのギタリスト・宮崎京一ならではのアレンジとなっており、そのこだわりを随所に聴かせる。グルーヴをさらに効かせた、ライブのような一体感が感じられる演奏で、そしてダイナミックなサウンドに乗せて歌い上げる緒方恵美の表情が何より気持ちよさそうなのである。楽曲の昂揚感をさらに高めてくれるボーカルが何より魅力的だ。

「キミの記憶」川村ゆみが歌ったオリジナル・ゲーム版の、また劇場版でも使用された『ペルソナ3』のED主題歌。アトラスのゲーム・クリエイター・小森成雄が作詞を、サウンド・コンポーザーの目黒将司が作曲を手がけている。『ペルソナ』ファンから人気が高いこの曲のアレンジを、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』にてアイギス役を演じたZAQが担当。原曲のアコースティックギターによるフレーズを生かしつつ、キーボードのフレーズを加え、さらに淡くエモーショナルな雰囲気を作り出している。アイギスをイメージさせる歌詞と相まって、さらに感動が高まる楽曲となった。「不完全燃焼」と同じくこちらも歌うのが非常に難しい曲なのだが、自らのものとして歌い上げる緒方の歌唱力が見事である。

「太陽がまた輝くとき」は、作詞・作曲を手がける高橋ひろが歌唱したTVアニメ『幽☆遊☆白書』のED主題歌。『幽遊白書 ~collective rare trax~』には幽助役の佐々木望によるカバーが収録されているが、今回は蔵馬役の緒方恵美と飛影役の檜山修之によるデュエットとなる。三森すずこ「ユニバーページ」や、内田真礼「+INTERSECT+」(作曲はZAQ)などの編曲を手がける増田武史によるアレンジが、楽曲の哀愁をいっそう濃くする。サウンドは緒方と檜山の声に合わせてキーが低くなっているのだが、だからこそ終盤の“にじむシルエット”のファルセットがさらに引き立つ。交差するふたりの歌声が楽曲の余韻をさらに深くする。

「絶望性:ヒーロー治療薬」は、2013年に放送されたTVアニメ『ダンガンロンパ The Animation』のED主題歌。なお最終回では緒方恵美の「再生 -rebuild-」(アルバム『Rebuild』収録)のリアレンジ・ヴァージョン「再生-rebuild- re:build ver.」が使用されている。ボーカルにそらるをフィーチャーしたスズムによるナンバー「絶望性:ヒーロー治療薬」をアレンジするのは、凛として時雨のドラマー・ピエール中野、MY FIRST STORYのベーシスト・Nob、9mm Parabellum Bulletのギタリスト・滝 善充、新進気鋭の作曲家・ANCHORからなるクリエイターズ・ユニット“ZiNG(ジング)”。結成したばかりの彼らによる活動第1弾がこの「絶望性:ヒーロー治療薬」のアレンジとなる。そのせいもあってか原曲を上回るテンションの高い演奏からその気合が十分伝わってくる。よりプレイヤーの演奏に沿った、セッションを重ねたうえに出来上がったアレンジで、間奏もまた洒脱である。そんな演奏に呼応するように、緒方恵美のボーカルもまたクールで熱い。

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