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INTERVIEW

2018.01.24

デビューアルバム『Fly High Myway!』渕上 舞インタビュー

後悔しない一枚にするために、リード曲で下した大きな決断

──さて、続いてはデビューに関連したお話をお伺いしたいと思うのですが、デビュー自体のお話があったのはいつ頃だったんでしょう?

渕上 最初の話し合いに私が参加したのは、去年の夏でした。先ほどお話したように「ひとりはいいかな?」と思ってたはずだったんですけど、実際にやれるとなると純粋にうれしくって。キャラクターを演じていても“CV:渕上 舞”ってお名前は載せてもらえるんですけど、それとはまた違ってある意味「自分の生きた証を残せる」といいますか。完全に自分自身として名前が残せるものを作れるというのは感動がひと味違うんだな、っていうのを感じましたね。

──そのデビューアルバム『Fly High Myway!』は、いつ頃まで制作されていたんでしょう?

渕上 12月の上旬頃までですね。夏に話し合いに入ってから、テーマを決めて、レコーディングして、お写真を撮っていただいて、最後のほうはマスタリングにも立ち会わせていただきました。

──ジャケットやアー写を彩る色とりどりの羽根から、“鳥”がテーマのアルバムなのかな、と思ったのですが。

渕上 そうですね。「好きなものを詰め込みたい」というのがいちばんにあったので、提案させていただきました。やっぱり鳥は大好きですし、私の中で大事な存在なので。お写真はもちろん曲でもいろんなところに鳥に関連する言葉が入っていたり、ある鳥さんをモチーフにした曲もあったりと、本当にありとあらゆるところに“鳥”というものを散りばめた一枚になっています。

──ジャケット写真では、渕上さんが着られている青のドレスも鮮やかで印象的です。

渕上 青をイメージカラーといわせていただいているので、「やっぱり青い服着たいよね」とか「全体的なイメージは青で作りたい」などの意見を出させていただきました。

──そのジャケ写がまさに、アルバム全体を表した一枚になっているように感じました。

渕上 鳥といってもいろんな種類がいて、であれば様々な色の鳥がいて……というところで、今回カラフルな羽根を使って写真を撮っていただきまして。自分自身も大好きな青に包まれて、「“青い鳥”なのかな?」みたいに思いながら、写真とMVを撮っていただきました。

──色とりどりなのは、アルバムの収録曲のことも表しているのでは?

渕上 そうですね。今までキャラクターとして歌わせていただく機会は多かったんですけど、その場合って演じるキャラクターによって曲調が決まってくるじゃないですか? これまでは優しい印象のキャラクターをやらせていただくことが多かったので、速めのテンポの曲が少なかったんですよ。なので今回は、挑戦という意味も含めて、これまであまり歌わなかったような曲も入れて。そういう新しい渕上 舞の歌も皆さんに聴いていただきたいなと思い、ありとあらゆるタイプの曲をギュッと詰め込みました。

──それぞれ曲ごとのコンセプトも、渕上さん発のものなんでしょうか?
渕上 もちろん私もアイデアを出しはしたんですけど、そこからスタッフさんを交えてみんなで話し合いを重ねて、1曲ずつ作り上げていきました。申し訳ないながら、何回もやり直していただいた曲もありまして。でもだからこそどの曲もお気に入りで、「お気に入りの1曲なんて選べない!」って本心から言える曲たちができました。

──また、先ほどお伺いした大きなテーマのほかに、一枚でひとつのストーリーが作られているような印象も受けたのですが。

渕上 そうですね。もうひとつのテーマとしては、朝から夜まで一日を描くというものもあって。なので序盤は明るめな曲が多くて、後半になるとちょっと夜っぽい曲が増えていきます。

──そんなアルバムの幕開けは、1曲目「おはようの合図」で陽が差し込んできて、本格的に“はじまり”を迎えるリード曲「Fly High Myway!」まで途切れなく組曲のように続いていきます。そのイメージも、渕上さんから出されたものなのでしょうか?

渕上 これはアイデアをいただいたんです。曲の流れ自体は元々続けて聴くように作っていただいていたんですけど、その提案をいただいて「曲間って、決められるんだ!」っていうのを初めて知ったんですよ。それまで私、全部同じだと思ってたんです。だから本当に失礼なCDの聴き方してたんだなって(笑)。実際自分でも「曲間をコンマ何秒にするか?」っていうのを決める作業に携わると、好みの曲を聴いてほしいという気持ちのほかに「1回全部、曲の繋がりまで楽しんでください」とも思えて。それもまた「新しい!」って感じましたね。

──しかもそれが、一枚で「おはようからおやすみまで」の流れがあるアルバムでですからね。

渕上 そうですね。最初からそういう細かい作業にまで携われたので、「ちゃんと作ったよ!」って胸を張れる一枚になり、本当によかったなって思います。

──楽曲を聴いたとき、渕上さんはどんな印象をもたれましたか?

渕上 特に「Fly High Myway!」は一目惚れというか……曲だから“一聴き惚れ”なのかな(笑)。すごく好きなメロディだったので、「この曲をリード曲にしたい」って思って、それがいちばん最初に決まったんですよ。さっきお話させていただいたように、こういうアップテンポで爽やかな曲を歌う機会がどちらかというと少なかったので、新しいスタートというところでの挑戦じゃないですけど、こういう曲をやってみたいなという強い気持ちが芽生えて、この曲を選ばせていただきました。

──2曲とも歌詞を手がけられていますが、それぞれイメージはすぐ浮かびましたか?

渕上 はい。新しい始まりと、“渕上 舞”として歌をうたううえでの意気込みと、あとは自分らしさも込めました。これはこの曲に限らないんですけど、自分の口癖とかを思い返したりして、自己紹介じゃないですけど、そういうところからも渕上 舞という人間性が伝わるようにいろいろ考えながら書かせていただきました。

──作詞自体は、これまでに経験はおありでしたか?

渕上 1曲だけ、キャラソンだったんですけどやらせていただいたことがありました。でも今回は私自身の気持ちと背景が全部なので、すごく言葉選びが難しくて。「私って、普段何言ってるかな?」っていう自分探しの旅みたいなところからのスタートでした。また、「それをみんなに伝えるにはどうすればいいのかな?」とか考えて書こうとすると、言葉と言葉が繋がらなかったりもして。いろんな言葉を連ねていくというのは、大変なんだなと思いましたね。でも歌詞を書かせてもらった6曲全部が大変満足できるものになったので、皆さんに気に入ってもらえるとうれしいです。

──ちなみに、「Fly High Myway!」は元々別の方が歌詞を書かれていた、とお聞きしたのですが。

渕上 そうなんです! 元々は結城アイラさんが歌詞を書いてくださっていたんです。それも素敵な歌詞ではあったんですけど、さっき言ったような「こういう人間です」っていう自己紹介をしたいっていう想いに照らして考えたとき、「自分で書いたほうが、いいんじゃないかな?」と思うようになりまして……。ざっくりとノートに書いて打ち合わせに持っていって、「ちょっと大事なお話が……」と。

──恐る恐る(笑)。

渕上 はい(笑)。でも皆さんとてもポジティブに受け取ってくださって。何より、時間を割いて歌詞を書いてくださったアイラさんが、「舞ちゃんが書くなら、絶対舞ちゃんが書いたほうがいいと思う」って言ってくださったのに、すごく救われました。やっぱりお忙しいなか時間をかけて書いてくださったものをなかったことにするというのは、すごく怖いことだったんです。でも、本当に「これで終わりでもいいぐらいの、満足感のある一枚にする」ために、大きな決断をさせていただきました。
──まず一枚、余力を残さず全力で作るぞ、という姿勢というか。

渕上 はい。私、「明日死ぬかもしんないし」ってよく言うんですよ(笑)。人がいつどうなるかなんて、本当にわからないじゃないですか? だから「次でいいや」って残しちゃうと、その次がなかったときに後悔するなと思って、意を決して言わせていただいたんです。

──そうやって歌詞を手がけられたこの曲、歌ってみていかがでしたか?
渕上 普段なかなか歌わないような爽やかさや力強さのある曲なので、楽しかったんですけどすごく疲れました。それこそ余力を残さず、弾けるところは弾けて、声出すところは声出して。そういうところから来る、いい疲労感でしたね。

──出し切ったからこその、心地よい疲労感。

渕上 そうですね。でもこれが最初のレコーディングだったので、終わったあとに「よし残り11曲!……わー、多いなぁ」と実感しまして(笑)。最初の頃は、「本当に12曲? ミニアルバムじゃなくて大丈夫ですか?」ってずーっと言ってましたね(笑)。でも終わってしまえばあっという間で。残りがいっぱいあって「大変だなぁ」って思ったときもあったけど、残りの曲数が少なくなってくるとやっぱり寂しいものでしたね。

──その「Fly High Myway!」では、ロングトーンの部分のビブラートに渕上さんらしさを強く感じました。

渕上 何人かで歌うキャラソンのときは、ユニゾンの部分が合うようにそのクセを出さないように歌うほうが多かったんです。でも今回は、自分ふうにのびのびと自由に歌わせていただきました。

──そういった歌い方も含めて、自己紹介の1曲なんですね。

渕上 そうですね。もちろんどの曲でもいただいたアドバイスを取り入れながら歌っていったんですけど、「これはやめてください」って言われたことはなくて。「こうしたいなら、こうやって歌ったほうがいいんじゃない?」みたいなお話しをさせていただいたので、すべてにおいてやりたいことを十分やらせていただいた一枚になったのかな、と思っています。

──この曲は、リリースの約2ヶ月前から先行配信されていましたが、反響はいかがでしたか?

渕上 言葉の一つひとつとメロディを聴いて「私らしい」と言ってくださる声を多くいただきました。なので、「自己紹介ができれば」という部分では、「私の気持ち、受け取ってくれてる」と感じられて、まずはよかったのかなって思ってます。

──同じく先行で公開されていたのが、この曲のMVです。とても青が映える映像になっていますね。

渕上 ねぇ、すごくきれいに。ちょうど風も吹いて、ドレスがなびく様子もうまく撮っていただけてうれしいなと思ったんですが、大変寒くて! 周りのスタッフさんもみんな、コートを着てたんですよ(笑)。でも映像的にはすごく清々しい、爽やかなものに作り上げてくださったので、感謝しています。

──鳥籠の中から、というイメージは渕上さんから?

渕上 あれはアイデアを持ってきていただいたんですよ。でも鳥好きとしては鳥籠の中で写真や映像を撮るっていうのは憧れだったので、夢をかなえていただけてうれしかったです。

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