自分が何を思って活動を再開したのかを、一度けじめをつけてまとめなきゃと思って

──なるほど。そして本アルバム最後の楽曲「愛を灯して」になります。僕は正直タイトルを見た瞬間に泣きそうになりましたが、この楽曲は中島さんご本人の作詞曲ということで、どんな想いを込めましたか？

中島　この曲はまず坂東（邑真）さんからいただいたデモテープがあったんですけど、私はそれを最初に聴いたときに自然と泣けてきたんですよ。曲調は前向きで明るいものだったんですけど、自分の心の琴線に触れてくる曲で、自分で詞を書きたいなと思ったんですね。田村さんからは「前向きな歌詞を書こう」というお話もいただいていたので、ポジティブなことを書こうと思って筆を取ったんですけど、復帰してからこれまでは自分がどんな気持ちでいるのかを詞として昇華したことがなかったんですよ。自分の気持ちというのはインタビューでお話するのみで、楽曲としては作家さんが私の気持ちを汲み取って代弁してくださってたんです。でもこれがアルバムの締め括りの曲でもありますし、自分が何を思って活動を再開したのかを、一度けじめをつけてまとめなきゃと思って。なのでこの曲では「復帰するにあたって」というのを軸に歌詞を書いてます。

──サビの“何度迷っても辿り着ける”といったフレーズは、まさしく復帰にあたってのお気持ちが表れてるんだろうなと思いましたし、マーチング風のゆったりとしたアレンジもゆっくり着実に歩んでるような感じがして、トータルで今の中島さんが表現されてる曲なんだろうなと思いました。

中島　それをそのまま書いてほしいぐらいうれしいですね（笑）。そうなんですよ、猛ダッシュとかじゃないんですよね。“ゆっくり着実に”っていい言葉だなあ。今までもいろんなところでお話してきたんですけど、復帰する前は本当に暗い気持ちにもなりましたし、まさか復帰できるとは思ってなかったので、そこを肯定してこの曲を作るのに1年かかりましたからね。前向きな言葉で自分を奮い立たせて「行かなくちゃ！」という気持ちでこの1年間を過ごしてきたんですけど、そうやって形から入っていくと本当に明るい気持ちになったりもして、自分の中にある前向きな気持ちが、例えば“答えはいつもひとつだけじゃない”という歌詞として正直に表すことができたので、いいタイミングだったんだと思います。

──復帰第1弾シングルのカップリングに入ってた「愛はめぐる」とも繋がりのある感じがしますね。

中島　ちょっと「愛」って言いすぎかなとも思ったんですけど、自分の名前でもありますし（笑）。「愛はめぐる」が周りの方から見た中島愛の復帰像だとしたら、「愛を灯して」は私サイドから見た景色を提示する感じで。めずらしく前向きなことを言ってますね（笑）。

──アルバム全体としても「サブマリーン」の自分の中に潜っているところから始まり、そこからいろんな楽曲を経て、最後の「愛を灯して」で希望の灯火に向けて歩いていくという、一連の流れがあるようにも感じられます。

中島　ひとつの大きな歩みを1曲目から12曲目までで見せられてると思います。今の自分がはっきりと詰まっているアルバムにできましたし、これは当たり前のことじゃないということはしみじみと感じますね。作家の方々もそうですけど、こんなにも協力してくれる方がいるからこその私だし。自分自身の気持ちも詰まってますけど、これだけの人が周りにいてくれるんだということが示されているアルバムでもあるので、自分の自信になってますね。

──ご自身にとってかけがえのないアルバムになりましたね。

中島　そうですね。アルバムとしては復帰してからの第一歩になりましたし、まだ私の曲をあんまり聴いたことのない人も、デビュー当時は知ってるけど最近の曲は知らないという人も、「今はこんなことをやってますよ」って自信をもって送れるアルバムになってます。

──そして3月30日からは本作を携えてのZeppツアーを控えてますが、こちらはどんなライブになる予定でしょうか？

中島　今回のアルバムがとにかくバラエティー豊かなので、ツアーではアルバムと違ったまとめ方をしようと思ってます。セットリストはまだ考えてる途中なんですけど、今まで発表してきた楽曲もやりつつ、このアルバムからの楽曲も歌うというスタイルになると思いますね。これはちょうど昨日、個人的に思ったことなんですけど、私はビックリさせるより納得させたいと思って活動してるなあと思って。お客さんの意表を突きたいというサービス精神が足りないことを悩んでたんです（笑）。なので、今回のライブではちょっとビックリさせたいですね。だからといって中島愛らしさを失ってまで何かをやるわけではないんですけど、「ちょっと新しいじゃん！」っていう感じのツアーにできたらと思いますね。

私もスタッフさんに「私も応募していいですか？」って聞いちゃいましたもん（笑）

──あと最後に、個人的に超気になってることがありまして。今回ついにアルバムのCD購入者対象の抽選プレゼントとして、7インチのプロモ・アナログ盤を生産することが決まりましたね。

中島　そうなんです！もう超待望ですよ。最初に「出すなら何がいい？」って言われたんですけど「そりゃあドーナツ盤に決まってます！」みたいな感じでお願いしました。ありがたいことに私の作品では初レコードなんです。

──これは抽選ではなくて、ぜひ売り物にしてほしかったんですが……。

中島　うふふ（笑）。このアルバムを買ってくれる人がたくさんいて、その中にアナログが欲しいという人がいっぱいいたら、フライングドッグさんも考えてくれるかなぁ（笑）。私もいつかは発売の形でもアナログ盤を出したいと思ってますし。でも、今回のプロモ・アナログというのも、レコード屋さんに行くとたまに見かけて「レアなやつなんだろうなあ」と思ってたので、自分がそれを出せるのはうれしいです。「非売品だぞ！」みたいな感じで（笑）。

──収録曲は「サブマリーン」と「Odyssey」ということで、フロア・ユースな選曲ですね。

中島　ぜひクラブでかけてください、かけないとあげません…なんちゃって（笑）。しかも「Odyssey」のCD版にはレコード・ノイズが意識的に入ってるんですけど、レコード版ではそのノイズをAvec Avecさんにわざわざ抜いてもらってますから。

──本当ですか！？それはめちゃくちゃ欲しいですね（笑）。バージョン違いということでファン心をくすぐりますし、これは間違いなく争奪戦になるかと。

中島　私もスタッフさんに「私も応募していいですか？」って聞いちゃいましたもん（笑）。1枚はいただけるということだったので良かったです。私もすごく欲しいと思うし、かなりレアなものになるので、これはぜひ皆さんに応募してほしいですね。

──7インチ盤ということは、ジャケットでも遊べますしね。

中島　そうなんですよ、遊び甲斐があるのでどうしようかと考えてて。もちろんCDとは違うものにしようと思ってますし、写真を使うのか、あるいは使わないという手もなくはないし。考えるのがめちゃ楽しくて最高です！　皆さんぜひ当ててくださいね。

──自分も頑張ります！（笑）。ちなみに前回の取材でチラッとお伺いした、ハイレゾ機器の購入の検討はその後いかがでしょうか？

中島　いまだに検討中です（笑）。やっぱりなかなか高価なものなので、大きい買い物に関しては思い切りが悪いほうでして（笑）。でも、「サタデー・ナイト・クエスチョン」のときに配信サイト内のランキングでけっこう上位にいったということを教えていただいて、すごくうれしかったです。ハイレゾで聴きたいという方もいらっしゃると思うので『Curiosity』もぜひ楽しんでください。私もいつか自分のスタジオ仕様のヘッドホンで聴いてみたいですね。＜END＞

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