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REVIEW&COLUMN

2018.02.14

4thアルバム『Curiosity』中島 愛インタビュー

ちょっと落ち着いた気持ちで聴けるダンス・ミュージックみたいなものをやりたいなあという欲求が実現しましたね

──そしてシングル曲の「ワタシノセカイ」を挿んで、5曲目には加藤哉子さんが作詞、本間昭光さんが作曲&編曲された新曲「Jewel」が収められています。これまた今までの中島さんにはなかったタッチのダンス・ポップに仕立てられていますね。

中島 はい。本間さんには今の洋楽のテイストというオーダーでお願いしまして。ここまではドラマチックな曲で畳みかけてきましたけど、この曲ではあまりコード感の変わらない、ちょっと落ち着いた気持ちで聴けるダンス・ミュージックみたいなものをやりたいなあという欲求が実現しましたね。個人的に普段好きで聴いているタイプの曲のジャンルですね。

──中島さんがこういったタッチの楽曲を歌ってくれて大変うれしかったですね。

中島 良かったー。まさにそういったテイストの、今の時代のガーリーな音楽ですよね。

──加えて作詞の加藤さんは、中島さんのファースト・アルバム『I love you』(2010年)で多くの楽曲を作詞されていた方で。今回はそれ以来の提供になりますよね。

中島 そうなんです。加藤さんと、次の「思い出に変わるまで」を書いてくださった重永亮介さんは、ファースト・アルバムの頃の私を知ってくださってる方々で、私からぜひお願いしたいとリクエストさせていただいたんです。今のタイミングで絶対にご一緒したいという夢があったので、それがかなってうれしかったです。加藤さんには作詞家としてもお願いしたかったのはもちろん、憧れの大人の女性でもあるので、その気持ちに応えてくれたかのような“青春時代を経た女性の歌”を書いてくださって、すごくいい歌になったと思います。

──実際に加藤さんから中島さんへのエールのようにも思える歌詞ですよね。

中島 本当にそうだなと思いますね。実はレコーディングでもご一緒させていただいて、加藤さんは私と一緒にコーラスを歌ってくださってるんですよ。加藤さんと久々にお会いできて、本当にうれしそうにしてくださって、そのお会いできた状況をひっくるめて「頑張ってね!」と言ってもらえてるような感じがあって、本当に感慨深かったです。私にとっての記念碑的な楽曲ですね。

もうめちゃくちゃ刺激されましたね。このメロでなければこんな歌詞は書けなかったと思いますし

──そして次の「思い出に変わるまで」を作曲&編曲された重永さんは、中島さんのデビュー・シングル「天使になりたい」をはじめファースト・アルバムの頃の楽曲を多数手がけた方です。作詞は中島さんご本人ですね。

中島 この曲はアルバム制作の中盤で取り掛かったんですけど、その時点ではどちらかと言うと自分のことを歌う曲が多くて、ラブソングとか切ない楽曲があまりなかったんです。それで重永さんからいただいたメロディに切ない要素が多分に含まれてたので、歌詞もちょっと切ない方向に振ってみようというところからスタートしました。

──実際、歌詞は非常に切ないタッチのラブソングという印象です。

中島 私は“変わる/変わらない”という言葉にけっこう敏感でして、「変わったね」と言われるのも「変わってない」と言われるのも微妙で、それは肯定の意味なのか否定の意味なのか、すごく考えちゃうんですよ。それと同時に、昔から知ってる友達も状況がどんどん変わってきて、昔と同じように話せなくなってたり、共通の言葉がだんだんなくなっていく感じがあって。私はこの10年を自分ではそんなに変わったと思わずに続けてきたんですけど、特に地元の友達とかと喋ってると「みんなにとっての10年はちょっと違ったのかもしれない、私はもっと大人になってるべきだったのかも」と感じてしまうんです。なので、この歌詞はラブソングっぽくはしたんですけど、どちらかというと自分のそういう気持ちを軸に書きました。変わってないのも変わっちゃうのも悲しいなあと思って。

──自分だけ置いて行かれてるみたいなお気持ちがあるんでしょうか?

中島 そうですね。みんなが前を走ってて、私だけがなんか子供っぽいなあとか思ったりして。でも私が大事にしたいのはあの頃なんだけど、それはいけないことなのかなあとか。別に深く考えずにメロディを聴いてバーッと書いてたんですけど、そしたらこんな歌詞になってたので、「私はこういうことが書きたいんだな」と思って2番以降はその方向で肉付けしていって。ひとりでセラピーしているみたいな感じでしたね(笑)。

──でも、自分を表現するというのはそういうことでしょうからね。そこは重永さんのメロディに引き出された気持ちでもあるのでしょうか。

中島 もうめちゃくちゃ刺激されましたね。このメロでなければこんな歌詞は書けなかったと思いますし。実は重永さんにアレンジしてもらうのは今回が初めてだったんですけど、そのことが自分の中ではけっこう大きくて、重永さんと二人三脚で制作してる感じが強くて刺激されました。重永さんとは同年代ということもありますし。最初にご一緒したときは私もデビューしたてで、重永さんも作家としてお仕事を始めたばかりの頃で、その頃にお会いした印象もすごく強かったんです。

──どんな印象だったのですか?

中島 周りの大人たちに囲まれながら「私たち、ここから仕事をスタートするんだなあ」という感じがあったんですよね(笑)。重永さんは年上なので申し訳ないんですけど、そういうグルーヴ感を勝手に感じてました(笑)。それでお互い10年経ちましたねっていう気持ちもあったりしたので、こういう歌詞がスルスルと出てきたんだと思います。重永さんとも加藤さんとも、また機会があればご一緒したいですね。

ポップ・ソングというのはそうあるべきだと思うんですけど、たぶんどんな人にもスルスルって入っていくメロディだと感じました。

──次の「ウソツキザクラ」は作詞がSatomiさん、作曲が松本良喜さんということで、中島美嘉さんの「雪の華」などを手がけてきた名コンビですね。

中島 本当に黄金タッグですよね。私は松本良喜さんのファンで、「雪の華」はもちろん10代の頃から好きで聴いていた曲がたくさんあって、実は以前からずっと曲を書いていただきたいと思ってたんです。でも私はあまりにもファンだと言い出せない部分があって、自分からリクエストしたことはなかったんですよ。そしたら田村さんから「今回は松本さんとSatomiさんのタッグが良いと思うんだけどどう?」とおっしゃっていただいて、ぜひ!と食い気味で答えました(笑)。それで今回はぜひ王道のバラードをということでお願いしました。

──たしかにスタンダード感のあるストレートなナンバーです。実際に楽曲が上がってきたときはどんな感想を抱きましたか?

中島 これはプラスの意味で、すぐにメロディが覚えられたんですよね。ポップ・ソングというのはそうあるべきだと思うんですけど、たぶんどんな人にもスルスルって入っていくメロディだと感じました。でも、ど真ん中のストレートってすごく難しいなと思っていて。自分の歌を聴かせるものに仕上げるのは復帰してから意識してきたことなんですけど、これまでは変化球を投げるほうに意識が行ってたので、それをどうストレートにして普遍性を出すか。曲が素晴らしいので歌もちゃんとしなくちゃと思って「スタンダードに挑戦!」という気持ちでしたね。

──いちばん歌の表現力を問われるタイプの楽曲ですものね。

中島 しかも桜ソングということで、歌詞も王道ど真ん中じゃないですか。デモテープは松本さんご自身が歌われてたんですけど、もうこのまま世の中に出していいんじゃないかと思うぐらいの完成度だったんですよ。なので、ビシバシご指導いただこうと思ってレコーディングに行ったんですけど、松本さんからは「歌、すごくいいです!」と何度も言っていただけて。それで自分の気持ちもすごくアガってしまって、細かく考えるよりも曲をもらったときの良いと思ったところを、できる限り歌詞がはっきり聞こえるようにと注意しつつ、気持ちよく歌いました。今回のアルバムの中でいちばんナチュラルに歌ったのがこの曲だと思います。

──個人的には後半から入ってくるサックスも歌心があって、すごく素敵だと感じました。

中島 ドラマチックですよね。懐かしい感じもしますし、かなりメロディアスなサックスなので、私以外にもうひとり歌ってくれてる人がいるみたいな感じで。この曲はDメロがなくて、間奏の後は3Bから始まるので意外だったんですよ。すごく気持ちいい、ストレートな展開で。きっとこのサックスが場面転換みたいな役割を果たしてくれてるんだと思って刺さりましたね。

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