リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2018.03.22

TVアニメ『ラーメン大好き小泉さん』OST 田中 貴 & 細野しんいち インタビュー

「ダブが流れてる!?……あの曲、誰がやってんだ?」みたいな(笑)

──特定のラーメンの専用曲の中で印象に残っているものは?

細野 「パッパッパパッ パイナップル」ですね(第2話「コココココイズミサン」)。実はあのパイナップルラーメン屋さん(「パパパパパイン」)の店頭で、元々4つ打ちのハウスみたいな曲が流れてるんですよ。

田中 そんな大きい音じゃなくて、多分そのお店に通われている人もあまり覚えてないぐらいの音量なんですけど、その曲に近いものを作ってほしいというオーダーだったんです。

細野 打ち合わせのとき、実際にその曲をみんなで聴いたんですけど、みんな「これいい曲だねえ」って盛り上がったんですよ。それで田中くんからは普通に作ればいいって言われたんですけど、「オレのほうがいい曲書くから」って言って意地になって作った曲です(笑)。

一同 ハハハハハ(爆笑)。

細野 かわいくできたんで、ラーメン屋さんにはこの曲に変えてほしいですね(笑)。

田中 じゃあ僕が「流してね」って言っときますよ(笑)。

──次の曲「チャルメラ IN THE HOUSE」もすごくい印象残る曲です。チャルメラの音階が展開されてハウス・ミュージックになるという、素晴らしいアイデアですね。

細野 これも面白い話があって。今の若い人はチャルメラのメロディを知らないらしくて、この曲もそれをハウスでやっているというのを気づいてもらえないはずだったんですよ。それが「チャルメラ IN THE HOUSE」がかかる回の前に「一蘭」の回があって(第3話「味集中カウンター」)、「一蘭」では替え玉を頼むときにプレートを置くとチャルメラのメロディーが鳴るんですよね。だから偶然にも伏線ができて(笑)、そのメロディーのアレンジとして「チャルメラ IN THE HOUSE」が流れる感じになったんです。ここは偶然なんですけど「確信犯です!」と書いといてください(笑)。

──わかりました(笑)。それと「Message In Bottom of どんぶり」はタイトルもすごいですが、曲調もストレートなレゲエ/ダブなので、アニメ(第6話「朝ラーメン」)で流れたときのインパクトがすごかったです。

細野 あれは「やる気のない日のテーマ」です。レゲエの感じがいちばんやる気なく聴こえるかなと思って(笑)。

田中 あの曲は放送のときにすごい反響があったみたいで。こっちは「気だるいってあんな感じだよね」ってさらっとやってるんですけど、「ダブが流れてる……あの曲、誰がやってんだ?」みたいな(笑)。

──意外性があるのでわかる人は反応してしまうと思います。そういう意味では音楽好きに向けて作った部分もあるのでしょうか?

細野 そこは向けてます!それに自分がアニメ好きにも楽しんでもらえるように、僕らが知ってるアニメソングのオマージュもちょっとだけ入れてます。あんまり言うとアレですけど(笑)。

いろんなものを聴くし、ずっとそういう聴き方をしてきたから、様々なジャンルの音楽に対応できるんだと思います

──第9話「山」で使われた「ピークハント for the Rɑːmən~山でラーメン」では男性がヨーデルを歌われてましたが……。

田中 あれは野戸くん(元マグースイムのボーカル・野戸久嗣)ならヨーデルいけるよーということで(笑)。

細野 「山」ということで最初は『アルプスの少女ハイジ』みたいにするしかないかなと思ってたんですけど、「男のボーカルが入ってたらギョッとするよ」と言われて。そういえば野戸くんならテナーっぽい歌い方もいけるから山男の感じが出るかなと思って。

──野戸さんはヨーデルを歌われたことあるんですか?

細野 いやない!(笑)。

田中 あるわけがない(笑)。

細野 歌入れのときに「ファルセットに行ったり戻ったりしてくれ」って言ったんですけど「それはちょっと無理!」って(笑)。

田中 あれは何年も練習して歌えるようになるやつだからね。

──歌ということですと、ワンリルキスの藤村鼓乃美さんも何曲かで歌われてますね。

田中 女性のコーラスやスキャットが入ってるものを何曲か作ってほしいというオーダーがあったので、歌ってもらいました。

細野 藤村さんはありがたかったですね。かなり忙しくやってたので、スタジオに入る前日とかにも曲が上がってなくて、家からスタジオに行くまでにメロディを考えたりしてたんですよ(笑)。

田中 その場で(笑)。

細野 それで、その場で聴いてもらって8曲ぐらい歌ってもらったんですけど、1時間ぐらいで全部歌ってくれたんですよね。元々藤村さんはワンリルキスでも歌唱要員のポジションだったんですよ。

田中 オーディションのときに、この子は絶対入れようって。いないと曲ができないって(笑)。

細野 声優さんだから声もかわいいですし。

──アイキャッチの声も素敵です。

細野 ただ、アニメの本編では竹達(彩奈)さんとか出演されてる声優さんがアイキャッチを歌ってるんですけど、サントラにはそのバージョンは入ってないんですよ。そこは注意していただければ。

──かしこまりました。それとサントラを改めて聴くと、オルガンを使ったモッズっぽいノリの曲も多いように感じました。

細野 そこはまあ僕らの出自が渋谷系なんで、出ちゃいましたね(笑)。

一同 ハハハ(笑)。

田中 でも、そこも渋谷系のおしゃれなジャズファンクみたいなものというより、イメージ的には大野克夫的なもの、井上尭之バンドとか『太陽にほえろ』『傷だらけの天使』のイメージなんですよね。

──たしかに筒美京平さんがやられていたようなソウルテイストの歌謡曲っぽいテイストもあって、そこも「昭和感」を感じさせる部分です。そういう過去の音楽を引用するセンスは、やはりおふたりの渋谷系的なセンスが活かされてるようにも思います。

細野 あー、まさにって感じですね。そういうのを考えるのはあんまり苦じゃなかったし。

田中 渋谷系上がりだからできたというか。たしかにいろんなものを聴くし、ずっとそういう聴き方をしてきたから、様々なジャンルの音楽に対応できるんだと思います。普通のバンドの人だったら自分の得意なジャンルしかできないかもしれない。

細野 ロックっぽいのでずっと通しちゃうみたいなね。でも「ミドリムシラーメン」の曲(「美・ミドリムシラーメン」)をお願いされたときは、さすがに難しかったですね。「どうしたらいいんだ?」と思って(笑)。一応「緑」インスパイアでいろいろ混ぜてるんですけど。

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP