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INTERVIEW

2018.03.22

TVアニメ『ラーメン大好き小泉さん』OST 田中 貴 & 細野しんいち インタビュー

今思うと、あの頃からラーメンの食べ歩きをずっとやっていたのがここに結びついているんですよね

──ちなみにバンドにはベースの田中さん、キーボードの細野さんに加えて、先ほどお話に上がったギターのマツキさん、そしてドラムスにオータコージ(L.E.D.、曽我部恵一BAND)さんが参加されてますが、参加メンバーはどのような基準で決めたのでしょうか?

田中 せっかくなんでラーメン好きを呼ぼうと思って、このメンバーにしました(笑)。それとストリングスで参加いただいている金原千恵子さんもラーメン好きで、たまに「今、〇〇にいるんだけど、オススメのラーメンのお店ないですか?」ってメールをいただくんですよ。なのでレコーディングのときも「今から録る曲はこのラーメン屋さんのこういうシーンです」みたいな説明をして、笑いながらやってましたね。

──ラーメンが結ぶ縁ですね。細野さんもラーメンお好きなんですか?

細野 まあ、好きですよ(笑)。アニメに出てくるお店はひと通り行ったことあるぐらいには好きです。

田中 1999年と2000年にサニーデイ・サービスのツアーで細野くんと一緒に回ったんですけど、そのときも全国でラーメンをバンバン食べてたので、細野くんにも付き合ってもらって、ツアーとは全然関係ない場所まで寄り道したりして(笑)。

細野 車で鹿児島から九州を北上するんですけど、あちこちでラーメンを食べながら上がっていくんですよね(笑)。ツアーのスタッフも一緒に行くんですけど、店が狭すぎて全員入らなかったりして(笑)。

田中 田舎の食堂とかなので、行ったらやってないこともあって(笑)。当時はスマホもない時代だったので、なかなか大変でしたよ。「あそこの山奥になんかおいしいお店があるらしい」という噂だけで行ったりして(笑)。

──秘境巡りじゃないですか(笑)。

田中 今思うと、あの頃からラーメンの食べ歩きをずっとやっていたのがここに結びついているんですよね。好きでずーっと食べていたら、いろんなラーメンの仕事をやるようになって、最終的に『小泉さん』のサントラまで来たんです(笑)。

──そういえば「RiCE(ライス)」という雑誌で田中さんが2017年に食べておいしかった100杯を紹介している記事を拝見したんですが、屋号のないラーメン屋さんも紹介してましたよね。

細野 それ、どういうこと?隠れ家的な?

田中 隠れ家というか、あのお店は本当に名前がなくて。実は市場の中にあるお店なんですけど、元々はお寿司屋さんだった場所で別の夫婦の方がラーメン屋さんを始めたから、表向きの店名は「〇〇寿司」のままなんですよ(笑)。でも本人たちは全然気にしてないみたいで、「店名はなんですか?」って聞いたら、「いやぁ、別に決めてないねえ」って(笑)。

一同 ハハハ(笑)。

田中 でも市場の中のラーメン屋ですから、店名がなくてもそこの市場の「ラーメン屋」で通じるんですよね。僕は地元の人においしいという話を聞いて教えてもらったんですけど、店名も何も登録されてないから、普通のラーメン評論家の人は絶対知らないと思います(笑)。

全部1分半ぐらいだから、もうラモーンズとかディスチャージみたいですよね(笑)

──ラーメン屋のディグり方が半端ないですね(笑)。サントラのお話に戻りますが、バンドでのレコーディングはいかがでしたか?

田中 バンドでスタジオに入っているときは、一日中、みんな意識が朦朧となるくらいまで録り続けましたね。2分足らずの曲をパッとアレンジして、そのまますぐ録ってみたいのをずーっと繰り返して。

細野 全部1分半ぐらいだから、もうラモーンズとかディスチャージみたいですよね(笑)。

一同 ハハハハハ(爆笑)

──でもその短い尺の中でいろんな展開を入れてるわけじゃないですか。

細野 1分半だから楽かなと思って作ってたんですけど、やっぱりその中で起承転結をつけて、イントロ/Aメロ/サビぐらいは作らなきゃいけなくて。「これもう1曲じゃん!」って(笑)。結局、あんまり甘い仕事じゃなかったですね(笑)。

田中 短いからリフだけでいいのかな?と思ってたら、ちゃんとメロディが必要だったりして。これはちゃんと曲にしなきゃいけないなと思って。

──なるほど。では曲についても個別に聞いていきたいのですが、まず小泉さんが登場するたびに流れる「今日もどこかで」は、別アレンジやメロディーを引用したものを含めて、今回のサントラを象徴するような楽曲になってますね。

田中 僕としてはあの曲のイントロ部分が小泉さんのクールなイメージに合うなと思って作ったんですけど、意外と静かなピアノのほう(「今日もどこかで(pf ver.)」)が使われてるんですよね。僕の思ってたほうはあまり使われなかった(笑)。

──では想定していたのとは違う使い方を……。

田中&細野 あ、それ多い!

細野 あと「これ絶対使えないだろう」と思っているのは、やっぱまだ使われてないですね(笑)。

※取材時には第9話まで放送。

──そのまんまお蔵入りになるんじゃないですか(笑)。例えばどの曲ですか?

細野 「Beyond Good And Evil」は「一風堂」の回(第4話「赤or白」)で「ラーメンの赤か白どちらを頼むかものすごくシリアスに悩むシーン」というオーダーだったんですよ。で、そういう曲を作ったんですけど、なんか「生か死か?」みたいなラーメンを選ぶには重すぎる曲になっちゃって(笑)。

──ハハハ(笑)。

細野 それともう1曲、美沙ちゃんがフラれて落ち込むシーンもシリアスで暗い曲というオーダーだったんですけど、出来上がったら人が死んじゃったみたいな暗い曲になって、やっぱり使われなかったです(笑)。

田中 基本はラーメンを食べに行くストーリーで、そんなに起伏がないからね。もしかしたら使いづらいのかも。

細野 暗いっていっても、やっぱりかわいい子がラーメン食べに行く暗さには限界があるんですね(笑)。

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