諏訪部順一と鳥海浩輔によるセルフプロデュースプロジェクト「フェロ☆メン」。これまで音楽CDリリースのみの活動だった彼らが満を持して開催した初のライブイベントは、濃密に作り込まれた完全オリジナルの音楽朗読舞台。生演奏や様々な視覚演出とのコラボレーションで紡がれる物語は朗読劇の枠を越えたエンタテインメント。会場となった舞浜アンフィシアターに足を踏み入れると、開演前から雨音と遠雷が場内に鳴り響いており、来場者を『AnGeL fAlL』の世界へと誘う。ここでは、1月28日(日)のNIGHT公演の模様をお届けする。
本作は、大きな落雷音を合図に幕を開ける。ロバート・ダドリー教授(井上和彦)から助手のエマニュエル・ベルナルド(中村悠一)へと語られる、”どんな病人も救うことができた奇跡の少女・サラ”の物語。物語は、病人の命を救いたいと願う少女サラ・アッシュフォール(能登麻美子)、そしてサラに遣わされた2人の天使、マラキア(諏訪部順一)とパクス(鳥海浩輔)の3人を中心に繰り広げられる。全3公演となる今回の舞台にはそれぞれDAWN、DAY、NIGHTとサブタイトルが付けられており、それらすべての結末が異なるという驚きのマルチエンディング仕立てとなっている。
諏訪部順一演じるマラキアは粗野な言動をする天使らしからぬ天使。鳥海浩輔演じるパクスは上品で物腰が柔らかな天使らしい天使。ライバル、腐れ縁といった関係性である彼らのテンポ良い会話がおもしろい。しかしクライマックスに向かうシリアスな展開では、そんな2人が激しく感情を爆発させるシーンもあり、観ていて息を呑んでしまった。
死の淵にいる病人たちを救うため奔走するサラ・アッシュフォールを透明感のある声で演じたのは能登麻美子。健気で少し天然なサラをコミカルに演じる一方で、深い悲しみや怒りに悲痛な叫びを上げるシーンは心がギュッと掴まれたような気持ちにさせた。
エマニュエルのほか、サラたちを窮地に追い込む大病院の悪徳院長・チェスターマンなど、数多くの兼役を務めたのは中村悠一。それぞれの役を見事に演じ分け、物語の世界に広がりを与えていた。
そして井上和彦は、ストーリーテラーでもあるダドリー教授の現在と過去を懐深いベテランの妙技で演じ、特にサラに対して抱く複雑な想いには心が打たれた。
各役に合わせた衣装を身に纏った朗読キャストが立つステージには、天使の羽などがモチーフとなった荘厳な装飾が施されており、ドットイメージやドットミラーと呼ばれる無数の可動式照明やレーザー、大量のスモーク、爆破や本物の炎など、様々な視覚的演出と合間って美しくも迫力ある幻想的な空間を作り出していた。
本公演の主軸のひとつである音楽は、管弦楽器を含めた6人編成のバンドが務める。劇伴には、オリジナル楽曲だけでなく、クラシックアレンジされた既存のフェロ☆メン楽曲も数々盛り込まれており、サウンド面でもこれがフェロ☆メンの舞台であることをしっかりと感じさせてくれる構成。物語のラストでは、最新リリースのシングルに収録された同名楽曲「AnGeL fAlL」がエンディングテーマ的に歌われた。
カーテンコールで出演者全員がステージに再登場すると、割れんばかりの拍手とスタンディングオベーションが巻き起こる。全公演を終え鳥海は、この作品に関わってくれたすべての人たちへの感謝を述べ胸いっぱいの様子。諏訪部もあふれる思いに感無量の様子で、「フェロ☆メンが行うライブイベントは、自分たちが大切にしている本業に根ざしたかたちでお届けしたかった」と深い感謝の言葉を交えながら語った。
ラストには、2人のあふれる思いが込められた楽曲「ラブソング」を披露。優しい歌声が会場を包み込み、多くの愛で舞浜アンフィシアターが満たされていくようだった。
フェロ☆メンらしい世界観の中で、命と愛のドラマが描かれた『AnGeL fAlL』。誰かのために自分ができることを深く考えさせられ、自分にとって大切な人に会いたくなった作品であった。ステージから去り際、諏訪部から「フェロ☆メン、まだ続けますか?」と問いかけられると、鳥海は「そうですね。年々、直視するにはキツくなるかもしれないですけど(笑)」とのうれしい言葉が。今後の活動にも期待が高まる。
音楽朗読舞台『AnGeL fAlL』は、DAWN公演の本編が今春にdアニメストアで配信される。映像パッケージ化も検討されるようだが、まずはそちらを楽しみに待ちたい。
TEXT By 磯貝綾子
●公演情報
音楽朗読舞台『AnGeL fAlL(エンジェルフォール)』
会場:舞浜アンフィシアター
2018年1月27日(土)
<DAWN>開場 17:00/開演 18:00
2018年1月28日(日)
<DAY>開場 11:00/開演 12:30
<NIGHT>開場 16:30/開演 17:30
【出演】
フェロ☆メン(諏訪部順一・鳥海浩輔)
能登麻美子
井上和彦
中村悠一
【スタッフ】
脚本・演出:藤沢文翁
音楽監督:村中俊之
原案・総合演出:諏訪部順一
ほか
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