ファンの前だから語れた本音のキタエリ――喜多村英梨「妄想帝国蓄音機」アウトストアライブレポート

声優・喜多村英梨のニューシングル「妄想帝国蓄音機」のアウトストアミニライブが、2018年2月3日(土)、東京・三鷹市公会堂 光のホールにて行われた。ファンとの距離が近い濃密なライブで、トークコーナーでは貴重な音源が公開されたほか、ここでしか聞けないような裏話、本音トークでファンを楽しませていた。昼夜2公演が行われたが、この記事では昼の部の模様をレポートする。

このミニライブは“キタエリ”こと喜多村英梨のニューシングル「妄想帝国蓄音機」の発売によるもので、CDを購入した数多くのファンが会場に詰めかけた。

登場すると、早速TVアニメ『gdメン』のOPテーマ曲となっている「妄想帝国蓄音機」を披露。こうしたリリース記念のミニライブには珍しく、生バンドによる演奏もあるという豪華さで、並大抵ではない力の入れ具合である。

「声出せー!」「跳べー!」と煽りまくり、ファンも最初から大いにぶち上がって激しく1曲を歌い終えると、「というわけで、みんな忙しい中、三鷹に集まってくれてありがとうございます!」と改めてご挨拶。ここからは着席してトークコーナーとなった。

着席するなりキタエリはスマホを取り出し、この日行われている他のイベントを読み上げ始めたので観客は大爆笑(※この日は各地でアニメ・声優関係の大イベントが異常なまでに重なっていたため)。「そうそうたる人たちがいろんな活動をされている中で、どんだけ集まるかなと思っていたんですが、お会いできてうれしいです」と、足を運んでくれたファンに感謝していた。つまりこの日、三鷹に集まったのはキタエリひと筋のかなりのファンということ。そんなファンの熱意に応えて、トークの内容はかなりレアで濃いものとなった。ファンからの温かい拍手に、彼女は早くも少し泣きそうになっていたようだ。

まず最初に行われたのは、「妄想帝国蓄音機」の関係者のコメントを紹介するというコーナー。「妄想帝国蓄音機」の作曲を担当した鬱Pからは「デモ音源を送ったら、あっという間に詞を書いて仮歌を入れてくれました」と、キタエリの仕事の早さ、熱意に驚いたというコメントが寄せられていた。この他にもカップリング曲の作曲家からのコメントを紹介。いずれも彼女の実力、プロ意識を高く評価したもので、当人は照れつつも、いろんな作家と仕事をした経験を踏まえて前のめりになりつつも自分のこだわりを貫いた今回のシングルを振り返っていた。

続いては、この会場でしか聴けないレアな音源を公開するコーナーとなった。キタエリはデモ曲を選ぶ段階で、“この曲を歌うとしたら、こういう歌詞でライブではこんなことをして、こういう想いも伝えたい”ということをスタッフにプレゼンするために、自宅で歌って録音をしているとのこと。そこまで自らやる声優というのも珍しいが、そんな音源をイベントで公開するというのも間違いなく超レア。しかも自宅の浴室で録った(音が響くから)というから、その点でも超お宝ものといえる(笑)。

なお、この音源はMacBook Proの内蔵スピーカーから流れる音を頼りに、音が割れないように浴室に洗濯物を吊るし、イヤホンマイクで録ったという手作り感のあふれる環境で作られたそうだ。それでも歌自体は現在の完成形に近いクオリティで、彼女の音楽的な資質の高さや熱度を実感させられた。

続いて、キタエリのスタッフからのコメントを紹介。ロッカンミュージックの宣伝担当者からは「一番すごいのは自分をしっかりわかっていて、自分の見せ方と方向性を理解していて、セルフプロデュースができること」と絶賛のコメントが寄せられた。さらに、ロッカンミュージック制作担当者は「尊敬できるプロフェッショナルな方。“プロデューサーさ~ん(※ここだけなぜかアイドルっぽく読むキタエリ)”と呼ばせてください」と総評していた。また、サポートバンドのメンバーからのコメントも紹介されたが、これもやはりキタエリへのリスペクトにあふれたものだった。

さてここで会場のファンから集められた事前アンケートを紹介するコーナーとなった。“キタエリにキャッチフレーズをつけるなら”という質問事項があったのだが、“ネガティブエンターテイナー”などのファンならではのフレーズが飛び出した。また、“今回のシングルの歌詞で「愛」というフレーズを印象的に使用している理由”についての質問に答え、“歌う時に母音の「ア」と「イ」が発声しやすく、乗せやすいので、「ア」「イ」から始まる力強いワードを入れることが多い”と作詞の企業秘密を公開してくれた。

この後はみなさんお楽しみの抽選会。抽選に当たると、その場でキタエリがTシャツやポスターなどのグッズにサインをしてプレゼントしてくれるという大サービスだった。その代わり、当たった人はステージに上って、顔とハンドルネームを晒されるというシステム(笑)。ただ、キタエリからサインをもらえるということで、当たったみなさんは喜びを隠せない様子だった。

トークコーナーが終わると、キタエリとみんなで記念撮影。左右に広い会場だったので、全員が写真に収まるために観客が中央に集まって撮るというアットホームな雰囲気での撮影となった。

ここでもう一度バンドメンバーが戻ってきてライブコーナー! シングルのカップリング曲である「ViViD DESiRE」(※通常盤のみ収録)、新境地の楽曲という「fairy∞world」の2曲を披露した。

最後の最後に、いちファンとしてのミーハーな自分から始まって、唯一無二の自分を確立した表現者へと一歩一歩近づきたいという心境を語りつつ、「不安は尽きないけど、本当に集まっていただいて、声を聴かせていただいて、聴いていただいて、ありがとうございます」と、来場した観客に感謝の気持ちを述べた彼女。本当にキタエリが好きな人が集まった今回のミニライブだけに、彼女一流の自虐を含みつつも、率直な今の気持ちが聞ける機会となった。

「喜多村英梨っていうアーティスト、表現者、コンテンツはなんか面白そうかもって、今日集まってくださったみなさん以外の人にも見ていただけるぐらいの、サード、フォースインパクトを作りたいと思いますので、ついてきくれますか?」「馬鹿になってもらえますか!?」と彼女らしい言葉で、もっともっと“次”のステージへとつなげるためにファンへの協力を求めた。その言葉通り、もう一度「妄想帝国蓄音機」を歌って、大いにぶち上がってお開きとなったのだった。

Text By 金子光晴

シングル「妄想帝国蓄音機」アウトストアライブ
2018年2月3日(土)【東京】三鷹市公会堂 光のホール

<セットリスト>
M-1 妄想帝国蓄音機
M-2 ViVD DESiRE
M-3 fairy∞world
M-4 妄想帝国蓄音機

関連リンク

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人