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INTERVIEW

2017.11.07

尾崎世界観とのコラボで見つけた、今いちばんやりたいこととは? 相坂優歌「ひかり、ひかり」リリースインタビュー

尾崎世界観とのコラボで見つけた、今いちばんやりたいこととは? 相坂優歌「ひかり、ひかり」リリースインタビュー

前作のリリースから1年あまり。満を持してのリリースとなった相坂優歌の3rdシングルは、表題曲「ひかり、ひかり」において、自らかねてから好きと公言していたクリープハイプの尾崎世界観とタッグを組んだ。そのシングルにおいて、彼女は想いを成就させるのみにとどまらず、ひとつの殻を破る。その歌声は、元々の高いスキルはそのままに、聴く者の心により引っかかるざらつきを帯びたものへと進化していたのだ。本稿ではその背景にある想いを中心に、このシングルについて存分に語ってもらった。

「ひかり、ひかり」は今を生きる人に刺さる1曲になりました

――クリープハイプの尾崎さんとのタッグというのは、相坂さんからのご希望なんでしょうか?

相坂優歌 実はアーティストデビューしたときから、ずーっと「いつか尾崎さんとお仕事をしたいです」と言い続けていまして(笑)。そしたら今回リリース決定のお話をいただいたのと同時に、「尾崎さんとです」と教えていただいて……もうひたすらに泣きました。「生きててよかった」っていう感じです(笑)。

――それぐらい、前々からお好きで。

相坂 そうですね。「はじめの頃からずっと見ていた」というわけではなくて、CMソングになっていた「憂、燦々」という曲でクリープハイプを知ったんですけど、あるとき帰り道で聴いていた「大丈夫」という曲がすごく刺さりました。“大丈夫”ってありきたりな言葉でもあるから、普段だったら聴き流してしまうようなものだと思うんですけど、心の柔らかい部分が敏感なときに言われて「こんなにすごい言葉だったんだな」って改めて知ったんです。それで「それをこんなにもストレートに伝えられる尾崎さんって、すごい」と思って。そういう、一見見落としてしまいそうな言葉や感情をすくい上げるのが上手なところが好きなんですよね。

――制作にあたって、直接打ち合わせもされたんですよね。

相坂 はい。もちろんEDテーマになっている『ネト充のススメ』の世界観は大事にしていただきつつ、私としては「尾崎さんの感じられたように作っていただきたい」というお話をしました。でも「歌詞に、私の心に残った“大丈夫”という言葉を入れていただけたらうれしいです」という話はさせていただきましたし、さっきも言ったような「一見見落としてしまいがちな、でも大事な気持ちが込められているところが好きです」みたいなことはお話したので、そういう不器用さみたいなものも、たとえば落ちサビの「どうしていつも言えないんだろう」みたいな部分に入れてくださったのかもしれないな、って今は思います。

――その不器用さは『ネト充のススメ』の登場人物にも通じる部分のように思うのですが、相坂さんはこの作品にはどういった印象をお持ちですか?

相坂 ネットゲームが舞台の作品なんですけど、実際の人間関係に疲れてしまってネットの世界に飛び込むっていう流れが、結構現代の人には刺さる内容だと思うんですよ。そういう現代の人にしかわからない気持ちみたいなものが伝わって、何かの背中を押すきっかけになったら……と演じていて思いましたし、“今しかできない”ような作品に関われていることはすごくうれしいですね。

――そのEDテーマとして尾崎さんが書き上げられたのが「ひかり、ひかり」ですが、最初に聴かれたときにはどう感じられましたか?

相坂 EDテーマにすごくピッタリだなと思いました。優しい気持ちにもなれるし、でもサビには爽快感もあってしっとりと終わらなくて。歌詞にはところどころにちょっとキュンとくるところもあって……「全部好きだな」っていう感じです。それにちゃんと作品の世界も汲んでくださいましたし、レコーディング現場でも「あともう少しが浮かばないんだ」ってずーっと悩んでくださっていた部分があるぐらい歌詞を一生懸命考えてくださっていたので、とてもいとおしい曲です。

――じゃあ、尾崎さんは現場にも立ち会われて?

相坂 はい。ディレクションしていただきました。実はアニメのEDテーマに使われている音源はCD音源とは違っていて、最初にアニメEDバージョンだけを録っていたんですけど、2回とも立ち会っていただいたんですよ。

――フルバージョンでは特にBメロやDメロの歌声にゆらぎみたいなものを感じたのですが、そこではこれまでの表題曲とは少し違った表情も見えました。

相坂 そうですね。常に新しい自分を見てほしいという気持ちは持っているので、今までと違うことをできたなぁっていううれしさがあって。でもそのなかでも「自分がいちばんやりたいことって、これだったかもしれない」って思えたのが、この「ひかり、ひかり」だなぁって感じています。もちろん今までの作品も大切なんですけど、ここにきて「見つけた!」みたいな気持ちになれました。

――具体的には、どんなところからそう思われたのでしょう?

相坂 『ネト充のススメ』のEDテーマだからこそ、もどかしさみたいなものを表現した曲ができたのかなと思いますし……私の伝えたいことも、そういうことだったのかもなって思うんです。特に「ここだな」って思うのは、落ちサビの「どうしていつも言えないんだろう」ですね。「いつも繋がってるのに、やっぱこれだけは言えないんだよなぁ」みたいに、そこに対して苦しさを感じている……みたいな。そういう表現が、今を生きる人にも刺さるんじゃないかな、と私は思っているんですけれども。

――その落ちサビの部分は、特に気持ち前面で歌われている印象でした。

相坂 落ちサビって、いつも好きなんですよね(笑)。いちばん言いたいことを込められるのが、落ちサビな気がするんです。

――そういったところから、相坂さんの歌声がいい意味で今までの曲より整理されすぎていない感じがしたんですよ。

相坂 あ、ホントですか?うれしいです。

――ちょっと言い方は変かもしれないですけど。

相坂 今回は結構まっすぐに歌いました。それはカップリング曲もそうなんですけど、「出た声が、アートだ」みたいな気持ちで(笑)。それに、尾崎さんご本人も普段から技術よりも気持ちを重視して歌われているんだろうなぁ、というのを普段の音源を聴いて感じるので、そこは私も見習って表現したいなと思いました。

――その「ひかり、ひかり」ではMVも制作されています。

相坂 尾崎さんからは「あんまり歌詞に沿った映像にしなくていいよ」と言われまして。それで「たしかに、そうしないほうがロックかもしれない」と思ったんです。でも『ネト充』のEDテーマだし、歌詞の最初にも「画面」って出てくるので「絶対モニターは欲しいな」と思ってたくさん並べて、自分もひとつ抱えて。そのモニターの光が自分のひとつの小さな希望なんだ、っていうのを抱きしめることで表現したりしました。YouTubeにUPされているShort Ver.だと「理想の自分と現実の自分のふたりは、これからどう繋がるでしょうか……?」みたいな感じで終わっちゃうんだと思うんですけど。

――現実と理想の姿は、服や場面でもいいコントラストが出ていると思います。

相坂 現実の自分に関しては、できれば白い部屋で白い服を着て。でもその白も爽やかなものじゃなくてちょっと影のある、鬱々とした白さとかで虚無感みたいなものを表現したいと森田監督には伝えました。逆に理想の自分の姿に関しては、結構大人の話し合いで決まって(笑)。私からは「現実世界とかけ離れていればかけ離れているほどいいと思います」と意見を出させていただいて、できあがりました。

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