リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2017.08.18

アニメ音楽のあらたな楽しみ方を提唱!初開催の複合型アニメ音楽イベント“リスアニ!PARK”レポート!

次のステージを担ったのは、ボーカル/作詞担当のぽんと、クリエイターの小島英也からなるORESAMA。まずはサポートDJのMONICOがステージ中央に組まれたDJブースに現れ、ぽんが歌唱を務めたONE III NOTES「Shadow and Truth」(『ACCA13区監察課』OPテーマ)、そしてORESAMAのアルバム収録曲「KARAKURI」のハウシーなビートで場内を温める。期待感が高まるなか、ライブは『オオカミ少女と黒王子』のEDテーマ「オオカミハート」でスタート。エディットによりビート感を増強したイントロと共に飛び出してきたぽんは、元気いっぱいに挨拶して、甘く切ない歌声で一気にオーディエンスの耳目を奪う。小島のファンキー極まりないギター・カッティングとサポート・ベーシストによるドライブ感のある演奏も加わって、会場は瞬く間に多幸感に覆われていく。

そこから間髪入れず『魔方陣グルグル』のOPテーマでもある最新シングル「Trip Trip Trip」へ。ぽんと小島がこの日に着ていた衣装は、同シングルのMVやアートワークにて着用していたのと同じもの。スピード感あるディスコチックなサウンドに乗って歌うぽんの姿からは、心の底から楽しんでいることが伝わってきて、会場もハンドクラップでその気持ちに応える。さらに、どこかロマンチックなディスコ・ファンク「銀河」、そして『アリスと蔵六』のOPテーマ「ワンダードライブ」と陽性のアップ・チューンで一気に駆け抜けていった彼ら。ぽんはMCでライブを行うことを「みんなと遊ぶ」と形容していたが、そのように誰もが笑顔で遊ぶことのできる素敵な空間が、彼らのライブでは実現されていたように思う。

続いてDJブースに登場したのは、I’veの代表として数々のアニソンを世に送り出してきた高瀬一矢。「ここからは大人の時間でいきたいと思います」と宣言し、I’ve製のトランシーなダンス・チューンを次々と会場に投下していく。KOTOKO「Suppuration -core-」などのサイケ・トランスにも近いハード・ナンバーは、当然のことながらフロア映えも素晴らしく、ダンスの快感に酔いしれる人が続出。この日のステージには、元Larval Stage Planningのメンバーで、現在はコンポーザーとしてI’veに所属するNAMI MAISAKIもゲスト参加。キーボード演奏でさらなる彩りを加えていく。

後半はRay「baby macaron」のリミックスを中心に、さらにアッパーな楽曲で構成。ブロステップなどの起伏の激しいものから、電波系なハッピー・ハードコア、すべてをなぎ倒すようなハード・テクノまで、様々なダンス・ミュージックのスタイルを取り入れたサウンドが波のように押し寄せてくる様は圧巻の一言だ。ラストは名曲「FUCK ME」のリアレンジ版となる「FUCK ME -Trance Gate mix-」で昇天級のエクスタシーを巻き起こしてスパッと幕切れ。改めてI’veのすごさを示したパフォーマンスだった。

そんな流れをガラリと変えるように、元気いっぱいの笑顔で姿を現したのは、先ほど中村繪里子のドラマDJにゲスト出演した新田恵海。サメのイラストをあしらった黒のトップスに白のふわふわスカートを身に纏った彼女は、軽快なポップンロール「ROCKET HEART」をコブシを突き上げながらハッピー・オーラ全開で歌唱する。中野サンプラザでの2デイズライブを終えたばかりの彼女だが、この日のステージではそこで歌わなかった楽曲を披露することを明かし、会場に集ったえみつんのファン=恵海人(えみんちゅ)は大歓喜。彼女は自身がキャストを務めるオーイズミのマスコットキャラ、1000ちゃんになりきって、曲名どおりのハイテンションなアゲアゲ早口ソング「ウルトラ オレンジ ハイテンション」を全速力で歌う。もちろん会場のサイリウムはオレンジ一色に。

「こんなサメ柄のTシャツで歌うのはどうなの?って感じなんですけど(笑)」と語りつつ、えみつんが次に歌ったのは、これまたライブで歌唱するのはレアなバラード「世界ノ全部ガ敵ダトシテモ」。彼女が次に歌う曲名を告げたのと同時に、フロアから大きな歓声が上がったことからも、ファンがライブで聴けることを待ち望んでいた曲であることが伝わってくる。声楽の素養もある彼女ならではのハイトーンを活かしたソプラノ・ボイスは、圧倒的としか言いようのないほどの美しさ。えみつんに後光が射すようなライト演出も含め、感動的な名演となった。そして締めに選ばれたのは、ベスト盤『Trace of EMUSIC』に収録された新録曲「Believe in (E)MUSIC」。えみつん自身の言葉で綴られた、希望溢れる未来を信じる歌詞が、きっと恵海人たちの胸に深く響いたはずだ。

そしてこの日最後のライブ・アクトとなったのが、Tom-H@ckを中心とするコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニットのMYTH & ROIDだ。ステージに立ったのは、ボーカリストのKIHOWと、全身黒の衣装にギターもブラックで統一したTom-H@ckのふたり。真紅のライトが舞台を照らすなか、彼らのアルバム『eYe’s』でも冒頭を飾っていた「- A beginning -」の英語のモノローグが厳かなムードを醸成し、それを切り裂くようにインダストリアルなギター・ロック「TRAGEDY:ETERNITY」が演奏される。どこか神秘的な雰囲気を湛えたKIHOWのエモーショナルな歌唱と、エッジの利きまくったTom-H@ckのギターが織り成すダークで幻想的な光景は、MYTH & ROIDだからこそ現出させられるものだろう。

MCを経て披露されたのは、『Re:ゼロから始める異世界生活』の第1クールEDテーマ「STYX HELIX」と、同アニメの挿入歌として使われた「theater D」の2曲。しなやかに浮き沈みするメロディーがミステリアスな前者、一転してギターが激情的に掻き鳴らされる後者と、サウンドの方向性は異なるものの共にドラマチックな要素が色濃く、それが会場に不思議な高揚感をもたらしていく。さらに、アルバムからライブ初披露となる「Tough & Alone」、最後は『オーバーロード』のEDテーマ「L.L.L.」でゴリゴリと攻めまくり、ステージ狭しとアクティブに動き回りながら強烈なパフォーマンスでライブを終えた。

そして記念すべき“リスアニ!PARK”初開催の大トリを飾ったのが、クラムボンのミト、MONACAの神前 暁、シンガー・ソングライターのmeg rockの3人から成るユニット、その名も「みとさとろっく」だ。夏祭りよろしく浴衣姿で登場した3人は、この日ライブ出演した井口裕香が歌う阿良々木月火のキャラソン「白金ディスコ」(『偽物語』OPテーマ)からDJプレイをスタートする。そこから千石撫子「恋愛サーキュレーション」(『化物語』OPテーマ)、斧乃木余接「オレンジミント」(『憑物語』OPテーマ)と〈物語〉シリーズの楽曲を連発。3人が制作に関わってきた楽曲縛りというDJスタイルなれど、そのどれもが高品質なアニソンということもあって、「神曲しかかけません」(ミト)という力強い宣言どおりの選曲で会場を大きく盛り上げていく。

神前ワークである劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』の主題歌「M@STERPIECE」では、会場の期待に応えて中村繪里子が登場。

さらにグミ「Catch You Catch Me」に続いてプレイされたメロキュア「Agape」のミト&kz(livetune)によるリミックス・バージョンでは、meg rock自身がマイクを手に歌い出すというファン感涙のサービスもあり、興奮はマックスへ。その後も涼宮ハルヒ「God knows…」、戸松 遥「motto☆派手にね!」、TrySail「オリジナル。」、前川みく「ニャンと☆スペクタクル」、中川翔子「空色デイズ」、藍井エイル「シリウス」と誰もが認める名曲をガンガン投下。上坂すみれ「七つの海よりキミの海」では神前がデスボイスでシャウトするという、謎のテンションが発揮される場面も。最後はちょうどこの時間の裏で放送されていた『終物語』より「まよいヘル」のOPテーマ、八九寺真宵「terminal terminal」が特別披露され(この曲はみとさとろっくの3人による共作曲だ)、イベントは華々しく幕を閉じた。

ライブとDJプレイを複数のステージで同時展開し、自由に回遊しながら楽しむことができる、「リスアニ!」のイベントとしてはあらたな試みとなった“リスアニ!PARK”。約7時間の長丁場にも関わらず、会場には終始アニソンが好きでたまらない人たちのエネルギーが溢れ、アニメと音楽の魅力をしこたま堪能できるイベントとなっていた。筆者も会場でアニソンを湯水のように浴びるなかで改めてその奥深さを再確認し、ますますアニソンのことが好きになったように思う。

次回の開催にも期待しつつも、ゆくゆくはフェス級のビッグなイベントにぜひ進化してほしい。

Text by 北野 創
Photography by 山本哲也


●イベント概要
リスアニ!PARK Vol.01
8月12日(土)新木場・STUDIO COAST
“ナイト”エリア……開場 12:30/開演 13:00
“PARK”エリア……開場 12:30/開演 13:00
“CIRCUIT”エリア……開場 15:00/開演 15:30

出演者(※出演順)
“CIRCUIT”エリア
ステージ1:(K)NoW_NAME、井口裕香、ORESAMA、新田恵海、MYTH & ROID
ステージ2:D-YAMA(MOGRA)、中村繪里子、高瀬一矢(I’ve)、みとさとろっく(ミト from クラムボン、神前 暁(MONACA)、meg rock)

“ナイト”エリア
DJ MarGenal(アニラボ.)、DJ WILDPARTY、吉田尚記、出口博之(モノブライト)、DJ Gyaran(アニラボ.)、水島精二、DJ濱(アニラボ.)、Hifumi,inc CreatorS、RAB(リアルアキバボーイズ)、chefoba(アニラボ.)、DJ和

“PARK”エリア
あーりぃØ a.k.a 愛原ありさ(アース・スター ドリーム)、DJ HACK、白石稔、MONICO、RAB(リアルアキバボーイズ)、DJシーザー、DJけいたん from RAB(リアルアキバボーイズ)

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP