アニメ音楽のあらたな楽しみ方を提唱！初開催の複合型アニメ音楽イベント“リスアニ！PARK”レポート！

こちらのエリアには、ライブが行われる「ステージ1」と、DJブースとなる「ステージ2」の2ステージが設置。一方のステージが終わったあとに間断なくもう片方のステージが展開され、豪華アーティストによるライブやDJをインターバルなく楽しめる仕組みだ。

その“CIRCUIT”エリアにてトップバッターを務めたのは、アニメ音楽周りで活躍するクリエイターを中心に結成されたクリエイティブ・ユニットの(K)NoW_NAME。これまで音楽を担当したアニメ作品のイベントには出演したことがあるものの、こういった外部の音楽イベントにてライブを披露するのは今回が初となる。メンバーの立花綾香（ボーカル）、睦月周平（ギター）に、川島弘光（ベース）、一ノ瀬久（ドラムス）というサポートを加えたバンド編成での出演となった彼ら。まずは『灰と幻想のグリムガル』のOPテーマ「Knew day」で観客を激しく煽り立てる。バンド・メンバーが衣装を黒で統一するなか、白を基調とした衣装でショートカットを振り乱して歌う立花の姿は鮮烈な印象を残した。普段はシンガー・ソングライターとしてピアノ弾き語りでライブを行う彼女だが、ロック・シンガー然としたそのパフォーマンスも見る者の心を奪う迫力があった。

そこから同アニメの挿入歌「Growing」でメタリックな音塊を叩きつけると、軽いMCを挿んで『サクラクエスト』の第1クールEDテーマ「Freesia」を続けて披露。アコギに持ち替えた睦月が紡ぐフォーキーで清涼感のある音色と、立花の広大な空を駆け巡るような歌声が、フロアを爽やかな空気で満たしていく。最後は「もっとたくさん聴きたいという人は、ぜひワンマン・ライブに来てください！」（立花）としっかりライブの宣伝をしつつ、『サクラクエスト』の第2クールOPテーマ「Lupinus」でしなやかなエモーションと会場全体の一体感を生み出しながらライブを終えた。

(K)NoW_NAMEからバトンを託されたのは、秋葉原MOGRAの店長としてアニクラ・シーンを牽引するD-YAMA。セブンスシスターズ「SEVENTH HAVEN」を皮切りに、高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」のリミックスなどフロア仕様のアップを織り交ぜながらオーディエンスをノせていく。この日何度となくフロアを熱狂させたUNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」や、「おっさんなんで古い曲も」との言葉に続けて放ったTM NETWORK「Get Wild」などの定番曲で盛り上げつつ、ラストもナナシス曲となるセブンスシスターズ「Sparkle☆Time!!」で締めるという構成には、シビれた人も多かったことだろう。

続けてメイン・ステージには井口裕香が登場し、会場のボルテージは一気に急上昇。黒のドレス姿で大人っぽくキメたゆかちは、彼女の持ち曲のなかでも随一の色気が漂うロック・チューン「リトルチャームファング」でステージを始める。この日の彼女は攻めモード全開。MCではいつもの明るい表情を見せつつ、「カワイイ曲もいろいろあるんですけど、続けてカッコイイ曲を歌わせていただきたいと思います！」と、井内舞子提供による性急なナンバー「Lostorage」でハードな世界を広げていく。トーク時のかわらしい声から一転、すごみを感じさせる歌声は魔性の女とでも形容したくなるような艶やかさ。声優として培ってきた表現力が渾身の歌となって聴く者の心を打つ。

かと思えば、MCでは「昨日からジムに行き始めまして、今おしりが痛いんです（笑）」と会場の笑いを誘うゆかち。この落差もまた彼女の魅力なのだろう。「続いてはかわいらしい曲を、おしりの痛い私が歌わせていただきます（笑）」と、3曲目に披露されたのは『とある科学の超電磁砲S』のEDテーマ「Grow Slowly」。ステージ上を右に左に動きながら楽しそうに歌う彼女の姿に、オーディエンスも自然と微笑み返してしまう。ラストは『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝ソード・オラトリア』より最新シングル「RE-ILLUSION」で開放感いっぱいにステージを締めくくった。

そしてDJブースに姿を現したのは、今回が3回目のDJ挑戦となる声優の中村繪里子。
“リスアニ！ナイト Vol.05”では、「裏では披露宴DJと呼ばれてました（笑）」と言う彼女のこれまでのヒストリーを追ったプレイ、“リスアニ！ナイト Vol.07”では、ラジオ・パーソナリティの肩書きも持つ彼女らしくラジオDJ形式のプレイを行い、自分らしいDJ表現に挑戦してきた。そして今回、彼女が「中村繪里子じゃないと出来ないこと」として選んだのは、なんとラジオドラマDJ。会場にて生でドラマの朗読劇を行い、その後に劇に関わる楽曲をかけるという、かつてないスタイルのDJだ。しかも『アイドルマスター』シリーズとも縁のある放送作家の伊福部崇が脚本を担当、新田恵海がゲスト出演するという何とも豪華な内容に。

DJのchefobaがサポートしつつ始まった朗読劇のストーリーは、中村繪里子演じる少年が夢の中で宇宙を走るバスに乗り、新田恵海演じる不思議な生き物「えつみん」の案内で、様々な「音の星」を巡り、音楽を集めるというもの。登場する星は、デジタルなモンスターたちが住む「バタフライ」や、恋する乙女が大志を抱く「乙女の星」など、どこかで聞いたことのあるようなものばかり。劇の終了後には、そこで見つけた音楽を中村がDJ形式で繋げて披露していく。和田光司「Butter-Fly」やMAKE-UP「ペガサス幻想」、さらに自身が歌う天海春香「乙女よ大志を抱け!!」などをプレイしていき、最後はsupercell「君の知らない物語」で夏の大三角を仰ぎ見ながらロマンチックに終了。なお、披露された楽曲はいずれも事前に募ったリクエストから選ばれたもので（採用者の中には水島精二監督の名前も！）、その点もラジオDJである彼女らしい仕掛けとなっていた。