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REPORT

2017.04.12

『アイドルマスター ミリオンライブ!』4thライブ日本武道館公演3DAYS全アイドル個別レポート「Starlight Melody」編

高橋未奈美(馬場このみ役)

ライブオープニング、ステージで12人が歌い踊った「Starry Melody」。だがいちばん客席がどよめいたのは、実は歌の後。キャストが挨拶する姿を順番に捉えていたカメラがスクリーンに高橋の姿を映し出した瞬間、それだけで会場は大きくどよめいた。黒髪のイメージが強い(今回初めて染めたとのことだ)高橋が髪の毛を茶色に染めて、左側に編み込みのウィッグを垂らしたビジュアルがあまりにも馬場このみそのものであったからだ。MCではいつも通り明るくわちゃわちゃした様子だったが、ステージで歌う姿は馬場このみそのものだった。

ジェミニとして歌った「永遠の花」では、そんなこのみさんの大人の女性としての表現を存分に見せてくれた。歌い出しから末柄の情感あふれる歌唱、渡部のキャラクターらしさがあふれる安定したボーカル。それを受ける高橋の歌はとにかく圧倒的に巧い。歌が突出してうまいというのもひとつの個性なのだなと思うし、彼女がこれだけ気持ちよく歌ってもバランスが取れるのは末柄と渡部の歌声に力があればこそだろう。ボーカル力だけでなく、歌唱中の包みこむような淡い微笑みも歌の表現にぴったりと寄り添うものだった。

最初に高橋の「dear…」を見たときは、とんでもない才能が現れたと思った。それだけ圧倒的なパフォーマンスだったわけだが、昨年の3rdライブではさらに歌声が安定して、超高難度な楽曲にも関わらずどこか余裕すら感じさせる歌唱になったように感じられた。そこから一年が経過した今回のステージでは、ボーカルの安定で生まれた余力をさらなる表現の追求に向けてきた印象だ。以前は超高音域でも指一本の余裕を残していたのが、敢えて限界近くまで喉を使うことで生まれるほんの少しのゆらぎやかすれの成分が、切ない感情を濃厚に伝えてくる。3rdが「とてつもなく上手い」歌唱だとすれば、今回はより「伝わる」歌唱だったように思う。

「みんなに馬場このみを見てほしくて、想いがあふれまくりました」という言葉通り、ステージ中何度も涙ぐみそうになりながらも、最後まで気丈に話していた高橋。仲間たちの「このみさんがいた」という表現がまさにしっくりする姿だった。

末柄里恵(豊川風花役)

「歌に情感がこもっている」という言葉があるが、ジェミニの3人が歌う「永遠の花」を聴くと、情感を込めた歌にも本当に様々な種類や性質があるのだなと思わされる。末柄は、風花と彼女自身の想いをダイレクトに歌声に乗せてくる感じで、歌声そのものに叙情性、物語がある。言葉ではなかなか伝えづらいが、すごくウェットで日本人的な想いの乗せ方というか、“窓あけたら 花瓶の花が風に誘われて揺れたよ そう手を振るように”のような詞の情景が鮮やかに流れこんでくる。違う個性の3人が揃いの指輪を身に着けて想いを込めた歌声は、ずっと聴いていたい三重奏だった。

末柄は「オレンジの空の下」に、成長した姿を見せるために自分で課題を設定していたという。クロストークで「ソロは前より成長した姿を見せたい」という話題に身を乗り出すように同意していた姿からもその想いのほどが伺える。オレンジの町並みの映像が郷愁のある空気を醸し出すなか、末柄は誠実にていねいに歌に想いを込めていく。課題がなんであったかは明かされなかったが、彼女がMCで気にしていたのは、会場の観客があったかい気持ちになっているかどうか。客席の心の温度を変えられることができたか、何かが届いているかを気にしていたのは彼女のスタンスや歌声の魅力と無関係ではないはずだ。

最終日の「PRETTY DREAMER」は、「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 03」収録のオリジナルメンバーから山崎と末柄が参加、そこに高橋と村川というかなり強い個性を加えたカルテットになった。元気印のメンバーの中にちょっと違った色合いのアクセントを加えるのが風花のポジションだとは思うのだが、「まだまだはしゃげますよね!!」と客席を煽る姿からは風花と末柄もめいっぱい高揚している様子が伝わってきた。

最後のMCでは、ファンの声援が自分たちを輝かせてくれた感謝を伝えてきた末柄。こみあげる気持ちをこらえながら気丈に大丈夫、と身振りで示す末柄に、いてもたってもいられない様子の桐谷が駆けよっていたのが仲間の絆を感じさせた。

稲川英里(大神 環役)

個人的に、ステージでキャラクターを演じ続けるということにとにかく忠実なイメージがあるのが稲川だ。MCで「おやぶーん!」と叫び、くふふ、と笑みをこぼす姿は本当に環そのものに感じられる。「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」でも歌声と表情、身体全体で環の感情を表現していて、「笑っちゃうんだ」で花が咲いたように笑ったかと思えば「つまんない」の歌詞にあわせてしょんぼりしたりと表情がくるくると変わる。環声で客席を盛り上げながらの歌唱だったのだが、後半の「ありがとー!」や「もっとあそぼ!」はリズムをすっとばして、環の楽しくてうれしくての感情が溢れだしてきたように感じられた。後半には麻倉が登場して一緒にホップ!ステップ!!ジャンプ!!!かわいいものにかわいいものを足すともっとかわいいことが確認できた。

武道館の3日間は忘れられない思い出ばかりだが、その中でもいちばん楽しくてもう一度体験したいのは?と聞かれたら、アリエスの「Sweet Sweet Soul」と答えるかもしれない。稲川のくるくると変わる表情と麻倉のキラキラした笑顔、そして最高にお調子にのってる小笠原と、それぞれの感情表現が楽しくてキュートで、ステージの誰からも目が離せなくて困ってしまう。稲川は環ならではの走り回りながらの早口ラップあり、DJプレイっぽいアクションありで、ひとつひとつの動きや台詞がちゃんと環してるのが最高だった。

稲川は最終日のサプライズ枠「侠気乱舞」にも参加。ハイテンションのぶつけあいの中に環の歌声が入ってくるとそれだけで楽しくなってしまう。幼く高くしっかり作りこんだ歌い方のために、疾走感があってロックテイスト、しかも低音の楽曲を歌うのはなかなかに大変そうに思えるが、舌っ足らずに叫ぶように歌ったり、とにかく環らしく歌うことを絶対に崩さないことにプロ意識を感じた。

そして稲川が「侠気乱舞」からひとりステージに残って、立て続けにハイテンションな「ジャングル☆パーティー」に突入したのには驚いた。稲川と小笠原のパフォーマンスの相性の良さはアリエスでも折り紙付きで、この曲で原曲パートナー・下田麻美のかわりを務められるのは小笠原しかいないのではと思うほどしっくりくる。この曲に関しては、全身を使ったワイルドなダンスでジャングル感を演出するダンサー陣の存在感にも目を見張るものがあった。個人的な持論だが、サポートダンサーが「本気」を出せるステージとは、主役たちがそれに負けることのない存在とパフォーマンスを持っている証なのである。

ラストのMCでは、環として全力で武道館を駆け抜けた稲川の素の、まっすぐで誠実な言葉をじっくり聴くことができた。環と仲間と“おやぶんの皆さん”に感謝した稲川は、やはり最後は環として「環たちをぶどーかんにつれてきてくれて本当にありがとう!環、おやぶんのことだーいすき!」と挨拶。その言葉はやはり最高にかわいくて、ちょっと泣けるのだった。

小笠原早紀(野々原茜役)

お調子者の茜には日本武道館千秋楽というステージが最高に似合う。そしてこれだけ弾けている小笠原が『ミリオンライブ!』のリリイベ、そして大ライブの舞台を初めて踏んだのがわずか一年前であるという事実には改めて驚かずにいられない。オープニングMCでは小笠原がぴょんぴょん跳びはねながら「茜ちゃんがついにー武道館にきたよー!」の声を響かせた。

小笠原は「Heart♡・デイズ・Night☆」でソロのトップバッターを担当。ライブ初披露の楽曲でこの位置を務めるプレッシャーを感じさせない、茜そのものの声で歌う茜らしさあふれるステージだ。おねだりしちゃうね、に客席から「もう一回!」のコールが飛ぶのだが、曲が進んで何度も繰り返し、小笠原自身も煽りまくるうちにだんだん会場のコールが大きくなっていく。最後に稲川が「環も一緒に遊んでいい〜?」と入ってきて、ふたりで一緒にキメた「もう一回!」は最高にハッピーだった。細かいところだと小笠原は身体が柔らかいのか、身体をぐいーっとひねったポーズがすごく様になると感じた。

アリエスとしての「Sweet Sweet Soul」で、ユニットを、そして会場を引っ張っていたのは小笠原だった。イントロ中の小笠原の軽快な煽りで、会場がこの曲のモードにすんなり入れた感じだ。ラップ掛け合いパートでは麻倉のかわいさ、稲川の環声での早口など色があるのだが、小笠原のそれは存外正統派でハマっていて、やはりこの曲は茜ありきなんだと感じる。腕組みポーズでどやっと決めての「ヘイメーン」が最高に似合う小笠原だった。

「ジャングル☆パーティー」に小笠原がすごくしっくりきたのは前述の通り。「うんばばー!」にも彼女の客席煽りスキルが効いている感じだ。間奏のワイルドポーズで稲川の環はちょっとキケンな小型肉食獣を思わせるが、小笠原の茜ちゃんはややキュートなネコ科動物かなという感じ。先程最終日は憑依型が多いのではと書いたが、小笠原の場合はテンションが上がった本人と茜の境界が結構あいまいなようにも見えた。ステージをやりきった小笠原がにっかーっと笑う姿が印象的だった。

麻倉もも(箱崎星梨花役)

稲川の「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」の途中から参加して一緒にホップステップジャンプを決めた麻倉。その楽しさとテンションの高さをそのまま持ち込むように「トキメキの音符になって」に入る。星梨花と環のかわいさの相乗効果でステージはとても華やかだ。麻倉はソロ曲を誰かが一緒に歌ってくれる心強さを語っていた。プロデューサーの声をもっと聞かせてくれるように頼んだ後の麻倉の「全力で夢になって」のフレーズは本当に全力で、星梨花の楽しそうな気持ちがダイレクトに伝わってくるようだった。個人的には今までにないほど麻倉の感情やテンションが歌唱に乗ったパフォーマンスだったと思う。

麻倉と星梨花の声、歌、ビジュアルの説明のいらないかわいさはどんな楽曲でも効いてくるもの。「Sweet Sweet Soul」では星梨花がヒップホップもラップもよくわかってないっぽいな、でも3人で歌うことがとにかく楽しいんだろうなという感じが絶妙にこの曲の「アッパー系なんだけど歌詞はひらがな感」につながっていると思う。

「little trip around the world」は麻倉+渡部恵子というレアな組み合わせ。最終日の麻倉はアイドル同士の年齢が近い組み合わせでのキュートブースターとしての活躍が目立った。ダンサーと一緒に飛行機ポーズでくるくるまわったりする姿もとてもかわいい。それだけに落ちサビソロの透き通るような響きにはっとしてしまう。先程の「Sweet Sweet Soul」のひらがな英語の印象が残っているだけに、落ちサビの「まるでlittle trip! Let’s go around the world!」がなめらかにするっと入ってくる感じがちょっと新鮮だ。

今回のライブの麻倉は、初日は「創造は始まりの風を連れて」にサプライズ参加、2日目は「Flooding」にサプライズ参加と、3日間を通してライブ本編に登場する武道館女となった。最終日の麻倉のキュート成分が強かったぶん、特に初日の凛としたパフォーマンスは印象的だ。一方、2日目の「Flooding」では田所、雨宮、平山の反則的なボーカルチームがいることとバランスをとってか、星梨花らしさを前面に出しながらその中に繊細な心情を込めていた印象だった。

最後のMCでは、前日に今までにないぐらい緊張したことと、ステージの楽しさ、終わってしまう寂しさを語っていた麻倉。その言葉にも特別なステージに対する想いはみなぎっていたのだが、本編ラストに披露された新曲「Brand New Theater!」で“涙こらえあとちょっと”のフレーズのあたりで、まんまるな瞳に浮かべた涙をこぼさないように頑張っていたのは、初めて見る彼女の姿だった。

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