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REPORT

2017.04.05

『アイドルマスター ミリオンライブ!』4thライブ日本武道館公演3DAYS全アイドル個別レポート「BlueMoon Harmony」編

戸田めぐみ(舞浜 歩役)

数え切れないほどの楽曲がある『ミリオンライブ!』だが、その中にあっても「Get My Shinin’」のソウルフルな、ラップを交えた重厚な響きはオリジナルなもののひとつだろう。3rdツアーで既に完成の域にあったこの曲は、武道館でさらに豊かな感情表現という広がりを手に入れた。間奏の語りかけるようなラップの「未来!」「ベイビー!」の叫びはまるでミュージカルのようで、アクセントのひとつひとつに感情の高まりをしっかりと込めていく。そんな力強くかっこいい表現の中にも、ちょっとした笑顔や悪戯っぽいウィンクの決めを織りこんでくる感じが“アイドル”していてとても良かった。

「Beat the World!!!」、そして「Raise the FLAG」で藤井と一緒に歌った戸田だったが、ふたりの絆を感じさせたのが、藤井の「フローズン・ワード」の後半。戸田はこの曲に途中から合流して一緒に歌えることがとてもうれしかったとのことだが、ハイタッチの際にしっかりと藤井のことを見つめるために、担当歌詞の一部を削ってもらったというエピソードは驚くとともに微笑ましいものだった。

歩として歌う戸田の歌声の力強さになれていると、MCで彼女が素で話す声のかわいらしさには毎度びっくりしてしまう。武道館から数えてちょうど6年前、戸田は合格の知らせを受けて声優としての道を歩みだしたという。そんな日に武道館に立つ特別さを語った戸田が、もうひとつ特別な想いを込めて語っていたのが、「Beat the World!!!」の原曲でのパートナー・菊地 真役の平田宏美への想いだった。2月に放送された『ミリオンライブ!』4周年記念特番に出演した平田が歩と一緒に歌いたいと語っていたことを紹介した戸田は、「私いつでも歌えるようにして待ってます!」と涙ながらに熱い想いを吐露。それでも最後はきっちり舞浜 歩として熱くかっこよくキメたところに彼女の役者魂を感じたのだった。

阿部里果(真壁瑞希役)

サジタリアスとして「Raise the FLAG」を歌う阿部を見ていて実感じたのは、唯一無二の声質と、キャラクターを乗せた歌声の土台がしっかりしていることの強さだった。「Raise the FLAG」の曲調に寄せた力強くパワフルな歌唱をしていても、軸になる声さえ揺らさなければ「新しい表現を見せる瑞希」として成立する、してしまうのはやはり強い。歌い方のトーンを3人で揃えながらも、その声質と高さが単なるアクセントに留まらない「主役」たりえるのは、阿部の声と技術あればこそだろう。

一方、正調・ドストレートな瑞希らしさを存分に感じさせたのがソロの「POKER POKER」。時に気持ちよく伸ばしたり、時にリズミカルに弾ませたりのボーカルがバックの音と一体になる響きが音楽的でとても気持ちいい。色とりどりのトランプを背景に、阿部が(見えない)トランプをたぐる手つきは熟練のディーラーのようだ。キャラ声で歌う名手は数いれど、超高音域でこれだけ繊細な表現をしながら、安定させられる人はそうはいないのではないか……と思うのだが、阿部本人は「ちょっと悔しいほろ苦い感じになったのでリベンジしたいです」とのこと。どれほど理想が高いのだろうかと思ってしまうが、それだけに彼女自身が納得いくパフォーマンスをいつか見てみたいとワクワクしてしまった。

初日のサプライズ、乙女ストーム!メンバーとして「Growing Storm!」を歌った阿部。2014年のリリースイベントで5人揃ってこの曲を初披露したときは、阿部はこれだけ歌声に個性があるのだから、もっと強く存在を主張してもよいのにな……と感じた記憶がある。今回のステージでは5人の歌唱の中からかなり強く瑞希らしさを感じて、この曲調と高さの中でどう瑞希らしく歌い上げるか、がかなり見えてきたのではないかと思う。

2日目のサプライズ枠「赤い世界が消える頃」に、2日目組として参加した阿部。木戸衣吹や大関英里が普段と全く違う表現を見せたり、全体的に情感を強調していくなか、普段の瑞希の延長線上にある歌声がどこかこの世ならざる異質感をはらんで響くのがとても面白かった。

そしてもうひとつ、阿部と瑞希の表現が印象に残ったのは、個人的には意外な「Blue Symphony」だった。低いトーンでクールに歌う姿自体が新鮮だったのだが、もうひとつびっくりしたのがダンスパートでの阿部のちょっと挑発的な、テンションの高まりを演じさせる表情。実はこのあとに阿部のソロパートが来て歌声と表情がぴったりハマるのだが、自分のパートが来る前に既に歌詞の物語の世界に入りこんでいる、気持ちの乗りが伝わってくるようだった

野村香菜子(二階堂千鶴役)

オープニングMCから高笑いを決めたり、曲前に「プロデューサー、行きますわよ!」と挑戦的に宣言したりと、ライブ前半は千鶴としての言葉が印象に残った野村。野村の素の言葉はといえば「わー!」「おー!」「いえーい!」など感嘆詞が多い。

そんな野村のソロ「恋の音色ライン」はなんとソロのトップバッター。以前の披露と比べると、きびきびとした動きとハイトーンの伸びが良くなった印象だ。後半の高く高く、エンドレスに繰り返すような歌唱ではしっかり歌いきろうと張り詰めた緊張が伝わってくるようだった。MCでも、楽しめた3rdライブに比べると、今回は練習するほど不安が大きくなる部分もあった心境を吐露すると同時に、客席のオレンジのサイリウムにすごく助けられたことを話していた。

ソロを歌い終えたMCではかなり肩の力が抜けた様子で、武道館のステージの広さを体感するために、夜誰もいない道路で練習していたエピソードを披露したりも。小岩井と絡んで褒められたときには乙女のようにときめいていた近藤が、野村に対しては敢えてぞんざいに扱ったりするあたりに、逆に仲のいい関係性が見えていた。

そんな野村が一転大人の表現に全振りしてきたのがピスケスの「P.S I Love You」。ピアノの旋律に乗せて、スタンドマイクをステッキのように見たてて身をくねらせる振付のつやっぽさや、そこから見せる意志の強い眼差しがとても印象的だ。キメの吐息混じりの「I Love You」のシンクロ具合も素晴らしかった。

近藤 唯(篠宮可憐役)

郷愁誘う夕景の映像を背景に、近藤が「夕風のメロディー」を歌う。太陽が沈む間際の鮮烈な光の映像と、会場一面の赤が武道館を記憶の中の風景へと運んでいく。透明で高らかな歌声の中にどこか憂いや郷愁を感じさせる歌声は彼女ならではの個性だ。

もともと近藤はステージでものすごく緊張を感じさせるタイプなこともあって、そのふるえが近藤自身のものなのか、可憐のものなのかの境界が見えにくいところがあった。それが今回の武道館では自分の緊張をしっかりとコントロールしたうえで、その楽曲に込める可憐の心情をきっちりと表現していたと思う。その意味で、ユニット・ARRIVEのリーダーとして、関係性の中に置かれた可憐の「強さ」が感じられる「STANDING ALIVE」も個人的には見たかった。なのだが、かわりに新しい可憐を見せてくれたのが「P.S I Love You」だった。つーっとスタンドマイクをなぞる手つきは大人の表現だったし、サビのソロでの堂々たる歌唱は近藤が、そして可憐が一皮むけたことを確かに感じさせてくれた。ピスケスの3人は歌声にちょっと揺れがある分、その時々の感情や仕上がりがダイレクトにパフォーマンスに反映されていて、ライブならではの良さがあると思う。

締めの挨拶で近藤が「私は今日、やりきる強さを持った可憐ちゃんを連れてこれましたか?」と問いかけると、会場は暖かい拍手に包まれた。今日は泣かずに明るく、前向きに。そんな強い意志が伝わってくる言葉だった。どこまでも進んでいこうとする近藤と可憐を支えようとするプロデューサーたちの歓声に「うれしいな!」と叫んだのは近藤だったのか、可憐だったのか。最後はやはりふたりが重なって見えたのだった。

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