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2017.04.04

会場をキャンパスに描く“松井恵理子”らしさ。松井恵理子ファースト・ライブ「Rainbow Days」レポート!

会場をキャンパスに描く“松井恵理子”らしさ。松井恵理子ファースト・ライブ「Rainbow Days」レポート!

2017年1月にデビュー・アルバム『にじようび。』をリリースした声優・松井恵理子のバースデイ・ファースト・ライブ“Rainbow Days”が3月18日、原宿アストロホールで開催された。

超満員の観衆の前に、松井は白いドレス姿で登場。情感豊かに「ワスレモノ」を歌い上げると、「今日は“Rainbow Days”に来てくれてありがとう!楽しんでいきましょう!」とにかっと笑顔を浮かべた。続く「G.I.R.L.」は客席の息の揃ったコールと相まってライブ感あふれる仕上がりだ。オープニングMCにはちょっと緊張の色も見えたが、「客席のみなさんの声からパワーをもらった」と語る表情には充実感が漂う。

「ユメキセツ」では一転ムーディーな歌唱を披露。この曲のアウトロのあたりで松井自らマイクスタンドを用意して戦闘準備を整えたのだが、続く「理想ラビリンス」ではマイクは持ったまま直接はスタンドは使わず、マイクスタンドをステッキがわりに身体を預けたり、スタンドに身体を絡ませたりと、歌声に合わせた動きのニュアンスを出すのにマイクスタンドを利用している感じだ。ラストフレーズのじっくりと溜めた「ラビリンス」の響きはびっくりするほどの妖艶さを漂わせていた。

そこからキュートに弾むような「子猫のRuby」で空気感を一転させるのが、色彩豊かな「にじようび。」をベースにしたライブならでは。松井が両手を左右に振ると、会場も動きを合わせて気持ちをひとつに盛り上がる。しっとりと歌い上げる「Tsubaki」は、元気なキャラクターとして元気に歌う機会が多い松井には新鮮なライブ体験のようだった。

プレゼントコーナーでは、グッズのポストカードの原画を抽選でプレゼント。松井といえばイラストをテーマにした番組を持っているほどで、今回のライブのグッズなどのデザインは松井自らが担当、デザイナーがブラッシュアップしたものになっている。世界で一点物の想いがこもった原画がプレゼントされるとあって、当選者からは力強い喜びの声があがっていた。

抽選会後のMCでは、松井が大好きなアニメのひとつである『金色のガッシュベル!!』に関するトークが。とくれば次に歌う楽曲は、『金色のガッシュベル!!』で主題歌「カサブタ」を担当した千綿偉功(千綿ヒデノリ)が『にじようび。』に提供した楽曲「ココニアルモノ」だ。

さらに続いては「カサブタ」のカバーも披露。大好きな作品の大好きな楽曲を心から楽しそうに歌っている姿は見ている側もにこにこしてしまう。『ガッシュベル!!』の好きなキャラクターについてのトークで客席とキャッチボールができるのは、ステージも客席もアニメファン同士ならではのコミュニケーションだろう。予告なしのカバー披露にも関わらず、客席がサビを一緒に合唱している姿にアニメ・ソングの力を感じた。

松井が育ってきた三河への想いを込めた「じゃんだらりん」を軽快に歌えば、会場も力いっぱいの「じゃんだらりーん!」の大合唱で応える。さらに「みんなで一緒に!」「いっせーのーで!」と煽った松井は、熱烈なコールを浴びて「ありがとう!」とキレよく答えていく。今回のライブは生バンド演奏だったこともあり、エンドレスにも思える「じゃんだらりーん!」マシマシの構成でめいっぱい掛け合いを楽しんでいた。

ここでスイッチを入れ替えると、クライマックスの「シネマ」へ。疾走感のある楽曲で、スタンドマイクをフルに使いながら想いのこもった歌声を響かせる。楽曲の物語にだんだん入りこむような、慟哭するようなニュアンスすらある歌声だった。

本編ラストの楽曲前に松井が「みんなは真っ白なキャンバスです」と呼びかけると、会場は真っ白な光で満たされる。「また私はライブをしたいと思います。そのときはみんなに会いにきてほしいなと思います、“約束だよ”」と語って歌うのは、アルバム『にじようび。』の基調となるナンバー「デッサン」だ。「約束だよ」のフレーズに合わせて会場がサイリウムを掲げると、やがてその色が色鮮やかに変わっていき、会場を虹色に染め上げたのだった。

アンコールでは、誕生日から10日ほどたったライブをあえて「バースデイ・ライブ」と銘打った理由が松井から語られた。それは、彼女が歌の収録自体あまり経験がなかった頃に収録した特別なキャラクター・ソング「バースデイ・ソング」をこのライブで歌いたいという気持ちだった。ピアノ一本のシンプルな伴奏の「バースデイ・ソング」は、キャラクター・五十鈴として歌った原曲にニュアンスを近づけながらも、あの頃と同じではない少し大人になった、豊かな膨らみを持った歌声だった。

MCで今の想いを語りながら「Don’t let me down」、そして「声」を披露した松井。「キャラクターを好きな気持ちを大切にして」と語った言葉と歌声からは、彼女に声優として、役者としてのしっかりとした幹があったうえで、歌をうたったり、イラストを描いたり、大好きなアニメを語ったりといった多彩な枝を広げていることが伝わってきた。アニメや、役者として演じるキャラクターや、応援してくれるみんなが大好きだ!という気持ちを歌で表現する、そういう歌い手がいたっていいんじゃないかな、それも素敵だなと思ったライブだった。

Text by 中里キリ

松井恵理子・バースデイ・ファースト・ライブ“Rainbow Days”
2017.03.18 原宿アストロホール

<セットリスト>
M01:ワスレモノ
M02:G.I.R.L.
M03:ユメキセツ
M04:理想ラビリンス
M05:子猫のRuby
M06:Tsubaki
M07:ココニアルモノ
M08:カサブタ
M09:じゃんだらりん
M10:シネマ
M11:デッサン
-ENCORE-
EN01:バースデイ・ソング(『ログ・ホライズン』キャラクターソング)
EN02:Don’t let me down
EN03:声

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