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REPORT

2016.06.23

「もう1曲」のひと言は、初ワンマンを誰より楽しんだ何よりの証。 大橋彩香 1stワンマンライブ“Start Up!”レポート!

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6月5日、大橋彩香が自身初となるワンマンライブ“Start Up!”をZepp DiverCity(TOKYO)にて開催。前月に発売された1stアルバム『起動 ~Start Up!~』の楽曲を中心に様々な表情を見せて、一度しかない“初ワンマン”という空間をファンとともに楽しんでいた。

本当に初ワンマン?な圧巻のステージング

開演時刻には2階までぎっしりとファンで埋め尽くされたライブ会場。初ライブにして生バンドを従えての開催に、ファンの期待も高まるばかり。

と、メインスクリーンにイベントロゴが映し出されたかと思えば「Oneman Live 2016を起動しています……」とライブ自体をOSに、バンドメンバー・ダンサーやライブスタッフなどをアプリケーションになぞらえて、アルバムタイトル通り“起動”していく。そして観客の起動ゲージが100%になったところで、ステージ上段にポップアップで大橋が登場。数秒間目を閉じて観客を感じたら、アルバムリード曲「ABSOLUTE YELL」から1stライブが走り出す。ピンクのペンライトが埋め尽くすフロアに向けて、歌詞に合わせて指でハートを描いてみたりとパフォーマンスでも魅せながら、その歌声はパワフルかつ爽やかに伸びていく。ステップも、彼女のウキウキ具合を表すかのように軽快だ。「裸足のままでもこわくない」のイントロでは「1stライブにようこそー!盛り上がっていくぜー!」との言葉も飛び出した。大橋が右腕でフロアを煽ると、ファンもペンライトの色を青に変えてそれに応える。間奏でも「いっくよー!」のひと声から上手・下手両サイドを全開で煽り、後奏での「みんなで飛ぶよー!」の声に合わせて一斉にジャンプ。さらに続く「Doing Now!」でも「Doing Now!」の大合唱が曲中幾度も繰り広げられ、3曲目とは思えない一体感ができあがる。爽快感とパワフルさが両立した大橋の歌声の凄味を早くもあふれさせながら、この曲から登場したダンサーふたりとパフォーマンスを展開していった。

ここで大橋は、まず登場したときの光景を「登場した瞬間にピンクに染まってて、それだけでも泣きそうになるっていう……泣かないけどね!」と振り返る。そして「みんなに負けないくらい楽しんでいくんでよろしくお願いします!」と初ワンマンへの意気込みを語ると、コール・アンド・レスポンスでファンの盛り上がりをチェック。帰ってくる声量の大きさにぴょんぴょん跳ねる姿も、またかわいらしい。

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そんな盛り上がりのなか歌い始めた「おしえてブルースカイ」では、振付がダンサーとシンクロした少々ダンサブルなものに。高らかに飛んで行くようなサビの締め部分の歌声も、バッチリ突き抜けていく。Dメロから落ちサビにかけての情感の込め方には元音源を上回る“この日ならでは”の厚みがあり、リリースから半年での急成長を感じさせる。そしてフロアは続く「にゃんダフルらぶ」の第一音で沸き返り、パーフェクトなコールでその喜びを伝える。この曲ではその伸びのある歌声にほのかにキュートさがトッピングされ、しかも曲が進むに連れて入り込んでいったのか、サビのフェイクなどその色合いがどんどん濃くなっていく。また、ネコをモチーフにした振付の面からも、同様のアプローチが。

さて、ここまではノリの良い楽曲が続いてきたが、ここから2曲は大橋自身「夢だった」と語るほどに熱望していたアコースティック・コーナー。まずはアルバムの中でも目立つ存在だった、ボサノヴァ曲「ジャスミン」から。振付なくほぼ全力を傾けられたであろう歌声は、前曲から引き継いだキュートさを伴ってアコースティックならではの引き立ち方で、ここまでとは違う形でファンを魅了する。そしてピアノソロから歌い出した2曲目「明日の風よ」は、デビュー当時の心境が込められた大事なデビューシングルのカップリング曲。それを、2コーラス目にほかのパートが加わるまで、1コーラス丸々ピアノ一本のみで歌い切る大橋。その声と姿にフロアもじっと目と耳を傾ける。たっぷりとタメを取った落ちサビをはじめとする厚みのある歌声には、この2年間の活動への想いも込められていたのかもしれない。歌い終えると「ありがとう」とひと言残してステージを降り、バンド演奏とダンサーソロへ。

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それが終わると、最初と同じ場所に紺ベースの衣装をまとった大橋が再登場。パワフルに「Super Dreaming Days」を披露する。この曲はダンサーとともに学校生活を意識したミュージカル調の振付とともに歌われていったのだが、びっくりしたような表情を見せても歌声にブレがない。視覚的表現を楽しませると同時にボーカルワークも疎かにしない、彼女の巧みさも数多く見られた1曲でもあった。

見事1曲を“表現”しきった大橋は、今度はチェンジした衣装らしく「今度はかっこいい大橋も観ていただかなければいけないかな?」とここからの楽曲の方向性を予告。また違うテイストの楽曲たちを前に、思わず「あー、どきどきするー!」と不安をこぼすも、「RED SEED」が流れ始めると表情も歌声もカチッとギアチェンジ。歌声の伸びやかさはピリッとした攻撃性へと転化される。アルバム中で彼女の内面に最も肉薄したかのようにも感じられるこの曲、特に落ちサビで感情が、魂が深く入る。バンドの生音にも決して力負けしていなかった。続いてステージにスタンドマイクが用意されると、デビュー前から歌ってきたオリジナル曲「No Surrender」の出番に。少々前まで見られた笑顔を一掃して、いささか艶っぽささえ感じられる目線とともにロックモードに入りきる。また「勇気のツバサ」でもパワフルなボーカルはそのままに、サビでは両腕でツバサを模したパフォーマンスも組み込む。この曲では開けていくような雰囲気を持つサビで大橋にも笑顔が見え始め、徐々に陽転していく。ラスサビの最後では右腕を振り上げて、フロアの盛り上がりをリードしていた。

3曲を走り抜けた大橋。「『RED SEED』の瞬間にフロアが真っ赤に染まって、びっくりしました!」と率直な感想を語るが、ここで飛び出した「次からがラストスパート」との言葉に、場内からは残念そうな声が挙がる。大橋自身も実に名残惜しそうに「私も早いなって思ってる」とこぼすが、ラストスパートに向けた再びのコール・アンド・レスポンスへの絶好の反応に「よーしよしよし」と満足気。ハイテンションのままコールたっぷりの「ENERGY☆SMILE」で、掛け合いとそれが繰り広げられるこの時間と空間を、タイトル通り笑顔全開で楽しみつくそうとする。それが顕著に表れていたのが、2コーラス目のAメロ。音符をなぞるよりも目の前のファンとの掛け合い重視の声の出し方をしていたのだ。そして、星形のタンバリンを手に本編ラスト曲「流星タンバリン」へ。この曲でも前曲と姿勢は変わらない。「みんなー、音楽は好きかー?」との呼びかけに歓声が上がると、「私も大好きだー!」とエールを投げかける。かと思えば、間奏では練習なし一発勝負でのウェーブを敢行。この日いちばんの統率力で描かれた流れるようなウェーブを目にし、「ありがとう!完璧ー!」と笑顔で礼を叫ぶ。ラストに沸き起こった大合唱ではファンと一体となってのアツすぎる1分間を展開。これ以上ない、「MusicはHappy!!」な瞬間だった。

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