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2016.05.09

名曲は、圧倒的なパフォーマンスによって世代を超える。 “NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016 -GENESIS-”レポート

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4月9日・10日、水樹奈々の約4年半ぶりとなる東京ドームでのライブ“NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016”が開催。デビューから2007年までの楽曲を中心に構成した初日“-GENESIS-”と、2008年~2014年にリリースされた楽曲を中心とした2日目“-FRONTIER-”とそれぞれコンセプトを分け、両日共通した2015年リリースの“7”曲がそれを繋いだ。本稿では、その初日“-GENESIS-”の模様をお届けする。

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客電が落ちた瞬間歓声に包まれ、同時に青に染まる東京ドーム。直後に映し出されたOP映像では水樹が宇宙船の乗客として登場。しかし目的地への途中で遭難してしまう――という筋書き。それに沿って、センターステージに設置された脱出ポッドを模したセットの中から水樹が登場。いきなり必殺曲「ETERNAL BLAZE」を歌い出し、真っ青だった客席は一瞬にしてオレンジに染まる。それに呼応するかのように、観客のコールやジャンプのタイミングに合わせてステージでは火球が吹き上がる。2サビ明けの「ETERNAL BLAZE!」のコールで会場との一体感を早くも作り上げ、そのまま「今日は最高に高ぶっていくぞ!」の言葉とともに「残光のガイア」「suddenly ~巡り合えて~」とキラーチューンを計3曲畳みかける。いずれの曲でも、客席と目線を合わせようとしたり、ステージの両端まで向かうなど、ファンを意識したステージングを展開。その一方で、後者の後奏ではサックスと勝負するかのようにアドリブ・フレーズを歌い上げ、魅せる一面も光っていた。

MCでは、万感の想いで「来たぜ!東京ドーム!!」「またこの場所に立てることが最高にうれしいです!」と語る水樹。前述のとおり、今回は初期の楽曲が多い公演。そのためか、客席には初ツアーのタオルを掲げるファンも多く、それを目にする水樹の表情もまたうれしそう。

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ここで水樹は一旦降壇し、代わりにフラッグを掲げながらダンサー24名が登場。そしてメインステージの床下から衣装替えを済ませた水樹がリフトアップで登場し、「Never Let Go」を披露。歌唱しながら上昇を続け、一時は2階ほどの高さまで上昇する。その後「Bring it on!」では再び観客のコールを煽ったりとパワフルなステージを続けたかと思えば、「Exterminate」冒頭の独唱でドームを沸かせる、そのまま圧倒的な歌声で客席を支配していく。特にサビ入り直前のフレーズは、高低差もある難易度の高いものなのに、生歌でまったく崩れないという点に改めて彼女のすさまじさの一端を見た気がする。しかも、3曲連続ブロックの3曲目において、である。

ここで再び水樹は降壇し、バンドメンバー・Cherry Boysが自らの紹介を「銀河戦士チェリボセイバー」なるオリジナル曲に映像を乗せて行う。コール飛び交う客席とステージ上とで、この時間も観客ともどもバッチリ楽しみ切る。

そして「フリースタイル」のイントロとともにダンサーがクラップを煽ると、一塁側ポール脇から魔法のほうきに乗って登場。それに星々や惑星を模した風船を結びつけ、サビの歌詞よろしく“空を飛ぶ”。この曲でバックネットまで移動し、続けて「エゴアイディール」では三塁側へとぐるり周回。こちらも“全力で歌い”、ほうきにまたがっての2曲でも安定感たっぷりの歌声を披露した。その後、後奏で着地するとメインステージに再登場し、「What cheer?」を披露。センターステージの中央に水樹が移動すると、そこだけが一段と高くせり上がっていく。そこから笑顔で何度もうなずくようなしぐさを見せていたのは、初期の楽曲が変わらず愛されていることへのうれしさからだろうか。

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そのセンターステージ上でのMCで、「どうも、宇宙魔女っ娘です」とひと笑いを起こし、演出の理由を「ドームならではの規模感のある移動をしたかった」と語る。そして「ここからは大人っぽい曲を」との言葉から、初期の名バラード「deep sea」へ。客席の青い光の海が、リリースから年月を重ねより深みを増した水樹の歌声を演出。ファンもその歌声に聴き惚れていた。続く「アンビバレンス」では、大人っぽさでもジャジーでオシャレな雰囲気に。年月を経ての、“大人っぽさ”のアプローチの広がりを感じられる2曲だった。

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ダンサーたち“TEAM YO-DA”のパフォーマンスを経て、再度上映されたショート映像では最後に水樹が連れ去られていく。と思いきや、メインステージにせり上がり始めるカプセル。それがくるりと回れば、「SUPER☆MAN」とともに水樹が再登場。フロートのトリコロールカラーは、MVを連想させる。さらに「still in the groove」では攻め攻めの歌声はもちろん、ダンスチームとダンスを繰り広げるなど観客のテンションを上げ、「Take a shot」で会場を最大限にアツく高める。間違いなくこの曲が、中盤のヤマ場だった。定番のサビのフリやCherry Boysの熱のこもったプレイ、その何もかもがアツすぎた!

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と、ここで水樹から、TVアニメ『この美術部には問題がある!』のOPテーマを収録した34thシングルが7月に発売することが発表されると、客席からは恒例の万歳三唱が。同作には水樹も美術部顧問の先生・立花夢子役での出演が決定しており、こちらも楽曲と合わせて楽しみなところだ。

そんな夏の出演作の話題から時代は一気に遡り、10年以上前の楽曲「リプレイマシン -custom-」。自身の表情も合わせて、激しめのサウンドの裏に込められた切なさを歌い上げる。

その後、ショートムービーの続きが上映される。惑星を制御するエネルギーを、歌うことで満たさなければ……という筋なのだが、これを司令室からオペレートしていたのは、なんと石川英郎と瀬戸麻沙美。『戦姫絶唱シンフォギア』の縁で、どちらもそのキャラをほうふつとさせる形での出演だ。

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その惑星を救うべく、なんと水樹が「Glorious Break」を歌いながら、巨大ロボ・GALAXY-7に搭乗して現実のステージに再登場!ストーリーに沿い「みんなの声を私にください!」とシャウトし、歌とともにロボは花道からセンターステージへと進む。さらに次曲「Orchestral Fantasia」のイントロでも大歓声が起こり、水樹の「もっともっと飛んでいきましょう!」との声が合図になったのか、ドームの盛り上がりのギアは一段上がった。こうしてロボとともに2曲歌い切った水樹は、地表へ降り立つといたずらっぽく笑いながら客席へこう問いかけた。「……やりすぎ?(笑)」と。これもまた、「東京ドームならではの大仕掛けを」との考えから作られた、高さを活かしたギミックだった。

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そして、「まだまだかかってこれんのか!?」との水樹の呼びかけから、「ハッピーなナンバー(※水樹談)」ゾーンへと突入。その幕開けを飾るのが、1stアルバムのリード曲「Love’s Wonderland」というのも、古くからのファンにはたまらない瞬間だったはず。主に下手側でパフォーマンスを繰り広げたこの曲、最後には中央でCherry Boysとのセッションも繰り広げた。さらに「Clutch!!」ではこれまで以上に水樹の元気が弾ける。笑顔で歌い、駆け、煽り……これだけ動いても歌声にはまったくブレがなく、ラストには清々しく「サンキュー!」と言い放すパワフルさには圧倒された。

そして、「もっともっとみんなの声聴かせてくださーい!」との言葉に続けて歌い出したのは「SUPER GENERATION」。再びセンターステージ中央のせり上がり部分で、自らが初めて作曲に挑戦した曲を歌う様、改めてこの日のライブには彼女の歴史が凝縮されていることを感じさせられた。後奏では、大事なこの曲のコーラス部をファンと一緒に大合唱し、最後には花道を駆けてメインステージに戻ってジャンプエンド。

曲明けに改めてファンへの礼を述べ、次の曲がラストであることを告げる。その次の曲は、彼女にとっての「人生のアンセム」。迷ったり落ち込んだときに「人生は一度きり」という言葉が頭に浮かぶ、と語ったのちに、「一度きりの人生?(水樹)」「楽しむべきだよね絶対!(観客)」との掛け合いが起こる。そう、次の曲は、この歌詞をサビに持つ「New Sensation」だ。終始笑顔で力強い歌声を届け続ける水樹。その歌声に、改めてこの瞬間勇気をもらった人間はどれほどいたことだろう。ブルーメインの客席にウルトラオレンジが点在する様子は、この曲のシングルのジャケットをどこか連想させる。そんな最高の景色が完成したところでキャノン砲が炸裂し、ひとまず本編は終了する。

もちろんすかさずアンコールの声は挙がったのだが、そのうち自然発生をはじめる「なーな!」の声。それはやがてドーム全体を包み込み、青の光とともに歌姫の帰還を待ちわびていた。

すると場内には「BE READY!」のイントロが流れ出す。一方水樹はというと、なんと三塁側からUFOに乗って登場!イントロでは観客とともにタオルを投げたりしつつ、歌いながらアリーナ外周をバックネットまで周回。まだまだイキのいい歌声を届ける。

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バックネットでは、アンコールでは恒例となった自身のラジオ『スマイル・ギャング』発の挨拶「シャッス!」の唱和を行うと、「ここからもアツい曲を!」とアンコールの意気込みを語る。

まずは『NANA CLIPS 7』で一番人気だった「Pray」。UFOは一塁側へと向かいながら、様々な位置の客と近づき顔を合わせ、水樹はメインステージへ戻り「innocent starter」を披露。この曲も間違いなく彼女の転機となった曲のひとつで、イントロが流れたときのどよめきもひとしお。ドームは吸い込まれそうなブルーに染め上げられ、水樹の歌声も優しく温かなものに。それは、OPテーマになっていた『魔法少女リリカルなのは』の結末をも思い起こさせるものだった。

最後にはこの日の出演メンバーと手をつなぎ、オフマイクで「今日は本当にありがとうございました!」と挨拶し、一礼。最後には、これまた同ラジオ締めの挨拶でもある「かかってこーい!」を唱和した。

すかさず巻き起こる「もう一回!」コール。すると水樹が「帰りたくないから戻ってきました!」とステージに再登場。あの曲に続いて「名前を呼んでくれてありがとう!」とのMCも、またズルい。

本当に最後の曲、Wアンコール曲として用意されたのは、「たくさんの大きな扉を開けるきっかけになった」と語る曲。「これを歌わなければ、“GENESIS”ではありません!」と水樹自身が言い切るほどの存在の曲、「POWER GATE」だ。観客も最高潮中の最高潮に盛り上がり、ドームはこの日いちばんの大揺れ。その歓声の元へ、力強くもやはり笑顔で歌い切る水樹。ステージ上を右へ左へと駆けながらなのにまったく息が切れない点には、もう脱帽するしかない。コール・アンド・レスポンスも織り交ぜた後奏のコールではドーム中が大合唱を繰り広げ、水樹のジャンプエンドとともに銀テープが発射され、華々しくラスト曲を飾った。

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最後に「改めてみんなの顔を見に行ってもいいですか?」と手を振りながらステージを左右に往復し、センターステージへ。ファンのメッセージに応答するようなしぐさも見せながら、「笑顔あふれる最高にハッピーな時間をありがとう!みんなに出会えた私は、世界一の幸せ者です!」とメッセージ。そして二度目の「かかってこーい!」で、ライブは幕を下ろした。

2007年以前の楽曲をメインとしたこの日のライブは、古くから水樹を応援するファンにとっては彼女の楽曲のパワフルなメッセージを改めて思い返すいい機会だったろうし、比較的最近のファンにとってはそれを刻みこむ、こちらもいい機会になったはずだ。この日のライブはそんな意義のある、様々な世代のファン誰もが楽しむことのできる、素晴らしいステージだった。

Text by 須永兼次

“NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016 -GENESIS-”
2016.04.09@東京ドーム

【SET LIST】
<OPENING MOVIE>
M1.ETERNAL BLAZE
M2.残光のガイア
M3.suddenly ~巡り合えて~
<MC>
M4.Never Let Go
M5.Bring it on!
M6.Exterminate
<Cherry Boysコーナー>
M7.フリースタイル
M8.エゴアイディール
M9.What cheer?
<MC>
M10.deep sea
M11.アンビバレンス
<TEAM YO-DAコーナー>
M12.SUPER☆MAN
M13.still in the groove
M14.Take a shot
<MC>
M15.リプレイマシン -custom-
<SHORT MOVIE>
M16.Glorious Break
M17.Orchestral Fantasia
<MC>
M18.Love’s Wonderland
M19.Clutch!!
M20.SUPER GENERATION
<MC>
M21.New Sensation

EN1.BE READY!
<MC>
EN2.Pray
EN3.innocent starter

<MC>
W-EN1.POWER GATE

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