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INTERVIEW

2016.02.24

セブンスの伝説の扉が開く。「Tokyo 7th シスターズ」ニュー・シングル「SEVENTH HAVEN」リリース記念・茂木伸太郎総監督×水瀬いのりスペシャル対談!

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「Tokyo 7th シスターズ(以下、「ナナシス」)」のニュー・シングル「SEVENTH HAVEN」が2月24日に発売される。今回は発売を記念して「ナナシス」総監督の茂木伸太郎氏と、セブンスシスターズのセンター・七咲ニコル役の声優・水瀬いのりの対談をお届けする。

Donutsがサービス提供しているゲームアプリ「Tokyo 7th シスターズ」の舞台となるのは、2034年の近未来の“第七新東京区”。アイドル文化が衰退した世界でのアイドルの卵たちを描くのが「ナナシス」のオリジナルな世界観だ。今回のシングルでフィーチャーされるのは、かつて「ナナシス」世界に存在したアイドル・セブンスシスターズ。彼女たちの解散とともにアイドル文化が終焉したとまで言われる「伝説」に迫る新たな扉が開かれる。

本作の表題曲「SEVENTH HAVEN」作曲は、「ナナシス」の始まりの楽曲「Star☆Glitter」を手がけたkz(livetune)。サウンドはこれまでのセブンスシスターズのイメージを塗り替える破壊的なまでのカッコよさで、大手コンビニチェーンでヘビーローテーションされている楽曲の印象度に釘付けになった人も多いのではないだろうか。今回は伝説の6人を代表した水瀬いのりと茂木総監督にたっぷりと語ってもらった。

「ナナシス」におけるレジェンド・セブンスシスターズとは?

──この組み合わせでの対談って今までにありましたか?

水瀬いのり 収録とかでお会いしたときにはもちろんお話しますけど、こういう対談は初めてです。

茂木伸太郎 初めてですね。だから今日は何を話すんだろうなと楽しみにしてきました(笑)。

──新曲をきっかけにセブンスシスターズを知る人もいると思うので、まずは作品内におけるセブンスシスターズとニコルがどんな存在か教えて下さい。

水瀬 私は六咲コニー(2034年の現在世界でアイドルたちのマネージャーを務める)と七咲ニコルという役を演じてるんですけど、そのニコルがかつて所属した伝説のアイドルグループがセブンスシスターズです。セブンスシスターズに憧れていた次の世代の女の子、アイドルの原石たちを支配人さん、プレイヤーの方がスカウトして磨いていくのが「ナナシス」のゲームのストーリーなんです。その中でニコルはすごくカリスマ性がある、アイドルという存在の歴史を塗り替えたような人なので、結構慕われたり、憧れたりされる立ち位置です。でも彼女自身はそれを意識したりしなくて、彼女が彼女らしくあることで、その輝きに自然に人が集まってくるようなそんな人なんです。レジェンドと呼ばれるにふさわしい風格を持ちながらも、自然体で、すごく不思議な女の子だと思います。

茂木 僕は水瀬さんに対してニコルはこういう子です、という説明はあまりしていないんですね。でも今彼女が語ってくれたキャラクター性や立ち位置が本当に全く間違ってなくて、「こういう子です」の把握がここまでぴったりと合っているのが本当にすごいと思います。今までに演じてもらった台詞やストーリーからニコルの人間性やニュアンスを読み取ろうとしてくれて、大きな流れの中にいるセブンスシスターズとニコルという存在について水瀬さん自身がよく考えてくれているんだと思います。今すごくうれしくなりましたよ。

──茂木さん的に「セブンスシスターズ」(前世代)と「777☆SISTERS」(現世代)という二重構造にした理由はどんなところにありますか。

茂木 根本的なところですね。うーん、二重構造を作ろうとしたというよりは、“アイドル(という存在、概念)が死んだ世界”を描きたいと思って、そのためには何か世の中が変わる出来事や物語が必要だとなりまして。その物語の主役となる存在、かつて頂点に立った女の子たちとして生まれたのがセブンスシスターズです。終局を迎えたアイドルの物語を描くことは、終焉に向かうアイドルの姿の描くことであった、それを描きたいのでそういう風にしました。よくお話するんですが、僕は物事の良い一面だけを描くことがあまり好きではないんです。陰陽というか、人間や出来事には悪い面もあって、セブンスシスターズがトップに立つ、あるいはトップにいるっていう物語には当然いろいろあるはずなので、それを表現したいというか。(ゲームで中心となる現世代のアイドルユニットの)現在を生きる777☆SISTERSでは表現できない部分という意味です。

──解散しているからこそ描けるものがあるんですね。

茂木 滅びの美学というか、滅びが確定しているから描ける部分はあると思います。作り手の視点になりますが、成長やこれからの未来がないからこそ、「人間」を描ける部分がある。そこで描けるものを描きたくて作りました。 

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──そのふたつの時代をつなぐ存在が、水瀬さんが演じるコニーとニコルです。水瀬さんは2人を同じ存在として演じていますか、違う存在として演じていますか。

水瀬 ニコルであるときにニコが見ている世界と、コニーとしてアイドルたちを見つめている視点、見えている世界はやっぱり違っていると思います。現役のニコルとして輝いていたときにセブンスシスターズの5人に囲まれていたときと、自分が残した何かを受け継いでいく子たちをジャーマネとして見守る気持ちというのは、やっぱり何かしら違うと思います。だから演じ方としては、ニコを演じるときのほうが自由奔放だと思います。彼女の頭のなかには誰も想像できないようなものが広がっていて、彼女が突発的に何かを言うとみんな驚くんですけど、でも物事が形になったときにあのひと言ってこんな意味があったんだと気づくような。そういう突拍子のなさのようなものはコニーのシナリオからも感じる部分があります。彼女がカリスマと呼ばれたゆえんのひとつはそういう勘の良さ、ビビっときる感性にあるんじゃないかと思って、それはマネージャーとしてのコニーでも変わらないところだと思います。(春日部)ハルちゃんという存在に最初にビビっときたり、敏腕ジャーマネとしての彼女はニコルがあってこそなので、かつてのニコがいたからこそのコニー、どちらが欠けても成立しない存在として演じています。

──かつてのニコルを土台にした今のコニーという存在を演じていて、改めてかつてのニコルとして演じたり歌ったりするのはどんな感覚ですか?

水瀬 (現在の)ナナスタのアイドルのみんなとわちゃわちゃしているときはちょっとお姉さんというか、支配人さんとコニー2人が肩を並べている感じなんですが、レジェンドチームではニコルが台風の目になってみんなをかき乱すので、そういう軸になって周りを巻き込んでかき乱す感じは楽しいなと思いながら演じています。コニーのときもそういう感じはあるんですが、あくまで主役は今を生きるアイドルたちなので。ちょっと一歩引いた、外側から見ているのは大きな違いだと思います。

──「SEVENTH HAVEN」はゲーム世界の現在から4年前のセブンスシスターズのデビュー当時に歌われ、2年前のセブンスシスターズ全盛期にパッケージ化されたという設定です。メイン・ビジュアルの挑戦的な表情のニコが印象的ですが、「2030年」のニコをどのようにイメージしましたか。

水瀬 このジャケットを見せていただいたときに、私すごくうれしかったんです。ニコルのかっこいい姿も演じてみたかったし、歌ってみたかったし。同時に彼女たちの振り幅というか、奥行きってすごいなと思って。「Star☆Glitter」のまっすぐしたキラキラ感や「Sparkle☆Time!!」のみんなを引っ張っていくような感じのイメージが強かったところで、「SEVENTH HAVEN」はすごく挑戦的で攻撃的なところがあって。女の子がカッコイイって素敵!と思いました。イケメンって男性に向ける言葉ですけど、この曲の彼女たちは本当にイケメンなんです。セブンスシスターズは女子のファンの方も多いと伺うんですが、そういう方は私と同じように感じてもらえるというか、待っていたって曲になると思います。「かわいい」に比べると女の子が「かっこいい」に振るのってちょっと難しいと思うので、彼女たちのギャップ、振り幅が見られるのは私もファンの方もうれしいと思うし、これからの展開にも続いていきそうで楽しみです。まとめると、かっこいい曲が来て私は本当にうれしかったです!

茂木 イケニコって言ってましたもんね。

水瀬 そうなんです、イケニコです(笑)。

──楽曲からセブンスシスターズの新しい一面を受け取った感じ。

水瀬 そうですね、彼女たちが駆け抜けていくなかで持っていたのは、何かひとつのこれだってイメージだけではなかったと思うんです。アイドルの歴史を塗り替えるようなとんでもないアイドルなので、きっといろいろな一面を持っていたんだろうなとは元々イメージしていたんですが、それが徐々に形になって見えてきた感じです。

──セブンスシスターズの既存曲とのサウンド的なギャップを通してかつてのセブンスシスターズの存在や物語を感じさせるのは狙っている感じですか。

茂木 セブンスシスターズに関しては、シナリオやドラマというよりまず音楽で見せるんだということは決めていました。セブンスシスターズにまつわる歴史や出来事というのは、やっぱり僕の頭のなかにあるので。だから既存の音と比べて2030年をどうするというより、物語と結びついた音のイメージは最初からありました。

──では今はまだ空白になっているセブンスシスターズのデビュー曲なんかも茂木さんの中には原型のイメージはあるわけですね。

茂木 そうですね、大まかですが。でもとにかくそういう流れの中でも今回の「SEVENTH HAVEN」はセブンスシスターズにとっても、このコンテンツというか作品にとっても大きなもので、かなり極振りしてます。作品の世界の中でセブンスシスターズに何があったかは今は明かしてないですけど、作品の世界の中のみんな、特に(セブンスシスターズが好きだった)スースやロナは知ってるんです。

──そういうゲームの中での公開情報(セブンスシスターズがどんな存在で、どんな結末を迎えたか)を敢えて伏せて行っているのには意図がある?

茂木 意図的という表現があっているかは分かりませんが、そうですね。ゲームアプリが「ナナシス」の出発点なんですが、今はありがたいことにCDやコミック、ノベルを含め、どうやって彼女たちを描くかの手段が手元に増えています。だからキャラクターの物語を描くプラットフォームというものはちゃんと選びたいなと思っているんです。セブンスシスターズの物語を描くうえで「Tokyo 7th シスターズ」のADV(アドベンチャーゲーム)というフォーマットが最適なのか、というところも含めて出しどころは常に模索しています。

──それで生まれている逆転現象で、ユーザー側と同じように、演じているキャストの皆さんもセブンスシスターズの過去を知りたいと言っているのはすごく面白いと思います。

水瀬 そうですね、私たちも詳しくは聞いてなくて。

茂木 なんとなくレベルですよね。

水瀬 ふわっとしてますね。でも私は実はあまりストーリーの先を知りたくない派なんです。だからちょうどいいです。

──知りたくない、はどんなところから来る気持ちなんですか。

水瀬 台本を読んでいくときもそうなんですが、ちゃんと順を追って知っていきたいんです。きっと自分がファンなら先を知りたいと思ってると思うんですが、この作品の中では私はコニーとニコルとして生きているので。そのときの彼女たちの目線で物語を追っていきたいので、この先何が起こるのか、何があったかは今はまだ知らなくていいです。

茂木 だからキャストさんたちにひとつ申し訳ないのは、ニコルが実はかつてこういう経験をしているから、コニーはこう話す、というような台詞があるんですね。でも元になる経験については明かしていないので、水瀬さんたちが台本を読んで準備してくれた台詞に対して、実はそのニュアンスは違っていて、こういう意味なんです、と部分的、断片的に話して演技を合わせてもらう部分があるんです。

──過程については全てを明かさず、アウトプットの表現を(全てを知っている)茂木さんが修正していく感じなんですね。

茂木 そうです。だから水瀬さんの中でも幾つか腑に落ちない台詞とかテンションもあるんじゃないかなと思います。でも僕は演者さんに聞かれたら答えちゃうので、そういうときは「本当に知りたいですか?」と聞くようにしています(笑)。

──作中でロナが「昔のセブンスシスターズはちょっと怖かった」というニュアンスの話をしていました。それは「SEVENTH HAVEN」でセブンスシスターズやニコルが見せる一面に通じる感じなんでしょうか。

茂木 「SEVENTH HAVEN」を含む「Project-2030」は、半年ぐらい前にぶ厚い企画書を作って入念に準備してきたんですね。そのなかで、彼女たちにはある種の狂気を感じさせてほしいと思ってたんですよ。中毒、狂うといったキーワードがあって。それぐらい極振りしたものじゃないと彼女たちのかっこよさやカリスマ性、当時の存在感は表現できないと思ったんです。ロナはそういうところに怖さ、を感じたのかもしれません。

──かっこ良すぎて怖いとか、かけ離れすぎて人間離れしているとか。

茂木 行き過ぎた存在に対する畏敬というか。だからオラオラっていう感じの怖さではないです(笑)。

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