本気と本気のぶつかり合ったステージは、誰にとっても「忘れられない1日」に。“イヤホンズ vs Aice⁵ ~それがユニット!~”レポート!

 int-1512032200-02

11月22日、“イヤホンズ vs Aice⁵ ~それがユニット!~”が NHKホールにて開催。TVアニメ『それが声優!』のメインキャストである高橋李依、高野麻里佳、長久友紀の3名で作中同様に結成されたユニット・イヤホンズが、実に8年ぶりのステージとなる伝説の声優ユニット・Aice⁵(堀江由衣・浅野真澄・たかはし智秋・神田朱未・木村まどか)と“vs”と銘打ったステージで夢の競演を果たした。

リハーサル中にたかはしがアキレス腱を断裂するというアクシデントに見舞われた今回のライブ。ある種、再結成のきっかけとなった『それが声優!』のストーリーの山場とリンクするこのピンチを、Aice⁵がどう乗り越えるかにも注目が集まっていた。

NHKホールの幕があがると、煽りVTRを経てまずはイヤホンズの出番。クライマックス感のある「光の先へ」からスタートしたのは意外だったが、この日この場にふさわしすぎる1-Aメロの歌詞で、一発で納得。そのパートを摂るリーダー・高橋の煽りが、メンバーを引っ張る。

int-1512032200-04

続いて後攻はAice⁵。デビュー曲の歌詞を織り込んだ解散前のラストシングル「Re.MEMBER」で、8年ぶりにライブステージに舞い戻る。復活シングル「Be with you」のものである5色の衣装の色味同様、歌声にも深みを増して。そして前述のたかはしは、なんと紫色にキスマークをデコレーションした“セクシーギプス”を身につけ、色っぽくソファーに寝そべりセット上に登場。ダンスできない分歌声と間奏の煽りで存在感を見せていた。

それぞれ1曲ずつ披露したところで、両ユニット全員登壇してのMCタイム。タイトルどおり高橋の「イヤホンズの勝利が見たいかな!?」との煽りに対し、かねてから公言していた浅野の「イヤホンズの前髪をむしって筆を作って『勝利』って書いてやる」という言葉に“VS感”があふれる。その一方で、堀江「お客さんがどう迎えてくれるんだろう?と思ってたんですが、やっぱりAice⁵の味方は皆さんだと、強く実感しました!」と、対決のうえで観客を意識する発言ももちろん飛び出す。 

火花散る、成長と伝説

MCが明け、再びイヤホンズのターン。1ヶ月半前のアストロホールでのコマクちゃんたちのコールで完成し、野沢雅子のナレーションもこの日仕様となった「overture」でイヤホンズの空気にし、「背中のWING」で改めて大舞台へと飛び立つ。広々としたステージでの彼女たちのパフォーマンスは実に伸び伸びとしており、安定感すら感じる高橋に、メリハリ・角度等細部までキレある動きを見せる高野。そして明らかに腕の可動域がダイナミックさを増している長久と、それぞれの短期間での急速な成長が見られた。それはボーカルも全員同様で、続く「私でキマリ☆」では、サビの長久・高橋、そして2-Aメロの高野のそれぞれのキュートさをより際立たせるものとなっていた。

int-1512032200-05

改めての自己紹介のMCで、おなじみの挨拶・掛け合いを披露するイヤホンズ。客席からの声援もまた大会場ならではの熱量で、声援が送られている最中は筆者のメモもビリビリと震えていた。そしてセット上に用意された魔道書の置かれた椅子のもとへ移動し、「Magic of love」を披露。彼女たちの楽曲の中ではある種異質なこの楽曲を、歌唱場所を移すことにより不思議空間での出来事として、ここまでのパフォーマンスと切り分けて見せる演出には、膝を打った。そして続く「ヒーローじゃなくていい」でその世界からしっかり抜け出て切り替えても来る。作中に登場したフラッグを振り、アニメのキャラたちもNHKホールへと連れてくるようなかたちで。

ここでAice⁵が、メンバーの紹介曲「Stardust~Aice⁵のテーマ~」を2015年仕様の歌詞にアップデートして登場。のちのMCにてたかはしの歌詞は前日最終決定したとの裏話も語られたが、それを一切感じさせない堂々としたパフォーマンスだった。続く「Brand new day」も、帰還する日のために用意されたかのようにハマっている。堀江と神田が背中合わせで歌唱するシーン、当時からのファンには胸熱な瞬間だったはずだ。

改めて自己紹介を挟み、浅野の「懐かしい曲もまだまだあるんでね」との言葉に、メンバーそれぞれが作詞を担当した曲など数々の名曲の披露への期待が高まるなか、その前にたかはし以外の4人でじゃんけん大会を実施。「普段は弱いはずなのに、ここだけ勝つ」という木村が勝利し、“何か”の担当が決まる。

そのワクワクも持たせつつ浅野作詞曲「ふりふり」からライブを再開し、その浅野と神田が客席にマイクを向けてボルテージを高めたところで、「裏・友情物語」へ。盛り上がり最高潮のなか、ここでジャンケンの伏線が回収される。先ほどの勝者・木村がステージセンターへと移動し、曲締めのセリフ「ごめんお先に!」を担当。大歓声を浴びるという“勝者のごほうび”を味わっていた。

int-1512032200-07

 

ともに踏むステージも、慣れ合いではなく全力同士で

ここでVTRでちょっとブレイク。Aice⁵をゲストに迎えた、イヤホンズがパーソナリティを務める『それが声優!Presents WEBラジオ!』の出張版を放映。“イヤホンズの生みの親”兼“Aice⁵のメンバー”である浅野が板挟みに会い、「へぇー、浅野さんイヤホンズ派かぁ(堀江)」とからかったところで「思い切ってイヤホンズに入ります?(長久)」と畳み掛けたり、「Aice⁵とイヤホンズの色かぶりのメンバーでコラボしては?」という話題で盛り上がったりと、後半にも期待を持たせるトークが展開された。

int-1512032200-06

そしてステージセットの中扉の前には、今度は作中同様の衣装を身にまとったイヤホンズの3人。「耳の中へ」のイントロが流れるなか、その3人のうしろには何やらチラチラ動く人影がもうひとつ。それが何なのか、展開した瞬間にすべてが判明することになる。なんと、原作者・あさのますみが、グリーンの“4人目のイヤホンズ”の衣装で登場!3人とともに歌い踊る。同じ舞台に立つことができたイヤホンズの、特に高橋の笑顔が止まらない。しかも夢のコラボはまだまだ続く。原作者様に替わって、今度は“色かぶり組”の堀江・木村・神田が登場。神田作詞の「マーブルロケット」と木村作詞の「白い月」をメドレー形式で披露。VTRの言葉がどんどん実現する夢の時間が流れ続ける。そして全員の降壇後、残ったたかはしが“グッドルッキングガイ”なるマッチョふたりを両脇に従え、自身作詞の「five arrows」を艶めかしく歌い、圧倒的な存在感でNHKホールを飲み込んでいた。

さて、またまた登場したイヤホンズ。「私たちのプロ根性、見せつけてやりましょう!(高橋)」との言葉から始まった「プロ根! ~地獄の一丁目特訓!の巻~」では、力いっぱい歌う3人を見下ろす高台に黒マントを身にまとった浅野が“コーチ”として登場し、早口言葉の試練を与える。順調に成功していくイヤホンズだが、パーフェクトがかかる長久に「東京特許許可局長 今日急遽休暇許可拒否(×3回)」という段違いの難関が襲い来る。しかし果敢にも立ち向かった長久、この大舞台で見事に成功!「初めて言えた!」と満面の笑みを見せ、浅野も思わず「すごい!」と手放しで賞賛していた。

達成感すら漂うなか、再びラジオのVTRパートへ。和気藹々としたトークのなか、浅野の「やってみたいことがある」との気になる言葉も残しつつ、Aice⁵による「ショートショートケーキ」からライブ再開。と、曲中で袖へとはける堀江と木村。するとオケが切り替わり、堀江と木村がステージへケーキを運ぶ。実はこの日は神田の誕生日からほど近いため、楽曲に合わせてここでバースデーケーキによるサプライズを実施!神田がケーキの上のロウソクと、彼女のイメージカラー・レッドを灯した客席のペンライトをウェーブのように吹き消してその祝福を受け取る。その後、途中になっていた楽曲を最後まで歌い上げたところで、イヤホンズも花束を携えて登場。「リハのときに神田だけ早上がりさせた」「戻ってこないよう見張りも立ててた」と次々飛び出す裏話に、「みんな楽しそうでいいなー!」と、笑顔とともにちょっぴり羨ましそうな表情を見せる神田なのであった。続けて渡されたAice⁵からのプレゼントは、最近番組をやるほどハマっているゴルフウェア。しかもトップスが赤のボーダーというのも、“Aice⁵の神田朱未”にはピッタリのコーディネートだ。

そして再びバトンを受けたイヤホンズから、いよいよライブは終盤戦に。曲冒頭のセリフを高野がキュートにキメる「280秒間世界一周 ~幸せのイヤホンを探して~」では、実際のツアーのように客席を見やりながらステージ上を行進。続く「ススメ!音羽少女隊」では、同曲をテーマ曲としている『のぶニャがの野望』からのぶニャが様とまシャムね様が登場し、3人のステージに華を添える。そしていよいよTVアニメのオープニングを飾った「それが声優!」の披露へ。披露機会の多さから来る安定感に加え、各メンバー隙間を見つけては観客を煽るという余裕とクリエイティブささえ見えせてきた。2サビ明け間奏の「イーヤーホンズ!」の大合唱は、再び物理的にビリビリ来るほどの圧を感じた。

int-1512032200-08

こうなると負けていられれないのがAice⁵。堀江作詞の「Lady Go!」ではエリアや男女ごとのコール合戦を繰り広げ、再結成曲「Be with you」では“今”の彼女たちらしさを届ける。そうして会場のボルテージを高めて高めきったところで、ぶちかましたのがデビュー曲「Get Back」。NHKホールに、万感の想いを込めた8年ぶりの「A・i・c・e!」コールが響き渡る。しかも、1コーラス目では堀江と木村が、2コーラス目では浅野と神田が1階客席通路に降りてパフォーマンス!直前の「Be with you」での「I promise…」を体現するかのようなゼロ距離での歌唱にファンはもちろん大熱狂。その喜びようを目にしたメンバー、とりわけ神田の表情がうれしそうだった点も印象的だった。また、構想で「もっと!もっと!」と客席をとことん煽り続ける堀江の姿も、リーダーらしい。

そしてイヤホンズを交えて、8人でここまでの感想を語り合う。その際に「Get Back」での客席へ降りる演出がたかはし負傷後に急遽決まったものである、との裏話が語られ、最後には「ギプスから出た幸運(たかはし)」とまとめられていた。

そうしているうちに“VS感”の薄れてきた8人は、最後は全員一緒に歌うことに。いつしかステージには、コマクちゃんの見慣れたラジオブースが登場し、1曲をラジオ番組に見立てた「アナタのお口とお耳にAice⁵クリームをプラグイン!」がスタート。リクエスト曲として「Love Power」を流し、無事和解……しかかったところで、“アイス”を食べながら長久が登場。イヤホンズのほかふたりが平謝りというちょっとした小芝居も挟み、楽曲だけとは違う形で観客を楽しませていた。そして大サビではたかはし以外の7人が、ユニットの壁を超えて互い違いに並んで融合。さらにフォーメーションチェンジ時には高野がたかはしのソファーに寄り添い、笑顔で歌唱。“8人のステージ”が終盤にして出来上がった。その楽しさを「Partyしようよ!」でも引き継ぎ、本編は幕。落ちサビ前にて、浅野がイヤホンズを認めるかのように彼女たちと交わしたグータッチも、グッとくる。

共通曲で繋がり合う、“8年前”と“今”

鳴り止まないアンコールの声に応え、ライブTシャツを着用した8人がステージに再登場。「『Partyしようよ!』で「隣にAice⁵さんがいらっしゃるのを見て、ユニットってうれしくて、楽しいなって思いました!」とキラキラの笑顔で感想を述べる高橋。そんな彼女たちを姉のような目で見る浅野は、「じゃあ、まずはイヤホンズに“お任せ”しようかな?」とステージを託す。

興奮しすぎた高橋が、即段取りを飛ばす“妹リーダー”っぷりを発揮したところで「そんなテンパってるリーダーは最後にして……」と長久がナイスフォロー。ワンマン・ライブの思い出からこの日のステージの感慨・感謝を込めた言葉を、いちごらしく「ありがとベリー!」と締める。観客とのやり取りを絡めつつ「イヤホンズも、この先来年も続いていくのかなと思うので、みんなついてきてねー!」と未来も期待させる高野の言葉も素敵だ。そして高橋、ここでも“妹リーダー”っぷりを発揮。これまでを振り返りつつ感極まって言葉が詰まり始める彼女は、最後にはその想いをこう語っていた。「私もこのライブで、イヤホンズのことをもっともっと好きになれた」と。その3人の気持ち、笑顔と歌声に乗せて、アンコール曲「成長!全力シンデレラ」で見事に爆発していた。

続いてAice⁵が登場。浅野がライブ前に、度重なるフォーメーションチェンジと多忙に「よかたい、よかたい……」となぜか博多弁をつぶやいていたと神田が暴露。さらに久しぶりのAice⁵でのステージということで「難しいフリを踊ってると、だんだんみんな真顔になっていく(木村)」「能面みたいになる(堀江)」との裏話や、たかはしがアキレス腱を切ってしまったときに、その衝撃に「誰かが蹴った!」と騒ぎスタジオが騒然となった、などの裏話も飛び出した。そんないろいろありつつ思い出詰まったこのステージ、「忘れられない1日になりました(浅野)」との想いの込もった言葉もありながら、Aice⁵側のアンコール曲・新曲「指先Language」。Dメロでは穏やかかつ、大切にそれぞれのソロを歌い上げる。そして「ずっと一緒に」との歌詞のときに掲げた手は、Aice⁵ポーズのものだった。

イヤホンズも合流し、最後の最後に2組が結びつく「Love Power」で大団円。「よかったら、会場の皆さんも一緒に歌ってください(浅野)」との言葉もあり、メインモニターの映像上には合わせて歌詞も映し出される。1コーラス目をAice⁵が、2コーラス目をイヤホンズが摂るスタイルだったのだが、1-Aメロの段階で、すでにバックで踊る高橋がうれしさを押さえきれずにビョンッビョンッと飛び跳ねている。間奏での7人のフォーメーションの入り乱れ方が、Aice⁵バージョンのMVの後奏部分を連想させていたのも、ファンにはうれしいポイントだったはず。最後まで走り切ったメンバーが並んで観客に一礼し、ホールの幕が下りて公演自体はお開きとなったが、客出しBGMとなった「Love Power」のオケだけで観客がずーっとコールを打っていたところに、まだまだ観たいという渇望感と、この日のステージへの満足感とが両立していたように感じられた。

伝説の先輩や勢いを増す後輩に胸を借りるわけでもなく、互いが互いを尊重し合う“vs”を見せた、イヤホンズとAice⁵。突然のアクシデントを乗り越えた8人の、この日限りの伝説のステージは、またこれから語り継がれるものになることだろう。ステージに上った3人・5人、そして8人それぞれが見せた姿、まさしく「それがユニット!」という言葉によって。

int-1512032200-9

Text by 須永兼次

“イヤホンズ vs Aice⁵ ~それがユニット!~”
2015.11.22@NHKホール

<SET LIST>
OPENING VTR
M1.光の先へ/イヤホンズ
M2.Re.MEMBER/Aice⁵
<MC>
M3.overture/イヤホンズ
M4.背中のWING/イヤホンズ
M5.私でキマリ☆/イヤホンズ
<MC>
M6.Magic of love/イヤホンズ
M7.ヒーローじゃなくていい/イヤホンズ
M8.StarDust~Aice⁵のテーマ~/Aice⁵
M9.Brand new day/Aice⁵
<MC>
M10.ふりふり/Aice⁵
M11.裏・友情物語/Aice⁵
<VTR>
M12.耳の中へ/イヤホンズ+浅野真澄
M13.マーブルロケット ~ 白い月/堀江由衣・木村まどか・神田朱未 高野麻里佳・高橋李依・長久友紀(色被りユニット)
M14.five arrows/たかはし智秋 feat. グッドルッキングガイ
<MC>
M15.プロ根!~地獄の一丁目特訓!の巻~/イヤホンズ
<VTR>
M16.ショートショートケーキ/Aice⁵
<MC>
M17.280秒間世界一周 ~幸せのイヤホンを探して~/イヤホンズ
M18.ススメ!音羽少女隊/イヤホンズ
M19.それが声優!/イヤホンズ
M20.Lady Go!/Aice⁵
M21.Be with you/Aice⁵
M22.Get Back/Aice⁵
<MC>
M23.アナタのお口とお耳にAice⁵クリームをプラグイン!/イヤホンズ&Aice⁵
M24.Partyしようよ!/イヤホンズ&Aice⁵
<MC>
EN1.成長!全力シンデレラ/イヤホンズ
<MC>
EN2.指先Language/Aice⁵
<MC>
EN3.Love Power/イヤホンズ&Aice⁵

関連リンク

この記事を書いた人