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REPORT

2015.10.30

冒険のクライマックスと大団円のあとには、ミラクルが待ち受けていた。“佐藤聡美 2nd Tour 2015「しゅがちゅん ~導かれし星たち~」”東京公演レポート!

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9月19日、佐藤聡美の2ndライブツアー“しゅがちゅん ~導かれし星たち~”のファイナルを飾る東京公演が、ディファ有明にて開催。かねてからこの会場を“ディファ有明城”として目的地に設定し全国を巡ってきたこのライブツアーも、この日がいよいよファイナル。そのクライマックスが、いよいよ幕を開ける。

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まずはこれまでの旅路を振り返るナレーションから。4月のワンマン・ライブで魔女ハバネロ(演:佐藤)連れ去られたしゅがみ姫(演:佐藤)を助けるために、勇者サトミ(演:佐藤)一行は全国各地の様々な遺跡や神殿(=ツアー会場)で、魔女の城(=ディファ有明)に入るために必要な5つの大きな“☆”を集めてきた――というストーリーを回想する。

ナレーション明けにまず歌ったのは、なんと「追憶の果実」。しかも黒いローブに身を包んでスタンドマイク前に登場するという、意外なスタートだ。ローブのかぶり方が深く表情そのものがうかがい知れないということもあり、その想いを精一杯乗せてきた歌声がまた心の深くまで響く。

曲が明けると一転、ドラムのインストでお立ち台に上がりローブを脱ぎ捨て星たちを煽り、「OVERHEAD」で一気にギアチェンジ。フロアの星たちも、一斉に声と手を挙げる。最前を指差して一瞥するパフォーマンスは勇者の衣装にも似合いつつ、同時にバンドのフロントマンらしさも。後奏での「“しゅがちゅん ~導かれし星たち~ in 有明”、はじまるよ!」という開幕宣言で物語が本格スタート。ここまでキリッとキメてきた彼女の顔に、ここでやっと笑みが浮かぶ。

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ここからは、先ほど語られたストーリーの続きとして、MC部にてシナリオを交じえながら、“勇者サトミ一行”として物語とライブを展開。「みんながいれば大丈夫!」と、早速「夏のカケラ」を披露する。この日の東京が久々に真夏日近い気温だったというミラクルも、ポップなサマーチューンをより後押し。また、間奏ではKey担当のレフティーモンスターが積極的に煽りにかかる。フロントマン以外も一体となって盛り上げにかかるとしゅがぁずの、冒険パーティらしさが出たワンシーンである。そのアツさを引き連れて、「騒ぐ準備できてる?」との言葉から「♡’s☆cReaM♪」へ。イントロでコールの大合唱を湧き起こした星たちに、2サビ直前で勇者からキュートすぎる「聴かせてよね♪」のセリフでお返し。それを受けて沸くフロアを見渡し、「うんうん」とうなずくように満足感を表す勇者だった。

曲が終わり、姫を連れ去った魔女・ハバネロと対決する一行。このツアーを通じてレベルアップした一行は、魔女をどんどん押し込んでいく。その流れから「アキノソラ」「Starlight Fortune」とタオル曲を続け、星たちが巻き起こす風を魔法に変えてハバネロにぶつける。全力の歌声を響かせながら、間奏では笑顔ながらも「もっと来いよ!」と促すような素振りを見せ、ついには「そよ風かよ!」と言葉にしてさらなる風力を求める勇者。その言葉に合わせてタオルの回転速度はUPし、会場一丸となって見事魔女を打ち倒した!

しかしここで物語は意外な展開へ。黒幕として登場した魔王ジョロキヤング(CV:小野坂昌也)が魔女にとどめを刺し、しゅがみ姫の閉じ込められた地下牢の鍵を飲み込む。これで魔王を倒さないと姫を助けられなくなってしまう。そこで勇者一行は、彼との壮絶な決戦を予感させる「Le jour」を披露。感情の入り方と音のブレの塩梅、楽曲の想いに沿った声と吐息の配分、いずれもがツアーを通じて4月のステージよりもレベルアップしていた。また、ラスサビで星たちにマイクを向ける姿も、力の結集と同時にこの曲に込められたメッセージに実にふさわしい、会場の一体感を高めるものだった。そしてミドルナンバー「虹色のプレリュード」で小休止。落ちサビでは、お立ち台に上った勇者サトミが星たちからのクラップを全身で受け止め、勇気と元気をチャージする。

そしていよいよ、塔の頂上で魔王とのバトルがスタート。押され気味の勇者一行がここで「魔法のようなもの」を繰り出すというのもグッとくる展開で、ギターリフは反撃の狼煙のよう。そのままの勢いで「さよならギャラクシー」へと続き、“黒い感情”そのものである魔王へ徹底抗戦。ほかの曲でももちろん意識はされていたが、その歌詞もあってか、よりフロア後方まで届くように意識された目線が印象的な1曲だった。

しかしその果敢な闘いもむなしく、魔王の攻撃の前に力尽きるしゅがぁずの面々。そして絶望の淵に立ち、涙をこぼす勇者サトミ……とそこに、あのおなじみの白黒天使が再び降臨。彼女の涙から生まれた星形の“しゅがのスタードロップ”で、力尽きた者をひとりだけ復活させることができる、と告げる。そこでサトミが復活させたのは、なんと魔女ハバネロ。その魔女の力でしゅがぁずが全員復活&パワーアップし、さらに魔女の音頭で「響け!(魔女)」「Fanfare!(星たち)」とのコール・アンド・レスポンスを敢行。その声が勇者サトミの装備を、アルバム『Fanfare』のジャケットと同じものへと変える。

そしてその決意を「君のとこまで」で歌声に変え、再び勇者サトミは前へと進み始め、“曇り女”と自称する佐藤聡美が自ら作詞したポップ・ロック「I am a cloudy girl」を、こちらはキュートに届ける。そんななかでも会場の隅々まで目配せを忘れず、なおかつ盛り上げポイントではしっかりと星たちを煽っていたし、Dメロ前間奏に轟いた「愛してるぜー!」の腹の底からのシャウトはまさにロックそのものだった。

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曲明け、若干素寄りのMCを繰り広げていると、勇者サトミの脇にはいつの間にか彼女にとっての“勇者の剣”であるギターが登場。「未完成の地図」からは、いよいよ彼女もそれを携えながらの楽曲披露へと移る。星たちの歓声というきらめきで力を得た勇者が自らの剣を振るうように、堂々たるプレイを披露する彼女。この光景に星たちのボルテージはさらにもう一段上がる。ステージ上の5人と星たちが、呼応しながら高められていくこの光景こそ、まさしく“しゅがぁず”が真に完成した瞬間なのではないだろうか。続く「Brave Morning!!」は冒頭の歌詞を「負けるもんか!」と歌い変えて、魔王をさらに押しにかかる。曲中のコールもその圧力をさらに高めていたし、ギターソロを見事完奏した勇者も、その音色を魔王へとぶつける。

そしてとどめはもちろん、佐藤聡美ソロ・デビュー曲「ミライナイト」。1コーラス目Aメロにて、歌詞にリンクしたピンクと白の照明が舞台を染め上げるさまも粋なものだ。やはり剣を携えた姿がもっともサマになるこの曲で、ノッてきたのか最後にはイヤモニを外して星たちを煽り、その声を感じながらジャンプ・エンド。見事に魔王を打ち倒した。

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ここに無事、勇者サトミの冒険は完結。しゅがみ姫を助けにステージをあとにし、ひとまず本編は終了する。となれば、今度はしゅがみ姫の登場を期待してしまうもの。ディファ有明にはアンコールの、「しゅ・が・あ!」の声が鳴り響く。

そしてエピローグに続く「S.U.G.A.R tune」とともに、いよいよしゅがみ姫がステージに登場。ちょっとおてんばに「(声が)足りなーい♪」とさらに星たちの声量を引き上げ、その盛り上がりを引き継ぐ「sweet! sweet!! sweet!!!」でおもてなし。4月の赤坂公演と同様に姫からのアメのうれしいプレゼントも再度行われ、さらにラスサビでは大合唱。この1曲で、宴の会場を再びひとつにまとめあげた。そして、前述の赤坂で初披露された「紙ヒコーキ舞うこの場所で」を披露。元気な中にも、どこか姫らしいしとやかさを含んだ歌声で、爽やかにこの曲を届ける。また、しゅがみ姫も2コーラス目にて紙ヒコーキのテイクオフに挑戦。赤坂ではことごとく失敗してしまっていた彼女だが、一機目を見事に狙った方向へ飛ばすことに成功!この4ヵ月越しの東京でのリベンジ成功に、フロアからは大歓声が上がった。また歌唱後、今度は事前に配布された折り紙で作られた紙ヒコーキを、サビに合わせて観客が発射することが急遽決定。一斉に宙に舞う紙ヒコーキを見て、大興奮のしゅがみ姫であった。

さて、唐突に「祝ってあげたい気分」との言葉が姫から飛び出す。もちろん次の曲にちなんだものなのだが、「今日誕生日の人!」と呼びかけると、なんとふたつも手が挙がる。そのふたりをお祝いする意味も込めて、「一緒に歌いましょー!」との呼びかけから「Smile Cracker」がスタート。自ら声を演じたコップのフチ子を“バースデープレゼント”として、会場中に、先ほど挙がった手のほうへも向けてパスしながら歌う。もちろん曲中の「おめでとう!」やラストの「HAPPY BIRTHDAY」は、会場全体で大合唱だ。その盛り上がりのなかで、姫がちゃんとバースデーの星をロックオンして、そこにメッセージを届けようと精一杯歌う姿には優しさがあふれていたし、奥過ぎてきっと直接は届かなかったであろうお誕生日様にフチ子を届けた周りの星々も、優しさあふれる行動を取ってくれていた。最後にはクラッカーで祝福し、しゅがみ姫様はこれにてお帰りに。

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ツアーファイナルに寄せられた応援コメントや、ツアー各地でのダンス映像を挟み、三度登場した彼女。まずはひと言「どうも、佐藤聡美です」と改めて挨拶する。ダブルアンコールは初となる彼女、ここからは100%“佐藤聡美”としてのステージを展開する。最初にフロアをバックにしての自撮り棒を使っての記念撮影を行い、事前告知と公式サイトでのお手本動画が配信されていたダンス曲「旅ってイイネ。」の振付講座へ。改めて懇切丁寧に行われた講座の中で、佐藤がリズムをICCHAN(Dr)に要求すると、毎度「へい、大将!」と応答する鉄板のやり取りが繰り広げられたりと、ここではゆるやかかつ笑顔の絶えない時間が流れる。その笑顔のまま、会場中の全員でのタイトルコールから「旅ってイイネ。」をみんなで歌い踊る。しかもステージにはファイナルということで、常日頃から彼女の音楽活動を支えるスタッフも上がり、オーラス曲に華を添えていた。メロ部分はもちろん、なかなか箇所の多いコール部分も完璧にこなしていたファンの対応力、改めて脱帽させられた。

お祭り曲が大盛況のうちに終わったところで、オフマイクでファンへ御礼を述べてメンバーをひとりずつ送り出し、最後に佐藤からこの日の感想とツアーファイナルを迎えた想いが語られる。「今日皆さんと、そして各地でたくさん星と会えたことは、本当に私の中の素敵な思い出になりました」と総括。続けての「私のライブは、私にとってかけがえのない大切な場所です。だから、もしまたライブをやるときは、私のもとに集まってくれますか?」との問いかけには、ファンはもちろん拍手と歓声で返答。それを受け止め、佐藤はステージを降りて、白黒天使による客出しナレーションへ。

……と、「どうも、また来ました(笑)」と佐藤再登壇。最初に、この日の模様が映像化されることをはじめ、様々な告知事項を伝える。

ただもちろんそれだけではなく、佐藤は続けて改めてのこの日への、ツアー全体への想いも語ってくれた。とりわけ、7月から今日までの思い出を語る彼女の瞳は潤みっぱなし。しかしファイナルのこの日は言葉を途切れさせることはなく、優しく語りかける。「月並みだけど、ここに来てくれたみんなに会えたことがうれしいし、こうやって一人ひとりの顔を見れたことがうれしいです」と。最後には生声で「皆さん今日は、本当にほんとーうに、ありがとうございました!」と挨拶。そして佐藤はこんな言葉を続けた。「まだまだライブ続けていくから、また会おうね!約束!」と。その言葉は、力強く頼もしいものだった。

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彼女らしい物語性を持たせたステージ構成もさることながら、その場面ごとに最適化させたパフォーマンスを全力で見せてくれる彼女。歌と芝居の合わさった、声優だからこそ可能なライブ。でも全力でロックしている、バンドとのいい関係も存在するのが、佐藤聡美のライブなのだ。

その余韻に浸りながら会場外に出ると、彼女がまたひとつミラクルを引き寄せていたことに気づく。公演前には曇り女である彼女の公演前らしくディファ有明の上を雲が覆っていたのだが、終演時にはそれが見事に晴れ、満天の星空に。そう、それは直前まで地上で繰り広げられていた光景と、まったく一緒だった。こんな光景を見せつけられてしまったら、ライブの作り込みっぷりと合わせて自然とこう思うのも仕方のないことだろう。「またこのかけがえのない場所を、体感したい!」と。

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Photography by あさみあやこ Text by 須永兼次

“佐藤聡美 2nd Tour 2015「しゅがちゅん ~導かれし星たち~」”東京公演
2015.09.19@ディファ有明
【SET LIST】
<プロローグナレーション>
M1:追憶の果実
M2:OVERHEAD
<MC>
M3:夏のカケラ
M4:♡’s☆cReaM♪
<MC>
M5:アキノソラ
M6:Starlight Fortune
<MC>
M7:Le jour
M8:虹色のプレリュード
<MC4>
M9:魔法のようなもの
M10:さよならギャラクシー
<MC>
M11:君のとこまで
M12:I am a cloudy girl
<MC>
M13:未完成の地図
M14:Brave Morning!!
M15:ミライナイト
●ENCORE
<MC>
EN0:S.U.G.A.R tune
EN1:sweet! sweet!! sweet!!!
EN2:紙ヒコーキ舞うこの場所で
<MC>
EN3:Smile Cracker
●W ENCORE
W EN0:TOUR各地Dance映像
<MC>
W EN1:旅ってイイネ。
<MC>

[Character Voice]
勇者サトミ:佐藤聡美
魔女ハバネロ:佐藤聡美
しゅがみ姫:佐藤聡美
白天使&黒天使:佐藤聡美
プリッキーヌ:佐藤聡美
ナレーションボイス:佐藤聡美

カプサイシン(Ba):カシムラ トモヤ
ハラペーニョ(Dr):ICCHAN
ラー&ユー(Key):MIYATARYO a.k.a LeftyMonster
ホークネイル(Band Master&Gt):エンドウ.(from GEEKS)

[Special Thanks]
魔王ジョロキヤング:小野坂昌也

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