リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2015.05.14

「神撃のバハムートGENESIS」 オーケストラコンサートレポート!

int-1505132000-c001

5月5日と6日、東京オペラシティ コンサートホール・タケミツメモリアルにて「神撃のバハムートGENESIS」 オーケストラコンサートが開催された。ここでは千秋楽である6日の夜公演の模様をお届けする。

会場に入ってまず驚かされたのはその規模だ。本作はTVシリーズでの劇伴収録の段階から大規模な編成が特長のひとつになっていたが、この日の壇上に並んだ椅子の数はそれを上回る70席余り。さらにコーラス隊も16人が加わるという、クラシックコンサートでもなかなかお目にかかれないほどの豪華なステージ。それを指揮するのはもちろん、本作の作曲を手がけた池頼広だ。さらにステージの上には巨大なスクリーンが用意され、作品映像とともに音楽を楽しむことができる趣向となっている。コンサートの司会は作品にラヴァレイ役として出演した平田広明と、アーミラ役で出演した清水理沙が務めた。

int-1505132000-c003

最初に披露されたのは作品の看板ともいえる楽曲の「Rage of Bahamut」。荘厳なコーラスとともにストリングスとホーン隊が唸りを上げる。本作はTV放送時、画面に合わせて音楽を作るフィルムスコアリングという手法が採られた。既存の方法に比べ、より音楽家の意図に沿った演出を可能としている一方で、音楽制作から収録までの苦労は何倍にも膨れ上がる。それを12話分やりきった音楽家集団。この曲はサウンドトラックに収録されているままの長さで演奏され、そこに映像も合わせてくるという凄まじさを冒頭から披露した。その後も本編の流れに沿って展開され、コンサートでは数曲のまとまりの度に平田が物語のあらすじをナレーションしていくという構成で、オーディエンスは物語をプレイバックして思い出に浸りながら音楽に酔いしれることができる。最高の環境で大編成によって奏でられる楽曲は音のひとつひとつまできめ細やかに聴こえてくる。とりわけ打楽器については劇伴で聴いていた時よりも力強い音が迫り、連打を目の当たりにすると改めて本作の音楽を味わうことができた。ゾンビに囲まれる場面でかかる「Seeing Things」はバスの深い音が不気味さと緊張感を生々しく響かせ、まったく新たな視聴体験となった。「Instant Death」「Raid」といった戦闘シーンの曲では金管が勇ましく主線を奏で、弦楽と協奏する。オーディエンスは手に汗を握ってそれを聴き入るのみだ。途中には司会が池に話を聞く場面があり、そこでは開口一番「幸せです」とのコメント。楽曲は90曲以上にものぼり、そのすべてを作品の監督であるさとうけいいちが名づけたという収録秘話などを披露した。

int-1505132000-c002int-1505132000-c004

後半は作中でファバロとアーミラが酒場で踊るシーンでかかった「Sip of Passion」からスタート。この楽曲は本作の中で最初に作られた楽曲だという。作中映像と同じくアコースティックギターとカホン、そしてクラップによるフラメンコ調の楽曲を披露。このエスニックな歌を歌った太田惠資の本職はバイオリニストで、さらにこの歌詞は毎回がアドリブという驚きの秘話が語られた。作中で毒を盛られたシャリオス13世が母の幻影を見るシーンの「Visions of Mother」はストリングスが繊細かつ怪しげに響き幻惑する。「Ancient Forest Dragon」はドラゴンをテーマにしているようにファンタジーの王道のような迫力と金管による高貴さも漂わせる。ここから最終話に向けての音楽が次々と集中的にかかり、コンサートもクライマックスへと向かっていく。「Favaro」はコーラス隊が大活躍しオペレッタな迫力を聴かせ、緩急をつけたストリングスとホーンが響き渡る。「God Killer」は短いながらも次々と展開していくドラマティックな楽曲でパーカッションや低音部が重厚な音を鳴らし、ホーンが勇ましく旋律を鳴らす。「Chorus of Despair」はヴィオラが美しく、コーラスと金管のハーモニーがさらに楽曲を盛り上げていった。そして本編の最後は清水理沙が登場し、エンディングテーマの「Promised Land」を披露した。この曲はもともと池が過去に作っていた非常に難度の高い楽曲でそれに清水が歌詞を付けた。この日は豪華なフルオーケストラをバックに、声楽科出身ならではの抜群の歌唱力でイノセントなアーミラらしい声をロングバージョンでじっくりと聴かせていた。盛大な拍手に迎えられアンコールで数曲を披露し、オールラストは今一度、大迫力の「Rage of Bahamut」で3公演の最後の楽曲を締めくくった。

int-1505132000-c005int-1505132000-c008

最後にさとうけいいち監督が登壇し、指揮者へ花束を手渡し感想を述べたところで舞台のトランペットが鳴り響く。するとスクリーンにはファバロとカイザルの線画に添えられた「神撃のバハムートGENESIS」 第2期制作決定の文字が。会場からは万雷の拍手が飛び、なかにはむせび泣くファンの声も聞こえた。さとうは力強く「がんばりましょう!」と述べ、池は「また新曲を書きます。そしてまたコンサートを」と応え、さらなる大きな拍手を浴びてステージを後にした。

TEXT BY 日詰明嘉


<セットリスト>
第一幕
1. Rage of Bahamut
2. A Friendly Chase
3. A Threat
4. Holy Angels
5. Ready to Kill
6. Seeing Things
7. The Horse and I
8. Morning in Ysmenport
9. Instant Death
10. The Swordsman and Magic and Betrayal
11. Orleans Knights
12. Heavenly Music
13. #06 M11
14. No Fooling Around!
15. Raid
16. Timeless Friendship
17. Good Morning Anatae
18. Preview
第二幕
19. Sip of Passion
20. Bahamut & Amira
21. Memories of the Cocoon
22. Visions of Mother
23. Ancient Forest Dragon
24. Investiture
25. An Existential Threat
26. Favaro
27. God Killer
28. Michael’s Heart
29. Azazel Strikes Back
30. Chorus of Despair
31. Last Choice
32. Wings of Hope
33. Thinking of Amira
34. The Journey’s End
35. Promised Land
アンコール
36. Encounters
37. Escape by Night
38. Rage of Bahamut

© Cygames/MAPPA/神撃のバハムート GENESIS

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP