作家と歌い手の目線から「オラシオン」について語る、ナスカ・茅野愛衣インタビュー!

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5月21日に発売された、TVアニメ『ノーゲーム・ノーライフ』のEDテーマ「オラシオン」。だいし君と山内パンプキンからなるポップロック・ユニット「ナスカ」が手掛けたこの曲は、歌唱する白役・茅野愛衣のウィスパーの魅力を活かし、同時に白らしさものぞかせながらも、ポップさと爽快感を同時に内包する名曲へと仕上がった。
本作を作り上げたこの2組は、「オラシオン」と『ノーゲーム・ノーライフ』という作品に対してどのような想いを抱き、この楽曲へと詰め込んだのか。作り手であるナスカと、歌い手である茅野愛衣へ、それぞれ話を聞いた。

 

★ナスカ インタビュー

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――ナスカのおふたりは『ノーゲーム・ノーライフ』のエンディング「オラシオン」の作詞・作編曲をご担当されていますが、作品をご覧になった感想はいかがでしょう。

だいし君 エンディングのコンペ段階から原作が好きすぎて……。曲を作るにあたって、原作とかシナリオも読んだんですが、愛が膨らみすぎてまして。放送前に3話まで観たんですが、「お話のテンポ速いけどみんなついてこられるかな」とかスタッフのような見方になっていました(笑)。

――アニメのエンディングとして絵が付いたものをご覧になっていかがでしたか。

山内パンプキン(以下:山内) 歌詞に寄り添ってエンディングの絵を作っていただいていて、相乗効果で曲が良く聴こえるなぁと思いました。最初はPCで観せていただいたんですが、すごく感動しちゃいましたね。オンエアのときには落ち着いていたので冷静に観られたんですが、アニメと曲がマッチしたものになっているのではないかと思っています。

――コンペで決まったというお話ですが、作曲、作詞に関してどのようなオーダーがあったのでしょうか。

だいし君 まず白が歌うことが決まっていて、疾走感のあるパターンと雰囲気のあるパターンのどちらかというオーダーがされていました。僕らはずっとポップ・ロックバンドをやっていたので、自分たちの持ち味を出せるのは疾走感のあるロックだろうと思ったのでロックで作ったんですが、最初にいただいた資料の文章がイメージを膨らませやすいもので、一瞬で書き上がりました。16小節のメロディじゃなくて、細かくセンテンスを切っていこうとか、そういったものをイメージしやすいいい文章だったんです。

山内 ほかにも資料としてキャラクターの絵もいただいていましたね。

――白と疾走感というのが、意外な取り合わせな気がします。

だいし君 曲を作っているときはまだ白を茅野(愛衣)さんが演じるということは知らなくて、ぽつぽつしゃべるキャラクターくらいの印象でした。曲をコンペに提出したときは違うメロディでしたが、(コンペで)選んでいただいてから、テレビサイズを作るにあたり茅野さんの資料をいただいて、声を聴いて、シナリオや原作のもと詰めていき、Aメロを茅野さん用にチューニングしました。

山内 Aメロだけぽつぽつとしゃべるようなかたちになっています。

――タイトルの「オラシオン」はどのようにつけられたのでしょう。

だいし君 「空に祈るように」という歌詞があるように、ふたりの不安定な感じをメインに置きたかったんです。原作の榎宮(祐)先生がブラジルのご出身で、そちらにもかけたくて……。

山内 そうすると日本語じゃないなと思いまして。いろんな国の言葉を探していって、ふたりで10個ずつくらい案を出したんですが、そのなかで「オラシオン」というのが響きも含めてぴったりだったんです。

だいし君 本当はこれがポルトガル語だったら最高だったんですが。

――作詞、作曲、編曲をナスカで担当されてますが、だいし君と山内さんでの作業分担はどのようにされているのでしょうか。

だいし君 今回に関しては、僕発信でやらせていただきました。でも、Bメロからサビにいく転調の部分は山内がやってそれでコンペに提出しました。テレビサイズ以降の作業は山内の方でやっています。

山内 曲単位で毎回やり方が違うんです。作業分担というかたちでは分けていないですね。

――作詞に関してはいかがでしょう。

だいし君 最初はふたりでやっていたんですが、僕の愛が深すぎて……。

山内 ふたりで一稿ずつ書いて出しました。それぞれ同じ資料を読んでいるんですが、切り取り方が違っていて、だいし君が「自分のをベーシックにしてやりたい」というので……。

だいし君 山内が出した歌詞の中でももちろんいい部分があって、それはいただいています。

山内 だいし君は元々アニメや漫画が大好きで、この作品ができるということになって全精力をかけてやっていました。

――そんなだいし君の愛はどこに向いているのでしょう。ストーリーでしょうか、キャラクターでしょうか。

だいし君 原作に惚れた感じです。お話が面白いのはもちろん、関わられるスタッフがみなさん情熱を傾けて作っていらっしゃるので、僕もその一員になりたいという想いもありました。それに物語の終わりを飾るエンディングを作りたいという想いですね。

――歌詞に盛り込まれた想いがいちばんわかるのはどの部分でしょう。

だいし君 榎宮先生の描く空と白にどれだけ近づけるか、おこがましい言い方かもしれませんが、キャラクターは作者の思惑を離れて動き出すことがあるとよく伺うので、僕の考えた榎宮先生の描くふたりに寄り添って書けばいいと思っていて……相当アブナイですよね(笑)。先生に二度ほどお会いすることがあって、そのたびに想いをお伝えしたんですが、二度とも苦笑いされていまして(笑)。

山内 「僕と榎宮先生がひとつになれた気がします」って言ってたので、相当気持ち悪い人だと思われていると思います。

だいし君 僕も榎宮先生もあまり人づきあいが得意な方ではなくて、前置きもなくいきなり言ったので(笑)。曲を作り終わって先生に直接連絡をいただいてからはずっとお互いを褒め合っていました。そういう意味では先生のお墨付きをもらったと思っています。ですから、原作ファンにもアニメファンにも自信をもってお届けできます。

――音作りでイメージされたものはありますか。

山内 最初にどういうサウンドで作ろうかと考えたときに、4ピース(ドラム、ベース、ギター、ボーカル)にしようと話していて、ストリングスとかはいらないかなと思ったんですけど、なにか「希望」的な音が欲しかったので鐘の音を入れました。それぐらいで、基本的にあまり音は入れたくなかったんです。

――レコーディングの様子はいかがでしたか。

山内 曲とは関係ないんですが、モニタ越しに聞こえてくる茅野さんの「あ、はい」っていう声がとてもかわいいなと(笑)。歌に関しては、ぽつりぽつりという歌い方だったり、年齢低目の声であったり。そういったものは高いキーだとなかなか表現しづらいと思うんですが、Aメロのところはとても白らしさを表現できたと思います。

――収録時のエピソードはありますか。

山内 二日に分けて録ったんですが、二日目の通しの録りのときに、茅野さんがうしろに別の仕事が入っていたのに、ギリギリまで歌ってくださって。この作品は特に思うのですが、関わっている人たちが皆さん自分の分野で情熱を傾けていて、私たちも音楽という分野でそれができたかなと思っています。茅野さんに初めてお会いしたときに「とてもいい曲ですね」と言っていただけたり、スタッフの方がフルコーラスをヘビーローテーションしながら仕事してくださっているお話とかを伺って、とてもうれしかったですし、皆さんの想いが詰まった作品ですよね。それと、先にオケを録ったんですが、パワフルなサウンドになっていて、茅野さんはあまりこういう曲を歌われたことがなかったようなので、楽しんで歌っていただけたのではないでしょうか。

だいし君 茅野さんに僕が「何者なんだろう」と思われていた感があります。収録はプロデューサーと山内でやっていて、僕は座っているだけだったんです。そのあとアフレコとかでお会いする機会が増えてだんだんわかっていただいたようですが、歌入れのときとかは、マネージャーだと思われていたかもしれません。

――だいし君はコーラスでも参加されていると伺ったんですが。

山内 ブリッジの部分にプロデューサーのアイディアで、男の子の声があるといいということで、空役で。アニメが好きな方は感じ取ってくれるかなと思っています。

だいし君 いちばん不安に思っている……ところでもあります。すべてにおいて一点の曇りなく作り上げて、あとは届けるだけというところで急に不安になりまして。茅野さんの世界に僕が現れてしまう。松岡さんじゃなくて僕が……というところを受け入れていただきたい!っていう……。

――今後もアニメの曲を書いていきたいと思われますか。

だいし君 ぜひやりたいのですが、コンペで勝ち取っていかないといけなくて。年間3回くらいしかコンペもないので、そこを勝ち進むのは難しいですよね。

山内 だいし君はこの曲を手掛けてから「アニソンだ、アニソンだ」とずっと言っていて。

だいし君 充実感がすごいんですよ。

山内 制作を最初から最後までやらせていただけて、作品に対して歌詞を変えていったり、それによって曲がどんどん変わっていくじゃないですか。それが楽しくて。私もやりたいです。

【プロフィール】
ナスカ/2004年、4人組バンド”ナスカ”でメジャー・デビュー、2006年3人組バンド“ナスカ”で亀田誠治プロデュースにより再デビュー、2011年から楽曲提供・映像音楽の制作チーム“ナスカ”として再々始動。

(次ページ:茅野愛衣インタビュー)

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