リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2013.12.31

12/29、『Wake Up, Girls!』スペシャルイベント“炎の七番勝負 ヤマカン出てこいやー!”第七番・ライブステージレポート!

int-131231-001-c001

2014年1月10日より、劇場公開とテレビ放送が開始される『Wake Up, Girls!』のスペシャルイベント“炎の七番勝負 ヤマカン出てこいやー!”が12月29日、秋葉原UDXで開催された。今回は吉岡茉祐・永野愛理・田中美海・青山吉能・山下七海・奥野香耶・高木美佑が出演したライブステージをレポートする。

『Wake Up, Girls!』はアイドル戦国時代の東北・仙台を舞台に、廃業寸前の弱小プロダクション「グリーンリーヴズ・エンタテインメント」に集まるアイドルの原石たちを描く物語だ。本作品のための公開オーディションで一般から出演キャストを募り、0から歌手・声優両面のレッスンを行なうという手法、TVアニメと劇場版同時公開という形態、監督山本寛、脚本・構成待田堂子、音楽神前暁という豪華チームの陣容でも話題となっている作品だ。声優経験がほぼない、キャラクターと近い年代の出演声優たちは7月のワンダーフェスティバルでお披露目され、その後4回の「ショーケースイベント」でライブ経験を重ねてきた。しかしショーケースは会場キャパシティが限られていたこともあり、今回は『Wake Up, Girls!』だけを見るために集まった大観衆の前で初めて彼女たちがパフォーマンスを見せる、いわば晴れ舞台だ。

制服姿で登場した7人は、まずは主題歌「タチアガレ!」を披露。2月に練習を始めた時には、ダンス未経験者もいた彼女たち。澱みないフォーメーションの移動と揃った動きが重ねてきた練習と流した汗を感じさせる。最初にハッと視線を引き寄せられたのは、サビの「Wake Up!!」の歌声と共に全員がジャンプする躍動感だ。そして「Stand Up!!」の声と共に力強く突き上げられる拳。「タチアガレ!」の詞と曲が描くのは明日への希望と笑顔をもたらそうとする意志であり、その向こう側に、震災という現実を抱えて進む東北の姿が見える。この日のイベントスペース前には仙台の物産展が誘致されており、単なる舞台、聖地としての設定に終わらない、共に歩もうとする姿勢が感じられた。

 もうひとつ印象に残ったのは、「タチアガレ!」では島田真夢役の吉岡茉祐をはっきりセンターとして扱っている所だ。基本的にはめまぐるしくポジションチェンジをしながら主役が入れ替わる「Wake Up, Girls」だが、落ちサビではメンバーが2列に分かれて群舞を見せる中、吉岡のソロパートが入る。緊張した面持ちで切なく歌い上げる姿に、作品としてセンターという存在について描く意志を感じる。

2曲目から4曲目は、「ハレ晴レユカイ」「motto☆派手にね!」「もってけ!セーラーふく」と、山本寛監督作品ゆかりの楽曲のカバーが続く。しかしいずれの楽曲も原曲は1人~4人を想定した歌唱、ダンス。各メンバーのソロパートやデュオパートを流れるように切り替えていくパート分けやフォーメーションはワンオフ物であり、人数が増えれば当然難易度は増す。「ハレ晴レユカイ」と「もってけ!セーラーふく」はワンダーフェスティバルでの初披露に比べれば明らかにキレと完成度が増しており、曲は借り物でも、そこに注がれた努力は彼女たちだけのものだ。センターポジションに入った時の奥野香耶の気合にあふれた様子や、山下七海の激しいダンス中も生き生きとした表情、デュオパートで飛び出すように聴こえてくる田中美海の歌声の存在感などが印象に残った。

int-131231-001-c002

最後の曲は、このライブで初公開となる『Wake Up,Girls!』エンディング主題歌「言の葉 青葉」。ピアノの静かな旋律に合わせて独唱を歌い継ぎ、やがて7人の繊細で優しい歌声が重なる合唱曲だ。仙台の美しい町並みを素朴に歌うシンプルな歌声が無性に胸を打つ。フリもまたシンプルで、“一緒にいよう”で体の前に大きな動きで手を合わせ、“言の葉”がキラキラとする様子を掌の動きで示す。ダンスというよりは、手話のように動きと歌声でメッセージを伝えようとするようで、それぞれが大切に抱える“何か”をお互いに渡し、抱きしめるような動きが特に印象的だった。「タチアガレ!」が声優ユニットとしての彼女たちを描いた曲だとすれば、「言の葉 青葉」は彼女たちの少女としての等身大を描いた楽曲なのかもしれない。

そして鳴り止まないアンコールに応えて、再び7人が登場。歌うのはやはりもう一度の「タチアガレ!」だ。この日2度目の「タチアガレ!」だが、1度目とは明らかに何かが違う。一番大きな違いは、彼女たちの精悍と言ってもいいような自信に満ちた表情だろうか。どれだけ練習しても、練習では得られない経験がステージの上にはある。そしてステージのパフォーマンスに全力で応えようとする大観衆も、最初に比べれば明らかに“できあがった”空気に変わっていた。無地の少女たちが目の前で刻一刻で成長していく眩しさに、今この作品だからこそある何かを感じるステージだった。

Text by 中里キリ

『Wake Up, Girls!』スペシャルイベント
“炎の七番勝負 ヤマカン出てこいやー!”第七番スペシャルライブ
2013.12.29 秋葉原UDXイベントスペース

【セットリスト】
M01:タチアガレ!
M02:ハレ晴レユカイ
M03:motto☆派手にね!
M04:もってけ!セーラーふく
M05:言の葉 青葉
M06:タチアガレ!

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP