TVアニメ『前橋ウィッチーズ』のメインキャストを務める、春日さくら(赤城ユイナ役)・咲川ひなの(新里アズ役)・本村玲奈(北原キョウカ役)・三波春香(三俣チョコ役)・百瀬帆南(上泉マイ役)の5人からなるグループ・前橋ウィッチーズが、9月30日にミニアルバム『春化』をリリース。TVシリーズを再構築した『劇場版 前橋ウィッチーズ ~魔女見習いのエモエモリーズ~』の主題歌であり、『前橋ウィッチーズ』の大ファンを公言する岩井勇気(ハライチ)が作詞を手掛けた「雨晴れMake up」や、TVシリーズのOP/EDテーマの再録版などを収録した充実の1枚だ。
本稿では、そんな本作のリリースと劇場版の公開に合わせて、メンバー5人へのインタビューを敢行。楽曲制作秘話に加え、お披露目からほぼ2周年にあたる日にリリースされた本作を通じてメンバー自身が感じた変化や成長にもたっぷり迫っていく。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
――まずはお披露目からの2年間を振り返って、皆さん自身が感じられている変化や成長についてお聞きしたいのですが。
春日さくら 私は歌に関してなんですけど、『春化』のミニアルバムでもライブでも、よりキャラクター(赤城ユイナ)を意識して歌えるようになってきたと思います。初期の頃は、歌自体に全然慣れていなかったので歌うことに必死でしたし、逆にキャラクターを意識しすぎるとそのことだけにいっぱいいっぱいになってしまっていたんです。なので、まずは音楽プロデューサーさんに「もちろんキャラクターも意識してほしいけど、まずは想いを伝えられるように気持ちを乗せることを重視してほしい」と言っていただいたことを意識して歌っていたんですね。今はこの数年間の経験もあり、キャラクターを意識できるようになってきたので、それが成長かなと思います。
咲川ひなの 私は、ファンの方への向き合い方が一番変わったところかもしれません。というのも、私にとってファンの方の前に立って何かをすることは、本当に前橋ウィッチーズの活動が初めてだったんです。元々人見知りなことも相まって、最初は皆さんとの距離感や、舞台上でのパフォーマンスにとても悩みました。でもステージを重ねていくなかで、ファンの皆さんの反応を見ながら「もっとやっていいんだ!」みたいなことがわかったり、皆さんとの良い距離感を掴めてきたんです。なので、技術面のことばかりに意識が行っていた2年前とは違って、今はお客さんがいることを前提にパフォーマンスを磨けているように思っています。
――そうなってくると、ステージ自体もより楽しく?
咲川 楽しくなりました!「今日はこういうファンサをやってみよう!」と考えたり。色んな方に喜んでいただけると、さらに頑張りたいという気持ちも芽生えてきます。
本村玲奈 私は歌やパフォーマンスのなかだと、声に少し芯が出てリラックスして歌えるようになったことで、ダンスのパフォーマンスでもより体を大きく動かせるようになりました。ファンの方からも「上手くなったね」と声をかけていただけることも嬉しいですし、そのおかげで「皆さんに楽しんでいただきたい」という気持ちも大きく育っていて。緊張よりも「どうすれば楽しんでいただけるんだろう?」と考えることにも嬉しさを感じられるようになりましたし、前向きに「色んなことをやってみたい!」や「頑張ろう!」と思えるようになったことが、大きな成長なんじゃないかなと感じています。
三波春香 私も色々あるんですが、一番は“チョコとして立つステージ力”みたいなものを、この2年をかけて培えたことかもしれません。やっぱり最初の頃は「失敗しないようにちゃんとやろう!」という気持ちがすごく強かったんですけど、5人で活動するなかで「1つ1つのステージを楽しんでいこう」という気持ちのほうが強くなってきまして。今ではもう“チョコとしてのステージの立ち方”が、無意識でできるようになってきているんです。ただ、ファンの方からは同じ日に「今日はめっちゃチョコでしたね!」と「めっちゃ三波でした!」の両方を言われることもあって、「どういうこと……?」となったりもするんですけど……(笑)。でもそれくらい、近い存在になれてきているのかもしれませんね。元々似ているなと思っていましたけど、無意識下でよりチョコを出せるようになったということだと思うので。
百瀬帆南 私は大きく2点あるんですけど、1つはマイと自分の性格の乖離にあまり悩まなくなったことです。マイの現実主義的なところは似ているんですけど、ステージに立つ自分とマイの基本的な性格が少し遠く感じるところもあって、最初の1年くらいはずっと悩んでいたんです。
――それを、どう解決されたんですか?
百瀬 実はある意味解決はしていないんですけど……ファンの皆さんに、百瀬としてステージに立っているところも認めていただけるようになった、というのが大きかったですね。もちろん私も「マイとして決めたい」という決めどころでは決めつつ、そのうえで百瀬としても楽しんでもらえる土台を、今まで応援してくれた方が作ってくださったことで悩まなくなりました。そしてもう1つは、ステージ以外も含めてメンバーへの信頼度が上がったことですね。最初は全然余裕がなかったんですが、今では「どうなっても、きっと大丈夫」と思えるようになりまして。例えば、声が出にくい日にそれをステージ裏で相談した時に「大丈夫だよ。何かあったら歌うから」みたいにかけてくれる言葉を、心の底から信じられるようになったんです。その結果、苦手にしていたMCの立ち回りでも肩の力を抜いてしゃべれるようになったりと、みんなやファンの皆さんのおかげで成長させてもらえたようで。でもそれは「自分が頑張った」というよりは「環境がそうしてくれた」みたいな感じがするな……と、今は思っています。
――ではここからは、ミニアルバム『春化』の話をお伺いしていきます。まずは『劇場版 前橋ウィッチーズ~魔女見習いのエモエモリーズ~』の主題歌「⾬晴れMake up」についてお聞きしたいのですが、皆さんこの曲が最初にこの曲を聴いた時にはどんなことを感じられましたか?
咲川 すごく明るくてかわいくて、そしてキャッチーで……という面は今までの前橋ウィッチーズの曲にも通ずる部分ではあるんですが、色々な新しい“何か”があるように感じました。なんだか「新しいフェーズに行った?」と思うような、今までの曲との違いを感じて……「前橋ウィッチーズの曲を聴いているようで、前橋ウィッチーズじゃないみたい!」という印象もありました。
春日 そうなんだよね。譜割りとかリズムも今までと違った面白い曲だし。
百瀬 少しジャズみたいな要素を感じる部分もあったりするからね。今までにもあった「私たちがわちゃわちゃ引っ張っていくぞ!おー!!」みたいなアツい曲ではなく、今回はテンポ感が少しでも崩れたら、たぶんガタガタガタってなっていっちゃうだろうな……というグルーヴ感の大事な曲調なんです。なので「今の私たちじゃないと歌えなかったかな」と思うくらいレベルアップした曲ですし、5人の団結力も試されているような気もしました。
本村 全員で歌う、歌い出しの“Rain or shine Rain or shine”のところには駆け出していくような感じもあったりと明るさもありつつ、後半には少し魔法のような不思議なリズムのところもあるんですよ。
三波 でも「今までの前橋ウィッチーズっぽくない」というのもすごくわかりつつ、歌詞を1つ1つ読み込んでいくと、アニメの内容とすごく合致してもいるんですね。『前橋ウィッチーズ』ってキャラクターたちの弱さみたいなものにすごくフォーカスした作品なんですけど、この曲にもそういう弱さの部分が前面に出たフレーズが多いんです。だけど最終的にみんなで、「解決はしないけれど、手を取り合って頑張っていこう」となっていく。そういうものがすごく表された歌詞になっていると思ったので……、岩井さんはすごく『前橋ウィッチーズ』を愛してくださっているな、と嬉しくなりました(笑)。
本村 ねぇ。愛をすごく感じたよね。
咲川 好きじゃないと書けない歌詞だな、って思った。
三波 きっと本質の部分を見抜いてくださっているからこそ、「前橋ウィッチーズっぽくなさ」もありつつ奥底にはちゃんと『前橋ウィッチーズ』らしさもあるという、新しい観点の歌詞を生み出してくださったんじゃないでしょうか?
春日 この曲は冒頭の入り方もオシャレだよね。ラジオみたいな音から始まるんですけど……。
本村 なんだか、ラジオ越しに聴いていたところから飛び出してくるような感じがするよね。
春日 うん。音がクリアになって、すごく迫ってくる感じがある。
三波 良い曲だ……いつか岩井さんのメモが、世に放たれるといいな。
春日・百瀬 ね!
――“岩井メモ”があるんですか?
本村 はい。実は秘密のメモがあって……。
春日 早く岩井さんの前で歌いたいね。
三波 ね!私たちの曲には、歌詞の中に花の名前が隠れていることが恒例になっているんですけど、それについてのメモもすごく「岩井さんっぽい!」と思うようなもので。
百瀬 この世の矛盾を抱えながら、それを上手く消化してくれている感じがしました。
三波 ただ、それはまだちょっと言えないので……それも、いつかお話しできたら!
――そんなこの曲のレコーディングで、皆さんはどんなことを大事にされたのでしょう?
本村 私、この曲は“5人”をすごく想像しました。一緒に歌っている感じというか……歌詞を見た時にソロのパートでもペアを想像しやすかったのも、この曲の特別なところだなと思うんです。
咲川 たぶん、劇場版の映像もあって元々1コーラスだけパート分けがわかっていたのもあるよね。いつもはそれぞれが全部録りきってからパートを組み合わせていくんですけど。今回は、アズとキョウカのペアで歌っている1番のAメロを、「ここからキョウカが始まるんだったら、その前のソロパートはこう歌おうかな?」と特に意識して歌ったんです。
――なるほど。先を想像して。
咲川 はい。それにレコーディング順も玲奈が先だったので、玲奈の歌が入った音源を聴いたうえで、歌い方を自分がもってきたものから少し変えたりと色々工夫して、上手く馴染むようにしていきました。
春日 TVアニメの劇中歌の時は、歌割りを最初に知らされていたわけではなかったんです。でも今回はあらかじめわかっていたからこそ、「この歌詞をユイナに歌わせるということは、きっとこういう意図があるんだろうな」みたいなことをすごく考えたかもしれません。それを踏まえて歌い方を考えることも新鮮でめちゃくちゃ楽しかったですし、「これも良いな」と思いました。
三波 私は先ほどお話しした歌詞との関係もあって、今回は普段のチョコちゃんらしい元気さにプラスして、優しさもすごく意識したように思います。それも「遠くの誰か」というより、すごく近い人に想いを伝える気持ちで歌った覚えがありまして。だからこそ、とても難しかったんですよ。劇中歌以外だと、今までは「みんなに歌っている曲」のほうが多かったので。
――普段と違う感覚が必要になってくる。
三波 そうなんです。だからこそみんなの歌声を聴いて色んな人の良さを引っ張ってきて、ボイトレの先生とも話し合いながら試行錯誤したというのもあって、私は今までで一番難しい曲だったと思っています。
本村 曲自体もすごく難しかったよね。私は特にリズムやニュアンスのところではすごく苦戦しまして。
百瀬 わかる。しかも「テクニック的には余裕ないんだけど、余裕があるように見せなきゃいけない」みたいな曲でもあるんですよ。
三波 それで今、自分が歌った時の歌詞割を見ていたんですけど……(※書き込みびっちりの歌詞カードを見せていただく)。
――書き込みの量がとんでもない……!
三波 「顎上げない!」とか(笑)、あと「大きく取る」とか……。
春日 特にサビ、難しかったよね。
本村 うん。優しく歌いつつリズムはしっかりみたいな……。
三波 そう。ボイトレの先生からしっかり指示をいただいた部分でもあったんですけど、その2つを両立するのがすごく難しかったんです。でもそうやって頑張ったぶん、良い仕上がりになっているのが嬉しくて!これはある意味、2周年に向けての試練だったのかもしれません。
百瀬 試練だったね。他にも、1番と2番でAメロの捉え方が違ったりするんですよ。「1番は細かく分けて捉えるけど、2番はフレーズを大きく捉える」みたいに、特に注意しまして。そこでも「やっぱりちゃんとオケを聴いてやらないといけないんだ」と思いましたし。
春日 低い音も難しかったよね。Aメロは結構音域が低いけど、逆にサビは高いから。
本村 ただ、この曲の仮歌を歌ってくださったのが、私たちがボイトレを始めた頃からずっと見てくださっているボイトレの先生なんですね。そういうふうに私たちの歌を知ってくださっている先生の仮歌だからこそ、ニュアンスがとてもイメージしやすくて。それも、難しい曲でも頑張れた要因の1つだなと思います。
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