――アフレコについてもお聞かせください。アニメ版のキャラクターを演じるうえで意識したこと、普段の自分との違いを感じたことはありますか?
仲町 ぼくは多分、アニメと普段の印象がメンバーの中では近いほうだと思うんですけど、根本がちょっと違っていて。アニメのあられは根っから前向きな子だと思うんですけど、自分自身は基本ネガティブだけど、それが非効率だからポジティブでいようとするタイプなんです。そこのプロセスは全然違うなと思いますし、アニメのあられはすごく素直で、受け取った言葉をしっかり受け止めて、感情を倍にして大きく増幅させるし、激しい起伏があるタイプなので、感情の源と道筋をブレずにいることを大事にしました。演じやすかったとは思うんですけど、ただ、めちゃめちゃうるさい!
一同 (笑)。
仲町 めちゃめちゃ早口でたくさん話すので、その意味での大変さはありました。でも、掘り下げ方はメンバーの中ではやりやすいほうだったのかも。
千石 あたしの場合、アニメのユノはしっかり一線を引くタイプだったので、普段メンバーと接している感じが出てしまうとアニメのキャラ感と違ってしまって。声のかけ方のニュアンスが少し難しい部分ではありました。アフレコでも「優しさが出てしまってる」と指摘されることがあったのが、演者として悔しくもあり、メンバー本人ならではの強みなのかなとも思いました。あとは、ぶっきらぼうに見えて割と気遣い屋さんで、自分とはちょっと違う繊細さを持っていて。言葉数が少ない分、言葉の節々にちょっとずつ気遣いなところが出ていたり、周りを観察している描写が多くて、愛おしさを感じながら演じていました。
――アニメだと、ユノさん本来のクールビューティーらしさみたいなものが出ているのかなと。
仲町 本来?(笑)。
千石 あたしも「これがクールビューティーか!」と思って。配信だと「自称クールビューティー」になっちゃっているので、アニメのユノちゃんを見習おうと思いました。
峰月 私は、最初は過去のことや辛いことを考えたりしていて、ビオラに何も言い返せないし、自分で行動できなくなってしまっているところが、昔の自分に似ているなと思って。普段の私は明るいんですけど、辛さも抱えつつの演技をすごく意識しました。お肉をいっぱい買ってくるシーンとかのコミカルな場面でも、テンションが高いと律のキャラが壊れてしまうので、抑えつつの演技が結構難しくて。
――当初、クレマチスとしてアニメに登場した時は、優等生という設定だったので、普段の律さんのイメージとは違っていて驚きました。
峰月 驚かれていた(笑)。私、優等生になりました!でも、後半からはおてんばっぽい一面も出てくると思うので。
仲町 もう十分出てるよ(笑)。
宮永 第7話でよだれもまき散らしてた。
峰月 前半と後半を比べると、最早別人だよね(笑)。あられちゃんに手を引っ張ってもらってりっちゃんは生まれ変わりました。
藤 私はアニメの都子と自分の違いをあまり感じてないので、役作りで困ったことはあまりなくて、割と素の自分の気持ちでやらせていただきました。都子は表情が豊かで、シーンごとにかなり気性のアップダウンがありますし、あとは「まるくん(都子の相棒のパペット/アバター)」も都子って噂があるので、その使い分けは難しかったです。特に言い争ったりするシーンは、声を張って怒鳴ることが、今まであまり経験のなかったことなのでちょっと苦労して。
仲町 めっちゃわかる。ぼくも第7話の怒りのシーンは、負の感情を人にぶつけるっていうのが人生経験上そんなになかったから、アフレコのときはちょっと不安で。ぼくの場合は「ふざけるな!」っていうセリフだったんですけど、その場の緊張感や瞬発力もあって、人生一番の「ふざけるな」を出せたと思ってます(笑)。
千石 ライブで「ふざけんじゃねーよ!」(ゆめみたの楽曲「ビッグマウス」の中で千石ユノが放つ言葉)と言い続けてきたあたしとは対照的だね(笑)。
藤 やっぱり人に自分のマイナスな感情をぶつけるのは怖いし、都子の場合は、そもそも自分の心の奥底の気持ちを吐き出すことが少ないので、自分の気持ちの柔らかい部分を開示していく感じが慣れない作業でした。
仲町 あのアフレコの帰り道、「今日の都子すごかったなあ」と思いつつも、勝手に気まずさを感じて(笑)。
宮永 そうだった!あられちゃんが帰り道しょげてたのを覚えてます。感情移入しちゃったから本当に辛かったって。かわいそうに。
藤 あられちゃん的には、自分が都子の一番のファンだと自負してたのに、それを否定されてしまったから。
仲町 「ぼくのほうが先に都子先生のこと好きだったのに」っていう喪失感が自分の気持ちと勝手にリンクして(笑)。
千石 失恋だ(笑)。
――ののかさんはアフレコの感想はいかがでしたか?
宮永 ののかは、パッと見の印象は普段の配信と近いのかなと思うんですけど、自分としては演じると人間味が多くなってしまうことに苦労しました。「ののかはもっと明るくて、人の話を聞かなくていいんだよ」と言われて(笑)。
一同 (笑)。
宮永 でも、わたしは演技って会話だと思ってるから「会話しないってどういうこと?」と思って。第1話の「マネージャーさん遅いね」というセリフも、ただ事実としてしゃべっている感じで、人間味を入れないように言われたのが最初は難しかったですね。あとはテストでアドリブを勝手に入れたら「良かったから本番でもそれでやってください」と言われたり。
――それは例えばどこですか?
宮永 第2話の、ユノちゃんAI説が出るシーンで、台本には「温かみのない返事」とあったんですけど、それを「あたたたかみのない返事」って「た」を一個増やして読んだんですよ。それがそのまま採用されました。ののちゃんって音でしゃべるだろうから、例えば「肩たたき券」とかも「あたたたたた」みたいな感じで、楽しくて一個増えちゃったりするのかなって。
――面白い発想ですね。
宮永 実はこれにはモデルがあって。自分の妹が小さい頃に何でも一個増やしちゃう癖があって。小さい子って聞いたものを音で覚えてしゃべったりするじゃないですか。私はののかのことを理想の萌えキャラだと思っていて、わたし、赤ちゃんっぽいものがすごく好きなんですよ。アニメのののちゃんは第1話の台本をもらった時から、赤ちゃんみたいな感じだったので、自分の理想がいっぱい入った萌えキャラだなと思って演じてました。
仲町 最初に台本をもらったときも喜んでたよね。
宮永 そうそう、「赤ちゃんみたい!嬉しい!」と思って。
――楽曲も主題歌や挿入歌を含め充実していて。OPテーマ「これはぼくたちの生存のあらすじ」はUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんが作詞・作曲、PHYZとしてもTVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』の音楽面をバックアップしている堀江晶太さんが編曲を担当したパワフルなナンバー。
仲町 本当にエネルギッシュすぎる曲。過去も未来も含めて常に今の話をしている感があって。
宮永 確かに!それだ!
仲町 この曲を通して一番大事なのは「自分はどう生きたいのか?」ということを、常に見続けられていることなのかなと感じていて。力強すぎて、眩しすぎて、ちょっと目を逸らしたくなるけど、ずっと向き合わなきゃいけないなって思いますね。
千石 アニメのOPテーマなのに“アニメじゃない実存でもない”と言っているのもすごくないですか?「じゃあ何なんだ?」っていう。それを明確に言わないところが、ゆめみたがこれまでやってきたことを表していて。
仲町 そう、ロックだよね。
千石 演奏しているとさらに解釈が生まれてくるというか、聴いている皆さんも咀嚼すればするほど味が出ると思うので、音楽も歌詞も読み解いていって、ゆめみたについての考えを深めていってもらえたら嬉しいです。
仲町 異質すぎるよね。核心をついていないのに核心しかついていないんですよ。最初は「どうしよう?」って思いましたもん。どの曲も魂を込めて向き合っているけど、「今の自分ではこの曲の最大限を引き出せないかもしれない」っていう焦燥感は、この曲が一番ありました。曲に込められた桁違いの熱量だけで、こちら側が勝手に変化させられるくらいのエネルギーを持っている。
宮永 歌詞全部がパンチラインでできてるよね。
峰月 わかる!どこを切り取っても衝撃の一言みたいな。“「ストーリーはいつでもぼくたちを中心に回ってる」”とか、さっきの“アニメじゃない実存でもない”もそうだけど、「いや、俺たちが正しいんで」というか「俺たちがゆめみただ!」みたいな感じが全面に出ていて。何回聴いてもまた最初から聴いてしまう、本当に大好きな曲です!
藤 “カテゴリは後から決まる”というのも、このインタビューの最初のほうでお話した、アニメなのか実際の人物なのかっていう私たちに近いのかなと思っていて。自動的に決まるというより「私たち次第」で書き換えていけるところ、未来を自分たちで決めていく意思表示のようにも感じられるところが好きです。
宮永 わたしはDメロ後半の“諦めはずっと悪いまんまでいい プライドはずっと貫く覚悟でいい”と2番の“阻む障害の数だけ強くなるわけじゃないと知っても いつの日か救ってくれるはずだ”のところが好き。自分の信念やプライドに正直であり続けていいんだ、と思わせてくれるし、“救ってくれるはずだ”というのも、自分の味方やいいことばかりじゃない世の中でも、自分が正しいと思うことを曲げずにやり続けていけば、いつかお天道様が見てくれるし、「誰かが絶対に見つけてくれるはず!」っていうリアルな気持ちが入っているのかなと思って。祈り、みたいな。
仲町 なるほどね。ぼくはこの“救ってくれるはずだ”というのは、「未来の自分が救ってくれるはずだ」っていう切実に祈りながら進む、決意のようなものだと感じていて。でも、お天道様や誰かに救いを求めるっていう解釈も正解だと思うし、それも含めて過去も未来も全人生を懸けて常に今の自分を見ているところが、この曲がすごくエネルギッシュな理由なんじゃないかなと思う。どんな解釈があってもいいし、だからバンドなんや!
宮永 思いはたくさん乗った方がいいからね。
――そしてEDテーマ「うちゅうのふしぎ」は、PHYZメンバーでもあるsabioさんが提供したキッズソング風の朗らかなナンバー。こういうEDテーマでくるとは思わずびっくりしました。
千石 今のところアニメは毎回不穏な終わり方をするので「えーっ!このテンションで!?」って思いながら聴いています(笑)。
仲町 より切なく感じるよね。
千石 そうそう。そんなのんきな場合じゃないから「置いてかないでー!」と思って。ゆめみたとしては、こういうほのぼのしたタイプの曲は今までなかったので、エンディング映像と合わせて聴くともっと楽しめると思いますし、フルで聴くとみんなのコーラスが入っていたりして、すごくかわいくてあたしも大好きな曲です。
――あの子供の歌声のようなコーラスは皆さんが歌っているんですか?
千石 はい。歌っています。
峰月 みんないろんなパターンで録ったよね?
仲町 元気そうな子、大人しめな子とか、3種類ぐらいしたね。
宮永 私もぶっきらぼうな感じとか、いろいろ歌った!
藤 私は児童書や子供向け作品が好きなんですけど、今回のエンディングはすごく童謡っぽくて、歌詞も平易な言葉で綴られているのがいいなと思っていて。なおかつ「うちゅうのふしぎ」とある通り、最初は素朴な疑問から入りつつ、宇宙の普遍性みたいなものを歌っている曲だと思うんですね。今までのゆめみたは同じ宇宙でもギャラクシーというか、カオスとかパワフルでエネルギッシュな宇宙だったと思うんですけど、この曲はエネルギーとしてはすごく穏やかで柔らかいけど、普遍的なところを歌っている点ですごく宇宙を感じる。違う方向から来た宇宙だなと感じました。
仲町 さすが言語化が上手い!(笑)。
峰月 きっと子供から大人まで幅広い年齢層に刺さる曲だよね。私の母は趣味でギターをやっているんですけど、最近「うちゅうのふしぎ」を弾き語りで演奏しだしたんです。なんかグループで老人ホームとかに訪れて大合唱する企画を考えているらしくて(笑)。
一同 えー!すごくいい!
峰月 おじいちゃんおばあちゃんまで、いろんな人たちに聴いてもらえる曲だなって思います。
宮永 わたしもこの曲を聴くと自分のピュアな心を思い出して、涙腺が熱くなる。sabioさんは、1st Album(『プログレス サイン』)に入っている「どんがらがっしゃん」という曲も作ってくださったんですけど、こういう子供の頃を思い出すような歌詞をあられちゃんが力強く、大切に歌ってくれているのが、スッと心に入ってきて、めちゃくちゃいい曲だなって思います。
――この曲のあられさんの歌、めっちゃいいですよね。最初は幼さを感じさせるタッチで入りつつ、だんだんソウルフルに色づいていくような感じで。
仲町 ありがとうございます(照)。レコーディングではいろいろ試したんですけど、この曲自体が持つ、一にして全というか、浮遊感みたいなところに自分も乗じて浮いていきたいなと思って。個人的には落ちサビの“いつかこんなちいさなうたは きみはきっとわすれちゃうけど ぼくはずっとおぼえているよ おとなになってもね”のところが好きで、ここは全部平仮名なんですよね。ぼくは普段、歌う時はパッションでいきたくなっちゃうタイプなんですけど、この曲に関しては、対面するのではなくて隣でありたいなと思っていて。温かみと同時にちょっと虚しさも感じるんだけど、その虚しさ自体も温かく包んでくれるような、それすらも覆してしまうようなパワーが、この曲にはあると思うので、それが伝わればいいなと思います。
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